主演の北川景子の凛とした美しさが際立つ映画である。11年前の映画だから彼女が24歳のときのものである。藤沢周平の原作とはやや違う主役の設定のようだが、それもまた北川景子を主演に据えるための変更のように思えた。
藤沢周平の作品はかなり読んでいたつもりだったが、この作品は未読である。Wikipadiaによると、物語の主人公・以登(北川景子)は「けっして決して醜女ではなかったが、父親譲りの目尻が上がった目と大きめの口、決して醜女ではなかったが、父親譲りの目尻が上がった目と大きめの口に、密かに劣等感を抱いていた」とある。この文章から北川景子はイメージできない。まあ、映画であるから原作のようなイメージの女優をキャスティングする冒険は避けたということだろうか?
映画は2010年3月に公開された東映制作のものである。前述したように主演の北川景子が24歳のときの作品ということになる。私はこの作品を8月24日、BSプレミアムで放送されたものを観賞した。
ストーリーとしては、以登は父親から剣の手ほどきを受け、めきめきと上達して町の道場である羽賀道場の二番手、三番手を破るほどの腕前となった。そんな以登はある日羽賀道場の筆頭である江口孫四郎(宮尾俊太郎)と手合わせをすることになった。孫四郎と手合わせをしているうちに以登は孫四郎に恋心を抱いていることを自覚したのだった。しかし、二人にはすでに許嫁が存在した…。
ストーリーはこの後、孫四郎が藩の用人藤井勘解由(現4代目 市川猿之助)に謀られて自害に追い込まれた。そのことを知った以登は勘解由を…。藤沢作品特有の弱い者が身命を賭して藩の重臣を討つ的ストーリーである。
花とは…、桜の花である。満開の桜の花の下で孫四郎と出会い、恋心を抱いた以登。その後も画面には何度も満開の桜が登場するが、最後に孫四郎の仇を果たした以登が見た満開の桜の花は、満開のはずなのに花の盛りが終わったような寂しさを感ずるのだった…。
レビュー上では、北川景子や宮尾俊太郎の演技力を揶揄するような投稿も見られるが、北川景子は時代劇の所作も、剣のさばきもしっかりと準備して撮影に臨んだと思われたし、バレエダンサーであるという宮尾俊太郎はそれなりに好演し、十分に役割を果たしていたように思う。
現在の北川景子も年齢を経てさらに魅惑的になっているが、11年前の清麗とした美しさにも魅了された。