ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

ミステリー作家の東野圭吾さんの新刊「疾風ロンド」を読み終えました

2014年02月13日 | 
 人気ミステリー作家の東野圭吾さんの新刊「疾風ロンド」を読み終えました。この本は2013年11月25日に実業之日本が発行した“書き下ろし”の文庫本です。現時点では100万部売れたとうたっています。

 人気が高い東野圭吾さんの書き下ろしが文庫本という“お求めやすい”価格で読めるという売り文句がヒットにつながっているようです。

 この文庫本「疾風ロンド」は実業之日本での“書き下ろし”文庫本の第二弾です。



 第一弾は「白銀ジャック」(2010年10月発行)です。この白銀ジャックの舞台である長野県の“里沢温泉スキー場”(野沢温泉がモデルと推定されています)が今回も主な舞台です。そして、第一弾「白銀ジャック」と同様に、ここで働く根津昌平というスキー場パトロール隊員などの管理業務職員の男性と、瀬利千晶というスノーボード愛好家の二人が話の進行役です。

 この点は「白銀ジャック」と同じなので、今後も続くとうわされています。つまり“書き下ろし”の文庫本としてのシリーズ化するとのうわさです。

 この大自然に囲まれた里沢温泉スキー場を舞台に、とんでもない大事件が起こる点も同じです。今回はある大学の研究所から盗み出された「生物兵器」のウイルスがスキー場近くに隠され、犯人から「3億円を払え」と要求されます。ところが、この犯人は高速道路の事故であっさり亡くなり、その隠し場所が分からなくなります。

 今回は、その脅迫された大学研究所の上司から生物兵器の回収を命じられたサラリーマン研究員が、スノーボード名人の息子と一緒にスキー場で生物兵器を秘かに探す話です。

 いろいろな人物が登場し、はらはらドキドキする物語です。とても読みやすいですが、何となく文章を軽く書いている感じがします。相変わらず文章はうまいのですが、それほど小難しいエピソードも伏線もありません。

 微妙ないい方ですが、通勤や通学時に気楽に読める娯楽ものに徹しています。この点が、熱烈な東野圭吾ファンからみると、冒険活劇話のはらはらドキドキ優先か、ミステリーとしてのこくの部分が軽いという不満かに読後の感想は分かれるようです。

 今回の小説は、サラリーマンとして家庭を顧みず、男子の子供とも親子の会話もほとんどなく研究第一で過ごした父親が、スキー場で子供と親子の絆を深める話が第二テーマのようです。なんとなく、高校生向けの“ジュニア小説”の雰囲気の“娯楽快作”です。でも、いつもの伏線を緻密にはるミステリー小説とは異なります。

 東野圭吾さんは初期に「鳥人計画」というスキージャンプ競技をテーマにした小説を書いています。かなりのスキー好きのようです。現在はスノーボードを楽しんでいると想像しています。かなり名人ではと感じます。

 今回、東野圭吾さんの「疾風ロンド」を急遽読んだきっかけは、弊ブログで2014年2月9日編に書いた「日本の小説、スピード翻訳」の中で「新刊『疾風ロンド』(発行は実業之日本)が、2014年1月に韓国で韓国版が上梓されたという記事を読み、この「疾風ロンド」を購入したまま放置してあることを思い出したからです。単なる衝動読みです。