田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

シェイクスピアの「ヴェニスの商人」を観る

2023-03-28 16:38:17 | ステージ & エンターテイメント

 膨大なセリフを活舌良く発声する役者の演技は新鮮だった。ただ観劇初心者の私にはそのセリフが良く聴きとることができなかったのは残念だったが…。それにしてもシャイロック役の温水元さんの存在感ある演技は圧巻だった…。

        

 イギリス・ルネサンスを代表する劇作家シェイクスピアの代表作の一つ「ヴェニスの商人」を観劇できると聞いて、一も二もなくチケットを買い求めた。

 3月25日(土)午後、扇谷記念スタジオ「シアター ZOOで開演された弦巻楽団の演技受講生によるシェイクスピア作「ヴェニスの商人」を観劇した。

   

  ※ 会場の「シアターZOO」はマンションの地下にあるキャパ100程度の小さな劇場です。

 今回の公演は、弦巻楽団演技講座3学期「舞台に立つ」という名目での公演だった。詳細は承知しないが、弦巻楽団とは “楽団” と称しながらも、弦巻啓太氏が主宰する劇団である。その弦巻氏が中心となって演劇を志す?あるいは趣味として演劇を志向する人たちに対して演劇講座を開講して、その成果を発表する舞台といった位置付けの公演だったようだ。舞台に立ったキャストを見ると、全員が受講生ということではなく、プロとして活動している役者さんもキャストに加わった舞台だったようだった。

  

 舞台は「ヴェニスの商人」という舞台名の元ともなったとされるヴェニスを舞台に手広く商業を営むアントーニオと、彼から求婚のための費用を借りようとするバサーニオの会話からスタートした。この二人の会話が驚くほど膨大なセリフをまるで機関銃で連射するかのような速さで活舌良くしゃべり合うのだ。おそらく相当な時間の練習の賜物と思えるほどだった。しかし、悲しいかな聴力が衰えつつある私にはそのセリフを十分に聴き取ることができなかったのが残念だった。

 そこに登場するのが悪徳商人とされるユダヤ人のシャイロックである。シャイロック役を演じた温水元さんの存在感は抜群だった。温水さんは「満天飯店」という劇団に所属するプロの役者さんのようだが、シャイロックという個性の強い役柄だったこともあり、完全に舞台を支配するほどの存在感を発揮していた。

           

      ※ 存在感抜群だったシャイロック役の温水元さんです。

 舞台はシェイクスピアの脚本を忠実に再現する流れだったように思われるが、演出・指導をされた弦巻氏の力量も相まって観客も十分に楽しめた舞台だった。

 その舞台で気になるところはなかったのだが、シェイクスピアの原作における “ユダヤ人” の描き方はどうだったのかな?という疑問が残った。ユダヤ人であるシャイロックは借金のカタに「バサーニオの体の肉1ポンド」を要求するという悪徳商人として描かれている。しかし、シャイロックはユダヤ人故に商売上でふだんからバサーニオから酷い妨害を受けていたとも言われている。この劇の終末については諸兄もご存じの通りだが、裁判によってシャイロックの要求は退けられるばかりか、ユダヤ教からキリスト教への改宗することまで判決されている。当時のヨーロッパにおけるユダヤ教徒のおかれていた苦難が想像される。

 時代は下って、第二次世界大戦においてドイツが犯した「ホロコースト」という残虐な行為も、それを許す下地がヨーロッパには連綿として流れていたのではないか、と思えてならない。本作におけるシェイクスピアがどのように評価されているのか気になるところである。

 ところで先日私が観た映画「シャイロックの子供たち」は、銀行員を金の亡者であったシャイロックの子供たちに見せかけていたということは、原作者の池井戸潤もシェイクスピア史観にとらわれているということなのだろうか??



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。