なんとも物騒なコピーである。最近何かと話題になる近畿大学には世耕広報部長という仕掛け人がいるらしい。その世耕氏の講演を聴いたのだが、講演前のスクリーンには下のようなポスターが掲げられていた。その世耕氏の話とは…。
11月11日(金)午後、アクセス札幌(白石区流通センター4丁目3番)で開催されていた「ビジネスEXPO」なるイベントが開催された。
私のお目当てはEXPOそのものではなく、同時に行われていたビジネスセミナーを聴くことだった。セミナーは期間中の10日、11日の両日にわたって八つのセミナーが用意されていたが、私が申し込んだのは、近代広報部長の世耕氏と大阪大学教授の石黒氏の人間型ロボットの講演だった。
その中から、今回は近大広報部長の世耕石弘氏の「知と汗と涙の近代流コミュニケーション戦略」と題した講演をレポすることにする。
世耕氏は講演の冒頭で次のように宣言した。「自分は教育者でもなければ、研究者でもない。ただの広報マンである」と…。
近大の最近のトピックは、2014年の入試において、志願者数が10万5千人を超え、早大や明大を上回り全国一位の志願者数を獲得し、以後3年連続してその座を獲得しているという。わずか2年前の2012年には8位だったというから驚きである。
その要因について同大学では、(1)メディアへの露出増加 ~養殖魚専門料理店「近畿大学水産研究所」オープン~、(2)「近大エコ出願」による広報効果 ~全国初の出願完全インターネット化~、(3)女子志願者数の増加 ~女子学生を意識したキャンパス整備の推進~、を挙げているという。
世耕氏の講演はその詳細について述べるものだった。
さて冒頭の「近大をぶっ壊す」だが、近代ではちょうど各キャンパスの校舎が建て替え時期に入っていたこともあったのだが、それと同時にこれまでの近大の在り方を壊す、これまでの固定概念をぶっ壊す、という意味を込めたものだったという。
固定概念(これは近代の造語だという)、それは関西の大学には、「京大・阪大・神大」、「関・関・同・立」、「産・近・甲・龍」という予備校がランク付けした言葉が存在し、そのランク付けが抜き難いものになっていると世耕氏は言う。「近大をぶっ壊す」には、そうした世間の評価をぶっ壊したいという思いを込めたものだという。
そこから世耕氏を中心とした近代広報部の怒涛の攻勢が始まったようだ。第一弾は世間的にも大きな注目を浴びた完全養殖による「近代マグロ」の誕生である。これを大々的に売り出すことから近代の攻勢は始まったようだ。
その攻勢の要諦はインターネットを徹底して活用するという戦略だったそうだ。既成概念にとらわれないポスターやコピーは若者から注目を浴び、またたく間にネット上で拡散され、近大の名が認知されていったという。特徴的なポスター、コピーの何点かを添付してみる。
※ いやいや、なんともドキッとさせるようなインパクトのある募集広告です。
次に近代の名を高めたのが「エコ出願」という入学願書のペーパレス化だという。このペーパレス化に踏み切った際のコピーなど秀逸である。
※ このコピーなどクスッと笑わせますよね。
女子志願者数の増加については、世耕氏が受講者に手渡した「近畿大学 大学案内」が何よりそれを物語っている。名付けて「近大“青春”グラフティ」と題した大学案内である。学外からは「大学がファッション雑誌作るなんて」と眉をひそめられたというが何のその、女子高校生をはじめ若者には大受けだという。
まだまだ語りつくせない。ともかく世耕氏はエネルギッシュに近大を売り込むこと、近大をメジャーにすることに邁進している。
近畿大学の教員たちはこうした近大の変容をどう受け止めているのか、それを知る由もないが、世耕氏がなぜこれほどドラスティックに近大のイメージを変えていけたのか、少々不思議な気もして調べてみた。
彼自身は近畿鉄道の社員としてキャリアを積んでいて、近大の広報部に転職したということだったが、実は世耕氏の祖父の世耕弘一氏が大学の創設者であり、父親や叔父、そして兄(世耕弘成参議院議員、経産大臣)は大学理事長を経験されたというバックボーンがあって、改革にも辣腕を発揮できたのでは推察される。
世耕氏は強調する。近大の建学の精神は「実学教育」であると…。としたとき、今の近大の在り方は一つの私立大学の在り方として注目に値するものかもしれない。
多くの学生を集めることによって、大学の質もまた高まっていくことが期待できるということだから…。
11月11日(金)午後、アクセス札幌(白石区流通センター4丁目3番)で開催されていた「ビジネスEXPO」なるイベントが開催された。
私のお目当てはEXPOそのものではなく、同時に行われていたビジネスセミナーを聴くことだった。セミナーは期間中の10日、11日の両日にわたって八つのセミナーが用意されていたが、私が申し込んだのは、近代広報部長の世耕氏と大阪大学教授の石黒氏の人間型ロボットの講演だった。
その中から、今回は近大広報部長の世耕石弘氏の「知と汗と涙の近代流コミュニケーション戦略」と題した講演をレポすることにする。
世耕氏は講演の冒頭で次のように宣言した。「自分は教育者でもなければ、研究者でもない。ただの広報マンである」と…。
近大の最近のトピックは、2014年の入試において、志願者数が10万5千人を超え、早大や明大を上回り全国一位の志願者数を獲得し、以後3年連続してその座を獲得しているという。わずか2年前の2012年には8位だったというから驚きである。
その要因について同大学では、(1)メディアへの露出増加 ~養殖魚専門料理店「近畿大学水産研究所」オープン~、(2)「近大エコ出願」による広報効果 ~全国初の出願完全インターネット化~、(3)女子志願者数の増加 ~女子学生を意識したキャンパス整備の推進~、を挙げているという。
世耕氏の講演はその詳細について述べるものだった。
さて冒頭の「近大をぶっ壊す」だが、近代ではちょうど各キャンパスの校舎が建て替え時期に入っていたこともあったのだが、それと同時にこれまでの近大の在り方を壊す、これまでの固定概念をぶっ壊す、という意味を込めたものだったという。
固定概念(これは近代の造語だという)、それは関西の大学には、「京大・阪大・神大」、「関・関・同・立」、「産・近・甲・龍」という予備校がランク付けした言葉が存在し、そのランク付けが抜き難いものになっていると世耕氏は言う。「近大をぶっ壊す」には、そうした世間の評価をぶっ壊したいという思いを込めたものだという。
そこから世耕氏を中心とした近代広報部の怒涛の攻勢が始まったようだ。第一弾は世間的にも大きな注目を浴びた完全養殖による「近代マグロ」の誕生である。これを大々的に売り出すことから近代の攻勢は始まったようだ。
その攻勢の要諦はインターネットを徹底して活用するという戦略だったそうだ。既成概念にとらわれないポスターやコピーは若者から注目を浴び、またたく間にネット上で拡散され、近大の名が認知されていったという。特徴的なポスター、コピーの何点かを添付してみる。
※ いやいや、なんともドキッとさせるようなインパクトのある募集広告です。
次に近代の名を高めたのが「エコ出願」という入学願書のペーパレス化だという。このペーパレス化に踏み切った際のコピーなど秀逸である。
※ このコピーなどクスッと笑わせますよね。
女子志願者数の増加については、世耕氏が受講者に手渡した「近畿大学 大学案内」が何よりそれを物語っている。名付けて「近大“青春”グラフティ」と題した大学案内である。学外からは「大学がファッション雑誌作るなんて」と眉をひそめられたというが何のその、女子高校生をはじめ若者には大受けだという。
まだまだ語りつくせない。ともかく世耕氏はエネルギッシュに近大を売り込むこと、近大をメジャーにすることに邁進している。
近畿大学の教員たちはこうした近大の変容をどう受け止めているのか、それを知る由もないが、世耕氏がなぜこれほどドラスティックに近大のイメージを変えていけたのか、少々不思議な気もして調べてみた。
彼自身は近畿鉄道の社員としてキャリアを積んでいて、近大の広報部に転職したということだったが、実は世耕氏の祖父の世耕弘一氏が大学の創設者であり、父親や叔父、そして兄(世耕弘成参議院議員、経産大臣)は大学理事長を経験されたというバックボーンがあって、改革にも辣腕を発揮できたのでは推察される。
世耕氏は強調する。近大の建学の精神は「実学教育」であると…。としたとき、今の近大の在り方は一つの私立大学の在り方として注目に値するものかもしれない。
多くの学生を集めることによって、大学の質もまた高まっていくことが期待できるということだから…。