田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

遅ればせながら江別蔦屋書店拝見!

2019-03-20 19:34:06 | 札幌(圏)探訪

 ともかくその規模に驚いた!既存の書店とはそのスケールが全く違う!本を中心として、一日書店の中で遊んでいられる規模だといっても過言でない。今度は一日かけて江別蔦屋書店を訪れてみよう!

          

         ※ 3棟が並んで建つ江別蔦屋書店です。左から「食」、「知」、「暮らし」の棟となっていた。

 昨年11月21日に開店したという「蔦屋江別書店」は話題にはなっていたものの、札幌から車で小1時間かかるとあってなかなか訪れる機会がなかった。今日(3月20日)の午後、時間ができたので出不精の妻を誘って江別まで車を走らせた。

 江別蔦屋書店は江別市の外れ飛鳥山公園の近くに位置していた。大きな駐車場(500台収容可能)とレンガ色の3棟の建物が並んでいた。

          

          ※ 「知」の棟に入って、頭上まで本がびっしりと展示されているのに驚かされた。

 その3棟は、「知」「食」「暮らし」とそれぞれテーマに基づいた店づくりをしているのが大きな特徴とのこと。私たちはまず3棟の中央に位置する「知」の棟に入った。まず展示されている圧倒的な本の量に驚かされた。「知」の棟だけは2階建ての吹き抜けになっており、2階まで特設の本棚にびっしりと本が展示されていた。あまりの多さに私たちは本を手にすることさえ忘れ、この大量の本の中からどうして目的の本を選べるのだろうかと心配になったほどだ。棟内にはスターバックスコーヒーが出店しており、コーヒーを楽しみながら本探し、あるいは試読ができるシステムのようだった。

          

          ※ 「知」の棟の一角に出店していたスターバックスコーヒーです。

 続いて「暮らし」の棟に移ると、そこには、輸入玩具、フラワーショップ、アウトドアショップなどが入店しており、それらの店と共に関係書籍が展示されていた。

          

          ※ 「暮らし」の棟のフラワーショップと関連する図書の本棚です。

          

          ※ 「暮らし」の棟にはこうした屋内遊園地のような施設もあり、子どもを連れての本選びも可能です。

 また、反対側の「食」の棟では多くの食のショップが入店していた。イタリアン、カレー、担々麺、ハンバーガー、ジェラート等々、合計12店舗である。もちろんこちらも「食」に関する書籍が展示販売されていた。

          

          ※ 「食」の棟に出店していたイタリアンレストラン「nòdo」です。

 江別蔦屋書店についてはたくさんのレポートが出ているので、詳しくはそちらにお任せして、私の率直な感想を記して本日のレポとしたい。

 本日のレポの冒頭にも記したが、ともかくその規模に驚いた。蔦屋はこれまで日本人がもっていた書店のイメージを覆そうとする試みを全国で展開しているようである。江別の蔦屋は「田舎都市スローライフ」がそのコンセプトだという。そのコンセプトを色濃く打ち出しているのが「食」の棟であり、「暮らし」の棟ということだろうか?

          

          ※ 「食」の棟には「食」に関する雑貨類が本と共に展示・販売されていました。

 伝え聞くところでは、休日や祝日には駐車場が満杯となるほどの集客を誇っているという。おそらく札幌から来店する人たちも相当数いると思われる。「食」のショップが充実し、「暮らし」の棟では室内遊園地さながらに子どもたちが寛げる施設が充実している。「知」の棟ではゆったりとした雰囲気の中で本を選ぶことができる。

 これは知的好奇心をくすぐらせ、多くの人たちの興味を掻き立てることだろう。今日は午後も遅くだったこともあり、ざあっと見て回っただけだったが、機会を見てランチを楽しみながらゆっくりと本選びをしてみたいと思った。


シリーズ 2℃未満の道 ファイナル

2019-03-19 18:08:29 | 講演・講義・フォーラム等

 地球温暖化については一部に議論を残しつつも、今や既定の事実といってよい事象であろう。そうした地球温暖化にストップをかけようと世界的にさまざまな挑戦が試みられているが、北海道においてもこの問題を考えようというシンポジウムがあり参加した。

           

          ※ 二つの講演の後行われたパネルトークの様子です。

 3月16日(土)午後、NPO法人「北海道グリーンファンド」が主催する「シリーズ2℃未満の道 ファイナル」が札幌国際ビルで開催された。

 シリーズであり、ファイナルということはこれまで記録によると15度も開催されてきたシリーズの最終回ということだ。私も過去に1~2度参加した記憶がある。

 シンポジウムのテーマにもなっている「2℃未満」とは、2016年に発効したパリ協定では、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求することが長期目標として掲げられたことを指している。

 

 今回のシンポジウムは、次のような構成となっていた。

 〔講演1〕「2℃未満の道 科学の視点から考える」

      国立環境研究所地球環境研究センター副研究センター長 江守 正多 氏

 〔講演2〕「パリ協定が変えるビジネスの在り方」

      (公財)世界自然保護基金ジャパン会長 末吉 竹二郎 氏

 〔パネルトーク〕

    登壇者 ・江守 正多 氏 ・末吉 竹二郎 氏

        ・鈴木   亨 氏(北海道グリーンファンド理事長)

           

          ※ 国立環境研究所地球環境研究センター副研究センター長の江守正多氏です。

 江守氏によると、地球の平均気温は産業革命当時と比較するとすでに1℃程度上昇しているという。このままのペースで推移すれば2040年には1.5℃まで上昇すると予想されている。そこで平均気温が1.5℃を超えるとどのような状況になるかというと、①日本でも昨年夏に実感したような、豪雨災害や熱波による健康被害がさらに増加する。②最も深刻なのは、北極域、乾燥地域、沿岸低平地、小島嶼などに住む途上国の貧しい人たちや先住民族が多大な被害を被ったり、移住を余儀なくされたりする。③生態系の不可逆的な損失が進む。④グリーンランド氷床の不安定化リスクが増加する。などの困難な状況が生まれてくると予想されている。江守氏は1.5℃までなら平気で、2℃なら困るではなく、今既に困っており、1.5℃ならもっと、2℃ならもっともっと困る」ということだと強調された。

 そして温暖化を1.5℃に抑えるには、世界全体の人為的なCO₂の正味排出量が20150年前後にゼロにする必要があるそうだ。

 その実現の可能性については、投資の増加、政策、イノベーションの加速、行動変容、すべてのアクターの参加、国際協力等が必要とし、1.5℃未満の地球環境の実現を目指すことは、持続可能な社会への取り組みを加速する機会となるのではないか」と結んだ。

           

          ※ (公財)世界自然保護基金ジャパン会長の末吉竹二郎氏です。

 続いて登壇した末吉氏はビジネスの面から地球温暖化阻止を唱えた。

 末吉氏は2020年に発効したパリ協定はこれまでの価値観を転換させた画期的な協定だという。これまでは「低炭素化」を目指していたが、パリ協定以降は「脱炭素化」に転換したことだという。「脱炭素化」とは、いつか必ずゼロにしなければならない、初めから出さない、という発想が求められるということである。「脱炭素化」を目指すために世界経済は①循環型経済、②包摂的経済、③持続可能型経済に舵を切らねばならないという。そうした社会を目指して世界はすでに“創造的破壊”が進行していると末吉氏は指摘した。つまり、世界では政治や経済の世界において、既存の考え方を破壊し、新たな価値観に基づく創造がすでに多くの分野で始まっているとした。

 例えばエネルギーの世界では、自然エネルギーと非自然エネルギーの導入状況が2012年を境に自然エネルギーを導入する数が上回っているというデータを示された。発電量においても2018年で原発の発電量が4億Kwに対して、風力+太陽光は11億Kwを発電し、2023年には20億Kwまで発電量が伸びると予想されているそうだ。

 また、ドイツでは2018年にRE(Renewable Energy再生可能エネルギー)が石炭火力発電量を上回り(RE 42.5% 石炭 38.2%)、2030年にはそれを65%とし、2038年までに石炭火力を全廃することにしているそうだ。ちなみに日本はRE発電割合が22~24%だという。

 末吉氏はその他さまざまな例証を挙げたが、その中でも印象的だったのは世界の自動車メーカーがエンジンからモーターにシフトチェンジをし始めているというお話だった。フランス・イギリスは2040年以降国内でのエンジン車の販売を禁止するという。中国もまた新エネルギー車の割合を2019年に10%、2020年には12%にすることとし、海南省では省独自に2030年にエンジン車の販売を禁止することを決めているという。そうした中国の動きに呼応してアメリカのEVメーカーのテスラ社が中国に年産50万台の生産工場を建設することを決定したそうだ。また、面白いことに掃除機メーカーのDysonが2021年にシンガポールにおいてEV車の生産を開始することが決定しているという。

 こうした動きに金融界も反応しているという。末吉氏は「破壊されるのは、CO₂排出を許容する金融」「創造されるのは、CO₂排出を拒絶する金融」と称した。世界的メガバンクであるHSBCは2018年、石炭火力、タールサンド、北極海での海底油田・ガス田への新規融資を排除したそうだ。またRoyal Bank of Scotlandは同じく2018年に石炭火力とオイルサンドの新規事業への融資を停止したという。

 こうした産業界、金融界の動きがまだ世界の潮流となっているとは言い難いのかもしれないが、パリ協定以降その前哨戦が始まっていると末吉氏は分析する。

 このレポの最初のリード文で、私は「一部に議論を残しつつも…」と書いた。それはアメリカのトランプ大統領に代表される地球温暖化に対する懐疑派の存在である。トランプ大統領がパリ協定からの離脱を表明したことも記憶に新しい。しかし、これもリード文でふれたように世界の大半は地球の温暖化は既定の事実ととらえている。超大国のアメリカの大統領が懐疑的であることの影響は小さくないが、日本はそれに追随することなく世界の潮流から後れを取ることのないようにしてもらいたいと思うのだが…。

 江守、末吉の両者ともに、日本においてはそれぞれの道の専門家である。そのような方々のお話を聴くことができたことは幸いだった。


ビリギャル 母と共に語る

2019-03-18 19:01:52 | 講演・講義・フォーラム等

 高校の学年でビリだったギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格したとして、一躍時の人となったビリギャルこと、小林さやかさんが母親とともに札幌のステージに登場した。明るくポジティブに生きる母娘から学ぶことは多かった。

      

 3月16・17日の両日、サッポロファクトリーアトリウムにおいて「どうしんキッズイベント まなBOX」なるイベントが開催された。このイベントは北海道新聞社が2020年から始まる小学校教育の教育改革に先がけて、教育がどのように変わっていくのかということについて、親子で楽しく学ぼうという趣旨で開催されたもののようである。

 イベントでは二日間にわたってさまざまな催しが用意されていたようだが、その第一弾として16日(土)の午前、ビリギャル母娘「家庭から『教育』を」と題してのトークショーが行われたのを聴きに行ったというわけなのだ。

 トークショーにはビリギャルこと小林さやかさんと小林さやかさんのお母さんである橘こころさんが登壇し、フリーアナが二人に質問する形で進められた。

          

       ※ サッポロファクトリーアクアリウムステージに登場した小林さやかさんと橘こころさんの親娘です

 ご存知の方も多いと思うが、小林さやかさんは昨年4月から7月までの三か月間、札幌新陽高校でインターンとして在籍していた経験から今回のトークショーに招請されたのではないか、と思われる。

          

          ※ ときにはギャル時代を彷彿とさせるキャビキャビした語りが印象的だった小林さやかさんです。

 トークショーを聴いていて印象に残ったことは、小林さやかさんが非常に明るい方で、31歳を迎えたということだがその話し方にギャルの面影が残っていたこと、さらには小林さんがお母さんのことを小さいころから「ああちゃん」と呼び、とても仲の良い母娘だという印象を持ったことだ。

 1時間のトークショーの中で母娘はたくさんのことを語ってくれたが、母親の橘こころさんが徹底して我が娘を信頼していたことをさまざまな角度から語ってくれた。例えば、高校に入って小林さんがギャルの格好をしだしたとき、こころさんは「あらぁ、可愛いわねぇ~」と発したという。そして「ここをこうしたらもっと可愛いわよ」と言ったそうだ。並みの親にはできない芸当である。一事が万事、こころさんはさやかさんのすることをけっして否定しなかったそうだ。そうした母娘関係の中、さやかさんがいつまでもむちゃをするわけがなかった。

 きっかけは塾講師の坪田信貴さんとの出会いだった。坪田氏は心理学を応用し、小林さやかさんをその気にさせ偏差値を40も引き上げた張本人である。小林さんは坪田先生を心の底から信頼し、感謝している語り口だった。

               

   ※ ああちゃんがステージに登場した時とはずいぶん印象が違ったため、一枚だけウェブ上から拝借しました。

 橘こころさんの夫婦関係は子育ての考え方の違いから完全に破綻していたため、子供たち(3人)の生活費はもちろんのこと、塾にかかった百数十万の費用もこころさんが必死になって作り出したという。こころさんはそのことをけっして苦労話として語らず、むしろ当然というような感じで話されたところにこころさんの凄さが伝わってきた。

 小林さやかさんは慶大受験に向けてもちろん非常な努力をしたが、このビリギャル話の最高殊勲選手はなんといってもああちゃんこと橘こころさんであろう。          

 サプライズはトークショーにこころさんと仲違いをしていた父親が登壇したことだ。さやかさんの慶応大合格がキッカケとなり夫婦の間柄も元のさやに収まったという。父親は男の事情を語っていたが、こころさんには心から感謝しているようだった。

           

          ※ サプライズ登場した小林さやかさんの父親です。

 我が子を信頼するとはいっても、いざ子どもを育てるとなると自分が理想とする(あるいは思い描く)ように育てたいと思ってしまう。そこをグッとこらえて子育てをしたという橘こころさんのお話は聞いていた多くの親の心に響いたようだ。子育てをはるか昔に終えた私は、現在子育て真っ最中の長男に伝えていければと思っている。 

※ 離婚されていない橘こころさんが何故子どもの小林さやかさんと苗字が違うのかについていろいろと調べてみたがはっきりしたことは分からなかった。お分かりの方がいたら教えていただきたい。 


残念!コンサ3連勝ならず

2019-03-17 19:59:30 | スポーツ & スポーツ観戦

 今季初のスタジアム観戦だったが、強豪鹿島アントラーズに力の違いを見せつけられ残念ながら敗戦となってしまった。前節の快勝の勢いそのままに鹿島にも一泡吹かせてくれるかと思ったのだが、そうはさせてもらえなかった…。

      

 今日はJ1リーグ第4節、強豪鹿島を迎えてのホームゲームだった。今回は何としてもスタジアム観戦をしようと決めていた。私がいつも利用するチケットは当日発売のシニア券(1,000円)である。ところが最近はこの当日発売のシニア券・学生券の人気が上がったらしく、昨年は会場まで行って「売れ切れです」と宣言され、すごすごと帰宅した経験があった。球団のHPを見ると朝10時30分から発売開始とあった。今回は確実に入手したかったので、自宅を9時30分に出て、札幌ドームの発売所で30分間行列に並んだ末に無事ゲットすることができた。

          

          ※ 人気チーム鹿島との戦いとあって10時30分でこの長蛇の列でした。 

 14時キックオフの試合の方は、試合開始こそコンサの連動性のあるパス交換が見られ期待を抱かせてくれたが、開始12分に一瞬のスキを突かれて早くも失点してしまった。その失点がコンサイレブンにショックを与えたのか、動き悪くなってしまった。すると、23分またまた同じような形で失点してしまった。私にはコンサ守備陣の守りが淡白に映ってしまったが、鹿島の攻撃陣の巧みさが上回っていたということなのかもしれない。

          

          ※ 対戦前のウォーミングアップをするコンサイレブンです。

 2点を失い、会場内には失望ムードのようなものが広がる中前半が終了した。こうなっては意気が上がらない。後半なんとか立て直しを図り、「なんとかまず1点を!」と期待して見守る中、後半31分決定的な3点目を献上してしまい万事休すである。40分にロペスのヘディングで1点を返したものの試合の形勢には影響なく1対3で試合は終了した。

           

          ※ 今やコンサの両雄(?)チャナテップ選手(左)と鈴木武蔵選手(右)です。

 試合を観戦していて両者の間にスコアほどの開きはないと思いたい。ただ、サッカーにはマッチアップという言葉があるとおり、相手との相性のようなものがあるような気がする。コンサと鹿島の対戦成績は過去12回戦って1勝9敗2分けと圧倒されている。勝ち試合も2001年のものである。この戦績が物語るようにどうもコンサは鹿島を苦手にしているようだ。今日の試合にもそれが出ていたように思える。攻守ともに鹿島の方が一枚上手のように思えたのだが、どうなのだろうか?選手は入れ替わっているので「そんなことはない!」と思いたいのだが…。

          

          ※ 選手入場時のコンサ熱烈サポーター席のいつもの様子です。

 私から見て、一つだけ気になるのがやはりコンサの守備陣である。どうも守備に回ったときの粘りが今一つのように思える。これまでの失点を見ていてもあまりにもあっさりと点を献上しているように思えてならないのだが…。ミシャ監督の攻撃的なチームづくりは観ている私たちも楽しい。しかし、楽しいだけでなく確実に勝てるチームづくりも志向してほしい。(サポーターというものは贅沢なものだ)ミシャ監督にはぜひその点にも配慮したチームづくりをお願いしたいと思っている。

          

          ※ 「KING OF KING」の旗を誇らしげに掲げる鹿島のサポーター席です。

 次節は少し間が空いて、3月30日アゥエイで対名古屋戦である。日本代表に選出された鈴木武蔵選手がキリンカップ(22日、26日)から帰ってきて爆発してほしいと願いたい。

          

          ※ 一世を風靡(?)した元日本代表DFでドイツから鹿島に帰ってきた内田選手です。

 

     

     ※ 人気の対鹿島戦とあって23,000人ものサポーターが詰めかけたのですが…。


シルクロードの伝統を受け継ぐ親方たち

2019-03-16 19:15:56 | 講演・講義・フォーラム等

 旧ソ連圏内の一員だったウズベキスタンでは、伝統の職人文化がソ連の集団化政策によって壊滅の危機に瀕したが、ソ連崩壊によって独立国となったことで細々と継いできた職人文化が今復活し、新たな産業として根付きつつあるそうだ。 

 3月14日(木)午後、札幌市民交流プラザSCARTSにおいて「シルクロード教養講座」が開催され、受講した。実はこの教養講座は(株)ワールド航空サービスの主催で、ワールド航空サービスが催行するシルクロード関連の旅行商品の紹介を兼ねたものだった。

          

 しかし、趣旨はあくまで教養講座である。第1回の今回は「ウズベキスタンの職人文化 シルクロードの伝統を受け継ぐ親方たち」と題して北大スラブ・ユーラシア研究センターの菊田悠助教が講師を務められた。

          

 ウズベキスタンは古来からシルクロードの交易点として東西の文化が交流する中で工芸の技術が発達したという。それは「刺繍」、「木工細工」、「織物」、「銅製品、ナイフ」、「石膏」、「宝飾品」、「陶器、タイル」と多岐にわたったそうだ。その間、8世紀にはイスラム化されてその影響を受け、14~16世紀にはティムール朝時代を経ることで作られる工芸品にも時代、時代の影響を受けながらも受け継がれてきたという。そこには、日本にもみられたウズベキスタン流の徒弟制度があったようだ。

          

 そうした伝統を根底から覆したのが1917年に起きたロシア革命だった。革命により社会主義国のソビエト連邦が誕生し、ウズベキスタンもその一員に加えられた。ソビエト連邦は私有財産を許さなかったため、多くの工房も国に没収され、工芸品も工場で生産されるようになった。また、国の求める工芸品もきらびやかなものが求められ、伝統の芸は廃れていったという。

          

 時代は移り1991年、ソ連邦は崩壊し、ウズベキスタンは再び独立国となった。廃れてしまっていた工芸の技術は、紆余曲折を経て復活し、徒弟制度も元に戻ったという。そうした中でシルクロードブームが興り、伝統のウズベキスタンの工芸が見直され、今や大きな観光資源となっているということだ。

          

 講義はさらに講師の菊田氏の関心事である陶器の国内事情について触れていったが、その点についてのレポは割愛したい。

          

 私は以前、NHK・BSの旅番組で「沸騰するアジア」(題名は正確ではない)という番組でソ連邦から独立した各国をレポートする番組を視聴した記憶がある。その番組では、旧ソ連邦から独立した各国が急激な近代化が進んでいる様子を、TVを通して知ることができた。日本では、近代化とともに我が国の伝統工芸が一部を除き急激に衰退していったことを知っている。はたしてせっかく復活したウズベキスタンの工芸が日本と同じ道を辿りはしまいか、ということが気がかりなのだがはたしてどうなのだろうか? 

          

          


地域共生社会の復活は可能か?

2019-03-15 16:19:55 | 講演・講義・フォーラム等

 地域共生社会…、言葉の上では「地域の中で人々が共に助け合いながら生きていく社会」とでも解することができるだろうか?かつて我が国に存在した“地域共生社会”の機能が今は失われてしまっているという。はたして“地域共生社会”の復活は可能だろうか?

           

 3月13日(水)午後、北海道保健福祉部が主催する「地域共生社会に向けたシンポジウム」が札幌コンベンションセンターで開催された。市町村の福祉関係職員、あるいは福祉施設の職員が対象の研修会だったようだが、一般にも門戸が開かれていたので闖入してみた。最近、この“地域共生社会”という言葉を聞く機会が多くなってきたと感じていたので、そのことについて聞いてみることはけっして無駄ではあるまいと考え参加を決めた。

 シンポジウムは次のような構成からなっていた。

 ◇行政説明「地域共生社会の実現に向けて」

               厚生労働省社会・援護局地域福祉課 梅本政隆主査

 ◇事例報告「包括的支援体制構築事業を通じ他の地域資源とともに人を支える」

               (一社)釧路社会的地域創造協議会 櫛部武俊副代表

 ◇講  演「北海道胆振東部地震における支え合いの取組等について」

               (学)リズム学園 井内聖学園長

 ◇講  演「他分野と連携した地域循環型の共生事業について」

               (福)ゆうゆう 大原裕介理事長

 ◇パネルディスカッション

   「今後の北海道における『新たな時代に対応した福祉の提供』について」

       ※登壇者は上記の方々に鷹栖町役場福祉課 西間章宏係長が加わった。

 

 シンポジウムは前述したように福祉に関わる専門家の研修会である。門外漢である私がその一つ一つについてコメントできるものではない。ここでは、私がこのシンポジウムに参加させていただいて感じたことを、素人目線で率直にその感想を記してみたい。

 まず“地域共生社会”の必要性が叫ばれだした背景には、我が国にかつて存在した地域における「支え合いの機能」が社会構造の変化もあって消滅同然となり、その代替えとして社会保障制度が整備されてきた。しかし、超高齢社会の出現、そして少子化、人口減少によりその社会保障制度の限界が取りざたされるようになってきた。そこで、かつての“地域共生社会”を復活させようということなのだと理解する。

 ところがこの日のお話を聞いていると、福祉の対象が非常に広いというのが率直な感想だった。櫛部氏のお話は、過疎化する地域の再生の取り組みであり、井内氏のお話は地震時における地域の相互扶助の重要性についてのお話であり、大原氏のお話は障がい者の自立を促す取り組みのお話だった。三氏のお話の中に高齢者の話はどこかへ行ったのかという感じである。ことほど左様に福祉の範囲は広いということを再認識した。

 だからこの日のパネルディスカッションにおいても、それぞれの立場から“福祉”を、“地域共生社会”を論ずるために、私の耳には論点がかみ合っていないようにも聞こえてきた。さらにはこの“地域共生社会“復活の音頭を取っているのがあの厚生労働省である。社会福祉行政を司っている厚労省だからそれを提唱するのは当然ではあるのだが、施策を立案する国のお役人がどれだけ地域の実態を把握・理解して施策を立案しているのか?そこが疑問である。国が立案する施策がえてして絵に描いた餅になってしまったことがいかに多かったことか…。(これは厚労省だけを指すものではないが…)厚労省の関係者にはぜひとも地域の声、現場の声を真摯に受け止めたうえで具体的な施策を提案してほしいものである。

 シンポジウムが暗い見通しばかりだったわけではない。この日登壇されてリズム学園の井内学園長(福)ゆうゆうの大原理事長の二人はまだまだ若い方(30代?)であるが、それぞれの立場からの発信力は注目に値するものだった。我々昭和世代とは違い発想が柔軟で、実践力も兼ね備えた方だと見た。彼らのような若い力が国や行政に対して積極的に提言し、民間と行政が力を合わせて“地域共生社会”の復活を実現させてほしいと願った。もちろん一住民である私たちも共にその実現のための協力を忘れてはならないが…。


映画 233 運び屋

2019-03-14 16:39:12 | 映画観賞・感想

 齢88歳の監督・主演のクリント・イーストウッドにとっては10年ぶり監督・主演映画だそうである。しわが増え、少々丸みを帯びた背を見せながらも、渋味を増した彼の演技は存在感抜群だった。映画らしい映画を観たと思えた一作だった。

              

 3月13日(水)午前、突如映画「運び屋」(原題:The Mule)を観ようと思った。私の映画を観ようと思う動機は単純である。今回の場合は、購読している月刊誌「文藝春秋」誌の今月号で映画評論家の芝山幹郎氏が「クリント・イーストウッド会見記」を寄稿しているのを前夜に読んで「観てみよう!」と思い立ったのである。

 映画はアメリカで87歳になる老人が大量のコカインを運んでいたという実際の報道記事をもとに、長年にわたり麻薬の運び屋をしていた孤独な老人を描いたドラマである。

          

 商売に失敗して自宅も差し押さえられて途方に暮れていたとき、車の運転さえできればいいという仕事を持ちかけられたアール(クリント・イーストウッド)は、簡単な仕事だと請け負ったが、実はその仕事はメキシコの麻薬カルテルの「運び屋」だった…。

 初めはその仕事の危険さを知らなかったアールだが、次第に運んでいる物の正体を知るに及ぶが、そうなってからでは抜けることもできなくなる。組織の命令に従わないアールは、命まで狙われることになってしまう。果たしてアールの運命は???

 共演は、アールを追い込んでいく麻薬捜査官にブラッドリー・クーパーのほか、ローレンス・フィッシュバーン、アンディ・ガルシアなどが出演している。イーストウッドの実娘のアリソン・イーストウッドも映画の中でアールの娘役で出演しているのも話題の一つだ。

          

          ※ 実娘のアリソン・イーストウッドとの共演場面です。

 仕事に夢中になるあまり家庭も顧みず、妻や娘から見捨てられたアールだったが、妻が危篤となり自らの命の危険も顧みず妻の病床に駆けつけたことによって、妻や娘の気持ちは氷解する。このあたりの落としどころはクリントの得意とするところだろうか?

           

           ※ 麻薬捜査官役のブラッドリー・クーパーです。

 麻薬の密輸組織の壊滅を図るといっても派手な銃撃戦やカーチェイスがあるわけでない。むしろ地味な展開である。だからハラハラドキドキというよりは、展開を淡々と追うことができた映画だったのに私の中にはなぜか満ち足りた思いになった。それはきっと、クリント流の しっかりと作り込まれた"映画"を観たという思いに包まれたからだろう…。

 


北海道知事選挙公開討論会

2019-03-13 20:54:59 | 講演・講義・フォーラム等

 う~ん。両者ともにまだまだ選挙序盤戦(?)ということもあってだろうか、お互いを非難することもなく、むしろそれぞれを尊重しあいながら慎重な話し方に終始したように映った。それでもお話を聞く中で、それぞれの個性も垣間見えたが…。

         

 3月21日告示、4月7日投票日を控え、二人の立候補者が立起表明をした北海道知事選挙の候補者による公開討論会が、今夜(3月13日)北海道新聞社が主催して道新ホールで開催され、両候補のお話に耳を傾けた。

 政治的な関心は決して高いと言えない私だが、新人による今回の道知事選は多少は気になる選挙でもあるので参加してみることにした。

               

 今回の道知事選はご存知のように前夕張市長の鈴木直道さんと、元衆議院議員の石川知裕さんが立候補を表明している。お二人が北海道新聞社の論説委員(?)の司会によって討論が進められた。討論とは言ってもあらかじめ示されていた質問に答えるという形だったので、お互いの発言や他での発言などに言及し、それを批判するような場面は皆無であった。

 質問では「知事としてのビジョン」、「高橋道政の評価」、「北海道の強みである食と観光の活かし方」、「JR北海道問題」、「IR(統合型リゾート)問題」、「原発問題」、「国との距離感」、「市町村との関係性」、「道議会の対応」等々、多岐に及んだ。両者のお話を聞いていて、その政治信条や支援する党や団体の違いからくる発言の違いは感じられたが、現時点では両者ともにより多くの支援を得るためだろうか?慎重な話し方に終始したように聞こえてきた。

               

 その違いなどについては、拙ブログでは政治的発言は慎むようにしているので、あえて触れないことにしたい。ただ、両候補ともまだ若く(鈴木氏37歳、石川氏45歳)どちらが北海道知事となっても老人政治家におもねることなく、積極的、躍動的に北海道をリードしていっていただくことを期待したい。


富士山 ~信仰の対象と芸術の源泉~

2019-03-12 14:40:14 | 「めだかの学校」関連

 非常に遅まきながら、今回学習して「なぜ富士山が世界遺産の中の自然遺産ではなく、文化遺産で選定されたか」その理由が分かったような気がした。富士山は古来から信仰の対象として、また芸術の源泉として日本人の中に深く根を下ろしていることが理解できた。

          

          ※ 富士山はどのような角度からも、どのような季節でもその優美さが群れを抜いています。

                                (本日掲載の写真は全てウェブ上から拝借しました)

 3月11日(月)午後、「めだかの学校」の3月1回目の学習会がもたれた。今回は以前積み残していたDVD(ビデオ)視聴学習だった。今回視聴したのは、山梨放送制作のDVD「世界遺産 富士山~信仰の対象と芸術の源泉~」とNHK制作のビデオテープ「新日本紀行 富士山と野仏」という2本だった。

 私が特に新鮮な思いで見入ったのは山梨放送制作の一本だった。NHK制作の新日本紀行は昭和48年制作という古いもので、富士山ブームが起こる前の話ではあるが、登山客を馬で案内し生計を立てる人と、富士山北麓の痩せた土地で苦労する農民の姿を新日本紀行流に描いたものだが、私は内容よりテーマ音楽を懐かしく聴かせてもらった。

            

            ※ 富士山の行者による登拝は昭和14(1039)年に廃止となったが、

              平成23(2011)年に復活したそうだが、その時の登拝の様子です。

 山梨放送の方は、富士山が古来から日本人の“信仰の山”として崇められてきた歴史を描いたもので、中世以降国内的に富士山への登拝が盛んになったそうだ。登拝のために始まったのが富士講である。登拝の行者は富士山麓に到ると浅間神社の御師の経営する宿坊に宿泊し、御師たちの世話を受けたという。このようにして富士山は信仰の山として今に至っているようである。

            

            ※ 静岡県富士宮市に鎮座する富士山本宮間大社です。

 続いて、“芸術の源泉”としての富士山についてはよく理解できるし、富士山に関する絵画や写真もよく目にする。特に富士山を描いた絵画は、名だたる画家たちがその対象として特徴のある絵を描いている。どこから見ても独立峰の優美な姿を見せる富士山が芸術の対象となるのは大いに理解できることである。

            

            ※ 富士山山頂にある浅間神社奥宮です。私も参拝しました。

 私はこれまで2度の富士山登山をしているが、もっぱら登山の対象としての富士山であり、信仰自体については無関心だった。次はないと思うが、もし三度目の登山があるとすれば、その際には信仰に関する施設などにも目を向けたいと思う。

 


3.11 ×= SAPPORO SYMPO

2019-03-11 20:06:15 | 講演・講義・フォーラム等

 本日はあの忌まわしい東日本大震災が起こってから8年が経ち、9年目を迎えようとしているいわば日本人とって忘れがたい日である。あの震災を振り返り、被災地の今を知り、そのことから学び、自分たちが住む地域のまちづくりに活かそうというイベントが開かれ、ちょっとだけ覗かせてもらった。

             

 3月11日(日)、12日(月)の両日、チ・カ・ホ(札幌駅前通地下歩行空間)北3条交差点広場において3.11 × SAPPORO SYMPOなるイベントが開かれたのを知り、ちょっとだけ覗かせてもらった。

 ×の意味するところは、3.11大震災を直視しよう(=)という意味と、大震災から学びまちづくりに活かす(×)という意味を込めたと私は解釈したのだが、果たして?

 そのSYMPOSIUMの内容は、①「南相馬中央図書館 震災後の歩み」、②「だれでもできる小さな世界の救い方」、③「誰もがみんな被災者だった」、④「原発事故損害賠償・北海道訴訟」、⑤「等身大の関わり方」、⑥「仙台海岸から見える海辺の自然とのつきあい方」、というトークや報告、さらには「北海道胆振東部地震を経験して」という報告や、音楽や落語のライブを間に挟んだり、と多彩な内容になっていた。

 私が参加したのは、3月11日(土)の最初のプログラム「南相馬中央図書館 震災後の歩み」について、南相馬市中央図書館司書の高橋将人氏のお話を伺うコマだけだった。

          

          ※ シンポ①で対談した南相馬市中央図書館司書の高橋将人氏(右側)と聞き手の北海道ブックシェアリング代表理事の荒井宏明氏です。

 高橋氏が南相馬市に図書館司書として勤めだしてから2年目に東日本大震災に遭遇したということだ。年齢が若い割にはしっかりした印象を受けた。南相馬市は福島県の浜通り(太平洋岸)にありながら、中央図書館は幸いに津波の被害には遭わなかったそうだ。そのため図書館は避難所となったが、原発事故で閉鎖したそうだ。

 その後、市民の要望を受けて震災から5か月後に制限付きながら再開したという。このエピソードは南相馬市の図書館が日常の中で市民にとってなくてはならぬ存在となっていたことをうかがわせるエピソードである。

          

          ※ 南相馬市では、「地震」、「津波」、「原発事故」の三重苦が地域課題となってそうです。

 事実、南相馬市の中央図書館は地震、津波、原発事故に対応するために情報を収集し、市民への情報提供に努めているという。コトが起こってからの対応はもちろん大切であるが、日常の中でいかに職務に誠実に向き合うことが大切なのかを教えられた。

 その後も紹介したように数々のシンポジウムが組まれていたが、私は早々に退散してしまった。というのも、どうもお話を聞いていても落ち着かない思いがしたのだ。何せ会場は多くの市民や旅行者が行き交う地下歩行空間である。はたしてこうしたシリアスな問題を考える場として地下歩行空間は適当なのだろうか?今回は6回目の開催だと聞いた。主催者もいろいろと試行錯誤の結果、今回のような会場にしたものと推察される。そのあたりを想像したとしても、私としてはもう少し落ち着いた場所でこうした問題についてお聞きし、考えてみたいと思ったのだが、どうなのだろうか??