今週、東京都内で「元素戦略/希少金属代替材料開発 第8回合同シンポジウム」という材料系のシンポジウムが開催されました。
主催者は“元素戦略/希少金属代替材料開発 合同戦略会議”という組織です。
「希少金属」という言葉よりも、実際には“レアメタル”という言葉の方が新聞紙などではよく使われています。直感的には、地球上にあまりない金属元素(実は非金属元素も含まれています)という意味と感じますが、正確には当該金属元素の原料となる鉱石などが地球上で偏在し、その産出国・輸出国が市場価格をコントロールする可能性があり、日本が入手困難になる可能性がある元素を意味します。
具体的には、希少金属元素は中国や南アフリカなどに偏在しています。例えば、パソコンのハードディスク駆動装置(HDD)を動かす高性能モーターを構成している高性能磁石のネオジム・ホウ素・鉄磁石の耐熱性を高めるディスプロシウム(Dy)という元素の鉱石は、主に中国で産出されます。
ディスプロシウム鉱石は、以前は米国の鉱山でも産出していたのですが、中国が安値で輸出した結果、採算がとれなくなり、閉山しています。こうした状況で、2011年に中国政府は自国の磁石メーカーを保護するなどの目的で、ディスプロシウムなどのレアメタル鉱石や原材料の輸出許可枠量を絞りました。
この結果、ディスプロシウム元素の材料価格は2011年には10倍ぐらい跳ね上がりました。他のレアメタル元素も数倍から10倍ぐらいまで跳ね上がりました。レアメタル元素の市場は輸出国の行動を、欧米などの市場関係者が読み取り、投機的な動きをするために、乱高下するようです。
高性能磁石のネオジム・ホウ素・鉄磁石は、ハイブリッドタイプ(トヨタ自動車の「プリウス」など)の乗用車の駆動用モーターにも使われています。このモーターは耐熱性が必要なために、ディスプロシウムの添加が不可欠です。
経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はレアメタル元素の市場価格が不安定になるリスクが高いと読み、平成19年度(2007)年度から希少金属代替材料開発プロジェクトを始めました。例えば、ネオジム・ホウ素・鉄磁石の耐熱性向上のために添加するディスプロシウムを30パーセント削減する、液晶テレビの透明電極材料であるインジウム・スズ酸化物のインジウム(In)添加量を半減させるなどの開発テーマを進めました。
各テーマは5年間の研究開発プロジェクトでした。その研究開発成果はほぼ達成され、各レアメタルの使用量は削減しつつあります。
主催者は“元素戦略/希少金属代替材料開発 合同戦略会議”という組織ですが、その実態は内閣府、文部科学省、経済産業省、科学技術振興機構(JST)、新エネルギー・産業技術総合開発機構です。
特に「文部科学省と経済産業省は平成18年度(2006年度)から府省の枠を超えて相互に連携し、希少元素の使用量を大幅に低減又は代替する技術について、基礎研究から実用化開発まで合同で推進してきた」と自賛しています。
鉱山資源が少ない日本は、研究開発成果によって、製造立国としての課題を乗り越えていることを示す事例のようです。
主催者は“元素戦略/希少金属代替材料開発 合同戦略会議”という組織です。
「希少金属」という言葉よりも、実際には“レアメタル”という言葉の方が新聞紙などではよく使われています。直感的には、地球上にあまりない金属元素(実は非金属元素も含まれています)という意味と感じますが、正確には当該金属元素の原料となる鉱石などが地球上で偏在し、その産出国・輸出国が市場価格をコントロールする可能性があり、日本が入手困難になる可能性がある元素を意味します。
具体的には、希少金属元素は中国や南アフリカなどに偏在しています。例えば、パソコンのハードディスク駆動装置(HDD)を動かす高性能モーターを構成している高性能磁石のネオジム・ホウ素・鉄磁石の耐熱性を高めるディスプロシウム(Dy)という元素の鉱石は、主に中国で産出されます。
ディスプロシウム鉱石は、以前は米国の鉱山でも産出していたのですが、中国が安値で輸出した結果、採算がとれなくなり、閉山しています。こうした状況で、2011年に中国政府は自国の磁石メーカーを保護するなどの目的で、ディスプロシウムなどのレアメタル鉱石や原材料の輸出許可枠量を絞りました。
この結果、ディスプロシウム元素の材料価格は2011年には10倍ぐらい跳ね上がりました。他のレアメタル元素も数倍から10倍ぐらいまで跳ね上がりました。レアメタル元素の市場は輸出国の行動を、欧米などの市場関係者が読み取り、投機的な動きをするために、乱高下するようです。
高性能磁石のネオジム・ホウ素・鉄磁石は、ハイブリッドタイプ(トヨタ自動車の「プリウス」など)の乗用車の駆動用モーターにも使われています。このモーターは耐熱性が必要なために、ディスプロシウムの添加が不可欠です。
経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はレアメタル元素の市場価格が不安定になるリスクが高いと読み、平成19年度(2007)年度から希少金属代替材料開発プロジェクトを始めました。例えば、ネオジム・ホウ素・鉄磁石の耐熱性向上のために添加するディスプロシウムを30パーセント削減する、液晶テレビの透明電極材料であるインジウム・スズ酸化物のインジウム(In)添加量を半減させるなどの開発テーマを進めました。
各テーマは5年間の研究開発プロジェクトでした。その研究開発成果はほぼ達成され、各レアメタルの使用量は削減しつつあります。
主催者は“元素戦略/希少金属代替材料開発 合同戦略会議”という組織ですが、その実態は内閣府、文部科学省、経済産業省、科学技術振興機構(JST)、新エネルギー・産業技術総合開発機構です。
特に「文部科学省と経済産業省は平成18年度(2006年度)から府省の枠を超えて相互に連携し、希少元素の使用量を大幅に低減又は代替する技術について、基礎研究から実用化開発まで合同で推進してきた」と自賛しています。
鉱山資源が少ない日本は、研究開発成果によって、製造立国としての課題を乗り越えていることを示す事例のようです。