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世界のリーダー交代を考える 中国編

2012-12-07 17:36:44 | 講演・講義・フォーラム等
 北大の公開講座「世界のリーダー交代を考える」シリーズ第2回は「中国共産党第18回大会と中国情勢」と題しての講座だった。隣国中国の動向は今や我が国にとっては外交問題として最も重要なテーマとなっている。中国問題専門家の藤野氏は明快に分析して提示してくれた。 

 中国が第18回党大会を機に総書記が胡錦濤から習金平に交代したことは記憶に新しいところである。雑誌媒体などはこぞって習金平の特集を組むなど、私たちの関心が高まっているところである。

               

 12月6日(木)の講座はメディア・コミュニケーション研究院教授の藤野彰氏を講師として実施された。藤野氏は長い間読売新聞北京特派員、北京総局長など中国での取材経験が豊富な方であり、中国ウォッチャーとしては一線級の人であろう。
 藤野氏からは非常に興味深い話を数多く聴けたのだが、それら全てレポートするとなると相当な紙幅を要することになる。ここでは数点に絞ってのレポートとする。

 まず中国の人事の特徴について藤野氏は言及した。ご存じのように中国共産党の人事は今回の大会で総書記に就任した習近平をはじめ、政治局常務委員(7名)、政治局員(18名)など全てが密室で決定される。このシステムについて藤野氏は肯定しないまでも、その優位性を語った。
 というは、中国の党中枢に選出されるのは党員8260万人の中から選びに選ばれ、選び抜かれた人材だという点である。中国共産党においては選挙という手段を使わないが、党員となったときから絶えずその政治的能力が篩い(ふるい)にかけられながら、昇進を繰り返すということだ。そこには家柄とか、コネとか、賄賂なども存在するというが、基本的には能力がなければ出世はおぼつかないという。このシステムでは例え指導者が変わろうとも、基本的に国としての方向性に大きな違いを生ずることはない。
 他方、民主主義を標榜する国々では指導者は選挙で選出される。このシステムでは時としてまったく考え方の違う指導者が選出される場合がある。その際、国としての基本的な方向さえ違いが出てくる可能性がある。
 そうしたシステムの違う国同士が対峙したときに、はたして対等、あるいは対等以上に伍していけるのだろうか、と藤野氏は私たちに投げかけた。
 誤解のないようにしなければならないのは、藤野氏はけっして中国のシステムが優れていると言っているのではなくて、中国とはそういう国のシステムだから、そのことを踏まえたうえで中国と外交を進めなければならないということを言われたのだと私は理解した。

 藤野氏は現代中国について、あるいは中国共産党について多岐にわたり話をしてくれたが、私自身もいろいろなメディアを通してある程度の理解を得ていたので、藤野氏の話がとてもスムーズに理解することができた。
 そうした中で、やはり「日中問題」に触れないわけにはいかないだろう。
 いわゆる「尖閣」の問題は日中間における象徴的な問題として捉えるべきだという。
 中国は過去のトラウマから(それは対日本だけではなく、対欧州に対しても)日本が考えている以上に日本に対する敵愾心を内在しているという。そしてまた覇権国家、世界大国の道を歩もうとし、海洋強国として太平洋に進出しようとしている。
 その進出のネックとなっているのが「尖閣」なのだという。したがって、中国は「尖閣」奪取まで長期戦を仕掛け、日本が隙を見せるのを窺っているともいう。中国の本音としては将来的には「沖縄」をも自国領土とする構えを見せているとのことだ。

 藤野氏は、今や経済的にも、軍事的にも日本を凌駕する存在となった中国に対して、領土問題では隙を見せず、その他の問題については毅然とした姿勢を取りつつも、隣国としての互恵関係を築くことが大切ではないか、と締め括った。

 藤野氏の話から、隣国中国に対して私たちの価値観から見て批判するのではなく、相手の立場に立って、相手の考え方を理解した上でどう付き合っていくのがベストなのかを考え、探っていくことが大切なのではと考えのだが…。


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