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神戸まろうど通信

出版社・まろうど社主/詩と俳句を書く/FMわぃわぃのDJ/大阪編集教室講師など多様な顔を持つ大橋愛由等の覚え書き

第92回『Melange』読書会・合評会のお知らせ

2014年06月17日 09時44分14秒 | めらんじゅ
梅雨に入りました。

集中豪雨などで、被害が出ることが予想されます。すこしでも被害が少ないことを祈っています。

さて、今月もさまざまな詩にまつわる活動を紹介します。ご都合の良い方は参加してください。

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◆1.--第92回『Melange』読書会・合評会のお知らせ(6月22日〈日〉)
◆2.--カフェ・エクリの活動 今後の予定表
◆3.--木澤 豊詩集『かもめホテル』出版記念会 盛会でした
◆4.--たかとう匡子さん評論集『私の女性詩人ノート』出版記念会(7月12日)
◆4.--文学短報=A/俳句情報 B/兵庫県現代詩協会の関連事業

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◆1.--第92回『Melange』読書会・合評会のお知らせ(6月22日〈日〉)

ここ数年、6月の「Melange」読書会は、詩人・平岡けいこさんの語りを聞かせていただくようにしています。
今年もご本人の了承をいただき、「レオナルド・ダ・ヴィンチに教わる経験至上主義」をテーマに語ってもらいます。
読書会は(pm1:00~3:00)。本人からのメッセージが届いていますので、読んでください。
発表を楽しみにしています。ちなみに、参考文献として挙げている『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記(岩波文庫)』は、入手しやすいテキストです。

 第二部は合評会(pm3:00-6:30)を催します。詩稿の締め切りは、6月19日(木)です。締め切りは守ってくださいね。合評会に出席できなくとも、送っていただいた詩稿は、「月刊めらんじゅ」に掲載します。同誌は次号で92号となります。それぞれ詩稿をこのメールアドレス(maroad66454@gmail.com)に送ってください。みなさんの意欲的な作品をお待ちしています。
「月刊めらんじゅ」は紙媒体と、ネット媒体の両方があります。ネット媒体は、90号.91号がもうすぐアップの予定です。

それでは、読書会発表者の平岡けいこさんからのメッセージです。

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    レオナルド・ダ・ヴィンチに教わる経験至上主義

                            平岡 けいこ

レオナルド・ダ・ヴィンチは、ミケランジェロ、ラファエロと共に「ルネッサンス三大巨匠」と称されるイタリアルネッサンス期を代表する偉大な芸術家である。
 日本では『モナ・リザ』の作者として知られているが、絵画だけでなく彫刻、建築、音楽、化学、数学、工学、発明、解剖学、地学、地誌学、植物学など様々な分野に顕著な業績を残した「万能人(uomo
universal)」である。彼の飽きくことなき探究心と類まれなる独創性は、彼が最も重きをおいた「経験」に基づき、極めて論理的に時代を遥かに先取りしていたのである。多彩な彼が最も名声を得たのはやはり画家としてである。彼自身も最も熱意を注いだのは絵画だったと思われる。優れた発明を数多く残しているにも関わらず評価されなかったのは、彼の発明が時代を先取りしすぎて実用化に至らなかったためであろう。レオナルド・ダ・ヴィンチは1490年時点で「神の手を持つ画家」と高く評価されていた。その評価は500年以上の歳月を経た現代に至っても変わることはない。

 6月のMelangeの読書会に呼んでいただくようになって今年で4年目である。特に研究家でもない私が皆さんの前でお話しできることなどあるのだろうか?と毎年悩むのであるが、最初に高谷氏に言われた「普段考えていることを発表することで自分の頭の中を整理する良い機会になる。」という言葉に背中を押されて、今年もマイブームのようなお話をさせていただこうと思う。去年はバッグの中にずっと入っていたE.ディキンソンについてお話させていただいた。今回も英詩を検討したがディキンソン以上に心惹かれる英詩が見つからなかった。そこで私のバッグにずっと入っている『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記(岩波書店)』より、80年代から低迷を続ける現代詩を現代(2014年)も書き続ける我々へのメッセージと詩作のヒントを読みとってゆきたい。人生論
「幸福」が来たら、躊躇わず前髪をつかめ、後ろは禿げているからね。

(1)レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯
    1452年4月15日~1519年5月2日(ユリウス暦)
(2)未完成な作品群の謎
    1503年『モナ・リザ』制作開始。
(3)手記より
人生論 「幸福」が来たら、躊躇わず前髪をつかめ、後ろは禿げているからね。
文学  寓話
   絵の本 絵と詩との相違→詩人はどうあるべきか?
参考資料『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記』岩波文庫 上巻

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◆2.--カフェ・エクリの活動

(1)/播磨を舞台にした詩の会「カフェ・エクリ」の活動を紹介します。
 6月の例会は、9日(月)に開催。第一部の読書会の発表者は私・大橋愛由等でした。
 テーマは、「エクリチュールとしての法華経」。法華経の中で取り上げられている〈久遠仏〉〈堤婆達多〉〈常不軽菩薩〉〈観世音菩薩〉を取り上げ、「書かれたもの」として分析をしていきました。また、〈〈堤婆達多〉は中勘助、〈常不軽菩薩〉は宮沢賢治の作品と連関させながら語ったのです〉
当日配布した発表資料をネットにあげていますので、ご覧になってください。タブロー形式になっています。
https://docs.google.com/viewer?a=v&pid=sites&srcid=ZGVmYXVsdGRvbWFpbnxtYXJvYWQ2NjQ1NHxneDo3ZjNmY2MyNDIyOTRjMmY5

(2)続いて、今後のエクリの日程を書いておきます。(会はすべて午後2時からの開始です)
 07月14日(月) 姫路アイメッセ会議室
 08月    お休み
 09月08日(月) 姫路アイメッセ会議室
 10月20日(月) たつの市ガレリア
 11月10日(月) 姫路アイメッセ会議室
 12月08日(月) 姫路アイメッセ会議室
2015年
 01月    お休み
 02月09日(月) 姫路アイメッセ会議室
 03月09日(月) 姫路アイメッセ会議室
 04月06日(月) たつの市ガレリア

(3)「カフェ・エクリ」では、今秋をめどに、詩誌「エクリOct.」Vol.02 を編集・発行する予定です。
 執筆依頼者には、高谷さんから直接メールが入ると思います。Vol.02も期待しましょう。



◆3.--木澤 豊詩集『かもめホテル』出版記念会 盛会でした

われらが誇るべき詩の大先輩である木澤豊さんの詩集が上梓され、15日(日)大阪・谷町六丁目で出版記念会が開かれました。

このうち、会場で配られた同詩集の栞文を公開します。執筆は、高谷和幸氏と私・大橋愛由等が担当しています。
https://docs.google.com/viewer?a=v&pid=sites&srcid=ZGVmYXVsdGRvbWFpbnxtYXJvYWQ2NjQ1NHxneDo1ZmZhNjNkNmZmODhhM2Vm

◆4.--たかとう匡子さん評論集『私の女性詩人ノート』出版記念会(7月15日〈日〉)

われらのたかとう匡子さんが、詩論集『私の女性詩人ノート』(思潮社)を刊行されました。

詩論に展開されたありようをみなさんとじっくり語り合いましょう。

☆日時/7月12日午後4時30分から6時30分まで
☆会場/ラッセホール (ローズサローンの間) 078-291-1117
☆場所/JR・阪神「元町駅」下車徒歩8分、神戸市営地下鉄「県庁前駅」下車徒歩5分
☆会費/7000円
☆問い合わせ先/玉井洋子 078-451-4155

◆4.--文学短報
A-----俳句情報です
夏石番矢氏・鎌倉佐弓氏が編集・発行する句誌「季刊・吟遊」の同人総会が開かれます。
私は出席出来ませんが、盛会をお祈りいたしております。
☆第17回吟遊同人総会
7月27日(日)午後2時~6時
会費/2000円
会場/板橋区立グリーンホール 502号室 板橋区栄町36-1
内容/自己紹介、吟遊社からの報告
吟遊60.61・62.63号を中心に合評。
俳句翻訳と海外の俳句についての合評
☆懇親会/午後6時~8時 レストラン サンイチ
会費/4000円
問い合わせ先/049-252-9823 吟遊社

(また、「第2回吟遊神戸句会」の日程、内容が決まりましたら、後日お知らせします)

B-----兵庫県現代詩協会の事業紹介です〈現在、同協会の常任理事を務めている関係上、お知らせするものです〉

*01
もうすぐ兵庫県現代詩協会の会報35号(神田さよ編集)が発行されます。

*02
兵庫県現代詩協会のブログ http://hyogo-poetry.jugem.jp/
に「今月の詩」という連載が始まっています。これは毎月一人ずつ会員の作品を紹介するという企画です。
この企画は、去年9月から始まったもので、作者名、作品名の順です。事務担当は大橋です。
2013年09月/かただときこ 「手」
    10月/飽浦 敏  「菫」
    11月/小島みどり  「すずむし」
    12月/和比古  「やさしさを感じて」
2014年01月/黒住考子  「冬立つ」
    02月/井口幻太郎 「蜻 蛉」
    03月/増田まさみ 「離郷」
    04月/たかはしふみこ 「しゃくなげに」
    05月/安西佐有理     「ひそかな裸足」

第91回「Melange」読書会・合評会のお知らせ

2014年05月10日 16時26分48秒 | めらんじゅ
ゴールデンウィークも終わり、季節は初夏の気配さえします。
四月はこの「Melange」通信はお休みしました。月例会の代わりに、寺岡良信著『詩集 龜裂』を語る会(=出版記念会)が行われました。盛会でした。


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◆1.--第91回『Melange』読書会・合評会のお知らせ(5月25日〈日〉)
◆2.--カフェ・エクリ〈5月12日(月)〉
◆3.--木澤 豊詩集『かもめホテル』出版記念会〈6月15日(日)〉
◆4.--文学短報=A/俳句情報 B/兵庫県現代詩協会の関連事業

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◆1.--第91回『Melange』読書会・合評会のお知らせ(5月25日〈日〉)

読書会(pm1:00~3:00)の発表者は、小説家・千田草介氏です。仮題を「黒田官兵衛と播磨と文学と」を私が勝手に名付けておきます。千田氏は、「姫路文学127号」に小説「黒田官兵衛 中国大返し秘聞」を執筆されており、播磨の視点から羽柴秀吉の「中国大返し」を作品化しています
私なりに千田氏の語りで注目することを書いておきます。黒田官兵衛は、今年NHK大河ドラマで大きく扱われていて、放送もいままさに戦場と化している播磨のことが毎回登場します。この〈播磨〉とい地所は、そこに住む人たちとって、域内の多様性(東播・北播・西播・中播)が感得されています。しかし見方を変えれば、その多様性を見て取るほど地域実体として〈播磨〉が認識されているということであり、〈攝津〉に住むわたしが〈攝津〉を地域実体として認識しずらいのと、大きな差異があります。いわば〈播磨〉を語るということは、Regionalism(=地域としての実体性)と文学の関係にも敷衍して語りうるものと思っています。


 第二部は合評会(pm3:00-6:30)を催します。詩稿の締め切りは、5月22日(木)です。締め切りは守ってくださいね。合評会に出席できなくとも、送っていただいた詩稿は、「月刊めらんじゅ」に掲載します。同誌は91号を迎えます。みなさんの意欲的な作品をお待ちしています。また91号は、「寺岡良信著『詩集 龜裂』特集」を組みます。このメールとは別途、何人かの方に原稿依頼いたしますので、よろしくお願い致します。

「月刊めらんじゅ」をpdf化してネットにあげました。ご覧になってください(情報再掲)。
「月刊めらんじゅ」88号
https://docs.google.com/viewer?a=v&pid=sites&srcid=ZGVmYXVsdGRvbWFpbnxtYXJvYWQ2NjQ1NHxneDoyMTM2OWJhZmFkM2Q1YjZm

「月刊めらんじゅ」89号
https://docs.google.com/viewer?a=v&pid=sites&srcid=ZGVmYXVsdGRvbWFpbnxtYXJvYWQ2NjQ1NHxneDoyMTM2OWJhZmFkM2Q1YjZm


◆2.--カフェ・エクリ〈5月12日(月)〉

播磨を舞台にした詩の会「カフェ・エクリ」の紹介です。以下は、主宰者のひとり高谷和幸さんからのメッセージです。
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通勤・通学の新人たちの歩き方が少しいさましく見えるこの頃です。
エクリを5月12日(月)午後2時から「姫路イーグレ内 アイメッセ会議室」で開きます。
今回の講演者は千田草介さんです。
テーマはNHK大河ドラマの黒田官兵衛にちなんで、
はりまの武将から地域の深層に流れる気質をお話ししていただきます。
危機的状態、岐路に立たされた時になぜこのような決断をくだしてしまうのか?
そこに共通した「はりま気質」のようなものが我々をそうさせるのかもしれません。
意識の表面には現れない、深層の心理をさぐっていただきます。
2部は合評会です。
自作詩を10部程度ご用意ください。

これは予感ですが、
さらにサプライズがあるかもしれません。〈大橋注/今回は二次会の会場として、料理とワインが楽しめるかもしれません〉

 ☆2014年前半の「カフェ・エクリ」予定
  ・6月09日(月)龍野ガレリア   11時から
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◆3.--木澤 豊詩集『かもめホテル』出版記念会〈6月15日(日)〉

われらが誇るべき詩の大先輩である木澤豊さんの詩集が上梓されました。
第七詩集となると聞きます。
柔らかな感性に包まれた詩世界です。
6月15日(日)に大阪・谷町六丁目の〈薬業年金会館〉 〒542-0012 大阪市中央区谷町6丁目5番4号 TEL(06)6768-4451
で開催します。詳細がわかりましたら、この通信でお知らせします。

◆4.--文学短報
A-----俳句情報です
夏石番矢氏・鎌倉佐弓氏が編集・発行する句誌「季刊・吟遊(62号)」が出来上がりました。大橋は、俳句を9句、そして奄美の文芸に関する随想を寄せています。吟遊同人以外では、「Melange」同人でドイツ在住の岩脇リーベル豊美さんが、句を寄せておられます。日本語とドイツ語訳を付した作品です。なかなかの出来です。
 そして今年も「吟遊・神戸カルメン句会(第二回)」を夏に開催する予定です。日本語ばかりではなくて、多言語で寄せられる俳句/HAIKUを俎上に載せる句会です。スリリングな内容です。詳細はわかりましたらお知らせします。

B-----兵庫県現代詩協会の事業紹介です〈現在、同協会の常任理事を務めている関係上、お知らせするものです〉

*01
兵庫県現代詩協会の年次総会が、5月18日(日)に神戸市で開かれます。
2013年度の総括と、2014年度の新規事業が議題になります。
総会が終わりましたら、報告します。
今年度も、引き続いて私・大橋は、常任理事として汗をかきます。

*02
兵庫県現代詩協会のブログ http://hyogo-poetry.jugem.jp/
に「今月の詩」という連載が始まっています。これは毎月一人ずつ会員の作品を紹介するという企画です。
この企画は、去年9月から始まったもので、作者名、作品名の順です。事務担当は大橋です。
2013年09月/かただときこ 「手」
    10月/飽浦 敏  「菫」
    11月/小島みどり  「すずむし」
    12月/和比古  「やさしさを感じて」
2014年01月/黒住考子  「冬立つ」
    02月/井口幻太郎 「蜻 蛉」
    03月/増田まさみ 「離郷」
    04月/たかはしふみこ 「しゃくなげに」

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☆『Melange』読書会・合評会の会場=神戸・三宮のスペイン料理カルメン(カルメン==078-331-2228==の場所は以下のサイトを参照してください。阪急神戸線三宮駅西口の北へ徒歩1分の場所にあります。
http://www.warp.or.jp/~maroad/carmen/)。
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第90回『Melange』読書会・合評会のお知らせ

2014年03月11日 08時55分07秒 | めらんじゅ
今日は3.11。東北大震災が起きてからちょうど三年になります。

昨日、FMわぃわぃ(神戸市長田区にあるコミュニティーラジオ局)に赴き、18年間続けている「南の風」(奄美のシマウタと文化を紹介する番組)で、東北大震災の特集を放送しようとしたところ、ちょうど私の前の番組にゲスト出演していた藤田利彦氏(石巻市復興を考える市民の会代表)に、引き続いて「南の風」にも出演してもらうよう依頼。番組内容を急遽変更して、石巻の現状を語ってもらったのです(詳しくは、◆4.--文学短報をお読みください)。

三月になったとはいえ、まだまだ寒い日が続きます。
みなさん、体調の管理を万全になさってください。

では今回もいくつか詩に関する情報をお知らせしておきます。

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◆1.--第90回『Melange』読書会・合評会のお知らせ(3月23日〈日〉)
◆2.--第二回尹東柱詩人追悼会(2月17日〈月〉)行われる
◆3.--カフェ・エクリ3月24日(月)
◆4.--文学短報=A/大橋愛由等の極私的報告 B/編集が進んでいる二冊の詩集 C/兵庫県現代詩協会の関連事業
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◆1.--第90回『Melange』読書会・合評会のお知らせ(3月23日〈日〉)


読書会(pm1:00~3:00)の発表者は、富哲世氏と私・大橋愛由等の二人です。まず富さんの発表内容は、『ハイデガーのヘルダーリン2』これは先月の第89回「Melange」読書会で神尾和寿氏が発表した「ハイデッガーとヘルダーリン」が充実していて、刺激的だったので、今月も引き続いて、月例会のメンバーによって、ヘルダーリンの詩について語ります。

参考文献は、岩波文庫から刊行されている『ヘルダーリン詩集』(入手しやすいテキストです)。そのうち「帰郷」「回想」などの作品を取り上げ、ハイデガーの詩人と詩についての基本的な考え方を紹介します。
私・大橋は、「ヘルダーリンとギリシア悲劇」を担当します。わたしがここでしゃしゃり出てくるのは、富さんの負担を軽くするためであります。ヘルダーリンにとってギリシアは「詩郷」と呼ぶべき存在であり、ギリシア悲劇についてもドイツ語訳をしたり創作に結びつけるなど深くかかわっています。そうしたギリシアに向かうありようをみなさんに伝えようかと思っています(私が富さんの前座として語ります)。

 第二部は合評会(pm3:00-6:30)を催します。詩稿の締め切りは、3月20日(木)です。締め切りは守ってくださいね。合評会に出席できなくとも、送っていただいた詩稿は、「月刊めらんじゅ」に掲載します。同誌は次号で90号となります。みなさんの意欲的な作品をお待ちしています。

また、「月刊めらんじゅ」をpdf化してネットにあげました。ご覧になってください。
「月刊めらんじゅ」88号
https://docs.google.com/viewer?a=v&pid=sites&srcid=ZGVmYXVsdGRvbWFpbnxtYXJvYWQ2NjQ1NHxneDoyMTM2OWJhZmFkM2Q1YjZm

「月刊めらんじゅ」89号
https://docs.google.com/viewer?a=v&pid=sites&srcid=ZGVmYXVsdGRvbWFpbnxtYXJvYWQ2NjQ1NHxneDozMjA0NjE3NDRkN2EwNDAz


◆2.--第二回尹東柱詩人追悼会(2月17日〈月〉)行われる

詳細は、この「神戸まろうど通信」の以下のサイトをご覧になってください。
http://blog.goo.ne.jp/maroad-kobe/d/20140217

動画におさめています。情野千里さんの川柳パフォーマンスも見ることができます。
また当日配布しました冊子もネットにあげています。


◆3.--カフェ・エクリ3月24日(月)

 ☆3月の〈カフェ・エクリ〉は24日(月)に開催します。午前11時スタートです。場所は、「ガレリア」。今月は久しぶりの龍野です。「Melange」同人の高谷和幸、千田草介、寺岡良信、中堂けいこ、情野千里、にしもとめぐみさんと私・大橋愛由等らがメンバーのカフェ・エクリのお知らせです。(この会も〈第一部/読書会〉〈第二部/合評会〉で構成されています。合評会の詩稿はそれぞれ10部ほどコピーして持参してください)

 ☆2014年前半の「カフェ・エクリ」予定
  ・4月14日(月)姫路アイメッセ  14時から
  ・5月12日(月)姫路アイメッセ  14時から
  ・6月09日(月)龍野ガレリア   11時から

◆4.--文学短報
A-----大橋愛由等の極私的報告
〈イ〉俳句情報です。夏石番矢氏が代表をつとめる「世界俳句」10号が到着しました。「40カ国30言語、188人533句、7カ国16人16俳画、5人の俳論」が掲載されいます(大橋の句も三句掲載されています。八句送稿した中の作品です)

〈ロ〉藤田利彦氏(石巻市復興を考える市民の会代表)をFMわぃわぃ「南の風」のゲストに迎えて。
地震発生から今日で三年目となる石巻市。その現状を語ってくれた藤田氏は何人かの身内を津波でなくし、いまだ行方不明でありつづける近親者がいるために、そうした人たちの葬儀はあげていないとのこと。

藤田さんは、「街を復興させるにはまず人の復興が大切」と語り、地域のひとづくりに奔走しています。そのひとづくりに関連して藤田氏は興味ぶかいことを発言していました。「東北には親しい人たちが互いの家を訪問しあって語り合う“お茶っこ文化”がある。個人と個人を結びつける文化なのだが、その個を超えたひとびとの出会いと語りの場が石巻にはなかった」。個別のひととひとを超えて出会う集(衆)の場所として、公民館があるが、行政が運営する公民館などはさまざまな利用制限があり、また地域が運営する公的集会所も特定の人物の恣意性で運営されているところもあったりで、使いづらいものがあった。街を復興するためには、いままでの個と個の結びつきの「お茶っこ」文化と異なるひとびとの意見交歓や集約が必要となってきたが、石巻にはそうした場が少なかったことを藤田氏は指摘するのです。

こうした藤田氏の気づきは、阪神・淡路大震災で、私も感じていたことです。つまり大震災という事態に神戸(あるいは石巻)がさらされることによって、いままで受容してきた生活文化や価値観を問いなおすキッカケになるということです。つまり震災による“さらされ”によって、自分たちと自分たちの街のありようを再設定する必要に迫られたということです。

B-----現在、「月刊めらんじゅ」詩友関連で詩集の編集が進んでいます。そのうち二冊を紹介しておきましょう。
・寺岡良信詩集『龜裂』(図書出版まろうど社)→今月に上梓されます。
・木澤 豊詩集『かもめホテル』(澪標)→現在初校ゲラの段階

C-----兵庫県現代詩協会の関連事業の紹介です〈現在、同協会の常任理事を務めている関係上、協会の2013年度末までの関連事業を紹介するものです〉

*01
兵庫県現代詩協会のブログ http://hyogo-poetry.jugem.jp/
に「今月の詩」という連載が始まっています。これは毎月一人ずつ会員の作品を紹介するという企画です。
この企画は、去年9月から始まったもので、作者名、作品名の順です。
2013年09月/かただときこ 「手」
    10月/飽浦 敏  「菫」
    11月/小島みどり  「すずむし」
    12月/和比古  「やさしさを感じて」
2014年01月/黒住考子  「冬立つ」
    02月/井口幻太郎 「蜻 蛉」

第89回「Melange」読書会・合評会のお知らせ

2014年02月06日 09時56分49秒 | めらんじゅ
そういえば、一月はこうしたお知らせを発信しませんでした。

二月も詩関連で、いくつかお知らせがあります。


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◆1.--第89回『Melange』読書会・合評会のお知らせ(2月16日〈日〉)
◆2.--第2回尹東柱詩人追悼会(2月17日〈月〉)←詳報
◆3.--カフェ・エクリ〈2月24日(月)〉+エクリ現代美術見学ツアー〈2月12日(水)〉
◆4.--文学短報=A/大橋愛由等の極私的詩歴 B/兵庫県現代詩協会の13年度の事業)
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◆1.--第89回『Melange』読書会・合評会のお知らせ(2月16日〈日〉)

読書会(pm1:00~3:00)の発表者は、神尾和寿氏です。発表内容は、「ハイデッカーとヘルダーリン」。
神尾氏は、流通科学大学で哲学を教えておられる詩人学者です。
詩集では『神尾和寿詩集』(「現代詩人文庫」砂子屋書房版)など多くの著作を上梓されておられます。去年も研究のためにドイツに滞在されていたと聞きます。
また私(大橋)と同時期(平成23年)に「芸術団体半どんの会「現代芸術賞」を受賞されています。

いまちょっとした「ハイデッカーブーム」かもしれません。岩波文庫から『存在と時間』(熊野純彦訳)の新訳が出たり、先日の朝日新聞朝刊(2/3付)には、ハイデッカーとリニア新幹線を結びつける記事が乗ったりと(ハイデッカーが現代技術の本質を「総かり立て体制(ゲシュテル)」と呼んだことと結びつける内容)、ハイデッカー=ナチス協力者というレッテルを剥がして哲学そのものを読み直しておこうという気風が生まれているかのようにも思えます。
神尾さんのお話しを期待いたしたいと思います。

 第二部は合評会(pm3:00-6:30)を催します。詩稿の締め切りは、2月13日(木)です。締め切りは厳守してください。合評会に出席できなくとも、送っていただいた詩稿は、「月刊めらんじゅ」に掲載します。同誌は現在88号の誌齢を重ねています。みなさんの意欲的な作品をお待ちしています。


◆2.--第二回尹東柱詩人追悼会(2月17日〈月〉)

 詩人・尹東柱(1917-1945)の追悼会を2月17日(月)午後2時から、尹東柱の詩碑がある同志社大学今出川キャンパス内にある尹東柱の詩碑前で行います。今回で二回目となります。参加希望者は、当日現地に集合してください。

 今回も文学忌としてわれわれなりに夭折した詩人・尹東柱を顕彰いたしたいと思います。
(進行案~肩書、敬称略)
・司会と進行/大橋愛由等(参列者に当日配布の冊子を配布)
・あいさつ/金里博
・朗読/尹東柱の詩作品
・自作詩朗読/上野都
・川柳パフォーマンス/情野千里
・ほか
会場は野外で立ちっぱなしとなります(30分程度)。この時期の京都は底冷えします。充分に暖かい格好をして参加してください。
また、この会はだれでも参加できます。追悼会の後にささやかな懇親会をいたしたいと思います。


◆3.--カフェ・エクリ〈2月24日(月)〉+エクリ現代美術見学ツアー〈2月12日(水)〉

 ☆〈カフェ・エクリ〉について。2月は24日(月)に開催します。「Melange」同人の高谷和幸、千田草介、寺岡良信、中堂けいこ、情野千里、にしもとめぐみさんと私・大橋愛由等らがメンバーのカフェ・エクリのお知らせです。(この会も〈第一部/読書会〉〈第二部/合評会〉で構成されています。合評会の詩稿はそれぞれ10部ほどコピーして持参してください)

 ☆エクリ現代美術見学ツアー〈2月12日(水)〉
 今月は、エクリ特別篇があります。2月12日(水)に現代美術家・原田哲郎さんのナビゲートによって、神戸市・兵庫県立美術館で開催されている「フルーツ・オブ・パッション ポンピドゥー・センター・コレクション」を見学します。「現代美術の鑑賞の仕方などを教わりその後それぞれの感想を話し合いましょう。」(高谷氏)
 集合/12日(水)午後2時15分に同美術館の受付前に集合します。

 ☆2014年前半の「カフェ・エクリ」予定
  ・3月24日(月)龍野ガレリア   11時から
  ・4月14日(月)姫路アイメッセ  14時から
  ・5月12日(月)姫路アイメッセ  14時から
  ・6月09日(月)龍野ガレリア   11時から

◆4.--文学短報
A-----大橋愛由等の極私的詩歴
〈イ〉沖縄の詩誌「Abu」14号(松原敏夫氏の個人詩誌)到着。私の詩作品「えちか」が掲載されています。

〈ロ〉第19回奄美ふゆ旅は、いつにもまして濃い旅でした。奄美大島の書肆「あまみ庵」の森本眞一郎氏(去年、わたしを打擲してから思うところあって断酒しているという)の前で言い放ったことは「奄美のイキのいい詩人の作品を読みたいのです。そんな詩集ありますか」。しかし残念ながらここ数年奄美から新たな詩の書き手は現れていないようです(知らないだけかもしれませんが)。その後の飲み会で詩人・仲川文子さんと語り合って、詩の話をして溜飲を下げることが出来たのですが。

〈ハ〉俳誌「吟遊 61号」(代表・夏石番矢)が到着。私は俳句9句と、随想「晒す身体と舞踏との対峙」(舞踏家・今貂子さんと競演したことを文章化)を執筆。俳句は「吟遊」と「豈」に出句しているので、年間につくる俳句の数が増えています。
 今回出句した9句のうち、ふたつほど紹介しておきます。
 〈純海は出漁前に吃音もとめ〉
 〈原人より奪いし種子のおきどころ〉

〈ニ〉このほど「日本現代詩人会」の会員となりました、この入会は、心暖かいわたしの周囲の方々の厚意と推挙によって実現したものです。深く感謝いたしたいと思います。 

D/兵庫県現代詩協会の関連事業の紹介です〈現在、同協会の常任理事を務めている関係上、協会の2013年度末までの関連事業を紹介するものです〉

*01
貸し切りバスによる文学紀行
日時/2014年3月2日(日)
行先/滋賀県 木之本~長浜
内容/貸し切りバスで行きます。コース案として、午前8時30分に神戸・三宮に集合して一路滋賀に向かいます。
〈残念ながら私はこの日前から約束していた「徳之島一切節大会」の録音に出かけなくてはなりません〉

*02
『2013アンソロジー詩集「ひょうご現代詩集」 Vol.13』は今月中旬に発行予定です。いま編集の最終段階です。

*03
兵庫県現代詩協会のブログ http://hyogo-poetry.jugem.jp/
に「今月の詩」という連載が始まっています。これは毎月一人ずつ会員の作品を紹介するという企画です。
この企画は、去年9月から始まったもので、作者名、作品名の順です。
2013年09月/かただときこ 「手」
    10月/飽浦 敏  「菫」
    11月/小島みどり  「すずむし」
    12月/和比古  「やさしさを感じて」
2014年01月/黒住考子  「冬立つ」

「Melange」例会のお知らせ

2013年12月30日 17時40分51秒 | めらんじゅ
いよいよ2013年もあとすこしとなりました。

「Melange」読書会・合評会のお知らせをはじめとして、詩関係のイベントを中心に、舞踏や奄美に関する情報もあります。

来年1月の日程も含めてお知らせします。

----INDEX----------------------------------------------------------------------------------------------------------
◆1.--第88回『Melange』本誌15号の合評会 のお知らせ(1月26日〈日〉)
◆2.--カフェ・エクリの日程など
◆3.--第2回尹東柱詩人追悼会(2月17日〈月〉)
◆4.--文学短報=A/大西隆志さんの古書肆「風羅堂」来年一月で閉店 B/今貂子さんの舞踏公演が1月5日に神戸であります
C/恒例の〈奄美ふゆ旅〉に出ます(1月20日から23日まで) D/兵庫県現代詩協会の関連事業=追加情報あり)

-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

◆1.--第88回『Melange』本誌15号の合評会 のお知らせ(1月26日〈日〉)

☆2014年01月26日(日)/2014年初めての「Melange」例会(読書会・合評会)は、26日(日)の開催の予定です。
 第一部の読書会(pm1:00-3:00)の発表予定者は、木澤豊さんです。今回も、宮沢賢治の「銀河鉄道」についての話をしてもらいます。童話作品の二回目です。この「賢治語り」は面白く、内外の参加者が聞きにこられます。参加は自由ですので、どうぞいらっしゃってください。
 第二部は詩の合評会(pm3:00-6:00)です。みなさんの意欲的な作品をお寄せください。詩稿の締め切りは、1月23日(木)です。締め切りは厳守してください。合評会に出席できなくとも、送っていただいた詩稿は、「月刊めらんじゅ88号」に掲載します。


◆2.--カフェ・エクリの日程など


 〈カフェ・エクリ〉について。「Melange」同人の高谷和幸、千田草介、情野千里、西本めぐみさんと私・大橋愛由等らがメンバーのカフェ・エクリのお知らせです。来年前半のスケジュールが決まりましたのでお知らせします。(内容については未定です。この会も〈第一部/読書会〉〈第二部/合評会〉で構成されています)
  ・1月27日(月)姫路アイメッセ 14時から
  ・2月24日(月)姫路アイメッセ 14時から
  ・3月24日(月)龍野ガレリア  11時から
  ・4月14日(月)姫路アイメッセ 14時から
  ・5月12日(月)姫路アイメッセ 14時から
  ・6月09日(月)龍野ガレリア  11時から


◆3.--第二回尹東柱詩人追悼会(2月17日〈月〉)

 来年も、詩人・尹東柱(1917-1945)の追悼会を2月17日(月)に予定しています。場所は確定ではないのですが、尹東柱の詩碑がある同志社大学今出川キャンパスで行います。
第一回の様子が動画で収められています。寒く冷たい雨が降っていました。こんな日に若き詩人は刑死したのですね。
詳細はおってお知らせいたします。
http://twitcasting.tv/gunshaku/movie/9480531
http://twitcasting.tv/gunshaku/movie/9480797
http://twitcasting.tv/gunshaku/movie/9481163


◆4.--文学短報
A/大西隆志さんの古書肆「風羅堂」来年一月で店舗営業を終了

残念なことです。この古書肆があるだけで、姫路の「都市力」がアップしていると目していた優れたメディアでした。来年一月をもって閉店するというのです。「風羅堂」は単に書籍を売るだけではなく、音楽会や朗読会を開催するなど、姫路の文化発信基地でした。経営しているのが大西隆志氏であり、詩人らしい直観に満たされた時空間だったので、閉店がおしまれます。1月20日(月)の「カフェ・エクリ」では、われわれなりの「お別れ会」を「風羅堂」でする予定です。(ちなみに、風羅堂は店舗は閉じるものの、ネット販売(日本の古本屋)で営業を継続していきます)

B-----今貂子さんの舞踏公演が1月5日に神戸であります。

畏敬する舞踏家・今貂子さんが正月そうそう、神戸で踊ります。音楽は、わたしも馴染み深い能管奏者の野中久美子さんが担当します。(貂子さんとは、11月17日(土)、詩の朗読のコラボをしてきました。詳細は、俳誌「吟遊61号」(代表・夏石番矢)に書きました)。以下そのお知らせを書いておきます。 

 》》》》舞踏と能管による東北への志縁パフォーマンス- 加川広重 巨大絵画が繋ぐ東北と神戸 2014《《《《
    『天ノ花 宙ノ風』
     1月5日(日)17:00―
 ☆出演:舞踏/舞踏カンパニー今貂子+倚羅座 今貂子、佐藤野乃子、ニコ、地案、靍橋真理子 能管/野中久美子(風迢舎)
 ☆会場:デザイン・クリエイティヴセンター神戸(KIITO) 1F
 ☆入場無料・投げ銭制 (収入の一部を東北の復興への寄付といたします)
 ☆舞踏カンパニー今貂子+倚羅座◇ 白虎社出身の舞踏家・今貂子主宰の舞踏ワークショップを母胎に、
2000年結成。2005年ヨーロッパツアー。2007年より、京都・五條 會館の連続公演に取り組み、2012年「花軍」2013年「閃光」では、文化庁芸術祭参加。 1613年の三陸大震災復興策として始まった日本スペイン交流400周年を顕彰した公演「¡Vamos!」-舞踏∞フラメンコ-を、2013年2月 京都芸術センターで上演。芸能の源流にみられる“たまふり~命の活性化~”の力を現代に甦らせた、独自のアバンギャルドな舞踏の境地 を切り拓き、京都を拠点に国際的に活躍中。
 ☆野中久美子(風迢舎)/ 能管奏者。能管を松田弘之(能楽森田流)に師事。能管の独奏のほか、世界の様々な楽器や舞、朗読との共演も行う。全国での神社寺院での奉納演奏も多く、海外遠征も行う。
1998年より、京都・大徳寺大慈院で、「風響の会」を主催。2013年、能管と歌曲のコンサート「シューマン《詩人の恋》の世界」(京都・青山音楽記念館)を開催。笛の音は、地球の息吹である風が、人に身体を吹きぬけて人の耳に聞こえる響きに変じたものであるとの思いから、その響きが遥か彼方に吹き抜けるよう願い、「風迢舎」を主宰。

 ☆問合せ:舞踏カンパニー今貂子+倚羅座 E-mail ima_kiraza@yahoo.co.jp TEL
090-7098-2869 主催:加川広重巨大絵画が繋ぐ東北と神戸プロジェクト実行委員会 URL
http://gallery-shimada.com/kagawa/
アクセス デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO) 〒651-0082 兵庫県神戸市中央区小野浜町 1-4
デザイン・クリエイティブセンター神戸 電車: 阪急、JR、阪神三宮駅よりフラワーロードを南へ徒歩20分、国道2号線を超えた神戸税関の東向かい。ポートライナー貿易センター駅より、徒歩10分 バス: 神戸市バス29系統三宮ターミナル前より乗車、税関前(デザイン・クリエイティヴセンター前)下車

C-----恒例の〈奄美ふゆ旅〉に出ます(1月20日から23日まで)
阪神大震災の翌年から続けている〈奄美ふゆ旅〉は、今回で19回目となります。今年は、沖永良部島、徳之島、奄美大島の順に北行する予定です。どんな人と会うのかこれから詰めていきます。私の再生儀式です。奄美は今年「日本復帰60年」を迎えた区切りの年でした。地元の新聞を見ていると、「民族一丸」「無血による祖国復帰実現」などのことばが紙面を埋めています。60年前の復帰に向けた活力が、いまの奄美の原点であるとみなしているのです。「復帰バンザイ」の一色に染まっているかのような奄美。でも果たしてそうなのか、私の今回の奄美旅は、この疑問をひっさげて向かいます。そしてもうひとつ。徳洲会の選挙違反事件。私もかつて奄美・徳之島の出身者が社主をつとめる会社に勤めたことがあるために、マスコミで報道される徳田ファミリー的価値観やなりわいは、ごく身近に感じていたことです。今回の「事件」は、私にとって、なんだかヤマト(本土)の司直が、奄美そのものを(=あるいは奄美的なるもの)を裁いているようにも思えるのです。

D/兵庫県現代詩協会の関連事業  私は現在、同協会の常任理事を務めている関係上、協会の2013年度末までの関連事業を紹介いたします。

*01
ポエム&アートコレクション展
日時/ 2014年1月14日(火)~ 28日(火)の 15日間 休館日 水曜日
午前10時 ~ 午後5時(最終日は3時30迄)
場所/神戸文学館
〒657-0838 神戸市灘区王子町3-1-2 ☎・fax 078‐882 - 2028
阪急・神戸線「王子公園駅」下車西へ徒歩7分・JR灘駅北へ10分 王子動物園西隣)
http://www.kobe-np.co.jp/info/bungakukan/access.html
  内容/詳細は、協会のブログ http://hyogo-poetry.jugem.jp/?eid=62 をご覧になってください。

*02
貸し切りバスによる文学紀行
日時/2014年3月2日(日)
行先/滋賀県 木之本~長浜
内容・申し込み方法/貸し切りバスで行きます。コース案として、午前8時30分に神戸・三宮に集合して一路滋賀に向かいます。

*03
会報34号が12月に発行されました
今号から「会員の詩集・著者」紹介の担当者は、時里二郎氏(兵庫県現代詩協会副会長)に変わっています。

*04
『2013アンソロジー詩集』は編集中
隔年する『アンソロジー詩集』は現在編集中です。二月に発行予定です。

*05
兵庫県現代詩協会のブログ http://hyogo-poetry.jugem.jp/
に「今月の詩」という連載が始まっています。これは毎月一人ずつ会員の作品を紹介するという企画です。
この企画は、今年9月から始まったもので、作者名、作品名の順です。
  09月/かただときこ 「手」
  10月/飽浦 敏  「菫」
  11月/小島みどり  「すずむし」
  12月/和比古  「やさしさを感じて」

第87回『Melange』読書会・合評会 のお知らせ

2013年11月20日 13時26分48秒 | めらんじゅ
冬がひたひたと近づいています。

早くも年末そして年越えのことを考えるようになりました。
みなさん、風邪をひかず、身心ともに、暖かくしてあと40日ばかりとなった2013年を過ごしましょう。

今回の通信は少し長めです。

----INDEX----------------------------------------------------------------------------------------------------------
◆1.--第87回『Melange』読書会・合評会 のお知らせ(11月24日〈日〉)
◆2.--図書出版まろうど社の忘年会(12月2日〈月〉)
◆3.--北の句会「カルメン忘年句会」(12月1日〈日〉)
◆4.--文学短報(A/カフェ・エクリのこと、B/兵庫県現代詩協会の関連事業、C/舞踏家とコラボした詩の朗読

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◆1.--第87回『Melange』読書会・合評会 のお知らせ(11月24日〈日〉)

第一部の読書会の担当者は、高谷和幸氏です。
テーマは、----なぜリテラリズム(ミニマルアート)は退屈なのか?----となります。
詳細は以下に記しておきます。〈また富哲世氏から、「月刊めらんじゅ」に集う詩人たちのそれぞれの詩作の書法を語り合ったら面白いのではないかとの提案をいただいております。このテーマは実に刺激的ですので、「Melange」読書会のテーマとして取り上げたいと思っています〉

☆2部(午後3時から6時ごろ)は詩の合評会です。
詩稿締め切りは、11月21日(木)です。初めての方も歓迎いたします。詩ばかりでなく、川柳作家もいらっしゃいます。「Melange」の会は開かれた神戸の詩の会です。いつものように「月刊めらんじゅ」に投稿作品を収録します。「月刊めらんじゅ」は次号で87号となります。

----------ちなみに「Melange」の会の12-01月の予定を記しておきます---------------------------
 ☆12月29日(日)/「Melange」本誌16号が出来上がります。12月の例会は、本誌の合評会のみといたしましょう。午後1時からの開始といたします。そのあと、忘年会をします。会場はいずれもスペイン料理カルメンで。

 ☆2014年01月26日(日)/2014年初めての「Melange」例会(読書会・合評会)は、26日(日)の開催を希望します。この前の週19日(日)では、毎年恒例の〈奄美ふゆ旅〉から帰ってきて間もなくであり、例によって旅から帰ってしばらくはマブイ落ち(=島酔い)の状態ですので、私・大橋が事務局の仕事ができないのです。

////////////////////高谷和幸氏の発表内容予定///////////////////////////////////////////////
----なぜリテラリズム(ミニマルアート)は退屈なのか?----
 二つの体験談をめぐって

 1.----トニー・スミスの高速道路の体験談

 五〇年代の初めの一年か二年、私がクーバー・ユニオンで教鞭をとっていた時、あるひとが、ニュー・ジャージの未完成の高速道路に乗り入れる方法を教えてくれた。私は三人の学生を連れて、メドウズのある場所からニュー・ブランズウィック市までドライヴをした。暗い夜で、灯りも路肩標も白線もガードレールも何も無く、あるのは平地の風景の中を通って進んでいく暗い舗装道路だけだった。風景は幾つかの丘に枠づけられ、だが叢煙突や塔や煙霧や色光が点々と見えていた。このドライブは意義深い経験だった。道路と殆どの風景は人工的なものだったが、それは芸術作品とは言えないものだった。他方で、それは私にとって、芸術には決してなかった何かがなされていた。最初私はそれが何なのか分からなかったが、しかしその効果は、私がそれまで芸術について持っていた多くの観点から私を解放することになった。そこには芸術においてはどんな表現も持たなかったような、リアリティ?が存在していたように思えた。

 道路での経験は、精密に計算された、しかし社会的には理解されないようなものであった。それが芸術の終焉であるということが明らかにされるべきだ、と私は密かに思った。それ以後、大抵の絵画がずいぶん絵画らしく見える。それを枠付け得る方法など無い、ただそれを経験しなければならないだけだ。後に私は、ヨーロッパで、使用されなくなったいくつかの滑走路を発見した。??打ち捨てられた作品、シュルレアリスムの風景、いかなる機能とも無関係な何かが伝統を持たない諸世界を作り出していた。文化的に先例を見ない人工的な風景が私に迫り始めた。ニュルンベルクには、二百万人を収容する十分な広さの軍隊の教練場がある。教練場全体は、高い塀で囲まれている。そのコンクリート製の通り道は、一六インチ幅の三段で、一段は他よりも高くなっており、一マイルかそこら伸びている。

 ◇マイケル・フリードの解釈から
   スミスの不思議な体験は客体(芸術作品)である
   客体は置き代えられている
   芸術の終焉のイメージ

 2.----ハイデガーの倦怠の体験談

 たとえば、片田舎の支線の退屈な駅にいるとしよう。一番早い次の列車の到着には、あと四時間もある。この周辺はべつだん見どころはない。リュックサックに本があるので、はたして、読書にふけるだろうか。否。それでは、何か疑問や問題についてあれこれ考えをめぐらすのだろうか。いやちがう。時刻表を調べたり、まるで不案内な別の場所からこの駅までのいろいろな距離を載せた一覧表をしげしげと眺めたりする。ふと時計に視線を移す??やっ十五分が経った。駅から出て、目抜き通りへ。何かしようとして往ったり来たりする。しかし、何の役にも立たない。街路樹を数えてみる。あらためて時計を見る。さっき時計を見たときからようやく五分経ったばかりだ。往復にもううんざりして、石の上に腰を下ろし、砂の上にいろいろな模様を描いてみる。ふたたび時計を見て驚く。三十分経った。……。

 ◇ジョルジュ・アガンベンの解釈から

   倦怠は人間の根源的なものである
   ----宙吊りのまま保持されてあることとは、特定な具体的可能性すべてを宙吊りにして、奪取するなかで、根源的な可能性(すなわち純粋な可能性=潜在性)がその真価を露わにしてくるという体験にほかならない。

   退屈と忘却する人間
   ----二つの体験談からリテラリズム(ミニマルアート)の退屈さの特徴的な生成要素について
   17年間眠り続けるダニ・ 動物が放心する・人間の退屈が生み出すもの
   芸術は倦怠から生まれる?

◆2.--図書出版まろうど社の忘年会(12月2日〈月〉)

 12月2日(月)にで大阪で開催します。これは大橋愛由等(図書出版まろうど社社主)が呼びかけるものです。
今年の会場は、大阪・北新地にある「(おふくろの味)大輝(だいき)」です。午後6時から「大橋」の名前で予約をとっています。二階の座席に上がってきてください。
地図と住所の情報は以下のとおり
http://tabelog.com/osaka/A2701/A270101/27012243/dtlmap/
住所: 〒530-0003 大阪府大阪市北区堂島1丁目5-39 電話:06-6341-5450
午後6時から順次開催していきます。惣菜が魅力の店です。会費は5000円程度になると思います。
今年みなさんに生起したことをルル語り合いましょう。

少し早めの忘年会ですが、今年も集まって語りあいましょう。

◆3.--北の句会「カルメン忘年句会」(12月1日〈日〉)

〈毎年恒例の忘年句会です。ジャンルを超えた表現者が集まるアクティブな句会です。俳句・川柳作家でなくても参加可能です〉
---------丸山巧氏からの挨拶・案内文---------------------------------------------
「北の句会」恒例の忘年句会(カルメン)のご案内です。
諸般の事情で、12月初日の設定となりました。
少し早めという感もありますが、宜しくお願いします。
会場の準備の都合上、出欠のご返事をお寄せください。

1 日  時・・・・2013年12月1日(日)午後1時~
            ※5時より夕食宴会
2 場  所・・・・神戸三宮 スペイン料理『カルメン』
            神戸市中央区北長狭通1-7-1 カルメンビル2F
            TEL078-331-2228
3 会  費・・・・六千円(宴会費五千円)
4 事前出句・・・・課題詠1句 自由詠2句 計3句
            ※課題『北』
             「北」は基本的に方位を表す言葉ですが、それ以外にさまざまな意味や
             情趣を伴っています。
             北国・北風・北窓・北枕・北酒場・北の宿から・北ホテル・南北朝・南北問題・・等々
             色々な角度からのアプローチを期待しています。
5 締  切・・・・11月23日(土)
6 投  句・・・・丸山巧 宛   Eメール  5et2sa@bma.biglobe.ne.jp


◆4.--文学短報
A-----〈カフェ・エクリ〉について。「Melange」同人の高谷和幸、千田草介、情野千里、西本めぐみさんがメンバーのカフェ・エクリのお知らせです。12月はお休みです。現在、来年前半のスケジュールを決めている最中です。決まりましたら報告いたします。(11月はたつの市在住の養蜂家・得平〈えひら〉さんの話でした。会が終わってから、得平〈えひら〉さんのところで作っている蜂蜜を買って帰りました。とても美味です)

 それと、高谷和幸氏が個人誌「エクリ
OCT.」第一号を発行されました。著者は、高谷氏以外では、大橋愛由等、千田草介、中堂けいこの諸氏です。私の提案によってtwitterに掲載される140文字を基調とした連を重ねて、詩作品を構成していこうというものです。

B/兵庫県現代詩協会の関連事業  私は現在、同協会の常任理事を務めている関係上、協会の2013年の年度末までの関連事業を紹介いたします。
*01
〈第二回読書会〉
日時/11月30日(土)午後1時30分から
場所/兵庫県私学会館(JR・阪神元町駅から徒歩3分 〒650-0012 神戸市中央区北長狭通4丁目3-13
TEL (078)331-6623 FAX (078)321-5968 http://www.hyogo-shigaku.or.jp/map.html
内容/「中原中也の詩」 語り手・たかとう匡子氏(兵庫県現代詩協会会長)
参加費/無料(ただし、参加資格者は協会員に限る)
    参加希望者は、協会事務局に申し込んでください。
進行/たかとう氏から約1時間の話のあと、質疑応答の時間もあります。
   参考文献は各出版社から出ている『中原中也詩集』。

*02
ポエム&アートコレクション展
日時/ 2014年1月14日(火)~ 28日(火)の 15日間 休館日 水曜日
午前10時 ~ 午後5時(最終日は3時30迄)
場所/神戸文学館
〒657-0838 神戸市灘区王子町3-1-2 ☎・fax 078‐882 - 2028
阪急・神戸線「王子公園駅」下車西へ徒歩7分・JR灘駅北へ10分 王子動物園西隣)
http://www.kobe-np.co.jp/info/bungakukan/access.html
  内容/詳細は、協会のブログ http://hyogo-poetry.jugem.jp/?eid=62 をご覧になってください。

*03
貸し切りバスによる文学紀行(会員限定)
日時/2014年3月2日(日)
行先/滋賀県 木之本~長浜
内容・申し込み方法/貸し切りバスで行きます。コース案として、午前8時30分に神戸・三宮に集合して一路滋賀に向かいます。詳細・申し込み方法は、協会から送られてくる案内文を参考にされ、同封されている申し込み書に記入、投函してください。参加費なども明記しています。参加人数に制限があります。

*04
会報34号が12月に発行
さまざまな情報を掲載している「兵庫県現代詩協会」会報が12月にみなさんのお手元に届きます。
今号から「会員の詩集・著者」紹介の担当者は、時里二郎氏(兵庫県現代詩協会副会長)に変わります。

*05
『2013アンソロジー詩集』は編集中
2年に一回に刊行する『アンソロジー詩集』は現在編集中です。
会員のみなさんでまだ詩稿を出しておられない方もいらっしゃいます。
詩稿の送り先は、〒650-0012神戸市中央区北長狭通1-7-1 2F 兵庫県現代詩協会 大橋愛由等 です。

*06
兵庫県現代詩協会のブログ http://hyogo-poetry.jugem.jp/
に「今月の詩」という連載が始まりました。これは毎月一人ずつ会員の作品を紹介するという企画です。
この企画は、今年9月から始まったもので、作者名、作品名の順です。
  9月/かただときこ 「手」
  10月/飽浦 敏 「菫」
  11月/小島みどり 「すずむし」(掲載は25日から)

〈今月、同協会副会長の時里二郎氏の新詩集『石目』(書肆山田)が上梓されました〉


C-----舞踏家とコラボした詩の朗読をしました。
11月17日(土)、舞踏家の今貂子さんと、詩の朗読のコラボをしてきました。
これは、神戸・高架下のアートスペース「プラネットEARTH」(モトコータウン2)で行われたもので、私が自作詩を読み、舞踏家の今貂子さんに踊っていただいたのです。この1.2年、「ロルカ詩祭」以外でも、詩を朗読する機会が増えてきました。この日の朗読&舞踏を、3D映像として録画していただきましたので、いずれまたこの通信でお知らせできると思います。

詩・川柳の朗読パフォーマンスのテーマは、〈裂くsaku〉つながるところのわたしを返せ~言葉と身体が さく・咲く・サク でした。会場の神戸・高架下のアートスペース「プラネットEARTH」では「峠三吉『原爆詩集』・「序詞」を世界の23言語で書かれた「書」が展示されていました〉



詩人・柳人による瀬戸内詩的吟行

2013年10月28日 23時34分12秒 | めらんじゅ


なんとも言いがたい小旅行でした。
(写真は、芸術作品ではなく、島の一光景です。瀬戸内の島々を旅するのは、アートの作品を観ると同時に、多くの廃屋と接することでもあります。かつ集落には必ずある火の見櫓。写真はこの廃屋と火の見櫓のセットを写したものです。廃屋が日常化しているのも島の景色のひとつなのです)

トリエンナーレの「瀬戸内国際美術祭」に、詩人5人、川柳作家(柳人)1人の計6人で参加してきました。
ものを書く人間ばかりなので、旅の最中に緊迫度を増すために、創作活動をしながらしようと、詩的吟行をすることにしました。
俳人なら吟行となるのですが、詩人が中心なので、連詩にしました。
その手法は、一人に原稿用紙を一枚ずつくばり、それぞれが(発句)にあたる出だしの詩句を書き、それを他の五人に任意に渡していくというものです。そして最後は、その六つの連詩を見て、順番にならべていくというものです。
参加したのは、安西佐有理、大橋愛由等、情野千里、高谷和幸、中堂けいこ、にしもとめぐみの諸氏です。(以下の作品は、名前で表記しています)
また最初の(1)は、歌仙方式でまいています。
ではご覧になってください。

---------------------------------------------------------------------
★(1)
フェリー待つ詩人六騎の夜うち朝がけ   千里

屋島ふみふみグランドキリン   けいこ

白足袋の亭主セルフにトッピング  佐有理

朝パンコーヒーで待つ亭主かな  めぐみ

振りそでに豊島行きの塩の味  和幸

案山子いわくに醒めぬ夢なり  愛由等

歩いてはグレーの猫の尻尾ふむ  けいこ

★(2)
   愛由等
渡海した六つのプシュケーは岸壁で渡されたロゴスを胸にしまい込み朝陽のシーニュとともに今日の風向を忖度するのであった

   千里
波にカモメは 涙す尿す

   めぐみ
波しぶき おもちゃのような カモメ達

   和幸
ベツベツはベッチョないとチト違う

   けいこ
足ふるえ能ふるえ尾ふるえる口振期に赤子にももどる鬼ケ島を過ぎて船尾の後尾でカモメも交尾する

   佐有理
ゲージュツ参拝産廃転じてふふ不・堕落トカイ都会時代すすむ船すすむ掃海艇銃架にカンキツ果汁歓喜喚起せよ白波に伏す見えぬ島

★(3)
   めぐみ
深夜便さぬきうどん缶ビール 朝が開けたらさぬきうどんとまたフェリー待ち 波がよせたり返したり 出航したのはガッカリ船ジャケットがしょっぱくなって 着いた島はすずめもカラスもトンビものびやかに鳴く どんぐり道をどこまでも歩いた中年ツアーどこまでも水平線だ

   愛由等
風が記憶を亡くした日は凪という海の沈黙がさよさよと続いて海鳥たちが宇宙の生成がさも停止したかのようなそぶりをみせるなかで廃墟がエロースを語り始めるのだ

   和幸
石が海から出てきて海豚のように涙を流しているのだった

   千里
いちぴょこにぴょこさんぴょこ目の白眼

   佐有理
アクリルな借景の極楽浄土を見ずして語るなかれ--島を!

   中堂
花花花の環の中に永遠の乙女が座りおるその香香香こそ響き合う環の中に眠れ!

★(4)
   佐有理
水切りの石を新たな島として回帰の朝に内海は凪ぐ

   愛由等
海の上の鴎のまなこのまなざしの果ての島の稜線のイストワールの転生の虫たちの飛行の美麗の顛末のコロスたちのさざめき

   めぐみ
遠くの島近くの鳥走り去る連絡船のモーター音ふぉんふぉんにかき消され

   千里
蛙ぴょこぴょこ夏の羽織を脱ぎ捨てて

   和幸
汚染された環は言葉の上着を脱ぐと横に影響されつつ書きついでいく

   けいこ
白亜のオブジェの影も白くちりちりと髪の毛が縮れ軟球バットで御影石を打つのは本物の本物のリアルなのですよ


★(5)
   けいこ
この美術館は足を生やして歩きたがっているのだが周囲の竹林や草木の根の茂り八重葎にからまりその絵を見せよその水玉を見せよと昼日中の波打際で石をなげる人々に整理券を配りソーメンを配り人々は秋の長さを測りながら白くて丸い屋根を見おろすばかりだ

   佐有理
近景には赤トンボ遠景には忘却の渚

   和幸
モネの日の実在は、色斑のリズムであると予習してきたが、何の役にも立たかった

   めぐみ
犬島の耐火レンガは漆黒でひとつひとつが歴史を物語るブックエンド くずれおちるエントツ

   千里
きりきりしゃんなる擬音が主題歌

   愛由等
あああとトンビが啼いたかジジジとクロマツが鳴ったかろろろとアネモイ(風)が吹いてきたのかヴィノ・ティントを呑みながら思念していようか

★(6)
   和幸
海と島を上空から見ていると、海が島に島が海に変わっていくようだ。風は海水となって道のあっちこっちでぴちぴちはねている。

   けいこ
それは鯵だとすれば鯵だと魚群の渦巻く様を黄色い瞳の人が傍らを泳いでマリンロキシ号は舳の揺れを激しく拒むのだ 飛魚のように

   千里
はしゃぐハチキンはじけるオテンバ 中途半端な秋の薔薇 ハラン含み

   めぐみ
魚が飛びはねるのはいいところを見せたいから 帰りのバスに乗り遅れそうで走っているのはバスの迷惑をかけないためのやさしい心づかい バスは走るバスは走る 揺れる背もたれ

   愛由等
バスの最後尾に乗っていたのが掃海母艦の艦長Nであり自船が世界を運ぶことができることをつねづね自慢していてありとある虫たちをすべてあつめて最終航路にでようと策謀していたのだったがセイレーンを含む海鳥たちをもその世界コレクションに入れようかと考えはじめるのだった

   佐有理 
カモメは波間から飛び出した猫に追われ、アオサギはひつじ田で物見の客の視線に追われ、視線を奪ったトビは等高線図に追われ、オオガラスが近代を追い立て、犬が船を、船が七色うどんを、ごきげんようと吐き出して、ぐるりぐるり、春夏秋だった旅。


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第86回『Melange』読書会・合評会 のお知らせ

2013年10月17日 19時26分02秒 | めらんじゅ
10月の通信です。
台風が過ぎて、涼しくなりました。(伊豆大島で大きな自然災害が発生しています)
すでに季節は年末のイベントを含めて紹介するという時期となりました。
日程があえば読者みなさんの参加をお待ちしています。

----INDEX----------------------------------------------------------------------------------------------------------
◆1.--第86回『Melange』読書会・合評会 のお知らせ(10月27日〈日〉)
◆2.--深夜船に乗って瀬戸内国際美術祭への参加(10月28日〈月〉)
◆3.--神戸ビエンナーレ協賛「高架下・詩の朗読会」(11月5日〈土〉、17日〈土〉)
◆4.--文学短報(A/カフェ・エクリ、B/北の句会「カルメン忘年句会」、C/図書出版まろうど社の忘年会、E/フラメンコの東仲マヤさん「狂女王ファナ」を踊る、E/注目のスペイン映画)

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◆1.--第86回『Melange』読書会・合評会 のお知らせ(10月27日〈日〉)

第一部の読書会の担当者は、私・大橋愛由等です。
テーマは、今年8月に物故した詩人・鈴木孝さんの長編詩集『泥の光』(2000年)を取り上げます。先日(7日)に姫路「カフェ・エクリ」で、76歳の人生を終えた鈴木氏の詩業について、20歳に出した第一詩集から晩年の詩作品(詩誌「宇宙詩人」に掲載)を俯瞰するスタイルで発表しました。この発表を踏まえて、「Melange」の読書会では、鈴木氏の詩業の集大成とも言うべき詩集『泥の光』(2000年)にスポットをあてて、語っていきたいと思います。参考文献は、『鈴木孝詩集(新・現代詩文庫98)』(土曜美術社出版販売))です。

また、鈴木氏の最晩年の仕事として韓国の詩人たちとの交流があり、亡くなる寸前に日韓の詩人70人による対訳詩集『海の花が咲きました』が上梓され、10月8日(火)付けの朝日新聞夕刊に、紫圭子さんが日本側の詩人代表として登場した記事が掲載されています。

✩2部(午後3時から6時)は詩の合評会です。
詩稿締め切りは、10月24日(木)です。初めての方も歓迎いたします。合評会参加者には、詩ばかりでなく、川柳作家もいらっしゃいます。「Melange」の会は開かれた神戸の詩の会です。いつものように「月刊めらんじゅ」に投稿作品を収録します。「月刊めらんじゅ」は次号で86号となります。

----------ちなみに「Melange」の会の今年の予定を記しておきます---------------------------
11月24日(日)/読書会の担当は高谷和幸氏。テーマが決まれば報告いたします。
12月29日(日)/この月は読書会は休みで、いきなり合評会から始まります。そして「Melange」な人たちの忘年会をいたしたいと思います。

◆2.--深夜船に乗って瀬戸内国際美術祭への参加(10月28日〈月〉)

10月27日(日)の「Melange」の会の連続として、その勢いで、神戸港第四突堤から出航する深夜船に乗って、四国に向います。現在瀬戸内のネシア(島々)で開催中の「瀬戸内国際美術祭」を見に行こうという〈秋のArt小紀行〉です。これも参加自由ですので、みなさんでArtとうどん王国の香川へ行きましょう。


**スケジュール(予定)*****
1.26日(日)夜「Melange」の会の合評会が終了して、スペイン料理カルメンで引き続き懇親会を開きます。

2.美術祭参加者は、そのままカルメンに残ってもらい待機します。美術祭だけの参加希望者は、午後10時ごろにカルメンに参集してください。

3.日付が変って27日(月)。三宮駅近くから午前零時30分に出るリムジンバスに乗って、神戸第四突堤へ。25時発高松港行きフェリーに乗船。夜景の神戸港を堪能します。(キップは事前に購入しなくても乗船できます)

4.高松港には午前5時に着岸。ここで降りるのなら、連絡バスに乗って、高松駅近くにある早朝から営業している「セルフうどん屋」で最初の「うどん県」体験。

5.小豆島に行く場合は、下船せずに、そのまま乗船していれば、午前7時に小豆島着岸。(小豆島を含めどの島に行くかはこれから参加者で決めましょう)

6.アートを見ながら、「吟行」を兼ねます。定型詩(俳句・川柳)作家は、自分の領域で作品をひねり、詩人は短い詩文をアート鑑賞のさなかに考え、夕方に高松に戻ってきてから、そそれぞの作品を披講(=披露しあう)します。

7.帰りは、高松駅午後8時発・神戸三宮駅着午後11時の高速バスに乗る予定です。

(船中泊0泊1日の小旅ですが、きっと刺激的な旅にになると思います。参加希望者を募ります)



◆3.--神戸ビエンナーレ協賛「高架下・詩の朗読会」(11月5日〈土〉、17日〈土〉)

なにやら妖しげなイベントをします。開催場所が「昭和」の匂いがふんぷんとする高架下(JR元町駅から神戸駅にある線路下に展開する商業地帯。ちかごろ、モトコータウンなどというお洒落な名前がついている)。
神戸ビエンナーレ2013の協賛事業と銘打っていますが、同祭典テーマ「さく」を詩的に反転して「裂く」として、その切れ目からキリキリと、詩と川柳と舞踏で切りさいていきます。

すべて入場無料。自然(じねん)に入場して、飄然と聴聞して、いくばくかを感受してください。

(わたし・大橋愛由等は、京都在住の舞踏家・今貂子さんと組んで、はじめて詩の朗読+舞踏のコラボを、11月16日(土)14:00~16:00に展開いたします。あなかしこ。)


----------------「高架下・詩の朗読会」の概要------------------------------------※

〈裂くsaku〉つながるところのわたしを返せ~言葉と身体が さく・咲く・サク

と題した詩・川柳の朗読会&舞踏が、11月5日〈土〉と17日〈土〉、神戸・高架下のアートスペース「プラネットEARTH」(モトコータウン2)で行われます。〈11月5日(火)~17日(日)の会期中は、「プラネットEARTH」で「峠三吉『原爆詩集』・「序詞」を世界のことばで」が展示されています〉

 ☆朗読・パフォーマンス スケジュール☆
11月9日(土)14:00~16:00
・舞踏ライブ/出演 大西隆志+宮永照代
・ポエトリー・リーディング/出演 玉井洋子、高谷和幸、安西佐有理
・川柳舞踏「はじける魂消えるコトダマ」/出演 情野千里&川柳舎・みみひめきっちん
11月10日(日)14:00~16:00
・ポエトリー・リーディング/出演 安西佐有理
・川柳舞踏「はじける魂消えるコトダマ」/出演 情野千里&川柳舎・みみひめきっちん
11月16日(土)14:00~16:00
・ポエトリー・リーディング/オープンステージ 出演者募集
・舞踏ライブ/出演 大西隆志+宮永照代 大橋愛由等+今貂子



◆4.--文学短報
A-----「Melange」同人の高谷和幸、千田草介、情野千里、西本めぐみさんがメンバーのカフェ・エクリは、11月11日(月)に開催します。場所は、たつの市の喫茶「ガレリア」。午前11時から始めます。
第一部の読書会は、得平秀晶氏。養蜂家であり武術もよくする人であることから、どんな語りとなるかお楽しみです。第二部は詩の合評会。詩稿を10部ほどコピーして持ってきてください。
会場はJR姫路駅から姫新線に乗り換えて「本龍野駅」で下車。徒歩12分ほどのところにあります。

B/北の句会「カルメン忘年句会」
 毎年恒例の〈北の句会「カルメン忘年句会」〉は、12月1日(日)午後1時から、神戸市三宮のスペイン料理カルメンで行います。参加自由の句会です。事前投句の先や、テーマ、句数が決まりましたら、この通信でお知らせします。(今年で何回目になるのかなあ)

C/図書出版まろうど社の忘年会
 12月2日(月)で大阪のどこかで開催します。これは大橋愛由等(図書出版まろうど社社主)が呼びかけるものです。谷町六丁目の「すかんぽ」が月曜日休業となったので、去年から場所選びを含めて漂流しています。今年の「彷徨(さまよい)忘年会」の会場がどこになるのか、私もわかりません。この会の詳細もおってお知らせいたします。

D/舞踏公演のお知らせです。
今回のお知らせは、フラメンコの公演についてです。
芦屋在住の東仲マヤさんというフラメンコのバイラオーラが、12月14日(土)に、芦屋ルナホールにて、「狂女王ファナ」をテーマに踊ります。これは日本のフラメンコ舞踏史上にとっても特筆すべき舞台のひとつになるのではないかと予測しています。なにしろ取り上げる「狂女王ファナ」がすさまじい。英語の「fanatic(狂信的な)」の語源となったのが、このファナ(カイティーリャ女王、1479-1555)であると言われています。このファナをマヤさんがどのように踊るか興味津々です。
開場17:30 開演18:00
問い合わせ/0797-34-3929
主催/東仲一矩・東仲マヤフラメンコ舞踏研究所
前売り/5000円 当日6000円

E/注目のスペイン映画
先日、ドキュメンタリー映画「メキシカン・スーツケース
〈ロバート・キャパ〉とスペイン内戦の真実」(トリージャ・ジフ監督、2011)を観ました。スペイン内戦(1936-39)を撮影したロバート・キャパが残したフィルムがスーツケースに入れられてどこかにあるはずだとの伝説が語り続けられていたのです。そのフィルムが2007年にメキシコで見つかったのです。当時メキシコ政府は、スペインの人民戦線側の亡命者を積極的に受け入れていていたのです。キャパ、ゲルダ・タロー、デビット・シーモアが写したスペイン内戦の写真群は、当時のスペイン民衆の素顔(こわいほどストレートな)と接することができます。それらの表情は、わたしがはじめてスペインを訪れた時のひとびとの顔と通底するものです。1976年のその時は、フランコが死んでまだ一年であり、密告と疑心暗鬼が社会に蔓延していて、ひとびとの顔は決して明るいものではありませんでした。

そして予告編ですが、12月にロードショーが行われるスペイン映画に「ブランカニエベス Blanca
nieves(白雪姫)」(パブロ・ベルヘル監督、2011)に興味を惹かれます。全篇モノクロで描かれます。闘牛士を目指す少女ですが、世間に認められず、侏儒の闘牛士集団の中でデビューを果たします。ところが少女の父は天才的な闘牛士であることから、たちまちのうちにその才能を開花させます。スペインに関連した優れた映画に与えられる賞である「ゴヤ賞」を受賞しています。「白雪姫」が発散するティズニー的なイメージと、映画で展開される黒色のイメージの差異が楽しみです。

津高和一著 詩集『断簡集』を読む。

2013年10月13日 09時49分34秒 | めらんじゅ
阪神大震災の日に死亡した詩人で画家である津高和一の500部限定の詩集『断簡集』を読む。
細長くお洒落な装幀。左ページにしか作品は掲載されていなくて、右ページは白。時々エッチングが挿入されている。
この本は海文堂営業最終日に同書店内の「古本コーナー」にあった。少々高かったが購入した(あと一冊、岩成達也氏の詩集を購入) 
1ページに一行か二行までの短い詩。モダニスト詩人らしい作品が並ぶ。珠玉の作品が多いが、それでも詩を読んできたので、選択眼がついてきた。
まず20作品を選び、続いて10作品に絞った。

〈身辺には 口ごもる神がいた〉
〈石と いつまでも対座しても 石にはならない〉
といった短く衝撃的な作品から、

〈風に刻印しているのは 見えない私語を反覆している蝿〉
〈街角を曲る度に方向を見失うふりをする わたしの彷徨の行方〉
といった〈わたし〉を起点にしている作品や、

〈褐色の惑星の砂漠と この地峡の透明な稚魚が少女の素足に触れた距離〉
との前衛的な手法の作品まで多様である。



いつまでも、こうした詩風の作品を書き続けていきたいものである。

第83回『Melange』合評会の詩群

2013年07月27日 10時00分31秒 | めらんじゅ
大橋愛由等でございます。

※今週から、夏恒例の保久良山(神戸市東灘区)登山をしています。標高183メートルの山頂には、延喜式内の保久良神社があり、神社内外には、神道が成立する以前から信仰の対象となっていた磐座がいくつもあり、その周辺は縄文の森といった風情です。

※「Melange」同人の寺岡良信氏が入院されておられます。今月のある日、自宅で食事をしていると、激しい腹痛に見まわれ、緊急入院しました。腸閉塞であったらしいのですが、いま抗癌剤を服用している闘病中の身なので、心配の種がもうひとつ増えたことになります。

※まろうど社新刊の金里博著『詩集三島の悲歌』の出版記念会が、7月21日(日)に京都で行われ、多くの参加者がありました。ハングルと日本語(上野都訳)との対訳となっていて、里博氏の在日としての生き方、生の軌跡があますところなく表現されています。同著は間違いなく金里博氏の主著のひとつとなるでしょう。

盛夏のみぎり、夏に負けないよう、みなさんご自愛のほどを。では、明日開かれます「Melange」の会の合評会用(第二部pm3:00~)の詩群を送ります。今回は、14名の参加がありました。(第一部pm1:00~の読書会は富哲世氏が担当。テーマは「衰弱の魅力~北村太郎(1)荒地時代まで」。)

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◆連星
         富 哲世

喉の奥につかえていた悲しみの錘が
いま嘆きを抱いてストンと彗星のように
深い井戸の奥へ消えていった

星を誘う
井戸の底の底の

濡れた砂の眠っている
夜の床

どんなののしりも届かないくらい清く平和なところへ
ようやくきみもたどり着けた
(嘆きの深さは恨みの重さと同じだから)

わたしたちはこれでまた新しく
離ればなれになった

これでまた新しい明日の苦しみと
今日の慰めを生きるしかなくなった

ぼくのひとりはきみのひとりだ

ありがとう

死んでくれて。


◆化粧筆
上野 都

ゆっくりと握る
この指の形は何だ

絵筆をまねて
とろんと長い柄を載せて刷いてみる
下から上へ
頬に沿い
顎に沿い
顔のあるところまで
顔のないところまで

刷けるところを一周したところで知れている
たかが顔一つ
二周して
三周して
ドアを開けてまわる
ヘッドフォンをはずす

剥がれ落ちてくる
あいつ あんた あのひと
上から下へ
もう一周 逆に刷けば
大音響で飛び込んでくる
わたし わたくし こちら

きゅんと差し込む輪郭
じわりと溶け出す輪郭

何の毛だか柔いものに取り憑かれ
ホモサピエンスの樹林をくぐり
デボン紀の湿地を抜けて
目の大きな三葉虫に

化粧筆ばかりが勝手に這いまわり
うっとりと
前世とこの世を行き来する
「だれ」という名の代名詞になるまで。


◆ふたつの歌
         野口 裕

三次元世界のさだめ しかあれど固く結んだ紐がほどけぬ

平行、直交、交差、ねじれと
二本の紐の布置はさまざま
それぞれの係わりがそれぞれのアレゴリーを生み出す

平行は並んで進む二台の電車
やあやあと言わぬばかりに
あちらの座席あちらの吊革見とれて
こちらの吊革に腕一本

直交は十字かT字か
交点は常に交歓の場
バイオリンの弦に当たる弓
そしてギターに触れる指

交差はX
十と異なる角度のまじわりは
歓喜の高まり
それとも相手への疑問
一瞬触れて互いに食い入る波紋は
交差したまま広がりつつ
かすかにひとつに溶けゆく

ねじれに至り
紐は空中に飛び出す
まじりあわぬと悟ったもの同士はそうせざるを得ぬが
さびしさにふれあいを求め
度が過ぎて
失敗した綾取りは固く結びついたままとなり
アレゴリーの森に閉じ込められる

結びついた紐を救うものはいないように見える
だが絶え間なく風雨はやってきて
やさしく紐をときほぐし
何年、何十年、何億年かかろうが
たゆまず紐をなでさすれば
ついに紐帯は解放される

それは救いではないかも知れない
しかし
やったことを知らぬままに
風はまた雨を生み
雨は雨で流れ去ってゆく

三次元世界のさだめ しかあれど入ったら出る水のさびしさ



◆冷蔵庫を開ける
          中嶋 康雄


冷蔵庫を開ける。ミドリムシが湧いている。
冷蔵庫を閉める。冷蔵庫を開け直す。ミドリ
ムシが湧いている。こぼれ落ちる。床が緑に
染まる。冷たい暗黒の怨念を晴らすように爆
発するミドリムシ。瞬時、ドーム状のコロニー
を形成し、のたうち回るように生長する。
爆発し飛び散るミドリムシ。飛び散った無数の
コロニーの切片はのたうち回る。床をうつ度に
ムクムクと生長する、飛び散る、生長する、
飛び散る、生長す
ぼくのベロを触ってごらん。ブツブツがある
のが分かるだろう。ブツブツは光を求めてい
る。口内の狭小な闇を破壊し、光を。だから
いつもモゴモゴモゴモゴ蠢いている。一瞬の
休み無く。一瞬の休み無く蠢かれる宿主の辛
さ、ちょっとでも気を休めると、口内のブツ
ブツ内の膿状のものががドロドロドロドロ死ぬ
まで流れ続けてしまう恐怖。
スピードか絶滅しか選べないのなら、どうし
ようもなくスピードを選んでしまう。ついに
解放され、地球上の床という床をのたうち回
る緑のコロニー


◆余はいかにして猫が月の化身であることを信仰するに至ったか
               千田草介

具だくさんの味噌汁のなかに子午線の切れ端が七十五本も入っていたので、とても食べきれないと思って半分ほど猫まんまに分けてやったのです。うちはもう飼い猫がお隠れになくなって久しいのですが、巡礼の野良猫どもがのぞいていったりするものですから、お接待してやるのです。まさかそれで猫に恨まれることになるとは思いもしませんでした。東西に行きたいのに南北にしか歩けなくなったじゃないかというのです。おれたちは北アフリカからユーラシアの東西交易路をつたって経文とともにはるばるこの東の果ての島までやってきた種族なのだから南北の移動は意に沿わない。東西に動くなら地球を何周しようが多少の寒暖はあっても辛抱できる範囲におさまるが、南北となるとそうはいかない。北極熊やペンギンがいるところでは凍え死にするほかない。死なずにいようと思ったら電気炬燵を極地までもっていくしかないと、チャンドラというオスのトラ猫が言います。猫どもは経文ばかりか炬燵といっしょにこの島まで来たんじゃないかとかねがね私は思っていたぐらいですから、彼の言い分には反論できません。どういうからくりでか味噌汁の具のために彼は身体の舵がきかなくなってしまったのだと思って、いっしょに加古川線、福知山線、神戸電鉄で大回りをして(というのも、まともに東西に動くと狂い死にしそうになると猫が言うものですから適宜に南北移動を織り交ぜなくてはならないのです)、元町の場末で古ぼけた小さな舵輪をさがしました。それを彼にとりつけることで、ようやく子午線の副作用はおさまったのです。東西に動けるようになったから明石へ行って玉子焼きを食べようかと考えつつ海岸通りを歩いていると、東のほうからまさに脳裏にあったものとそっくりの月がのぼってきました。おれたちが西から東へ来たから、あれが東から西へ運行するんだ、そういうふうに世界は釣り合いがとれているんだ、と猫が言いました。


◆生活者
       月村香

レモンが麻薬のように出回りその一顆をわたしが偶然手にするときわたしは口を閉ざしもう何も言わないそれが何となくフランス人ぽくっていいなぜならわたしは二言三言ならフランス語を話すからだメロンが蜜月を超えてわたしの瞳の欲求を満たすときわたしはお腹をこわしていますなどと野暮なことは言わないでしっかり銀行に出向いてひと月分の生活費を引き出してしまわなければならないそれからやっと果物を買いにゆくのだ


◆ シンゾウさん
          大橋愛由等

老いたトカゲが明日捕食されるだろうと自ら予告したことではじまったその朝は海から吹きつける南風に乗ってやってきた旅風がひと晩をすごしたその小谷で起き上がりぎわに祠から声をかけられこの小谷には神像が陰伏しているので捜し出してほしいとの訴えに旅風はどうしてもシンゾウさんとしか聴き取れないのでうつろに応じているとその様子を見ていたつがいの鴉たちが風のいのちを狙う算段をしようと顔を見合わせるているのにも気づかず旅風は虫食いで散々に孔だらけになった桜葉をじっとながめ光を透過させて孔の模様から文字を読み取りその小谷に春から夏にかけて惹起した物語が記述されていることを知りその葉文には今月から〈吽形〉が黙してしまったのだと木々と鳥たちと虫たちが噂していると書かれていてそういえばこの小谷に来る前の沖島の〈吽形〉ももともと無口で小言しか言わかったのがとうとう今月から黙してしまったと知っていたので〈吽形〉が一度黙してしまうと何年続くか分からないためにこの黙のありように心のきしみを覚える旅風はだから今年は青葉木莵がいまだ渡ってこないのだろうかと連関づけて考えていると背後に鴉たちの邪視を感じたのでそろそろこの小谷を抜けだし峯を三つ超えた廃地に立っている石碑に対して北斜面すべての葉群れを動かして旅風の前世だった鉄塔から見た光景を詠って聴かせようと朝陽を浴びながらそろりと動き出すと〈吽形〉の黙の蔭が山を超えていく様子がうかがえるのであった



◆追悼。あるいは、
「燃焼」の二重性から、「打ち割られ」の二重性へ。
                   有時秀記

中性者に電波を発しながら内海を進みゆく母なる巨船が燃える。燃え落ちる船は灰となって海に融け沈み、灰の溶融に激しく震える中性者はレム睡眠の夢から覚めて蒼白となる。月は暗くかげり、世界そのものであった住み家の中心柱も激しく燃え落ちる。この燃焼のシンクロニシティ、この二重性は、住み家に生息していた中性者の内言を青ざめさせ、燃焼のもたらす滅びの赤光を散乱させる。赤の滅びから逃亡し、中心柱の喪失した住み家から逃走する蒼白者は沈黙の内言をこのうえなく寂しい内界の荒野にたたずむ冷凍庫に沈め、格納するしかない。

巨船の哀悼は永遠に終わらないが、幾たびかの追悼は終わった。水葬された巨船が内海の深淵でとわの幻影となり、沈黙の青が呼んでいる。冷凍された内界に沈む蒼白者の沈黙は、かすかな記憶の結晶を潜在させる。母なるミトコンドリアDNAを内包する古人骨のような記憶は、枯れた面影を幽霊に託して真実の時を待ちわびるのだ。幽霊は堅いクルミの殻を酸素のまばたきで打ち割り、殻の内側から打ち割られた鏡を登場させる。その鏡の裂け目から現われる青い真珠は、沈黙の青のひとつの形であり、包み隠していた青薔薇の青の生成を促すだろう。

打ち割られるクルミ、打ち割られた鏡、この入れ子構造の二重性を帯びた「打ち割られ」が、冷凍庫に格納された沈黙の内言を解凍し、生成を保証する。その生成の時にこそ、幽霊の声の記憶が、光る内言となり、新世界の住み家を打ち建てるだろう。なつかしい内言は光りながら逃亡先から帰還し、沈黙の青をおびただしく発しながら、「それはそこにある」という母なる幽霊の声とともに青い住み家を打ち建てる。そのときあまたの流星が、内海に融け沈んだ灰の痕跡をもうひとつの青い星の故国に運んで行くだろう。

注=青い真珠は始原的元素のエネルギーを介在させて生成され、二十世紀までは実在しなかった青薔薇もパンジーの青を薔薇の遺伝子に組み込み二十一世紀に入って生成された。



◆旅立たれたあなたへ
              川田あひる

落下する
銀杏の実が
カップルであるように
旅立つとき
手を
握ってもらいたいものでしょう
そばにだれも居なかった
あなた
さみしかったでしょう
会いたい方が
いましたね
わたしは
いま、身近な詩人の
詩のフレーズを
思います
あなたの胸の
空席に
鴎が
舞い降りるでしょう
そして
わたしは
喫茶店に出かけ
あなたの好きだった席に
腰かけ
あなたがよく飲んでおられた
ミルクティを
甘く
マスターと
あなたが
ほら
入ってこられるみたい と
お話します
あなたは
わたしの胸の
空席に
黒いモヘアの
帽子を
おいて
もう、
念願の
佐渡島へ
行かれましたか
キラキラ
輝く
海原へ
また、
お会いしましょう

注 寺岡良信「出棺」
「死んだ水夫の胸の空席にカモメは舞い降りた」の引用があります



◆川柳連作  七夕行列
             情野千里


コイコイ人の言葉で七月は、おぼろ月の季節。湿気と暑さで
月もおぼろに霞むのであろうか? 陰陽師・蘆屋道満ゆかり
の佐用町江川地区では、七夕行列というものをおこなうが、
旧暦7月(8月7日)のこととて歩く女子男子の白塗りも汗
でおぼろに、夏の百鬼が往くがごとくと里人の謂う。

瓢箪ブギでしょ焼けた鉄板の上の
夏は来ぬ 天国の窓ハメゴロシ
薔薇かも知れぬフランス窓かも知れぬ
身八つ口から祇園祭のコンチキチ
まだフランス領だった私のふくらはぎ
豆の蔓伸びて遠野の窓知らず
窓から「こんにちは」何時かの鉢かづき
白髭の房事淡泊ガラス窓
男は蝶になるギリシャ悲劇の幕間
亡夫ふらりと冷蔵庫の戸を閉めに来る



◆TAM
        高木冨子TOM

その日 昼食は筋肉のスープ、バジルソース金目鯛ソテーだった
その午前 既に旅立っていたのを知らなかった

森への道でなく ぬかるみの静かな道でなく
湾曲する海岸線の 港に向かう潮と外国船の匂いがする道だった
道は閉鎖されていた・・が

通り過ぎてきた虚実の皮膜から向こうへ 境界の微かな薄い膜でした
すり抜けたら分かります やわらかな感触でした
暗夜行路にわたしという異物があり
いつしか異物は遺物・・・用なきものに変化していました
適応することも 後退することも ・・毀れたのです

翼が生えて ナイルを飛び越す 封印されたもの、その奥の奥まで見通される いとも楽々と 最奥に獣のごとく咆哮するものたちもいるが
もはや意に介さない 理不尽なものも意に介さない 青い矢車草も枯れ パサパサ音立てた
艶やかな夕べの気配 その向こうに捉えがたい美しいうねり あらゆるものがうねっていた 躍動していた モーヴ色の狂気も姿をちらつかせていた

空っぽになって まつ毛揃えてもらって
空っぽになって 合掌して微笑んで

薄明るく汗ばむ午後 熱もった白い灰と骨になり
浮遊する微塵になった 冷え冷えと影もたぬ人となった

わたしたちは マーヤー幻影、よ
白い音が立つ
時は齎し 時は壊し 時は呑み込む

もういいかい まあだだよ
もういいかい もういいよ
もういいかい まあだだよ あなたはダメよ

わたしは今日も食事の支度をしている (幻影には幻影の食べ物が要る)


◆さくらんぼ
         岩脇リーベル豊美

なんでも詩にする
悲境および運命の諸類型
否定することで夏らしくなる

そして
孤独に宙吊りになる

もの狂おしい言葉の羅列
錯乱のさくらんぼ

*****レヱス

レヱスを編むひとの
斜向かい

詩人の沈黙
世界の出口を探す

沸き立つ海に
深紅の唇開けて

忘却の美神が
羊を数えた糸の余韻

墓無しの儚し

*****こしかけ

菩提樹の木陰に腰掛けて
呼吸をととのえる
わたしのなかに
誰かが語る半神秘に
耳を傾けていたい

自然律の諳記は完了したと
独り合点していた

誤読された象徴こそ真であると
諭す声を
石のように光に濡れて
ずっと聞きたかった声を

新しい星座も
新しい日付もない
誰かの落とし児としての転生
来し蔭


◆開かれた日
             高谷和幸

                6月4日
六月の黄色い花が見える窓から、わたしたちはその手前にいる開花しない壺です。あなたは、鎮守の樹々の間でゆがんだ自画像(究極の進化をとげる)にも記憶のある装置がはたらいているんだわ、と耳もとで可笑しそうにわらう。ワンピースに黄色い花をつけて、あなたはどこにでもある窓の、その向こうで開いている。見えるよね。「うん。猿に似ているみたい。」刈りとられた花に包まれたふざいのひとをあたためてみたい。あなたが(椅子に腰かけていた)読んだ青い聖書のことばが、わたしたち(痩せた壺のように立っていた)の肩さきにただよってはきえていく。

 (目に見えるものがほかでもなく、
  そこにあるのだろうか)

「とまれ。」価値交換するけむりがけむるるすに、台所の窓を押し開けた猫を追いかけてあなたは飛び出しました。引き攣って、ほら、逃げそびれるけむり。可哀そうなピグミー族の猫ども。復活したら誰の骨に戻るのだろう。一冊の余白に書かれたおもさを、ことばを色のあるいきものにかえして、われわれの壺に棲むカメレオンが読んでいる。六月の黄色いひかり。

      *
                7月8日
オレンジのツートンの、あの電車に乗ってみたかった。いつも目の前を通り過ぎるばかりで、窓から君の後ろ姿が見える。また会ったね。もう時計の針なんてどちらに振れてもいいように思う。すっかり君の身支度は整ったみたいだし、まぶたが降りる少しの闇の境に、椅子にほのかな気配を残していくのは君の気遣いだったか。

「いつか」が嫌いな男が話している。第三世界の次にくる第四世界は記憶が消えてすべての死者たちがよみがえるらしい。「いつか」が好きな女がうなずく。ほんとうの色が見たいわ。

True Colors

「こんにちは」 君は神様のプロバガンダだと思ったことはない。「ご存知ですか」未来はどこか遠くにあるってことだろう。「いいえ、近くに、どこにでもあって見えない」このパンフレットを読みなさい、ってこと。「何ページ(諳んじて)に書いておきました」……ヌースは停止している。

うそつき。

ヴァンス礼拝堂のマチスの陶板壁画を君に見せたことがあった。神は停止した轂だが、すばやく動いている輻がわたしたちには見えない。だからとりあえず何にでも数字をつけておかなければならない。数字は停止しながら動いている時間のすがただが、それがわたしたちの垂れ流している冒涜なんだ。なんて愚かしい芸術論とともに。

      あなたには贖えないと聞こえた

あの時、僕は病んでいて、昼間から酒を飲まないではおれなかった。「いらっしゃい」ビールをテーブルに置くと、君はすぐに株式投資に夢中になった。数字と未来の話をどう聞いたのかな。よく分からいけどヘーゲルが嫌いなものが好きになりたいと思った。まだ椅子があって。

      *
        時の分離と振られた数字が
「一壁面、一空間、一場面」
殺しに来てほしいと言われたから、
書いていることはたとえ偶像でも信じることと同じだから
留まる点を失い水平に横滑りしていくような不確実感から
         一致した悲劇のアールへ
      *
指の間で捏ねていたあなたのことばがいまよむといたくかんじる……



◆あけやらぬ みずのゆめ
                    福田知子

大きな落雷の跡にあなたは生まれた
小さな小さないくつもの水溜り そのひとつ
ひらいた睡蓮の花びら その縁取りを光がすり抜けるので
明けの明星がすぐそばを横切ったことが分かる
フィルターのような時間という網があって
その網目から微かに零れ落ちる淡い光の泪
そのわずかの水量を私は決して見逃さないだろう

車椅子を押す父の後ろ姿
水藻を避けるように朝夕散りばめる
摺り合わせたゆびとゆびの間にも網目があって
細かいフレーク状になって透け 反射する
下り坂にさしかかる ひやりとするゆび
斜めに引いたからだを降り始めた雨が濡らしていく

幾度も幾度も雷鳴が轟き
豪雨で世界は白っぽくなって風景が見えない
メダカは水面すれすれを泳いでいる
天を向いたメダカの眼に映る世界はいつもさかさま
鉢に顔を寄せて雷鳴のそらを一瞥し水底に向かう
水藻に透ける光を潜って水底にかえっていく

父は母の車椅子を押しながら空を見上げる
眼鏡に水滴が降りかかり雨だとわかる
はやく病室に戻らねば…
坂道に差しかかる
車椅子を支える握力
この掌の力が萎えるのは遠い日ではないだろう…

通い慣れたバス停にいる
いつものように母の下着が入ったリュックを背負っている父と

第83回『Melange』読書会・合評会のお知らせ

2013年07月18日 13時15分49秒 | めらんじゅ
暑くなりました。
街を歩けば蝉しぐれ。
グリーンカーテンとして植えたゴーヤに小さな実がついています。
熱き夏の熱き詩のニュースを送ります。

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◆1.--第83回『Melange』読書会・合評会 のお知らせ(7月28日〈日〉)→詳報
◆2.--「第16回ロルカ詩祭」のこと(8月17日(土)開催)
◆3.--まろうど社の新刊 金里博著『三島の悲歌』
◆4.--文学短報(報告→第1回「吟遊・神戸〈カルメン〉句会」/詩の教室「カフェ・エクリ」/兵庫県現代詩協会の「読書研究会」)
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◆1.--第83回『Melange』読書会・合評会 のお知らせ(7月28日〈日〉)

✩第1部(午後1時~3時)の読書会は、富哲世氏が担当します。楽しみです。
テーマは、「衰弱の魅力~北村太郎(1)荒地時代まで」。「荒地」に属した詩人であり、翻訳家でもあった北村太郎。最近『北村太郎の全詩集』(飛鳥新社)が刊行され、この詩人の全容を知ることが出来ると話題を呼んでいます。翻訳家としても多くの仕事をしていますが、『ふしぎの国のアリス』(王国社ほか文庫も)といった作品もあります。この詩人を扱った小説として、ねじめ正一著『荒地の恋』(文藝春秋)にも注目。私の北村太郎のイメージづくりは、この小説から刺激を受けています。また、下記に富さんが紹介した本のうち(『北村太郎詩集』(思潮社、現代詩文庫))は、新著はなく、ネット経由の古書としてに入手が可能です(他にも多くの詩集がネット上に出回っています)

✩2部(午後3時から6時)は詩の合評会です。
詩稿締め切りは、7月25日(木)です。今回もみなさんの意欲的な詩作をお待ちしています。いつものように「月刊めらんじゅ」に投稿作品を収録します。「月刊めらんじゅ」は次号で83号となります。(80号から「巻頭作品」とのタイトルのもとに、目次ページの次に、私がセレクトするか原稿依頼した作品を掲載しています。83号はその4回目。さて、誰の作品が巻頭を飾るのかお楽しみください)

そして「月刊めらんじゅ82号」をネットで公開しています。以下のサイトをクリックしてください。
https://docs.google.com/viewer?a=v&pid=sites&srcid=ZGVmYXVsdGRvbWFpbnxtYXJvYWQ2NjQ1NHxneDo2OWIxYzBlOTgwNTBjOTEy
(ネット版とペーパー第二版に掲載されている連載〈さまよいの星座詩学(2)・安西佐有理〉は、二回目として「蟹座/コルヴォ男爵(フレデリック・ウィリアム・ロルフ)〉」が登場します。)。

では、富 哲世さんの挨拶文をお読みください。
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衰弱の魅力~北村太郎(1) 荒地時代まで
富 哲世

北村太郎は、日本現代詩の中でも特異の存在感と位置を占める大きな詩人であると思うが、その存在感の大きさが如何なるものであるのかを言うことはなかなかむつかしい。彼の詩は終生、向こう受けしたり、才気走ったり、重々しかったりすることから縁遠い。かれは自伝のなかで自分を評して、『衰弱そのものが詩の形だというような詩しか書いていないような気がしました。』と言っているが(「センチメンタルジャーニー」)、生活模様の中にひっかかりを捉えて不思議に思考の輝きはじめるその「衰弱」のことばに孕まれた、詩人のなだらかな違和や傾斜の魅力はなかなか捉えどころがなく、結局、マホーにかかったように詩を味わうことが納得の一番の近道であり、それで充分だと言いたくな
ってしまう。彼は生涯に13冊の単行詩集を持ったが(うち一冊は没後刊)、そのなかでも、後期の三冊「笑いの成功」「港の人」「路上の影」がわたしは特に気に入っている。北村の詩には、ベルグソン的な時間意識があるとの指摘があるが、そういう意味ではこの三冊もまた北村太郎という時間の、持続的な反復変化の上になった賜物と言えるだろう。今回はまず「荒地」時代を中心に戦後詩のすでに古典となった作品を取り上げて、その出発点を振り返ってみたい。

テキストとしては「北村太郎詩集1947~1966」のなかから荒地時代該当作品を取り上げてみたい(思潮社現代詩文庫など)。
(上記北村太郎詩集中の荒地時代該当作品:墓地の人・微光・センチメンタルジャーニー3編・雨・Pride and
prejudice・地の人・庭・終りのない始まり・小詩集・ちいさな瞳・小さな街の見える駅)
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これからの予定
====8月17日(土)/第16回ロルカ詩祭
     第1部:午後5時~ロルカ詩の朗読
    第2部:午後6時~詩人たちによる自作詩の朗読
====9月22日(日)/『Melange』読書会/近藤久也氏による「高田渡と詩について」
            ←高谷和幸氏の推薦によるものです

◆2.--第16回ロルカ詩祭のこと(8月17日(土)開催)
    =======第16回ロルカ詩祭のご案内=======

〈スペインを代表する詩人の一人であるフェデリコ・ガルシア・ロルカの生誕100年にあたる1998年から始まった「ロルカ詩祭」。会場は、神戸・三宮にあるスペイン料理カルメン。今年もロルカが殺された8月19日に近い土曜日に開催します(17日)。この詩祭は、第一部がスペイン語と日本語によるロルカ作品の朗読、第二部は詩人たちのロルカ的世界に身を委ねた自作詩の朗読で構成されています。神戸でこの詩祭が行われるのは、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の追悼の意味を込めていることはもちろんのこととして、2011年の東日本大震災の犠牲者に対する鎮魂の意味も加わりました。またこれまで詩祭に参加した人のなかで清水昶氏のように物故した詩人に対する追悼の意味も込められています〉

 〈 詩祭スケジュール 〉
★日時/8月17日(土)午後5時 開場
 [1部]PM5:30~PM6:00
ロルカ詩の朗読
 [2部]PM6:15~PM8:30
詩人たちの自作詩朗読
★場所/スペイン料理カルメン(神戸市中央区北長狭通1-7-1 〒650-0012
    電話078・331・2228
    JR・阪急・阪神・地下鉄「三宮駅」から徒歩三分。
★料金/A:3600円(チャージ込み)(1)夏の特選スープ(2)季節のサラダ(3)肉か魚のメインを選択(4)パエリア(5)コーヒー(6)デザート
    B:2000円(チャージ込み)(1)ワンドリンク(2)タパス盛り合わせオードブル
《特典》当日参加者の方全員に、第二部参加の詩人たちが朗読する詩作品掲載の『八月一九日詩集・vol.16』をもれなく進呈します。
★出演者/ゲスト・禿 慶子
安西佐有理、上野 都、大西隆志、大橋愛由等、今野和代、情野千里、千田草介、高谷和幸、中堂けいこ、 にしもとめぐみ、鼓直、寺岡良信、tobi
、富 哲世、 福田知子
------(禿 慶子略歴/詩誌「山脈」「風」同人及、「玄鳥」主宰を経て現在無所属。「日本現代詩人会」 「日本詩人クラブ」「横浜詩人会」、
「日本文芸協会」会員。
詩集/『彼岸人(あのひと)』(第14回横浜詩人会賞受賞)、『ジオラマ』『我が王国から』等。2003年~2006年、横浜詩人会会長。)
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★詩祭へのいざない
   ロルカを謳う。コトバがさやぐ。        福田知子

  どこの国でも 死はひとつの終わり
  死が来て幕はとざされる
  だがスペインではちがう
  スペインでは幕が
  ひらかれるのだ
        (フェデリコ・ガルシア・ロルカ)

 スペイン・グラナダの詩人、フェデリコ・ガルシア・ロルカ。彼自身、自らの早すぎる〈死〉を予期していたかどうかは解らない。しかし、彼の詩のその多くは死を追悼するものである。ロルカは死をもって、永遠に私たちの胸にその名を刻印した。グラナダとはスペイン語で〈柘榴〉という意味である。レコンキスタ時代、柘榴の実のように、堅牢でなかなか陥落しなかったイスラム教徒の街??彼はそのグラナダのひなびた小さな村フエンテ・ヴァケーロスで生を受けたのだ。
 1936年8月19日、スペイン内乱のさなか、フランコ将軍率いるファランヘ党によって、ロルカはグラナダ郊外のビズナルViznarで銃殺された。自ら墓穴を掘らされて。
「血の婚礼」や「イエルマ」などの上演で名声を得たロルカ。アメリカ、キューバ、アルゼンチンを訪問したロルカ。ジャン・コクトーやサルバドール・ダリと交友があったロルカ。彼は思想的にはリベラリストで、政治的には大きな活動はなかったとされる。彼の暗殺はファランヘ党が同性愛者を忌み嫌うことに因むとの説もあるが、明らかではない。フランコ政権時代、ロルカの著書は発禁となり、フランコの死によって独裁政権が終わりを告げ、それからようやくロルカについて自由に論じることができるようになった。
 ロルカが銃殺されたとされるグラナダ近郊は、現在「ロルカ記念公園」になっている。ロルカと同時に銃殺された5人の遺族から、遺骨発掘の要望が出され、2009年10月から公園内数箇所の発掘作業が行われた。ロルカの遺族は見世物になることを恐れ、「このまま静かに眠らせて欲しい…」と反対したという。同年12月、公園内では遺骨らしきものは一切発掘されなかったとの結論が出された。再び詩人の死は歴史の闇に謎のまま葬られたが、毎年、震災で多くの人びとを亡くしたこの地KOBEから、ロルカを謳い、コトバをさやぎ続けることを私たちは忘れないでいる。この夏も幕がひらかれるのだ。
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「現代詩手帖」8月号に開催されることが短く紹介される予定です。


◆3.--まろうど社の新刊 金里博著『三島の悲歌』
21日(日)に出版記念会が開かれます。その記念会を踏まえて、この素晴らしき詩集をあらためて紹介いたしたいと思います。


◆4.--文学短報
A-----第1回「吟遊・神戸〈カルメン〉句会」のこと(7月7日〈日〉開催)は、海外からの投句を含めて約100句から選句。ドイツ語、ベトナム語、フランス語などの言語は本人に英訳を施してもらい、日本人の選者のほとんどは、その英訳を読んで選句するというのが現状でした。これはある意味、仕方ないことですが、英語力を試される機会ともなり、いままで経験したことのない多言語句会の面白さと問題点があきらかにされたのです。

B-----詩の教室「カフェ・エクリ」のお知らせ←(8月はお休みです。ただ、「姫路円遊」を企画しています。具体的に決まりましたら、お知らせします)

C----------兵庫県現代詩協会の「読書研究会」(7月15日開催)
その様子を、兵庫県現代詩協会のブログに報告しています。ご覧になってください。
http://hyogo-poetry.jugem.jp/

この「読書研究会」は会員限定ですが、今後も開催予定です。次回が決まりましたら、お知らせします。

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☆『Melange』読書会・合評会の会場=神戸・三宮のスペイン料理カルメン(カルメン==078-331-2228==の場所は以下のサイトを参照してください。阪急神戸線三宮駅西口の北へ徒歩1分の場所にあります。
http://www.warp.or.jp/~maroad/carmen/)。
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神戸で「吟遊」句会をします〈7月7日(日)〉

2013年06月19日 13時50分31秒 | めらんじゅ
第1回「吟遊・神戸〈カルメン〉句会」のお知らせ(7月7日〈日〉)です。



俳誌「吟遊」(夏石番矢・発行人/鎌倉佐弓・編集人)は、現在59号の編集中でありますが、7月に神戸において句会を開催いたしたます。これは「吟遊」同人である私・大橋愛由等が提案したものです。発行人である夏石番矢さんにとっても、神戸は父祖の地ということもあり、「吟遊」関係者にとって縁浅からぬ都市ということになります。

神戸は、伊丹三樹彦の証言にもあるように戦前から「新興俳句」の拠点のひとつでした。戦中には西東三鬼が神戸市内に息を潜めて住み、終戦後は転勤で移り住む金子兜太がいたり、永田耕衣や橋 﨤石、和田悟郎が住んでいたりと、多種多様な俳人が活躍していた都市であるのです。こうして神戸は、俳句の新たな潮流を生み出す〈トポス〉でありつづけていると思っています。句会もまた、この多様性を包含する都市のありように見合った斬新な作風をお待ちしています。締め切りは、7月1日(月)です。

この句会は「吟遊」同人ばかりでなく、誰でも参加できる句会です。みなさんの参加をお待ちしています。

》》》》》句会について《《《《《
開催日/7月7日(日)午後1時~5時
開催場所/神戸・三宮のあるスペイン料理カルメン〒650-0012 神戸市中央区北長狭通1-7-1 電話078-331-2228
参加費/1000円(資料代など) ※投句のみの方は無料
参加資格/「吟遊」の句会ですが、参加資格は問いません。誰でも参加できます。
作品について/俳句は三句(自由詠)。有季/無季は問わず、字足らず/字余りは気にしません。また、俳句以外でも、川柳、自由律、一行詩も可です。日本語以外の言語表現なら三行にまとめてください。英語俳句なら翻訳は必要ありませんが、英語以外の言語表現なら日本語訳ないしは英訳を付してください(参加する人たちはなんとか英語は読めると思いますが、他の言語は読解できないとおもいますので)。作品だけの参加も可。
事前投句先・/投句は、大橋愛由等のメールアドレス maroad66454@gmail.com
まで。締め切りは、7月1日(月)です(すでに海外から作品参加があります)。



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☆会場=神戸・三宮のスペイン料理カルメン(カルメン==078-331-2228==の場所は以下のサイトを参照してください。阪急神戸線三宮駅西口の北へ徒歩1分の場所にあります。
http://www.warp.or.jp/~maroad/carmen/)。
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第82回『Melange』読書会・合評会 のお知らせ

2013年06月06日 08時23分37秒 | めらんじゅ
6月となりました。
朝夕は涼しいものの日中は暑くなりました。
皆さんのお住まいの地域はどのような天候でしょうか。
今月も詩を中心とした文学イベントのお知らせです。

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◆1.--第1回「吟遊・神戸〈カルメン〉句会」のお知らせ(7月7日〈日〉)←新規情報
◆2.--まろうど社の新刊 金里博著『三島の悲歌』←新規情報
◆3.--第82回『Melange』読書会・合評会 のお知らせ(6月30日〈日〉)←追加情報あり
◆4.--詩の教室「カフェ・エクリ」のお知らせ←(7月開催の詳報です)
◆5.--文学短報(兵庫県現代詩協会の「読書研究会」)
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1.--第1回「吟遊・神戸〈カルメン〉句会」のお知らせ(7月7日〈日〉)←新規情報

句会のお知らせです。

俳誌「吟遊」(夏石番矢・発行人/鎌倉佐弓・編集人)は、現在59号の編集中でありますが、7月に神戸において句会を開催いたしたます。これは「吟遊」同人である大橋愛由等が提案したものです。発行人である夏石番矢さんにとっても、神戸は父祖の地ということもあり、「吟遊」関係者にとって縁浅からぬ都市ということになります。

神戸は、伊丹三樹彦の証言にもあるように戦前から「新興俳句」の拠点のひとつでした。戦中には西東三鬼が神戸市内に息を潜めて住み、終戦後は転勤で移り住む金子兜太がいたり、永田耕衣や橋 﨤石、和田悟郎が住んでいたりと、多種多様な俳人が活躍していた都市であるのです。こうして神戸は、俳句の新たな潮流を生み出す〈トポス〉でありつづけていると思っています。句会もまた、この多様性を包含する都市のありように見合った斬新な作風をお待ちしています。締め切りは、7月1日(月)です。
この句会は「吟遊」同人ばかりでなく、誰でも参加できる句会です。みなさんの参加をお待ちしています。

句会について
★開催日/7月7日(日)午後1時~5時
★開催場所/神戸・三宮のあるスペイン料理カルメン〒650-0012 神戸市中央区北長狭通1-7-1 電話078-331-2228
★参加費/1000円(資料代など) ※投句のみの方は無料
★参加資格/「吟遊」の句会ですが、参加資格は問いません。誰でも参加してください。
★作品について/俳句は三句(自由詠)。有季/無季は問わず、字足らず/字余りは気にしません。また、俳句以外でも、川柳、自由律、一行詩も可です。日本語以外の言語表現なら三行にまとめてください。英語俳句なら翻訳は必要ありませんが、英語以外の言語表現なら日本語訳ないしは英訳を付してください(参加する人たちはなんとか英語は読めると思いますが、他の言語は読解できないとおもいますので)。作品だけの参加も可。
★事前投句先・/投句は、大橋愛由等のメールアドレス maroad66454@gmail.com
まで。締め切りは、7月1日(月)です(すでに海外から作品参加があります)。


2.--まろうど社の新刊 金里博著『三島の悲歌』
  ついに出版されました。畏敬する詩人・金里博氏の最新詩集が上梓されました。
  これから各方面で高い評価を得るものと確信しています。
  詳細は次のメールニュースでお知らせします。
  まずは発行されたというお知らせまで。


3.--第82回『Melange』読書会・合評会 のお知らせ(6月30日〈日〉)

✩第1部(午後1時~3時)の読書会は、三年連続で六月に登場していだくのは、平岡けいこ氏。
テーマは、エミリー・ディキンソンの詩について。米国の南北戦争時代に活躍した女性詩人。死後、カイエに残された詩作品が発表され、後のアメリカ文学(特に詩の世界)に多くの影響を与えた人です。岩波文庫に対訳詩集(『ディキンソン詩集--アメリカ詩人選(3)--』亀井俊介編)が刊行されているなど文献の入手が容易です。

✩2部(午後3時から6時)は詩の合評会です。
詩稿締め切りは、6月27日(木)です。今回もみなさんの意欲的な詩作をお待ちしています。このメールアドレスに送ってください。いつものように「月刊めらんじゅ」に投稿作品を収録します。「月刊めらんじゅ」は次号で82号となります。(80号から「巻頭作品」とのタイトルのもとに、目次ページの次に、私がセレクトするか原稿依頼した作品を掲載しています。82号はその三回目。さて、誰の作品が巻頭を飾るのかお楽しみください)

なお、ちなみに、「月刊めらんじゅ81号」をネットに公開しました。以下のサイトをクリックしてください。
https://docs.google.com/viewer?a=v&pid=sites&srcid=ZGVmYXVsdGRvbWFpbnxtYXJvYWQ2NjQ1NHxneDo3OTQ2M2IzZDhlNWRjNzdj
今回はデータの情報量が多いので、読み込みに少しだけ時間がかかります。ご了承ください。(新連載として〈さまよいの星座詩学(1)/双子座/ガルシア・ロルカ〉安西佐有理」が掲載されています。)。

では、平岡けいこさんの挨拶文をお読みください。
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Emily Dickinsonという生き方
                               平岡けいこ

 東日本大震災が起きて2年の歳月が過ぎた。相変わらず復興は進まず、人のいなくなった街は荒れている。そんな時間と並行して私たちの慌ただしい日々は繰り返され電力不足や放射能は心配ではあるが、日常を取り戻したかのように思える。しかしながら、何かが違う。震災直後言葉(詩)を失ったと同時に、私は何かを失ったのだ。加えて昨年6月末の交通事故の後遺障害。痛みを抱えた時に、難解な言葉は辛い。だからといって軽い言葉なら受け入れられるかと言うとそうでもない。どんな時でも国や時代を越えて届く言葉とは何だろう?そう言った点で、私にとってのディキンソンは、去年取り上げた太田省吾氏の無言劇の延長線上にある。

 岩波文庫の『ディキンソンの詩集』亀井俊介編は以前から持ち歩いて、電車に揺られながら何度も読んだ。この詩集が良いのは薄い文庫本であるだけでなく対訳で解説付きである点である。ディキンソンは生涯にわたり1700程の詩を残しているが、彼女はある時から隠遁生活に入る。彼女の詩は彼女の生活する狭い範囲で自然、愛、死、永遠、神といったテーマで繰り返し書かれたものであるから『The
complete poems of Emily Dickinson』Thomas H.
Johnsonを読まなくてもこの岩波文庫はディキンソンの入門書としては十分であった。特にディキンソンに注目していたわけではなく、中原中也やポー(共通点は薄い文庫本)とローテーションで持ち歩いていたにすぎない。原詩を読む限り、ディキンソンの詩は短く、一見簡単に訳せそうである。しかしながら、すぐに行き詰まる。ディキンソン詩の特徴ともいえる定型詩からの逸脱、ダッシュの多様は元より、しばしば文法が正しくなく、彼女独特の単語もあり、解説がなければ何を指すのかわからないような独りよがりな表現は、稚拙で当たり前のことを書きなぐったような感があったし、彼女独特の宗教観などもピンとこなかった。彼女独特のユーモアセンスと自然賛美以外は、あまり面白味を感じなかったのである。

ある時(去年の秋ごろ)するすると彼女の言葉が届いたのである。その時から、彼女の生き方と、彼女の詩は私を魅了した。隠遁生活など現代においては叶うはずもなく(ひきこもりとは何か違う気がする)情報社会の渦に巻き込まれそうな現代ではしばしば自分の思想さえも見失いがちである。勿論ディキンソンのような才女が世間に認められたいと思わなかった訳はなく、出版も試みているが、トーマス・ウェントワース・ヒギンソンに大幅な修正を加えられそうになった為に断念している。時代が彼女に追いつくまでには時間を要したのである。それでもディキンソンは死の直前まで書き続けた。同じ場所にいながら、多くの国や場所を舞台に書いている。才能としか言えない豊かな想像力。想像力というのは私の中では愛を支える中枢であり、詩人に不可欠な要素である。

ディキンソンは1830年12月10日マサチューセッツ州のアマーストに名士の娘として生まれた。当時の女性としては最高と言っても良いほどの教育を受けた才女である。1848年の夏以降は徐々に外出することもなく静かに家事を手伝う隠遁生活に入る。生前に印刷された詩は10編だけ、全て匿名であったにも限らず、1886年5月15日腎炎がもとで55歳の生涯を終えるまで詩作を続けた。死後ヒギンソンとメイベル・ルーミス・トッドによって選集され1890年詩集『Poems』がボストンで出版され大変な人気となる。普通律がもちいられたディキンソンの詩は旋律と合わせやすかった為、芸術音楽の詞としても使用され広くアメリカの民衆に溶け込んだ。アメリカ文学史における現代詩の先駆者として今日ではウォルト・ホイットマンと並ぶアメリカを代表する詩人となったエミリー・ディキンソンの生き方と作品から、詩人とは何であるか?を考えたい。
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これからの予定
====7月(28日〈日〉を予定)/富哲世氏による〈北村太郎(1)荒地時代を中心に〉。テキストは「現代詩文庫・北村太郎集」とします。
====8月17日(土)/第16回ロルカ詩祭 第1部:午後5時~ロルカ詩の朗読
                    第2部:午後6時~詩人たちによる自作詩の朗読


◆4.--詩の教室「カフェ・エクリ」のお知らせ(6月の会のことと7月の予告)

次回は、7月8日(月)。開催地はたつの市「カフェ・ガレリア」です。午前11時からスタートです。
第一部と第二部にわかれます。
第一部は千田草介氏が担当します。取り上げるのは、土橋寛著『日本語に探る古代信仰--フェティシズムから神道まで』。この本は中公新書なのですが、現在版元には新刊として購入できなく(在庫切れか絶版)、私はネット(Amazon)で中古書籍として購入しました。土橋氏といば、国文学者として、注目すべき多くの仕事をしている人てす。今月は上代歌謡研究の文献を読む機会があったので、この人の仕事に接して注目していたところでした。
第二部は、詩の合評会をします。出席者が多い時もありますので、詩稿のコピーは10部ほど用意しておいた方が良いでしょう。

6月3日に行われた「カフェ・エクリ」の様子は、以下のサイトにまとめていますので、ご覧になってください。
http://blog.goo.ne.jp/maroad-kobe/d/20130603
特集は、川柳作家の情野千里さんの作品でした。私(大橋)を含めて、情野さんの作品に対して、選句と選句評を書いていますので、ご覧になってください。

5.--文学短報
A-----「現代詩手帖」(思潮社)7月号は、「藤井貞和特集」。私(大橋)の拙文も掲載予定です。藤井氏と南島とのかかわりを書いたものです。「南島」関係では、詩人の高良勉氏も執筆しています。もしよろしければお読みになってください。

B----------兵庫県現代詩協会の「読書研究会」←再掲 
 協会員に限定の読書会ですが、以下のごとく詩の読書会を開催します。

///////ご案内////////////////
2013年度の兵庫県現代詩協会の事業の一環として「読書研究会」を開催します。

この会は、10月20日(日)の「詩のフィエスタひょうご」で、北川透さんを講師にお呼びするのに先立って、会員の学習会も兼ねて『北川透詩集』を取り上げるものです。多数ご参集ください。

★日時/7月15日(祝・月)午後2時から
★場所/兵庫県私学会館(〒650-0012 兵庫県神戸市中央区
北長狭通4丁目3-13 電話:078-331-6623) 201号室
★テキスト/『北川透詩集』思潮社、現代詩文庫48
    参考文献 北川透著『詩的レトリック入門』思潮社
★会費/兵庫県現代詩協会員は無料