神戸まろうど通信

出版社・まろうど社主/詩と俳句を書く/FMわぃわぃのDJ/大阪編集教室講師など多様な顔を持つ大橋愛由等の覚え書き

明日から

2010年01月17日 22時52分33秒 | 通信
明日から冬恒例の奄美旅です。

今回は沖永良部島、徳之島、大島を巡ります。

三泊四日の相変わらずの急ぎたびです。

17日の震災の日を経過してのこの旅は1996年から続けて今回で15回目となります。

神戸震災文学シンポジウム

2010年01月11日 12時16分55秒 | 思想・評論
いよいよ阪神・淡路大震災の発生から15年目を迎えようとしています。
1.17が近づくと、救急車のサイレン音を聴くだけで、胸騒ぎがします。
また、今も聞こえるのですが、拙宅の近所で、家を解体している音。これも1.17のあ
とさんざん街に響いていた音です。壊しているのは、その家ばかりでなく、街や、神
戸や、わたしであるかのような思いにかられます。


参加は自由。会場の神戸文学館は、関西学院大学の創立地に建てられたチャペルを活
用。素晴らしい環境です。皆さまのふるっての参加をお待ちしています。


》》》シンポジウム「神戸 震災文学を語る〈詩・短歌・俳句・川柳〉」《《《

★日時/2010年1月16日(土)午後1時30分~3時30分
★場所/神戸市立神戸文学館
〒657-0838神戸市灘区王子町3丁目1番2号 電話・FAX 078-882-2028 阪急「王子
公園駅」下車、神戸市立王子動物園の西隣。徒歩7分。JR「灘駅」からは北へ徒歩10
分。
★参加費/200円

◆企画趣旨/1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災は、神戸の歴史や文学に大
きな断層を生み出した出来事です。この震災が、神戸の文学のありようにどのように
変化させていったのかを検証しつづけることが、神戸で生き、生活している者の大き
な仕事であり続けると思っています。震災から15年を迎える前日(1月16日)に、
「神戸震災文学を語る」というテーマでシンポジウムを企画しました。
 詩、短歌、俳句、川柳の各文学ジャンルで活躍している表現者のみなさんに参加し
ていただき、阪神・淡路大震災が発生して書かれた作品を語ることで、なにが表現さ
れたのか、またそれらの作品は、各ジャンルの創作史の中でどのように位置づけられ
るのかを、検証してもらいます。

◆パネラーと取り上げるジャンル
  〈 詩 〉 たかとう匡子 (詩人)    
  〈短歌〉 彦坂美喜子    (歌人) 
  〈俳句〉 野口 裕     (俳人) 
  〈川柳〉 小池正博     (柳人)  
          ---------(司会)大橋愛由等(図書出版まろうど社代表)

◎〈詩〉-----発表者/たかとう匡子
◆発表骨子
 私のなかには、震災の体験は打ちのめされたのは自分の言葉だったという思いが今
もある。現実のほうが圧倒的に凄まじかったということで、言葉より現実の方が強い
のだからその現実を言葉でとらえることは並大抵ではない。この経験の先行形態とし
て、たとえば金子光晴の『黄金蟲』がある。金子は地震を契機に評判の高かったこの
サンボリズム詩集の継続を捨ててしまった。私にとっても只ごとではない。その辺り
を自分の経験に重ねてお話してみたい。

◇たかとう匡子 (たかとう・まさこ)
詩人。日本文藝家協会会員。神戸で被災。震災後、この体験をモチーフにした詩集
『ユンボの爪』、『立ちあがる海』、『水嵐』など五冊を刊行。ほかに詩集『学校』
(第8回小野十三郎賞)『女生徒』。エッセイ集『神戸ノート』など。 

◎〈短歌〉-----発表者/彦坂美喜子
◆発表骨子
歌には、その場の状況や事実を記録する機会詩としての側面があるといわれている。
それは、震災後の新聞歌壇や短歌雑誌に、阪神大震災の作品がたくさん寄せられてい
ることを見ても分かると思う。しかし、作品というレベルで考えるとき、単に事実を
直截に詠めばいいのかという問題も起きている。事実の再現・報告の素朴リアリズム
か詩的想像力か。震災から15年経った現在、「風化しない震災の表現とは」につい
て考えてみたい。

◇彦坂 美喜子(ひこさか・みきこ)
1985年・春日井建主宰の中部短歌会入会。昭和63年度中部短歌会「短歌賞」受
賞。歌誌「井泉」創刊同人。編集委員。評論「現代短歌はどこで成立するか」。大阪
歌人クラブ会員。中原中也の会理事。歌集『白のトライアングル』。

◎〈俳句〉-----発表者/野口裕
◆発表骨子
 代表句、「鉛筆の遺書ならば忘れ易からむ」の林田紀音夫は、昭和五十年の第二句
集「幻燈」以降、沈黙するかのように句集を出さぬまま、平成十年に逝去した。唯一
の弟子、福田基氏はその後の句を拾い上げ、「林田紀音夫全句集」をまとめた。そこ
には、平成七年に被災した際の八十句ほどが含まれている。時宜を得た発表をすれば
反響もあったであろう。しかし、彼はあえてそれを見送っている。なぜだろうか? 
考えてみたい。

◇野口裕(のぐち・ゆたか)
 一九五二年生まれ。一九九四年、震災の前年より五七五を手がける。「五七五定型」
同人。「垂人」、「逸」などに作品を発表している。インターネット上のWEB「週
刊俳句」で「林田紀音夫全句集拾読」を連載中。

◎〈川柳〉-----発表者/小池正博
◆発表骨子
 堺の川柳人・墨作二郎は震災直後に百句を書き、一冊の句集にまとめている。震災
の直接体験者ではないが、川柳界の反応として早い時期のものだった。大きな出来事
が起こったとき、直接体験者は衝撃から立ち直り表現に至るまでの時間を必要とする。
一方、第三者による表現がどれだけ真実をとらえているかについては、懐疑的な見方
もある。震災をめぐる時事句(社会詠)に対して、体験者・非体験者による表現の差異
と問題点を考える。

◇小池正博(こいけ・まさひろ)
 「MANO」「現代川柳点鐘の会」会員。「バックストローク」「豈」「五七五定
型」同人。句集にセレクション柳人『小池正博集』(邑書林)。評論集『蕩尽の文芸』
(まろうど社)。共著に『セレクション柳論』。