ねじめ正一著『荒地の恋』(文藝春秋)を読了。
著者インタビューが読売新聞に掲載されていたので気になっていたところ、私の携帯に電話が入って「新古書店でみつけました」とAさんから連絡が入ったので、購入してもらい一気に読み上げた。
戦後を代表する荒地派詩人の田村隆一、鮎川信夫、中桐雅夫や主人公である北村太郎が華々しく登場する。
物語は、朝日新聞東京本社校閲部に勤務していた北村太郎と、田村隆一の夫人である明子との恋愛から始まる。平穏な家庭生活を営んでいた北村だったが、詩人としては寡作家だった。それが明子との恋に落ちて以来、家を出て、貧窮しながらも、詩を多く書き、カルチャーセンターで教え、翻訳稼業をしながらなんとか生きていく。荒地の詩人たちの濃密な人間関係が巧妙に描写されているのが本書の読みどころのひとつだろう。
表現者たちというのは、単に文学創作を共にするといった淡い関係に成り立つ集団ではなくて、時に愛憎の場をつくる生々しい人間関係の場でもあるのである。
今、私が属している詩誌『Melange』同人についても、いくばくかの物語性に満たされている。将来誰か、「メランジュ物語」を書かないしら。
著者インタビューが読売新聞に掲載されていたので気になっていたところ、私の携帯に電話が入って「新古書店でみつけました」とAさんから連絡が入ったので、購入してもらい一気に読み上げた。
戦後を代表する荒地派詩人の田村隆一、鮎川信夫、中桐雅夫や主人公である北村太郎が華々しく登場する。
物語は、朝日新聞東京本社校閲部に勤務していた北村太郎と、田村隆一の夫人である明子との恋愛から始まる。平穏な家庭生活を営んでいた北村だったが、詩人としては寡作家だった。それが明子との恋に落ちて以来、家を出て、貧窮しながらも、詩を多く書き、カルチャーセンターで教え、翻訳稼業をしながらなんとか生きていく。荒地の詩人たちの濃密な人間関係が巧妙に描写されているのが本書の読みどころのひとつだろう。
表現者たちというのは、単に文学創作を共にするといった淡い関係に成り立つ集団ではなくて、時に愛憎の場をつくる生々しい人間関係の場でもあるのである。
今、私が属している詩誌『Melange』同人についても、いくばくかの物語性に満たされている。将来誰か、「メランジュ物語」を書かないしら。