神戸まろうど通信

出版社・まろうど社主/詩と俳句を書く/FMわぃわぃのDJ/大阪編集教室講師など多様な顔を持つ大橋愛由等の覚え書き

神戸の女性作家を語るパネルディスカッション打ち合わせ

2007年09月20日 20時34分25秒 | 出版
本日の昼、パネルディスカッションのパネラーの皆さんに集まっていただき、会の趣旨や進行の方法について私の方から説明。その後に各パネラーの方々に発表内容について語ってもらいました。

貼り付けているムービーは打ち合わせをしている様子です。

当日はしっかりした資料を作る予定です。その資料ものちのち価値が出てくると思っています。

炎暑の神戸を歩く

2007年09月19日 10時08分11秒 | 文化
10.6神戸の女性作家を語るパネルディスカッションについて、マスコミに知ってもらおうと、まず訪れたのが、神戸新聞。生活文化部記者の新開さんを訪れる。お会いするのは初めて。少しだけ応答しただけで、切れ者であることが分かる。このひとは、将来、神戸新聞の文化欄の顔になっていく人だと直感する(今でも、充分に活躍されていますが)。

私が紹介するまでもなく、神戸新聞夕刊コラムに書いた連載などをすでにチェックしてくれていて、用意したコラム文の新聞コピーを渡すまでにはいたらなかった。

パネルディスカッションの話のついでに、意外にも共通の友人がいて驚く。南日本新聞の深野修司記者である。新開さんが、東京勤務時代に、同じ記者クラブにいた縁で知っているという。

神戸新聞(神戸のハーバーランド)を出た後、徒歩で元町、三宮方面に歩き、M新聞、Y新聞、A新聞の神戸総局を訪れる。ベタ記事でもいから紹介されることを祈る。

私が作るマスコミ用チラシは、説明を丁寧にするよう心掛けている。こういう情報まで書かなくても了解事項であるとところまで書いている。それは、若い記者諸氏の便宜を考えてのことでもあるのだ。








神戸の女性作家を語るパネデ02

2007年09月13日 10時02分30秒 | 文学
神戸から神戸ゆかりの女性作家を語る〈詩・短歌・俳句・川柳〉パネルディスカッション


〈取り上げる作家たちのプロフィール〉が各パネラーから報告されましたので、お知らせしておきます。



◎〈詩〉-----たかとう匡子さん
◆多田智満子(1930~2003)
1956年、結婚と同時に神戸、六甲山麓に移り住んで、同年第一詩集『花火』を上梓。十数冊の詩集と評論集、歌集、句集など精力的な仕事をした。英知大学名誉教授。
学者グループとの交流もあり、しぜんとすみわけができている詩人だった。今回は詩人の一周忌に編まれた遺稿詩集『封を切ると』から神戸の大震災をにじませた「残欠の翁」一篇を採り上げて多田智満子の言葉のセンス、洗練された、シャープな詩の言葉、その良質のモダニズムの在処といったところをいっしょに味わっていきたい。―崩れた二階家は/家族もろとも片付けられた/跡地には草一本も残らない/ささやかな雑草の庭さえ失われた//地震から発掘された/残欠の翁一人/たったひとり//妻も子も嫁菜もタンポポも犬ふぐりも/何もかもが欠落した/床下の白蟻の代数学も御破算になった//すべてが終ったとき/虚空に梅が薫ったのだ/天上からの一瞬の気流のように//九十五歳の翁を立たしめるものは/密度の濃い孤独だ/すべては
瓦解するが/孤独は瓦解しない―    (「残欠の翁」前半)
 俳人永田耕衣の句に触発された詩だが、故郷神戸との関連で見ても面白いのではないかと思う。

◎〈短歌〉-----彦坂美喜子さん     
◆歌人・川端千枝のプロフィールほか。
川端千枝は、明治二十年、たけのくち炬口又郎の次女として、神戸市下山手通に生れる。父は神戸で発刊された日刊新聞「神戸ゆうしん又新日報」の経営に参加していた。
その後家族で、須磨の海岸近くの住宅地に移り、親和女学校に進学する。女学校卒業後、十八歳で淡路島の川畑隆平氏と結婚。二年後に長女を出産、その二年後に夫と死別。
短歌は自然主義的傾向で注目された前田夕暮に師事したが、後年退会。病で昭和八年四十六歳で死去している。歌集も、生前の『白い扇』と亡くなってからの『川端千枝全歌集』があるだけで、超有名な女流歌人ではない。その歌人を取り上げようと思ったのは、男尊女卑の時代の中でも女性として表現者として、自立した意志の強さをもっていると思うからである。これは、彼女の育った神戸という町の環境が影響しているのかもしれない。短歌にこだわり文学として作品主義を貫こうとした千枝の作品を手がかりに、彼女の内面や意志の強さ、意識のあり方を探っていきたい。

★作品
着なれたる紅裏とりて白絹にかへんと思ひゐたるこの春(絶詠)
ひとたびの怒りも妻に見せずして終りしといふもの足りなさか
艦伊勢○○へ出動
○○の伏字せんなしそのゆくへいづれは西の海とおもへど
吹きあぐる火事の火の粉は風に散りゆるやかに落ちてまのあたり消ゆ
物置の白壁に照る陽はあつし夾竹桃のかげあざやかに(明石なる母の家に)
冷かる瞳をもてるひと一人まじへて暗き家なりけり(須磨なる実家に帰りて)
何もかも賈りて墓のみ残る日の故郷さみしくおもほゆるなれ
道すがら化けよま黒き此の帽にひそませ送る一羽の小鳥
海越えて遠く來ませる君のため鳴門みかんをもぐ雨の中
いざわれら遠くにのがれゆくてむと人見がくれに手にぎりにけり
照り曇り陽はさだまらず風狂ふ逢ひにゆく日の甲板の上
開きたる障子重なる桟のかげくるふたてつけのままにゆがめり
はたかれし形そのまま手にのこり雨冷ゆる夜の蚊は大きかり
現身のこのらちなさよ眼にすらもとめて見がたき棘にぞうづく
蚊のくひし指のふくれに爪あてて涙ぐましき思ひはつづく
なやましき心きはまるひとときは安らなるべき死の幸思ゆ
八重の芍薬二ひら三いら散りこぼれ散り誘はれてかつ散るもろく
淋しさの身内に迫るものありて言ひてしかもよ偽りごとを
面かはりせずとかた迭みにいひかはす女心のあはれさに居て
ひとり子の愛につながれこの憂さに堪へや果つべきわれかもつひに
背くべき人をももたず背かるる人をももたぬひとりならしめ

★川端千枝の内面や、意志の強さを、自然主義の表現をとるこれらの作品からみてい
く。

◎〈俳句〉-----堀本吟さん
*  関西はいまやひとつの文化だともいいえる、どうじに神戸、大阪、奈良、京都、紀伊熊野など、それぞれ歴史性をまもり独自の文化をまもって交流しているので、そこ深い魅力をもつ。神戸はモダンな都会、異国風な港町。海と山が近接している地形でもあり、あこがれと自閉性がよじれあった複雑な境界地でもある。その街を舞台に女性の俳句をみようとするとき、神戸の同人誌などを結集した新興俳句の拠点「旗艦」、「青玄」(日野草城主宰)の系譜から、つぎの二人がうかびあがる。
*  桂信子は、「旗艦」→「青玄」→「草苑」とひとつの流れを築貴、90歳で大往生。戦後俳句の代表とも言える、夫戦死以後独身、知の殿堂神戸大学に勤務していたこともあり、戦後を生き抜いた働く女性でもあった。
*  伊丹公子は高知生。俳句界にのびのびした西洋風の詩情をもちこみ、広い世界を獲得している。「まるめろ」に参加して伊丹三樹彦とであい。以後夫婦コンビで尼崎に住み、日野草城亡き後の「青玄」をそだてる。解散後は母として後継誌「青群」をみまもる。村野四郎に学んだ自由詩のセンスがとけ込んだ旅行吟、風のながれのように動きやすくしかも明晰であり、そこに「神戸的」なる詩情を感じる。
 信子には思索的な単独者の風貌があり、公子はむしろ妻であり母であり、「青玄」では地方出の若い同人、たとえば坪内稔典氏にとっては精神的な姉であった、という。
少女の儘の母性と言うべきふしぎなカリスマ性がある。
    やはらかき身を月光の中に容れ      桂信子 (『月光抄』    
    思想までレースで編んで 夏至の女   伊丹公子(『メキシコ貝』)

◎〈川柳〉-----樋口由紀子さん
   神戸ゆかりの女性作家を語る <時実新子>
◆時実新子は平成7年の阪神大震災で自らも被災し、「他の文芸よりストレートな川柳は、災害の力をはね返す」と<平成七年一月一七日 裂ける>という一句を詠み、合同句集『わが阪神大震災―悲苦を超えて』を刊行し、大きな反響を巻き起こしました。昭和62年に朝日新聞社から出版された『有夫恋』は川柳界初のベストセラーで、川柳を知らない一般読者に川柳を広め、エッセイストとしても活躍し、多くの女性の心を揺さぶりました。
昭和62年再婚を機に神戸市に転居し、平成8年に神戸を本拠地にして月刊「川柳大学」を創刊し、会員を育てましたが、今年3月に神戸市内の病院で肺がんのため亡くなりました。
新子は女が今よりももっとモノが言えなかった時代、川柳においても男性中心の世界で、一人の女性の立場から物を言い、毅然と自我を主張しました。今日の女性作家のさきがけで、川柳界に新しい道を切り拓きました。通俗を人間の本質とみなし、そこに価値を置き、意味性の強さを前面に押し出した彼女の川柳は人を立ち止まらせる魔力があります。烈しく生きた時実新子を紹介します。

越境の詩学

2007年09月06日 10時02分35秒 | 思想・評論
小池正博氏から原稿依頼のあった『バックストローク』誌の原稿をようやく書き上げ、メール送稿。

題名としたのは、「越境する詩学----詩・俳句」。
藤井貞和氏の向こうを張って、題名をつけてみた。
少々"おちょけ"の精神で付けたのだが、題名を聴いた詩人の安西佐有理さんは笑っていた。

原稿を一本仕上げた勢いで、あと何本か、締め切りが決まっていない連載コラムを書く予定にしている。

今月は、『Melange』読書会・合評会がお休みであるために、時間的な余裕があるのです。

(ちなみに"おちょけ"とは、おそらく関西で言い習わしているコトバで、「おちょける」という動詞でも使う。「ほたえる」とほぼ同意で、道化的役割を自ら演じることや、その演じる者を指す。関西には、どこにでも人を笑わせる先験性をもった人間がいるものだ。)

神戸ゆかりの女性作家を語るパネルディスカッション

2007年09月02日 16時34分32秒 | 出版
10月6日(土)神戸文学館で、「神戸から神戸ゆかりの女性作家を語るパネルディスカッション〈詩・短歌・俳句・川柳〉」を行います。

これは私が、企画・進行・司会をする文学イベントです。

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◎神戸から神戸ゆかりの女性作家を語るパネルディスカッション〈詩・短歌・俳句・川柳〉


〈開催趣旨〉神戸文学館が開館したことを機に、神戸から文学のありようを議論していくメディアとして、パネルディスカッションを開催いたします。

◆テーマ「神戸から神戸ゆかりの女性作家を語る〈詩・短歌・俳句・川柳〉」

◆場所 「神戸文学館」〒657-0838神戸市灘区王子町3丁目1番2号 電話・FAX078-882-2028

◆日時 2007年10月6日(土)午後2時~4時

◆内容/詩、短歌、俳句、川柳の各界で活躍する女性作家兼評論家に、パネラーとして参加してもらい、それぞれのジャンルから、神戸ゆかりの女性作家についての評価、読み直しを提議することで、神戸という〈場〉が作家たちに与えた文学的位相を、モダニズムの観点から、会場参加者との応答を兼ねたパネルディスカッション形式で展開したいと思っています。

◆パネラーの方々と取り上げる神戸の作家たち
〈詩〉 たかとう匡子さん (多田智満子)
〈短歌〉彦坂美喜子さん  (川端千枝)
〈俳句〉堀本 吟さん  (桂信子、伊丹公子ら日野草城系の女性俳人)
〈川柳〉樋口由紀子さん (時実新子)
---------(司会)大橋愛由等(詩誌『Melange』同人)

以上のような趣旨で、パネラーは全員女性に出演していただき、司会進行は黒一点のわたし・大橋です。
四人のパネラーは各ジャンルで活躍している方々で、実作者でありかつ、評論もものする人たちです。

こうした企画が可能になるのは、去年(2006年)12月に誕生した神戸文学館の存在があってこそのものです。同館が出来たことを神戸で文学表現にかかわる者にとって深く感謝するものなのです(この神戸文学記念館が出来ることをどれだけ待望したことでしょう)。

◆「メランジュ神戸文学セミナー」についての問い合わせと連絡は、図書出版まろうど社の大橋愛由等までお願いします。

◆パネラー紹介
◇たかとう匡子(たかとう・まさこ) 
1939年神戸市生まれ。詩集に『ヨシコが燃えた』、『神戸一月十七日未明』(編集工房ノア)、『ユンボの爪』(砂子屋書房)、『立ちあがる海』、『水嵐』、『水よ一緒に暮らしましょう』、『学校』(第8回小野十三郎賞)(思潮社)、『新編ヨシコが燃えた』(澪標)など。エッセイ集に『神戸ノート』、評論集に『竹内浩三をめぐる旅』、『地べたから視る―神戸下町の詩人林喜芳』(編集工房ノア)。日本文藝家協会、日本ペンクラブ会員。

◇彦坂美喜子(ひこさか・みきこ)
1985年・春日井建主宰の中部短歌会入会。昭和63年度中部短歌会「短歌賞」受賞。評論に「歌と女流歌人の意識―男殺しの衝動からー」(第5回短歌研究「現代短歌評論賞」候補論文)、「現代短歌はどこで成立するか」(会誌連載56回・昨年完了)など。春日井建逝去により中部短歌会退会。2005年1月・名古屋で井泉短歌
会を竹村紀年子らと発足。歌誌「井泉」創刊。編集委員。大阪でもsora歌会を始める。
歌集『白のトライアングル』。

◇堀本 吟(ほりもと・ぎん)
1942年犬山市生、松山市で育つ。「船団」初期の編集部委員を経て現在「豈」所属。「関西戦後俳句聞語りの会」で和田悟朗、故鈴木六林男、津田清子、等に 公開インタビュー。「豈39―2号特別号関西編」(特集。関西の前衛俳句)を編集。現在、超ジャンルの「北の句会」や読書会を切り開く。著書・評論集『霧くらげ 何処
へ』(1992・深夜叢書社)。句集無し。水滴のように言葉を蒸発させるべきか、いややはり一冊は遺品として残そうか、と考慮中。

◇樋口由紀子(ひぐち・ゆきこ)
1953年大阪府高槻市生まれ、姫路市在住。1981年時実新子の句集『月の子』に惹かれ川柳を始める。「MANO」編集発行人「バックストローク」「豈」同人。句集に『ゆうるりと』『容顔』セレクション柳人『樋口由紀子集』共著に『現代川柳の精鋭たち』。川柳Z賞大賞受賞。川柳句集文学賞大賞受賞。現在神戸新聞文化センター、姫路よみうり文化センター川柳講師。「川柳マガジン」印象吟選者。

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『めらんじゅ』合評会のお知らせ

2007年09月01日 14時55分24秒 | めらんじゅ
『Melange』の合評会についてのお知らせです。

8月の恒例の「ロルカ詩祭」は、城戸朱理氏をゲストに迎えて、盛況のうちに終わりました。城戸朱理氏もブログで報告していますので、ご覧になってください。
http://kidoshuri.seesaa.net/

さて、詩誌『Melange』読書会・合評会についてですが、今月は本誌9号が7月に刊行され、その合評会を行うためにお休みとさせていただきます。10月と11月に今年はあと二回行いますので、参加して下さい。

さて、本誌『Melange』9号の合評会ですが、もっぱら同人向けの会合となりますが、誌友の方もどうぞ参加してください。参加自由です。3年ぶりに刊行された同誌のこれからの方向性なども話し合いたいと思っています。10号からは寺岡良信新編集長のもとで新しい誌面づくりが始まります。

また、10月は、(1)6日(土)神戸文学館で、「神戸から神戸ゆかりの女性作家を語るパネルディスカッション〈詩・短歌・俳句・川柳〉」を私が、企画・進行・司会をします。最初、このイベントは「Melange文学セミナー」と銘打っていたのですが、神戸文学館側から私的な名称は遠慮してほしいての申し出があり、看板をおろした経緯がありますが、パネラーには同人の彦坂美喜子さんや、読書会に参加している堀本吟さんも入っていることから、実質的には、「Melange文学セミナー」と思っています。

そして翌週13日(土)には、神戸ビエンナーレ協賛事業である「(第10.5回)ロルカ詩祭」をカルメンにて行います。詳細は下記を参照してください。

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◎『Melange』9号合評会


◆日時=9月16日(日)午後1時00分から。

◆会場=神戸・三宮のスペイン料理カルメンで行います。
(カルメンの場所は以下のサイトを参照してください。阪急三宮駅西口の北へ徒歩2分の場所にあります。 http://www.warp.or.jp/~maroad/carmen/)。

◆順次、同人の作品を合評していきます。

◆このあと、10号について、「神戸から神戸ゆかりの女性作家を語るパネルディスカッション〈詩・短歌・俳句・川柳〉」、「(第10.5回)ロルカ詩祭」について話題としたいと思っています。


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