日本アカデミー賞の最優秀作品賞、監督賞、脚本賞に輝いた「告白」を見た。「告白」というよりは、主人公松たか子演ずる森口悠子の「復習」とするほうが相応しいのではと思えた作品だった。
過日放送された「日本アカデミー賞」の発表は、まるで「悪人」と「告白」のための発表会のようだった。主演男優賞、女優賞、助演男優賞、女優賞は全て「悪人」の出演者が受賞し、その他の主だった賞はリード文のとおり「告白」が受賞した。
「悪人」をすでに観終えていた私は「告白」を観ようと思った。まるで主体性のない観賞映画の選択である。しかし、数少ない映画観賞の機会しかない私にとっては外れのない確実にある程度の満足感を得る方法である。
2月23日(水)11時、「告白」を上映している札幌東宝プラザに足を運んだ。
日本アカデミー賞を受賞した直後としては意外に観客が少ない。もっとも昼間から映画を楽しむなんていうのは我々のようなシニア層か、仕事をもたない主婦層くらいか?
映画は松たか子演ずる中学校教師森口悠子の愛娘がプールで溺死し、警察は事故死として処理する。しかし、実際は彼女の担任のであった中学生が殺めていたことを彼女は知っていた。そのために彼女は復讐を企て、執拗なまでに彼ら中学生を追い詰め、破滅させるというストーリーである。
それは松たか子の鬼気迫る演技によって迫真力のあるスクリーンとなった。
こうした映画は、サイコサスペンスというカテゴリーに属する映画だということである。
映画を観ながら、実際にはあり得ない物語だと思いながらも、あるいはこの映画に近いようなことが実際には起こっているのかもしれないと思わされた。
そのあたりの企画力、構成力、表現力等々…、監督の力量をもろに感じさせられた映画であった。
映画の最後に主人公森口悠子が「なんちゃってね」というセリフには、賛否両論があるかもしれない。しかし、私はあの一言によって重たい映画のテーマが救われた気持ちになったのだが、あるいは別の感想も当然あるだろう。
この歳になって思うのだが、映画の出来は監督に力量によって左右されるものだということにあらためて気付かされた。その意味で本作の中島哲也監督は今後注目すべき監督の一人として記憶に留めたい監督である。
映画監督というと、私が今最も心酔しているクリント・イーストウッド監督の最新作が現在ロードショーにかかっている「ヒア アフター」を近いうちに観に行かねばと思っている。
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おっしゃるとおり、監督のねらいとしては「こんなことが現実にあるかもしれない」と思わせるほど真に迫る演出をしておいて、最後の最後に「これは芝居ですよ」というメッセージを主人公に言わせて映画をシメタということなのでしょうね。
私もそのように思います。