神戸まろうど通信

出版社・まろうど社主/詩と俳句を書く/FMわぃわぃのDJ/大阪編集教室講師など多様な顔を持つ大橋愛由等の覚え書き

うた59-5/縦ノリのPPM

2014年05月31日 06時21分10秒 | 通信
うた59-5/ジャズに傾倒する前はフォーク・ソングを聴いていた。

https://www.youtube.com/watch?v=UNSyqazXfGE


すべて英語詩の世界である。
紹介するのは、Peter, Paul & Mary(PPM)が歌う「Hangman」。
動画で見るとPPMが乗りに乗って歌っている姿が印象的である。

この歌、ヨーロッパの古謡で、PPMが採譜してレパートリーに入れたという。
奄美のウタシャも自分のシマ(集落)のうた(=シマ・ウタ)を超えて他の集落(ヨソ・ジマ)のうたを採譜して自分のレパートリーに取り入れ、それがひいては奄美大島全体のシマウタ・レパートリーになっていったので、PPMも同じような〈うたの編集作業〉をしていることになる。

「Hangman」は古謡らしく物語性に富み、かつ反復性が特徴でわかりやすい。このうたの背景に、蓄積された民の記憶を感じることができる。
いままさに処刑される寸前の男が死刑執行官にうったえている。「あそこにわたしの父が見えるだろう。解決金(あるいは保釈金)を持ってきてくれるかもしれない」と執行を猶予するよう懇願する。ところがやってきた父は「金は持ってきていない。おまえが絞首台からぶら下がるのを見に来たのだ」と淡々と答える。そして次に母や兄弟もやってくるが結果は同じ。そして最後に恋人がやってきて、その答えの部分を Maryが歌うのである。さて、この男の運命はどうなるのか--といったワクワクする内容である。
(和訳は以下のサイトで試みられている。参照されたし。http://blog.livedoor.jp/lemontree123/archives/654273.html)

フォーク・ソングとは「民のうた」である。わたしがこのジャンルのうた世界に惹かれていったのも、フォーク・ソングがギター一本というシンプルな伴奏楽器を使って、民のありようそのものに近接している姿勢に共鳴したのであろう。1960年代の日本は歌謡曲の全盛時代で、この歌謡曲の演出されきった商業主義的な抒情世界がきらいで仕方なかった。

うた59-4/神さまコルトレーンさま

2014年05月30日 08時48分16秒 | 通信
うた59-4/

この人の、この曲を外すわけはいかない。

https://www.youtube.com/watch?v=9Es5Ru6K9FE


ジョン・コルトレーンの「My Favorite Things」。
高校三年の時カセットテープに吹き込んで毎朝聴いていた。
その時、聴いていたのは、スウェーデンで公演した時に録音された海賊版。いまどこを探しても見当たらない。CDで聞きたいのだけど。

この曲、呪術的なモードがたまらない。ぼくにとって神々たちの調べである。

今回紹介した動画は、なまなましく神々たちの演奏を再現してくれる。
1970年台は、音(LPレコード)の再生が中心であり、その音再生に関してオーディオ装置がかなり発達していたので、また動画を再生する装置も発達していなかったので、いまこうして動画に収められていることに驚きを感じる。

この動画は、コルトレーン以外に、エリック・ドルフィンがフルートで参加しているのも魅力である。
なんど観ても、素晴らしい演奏だ。 

うた59-3/初音ミク、奄美しまうたを歌う

2014年05月29日 08時50分41秒 | 通信
うた59-3/

あの初音ミクが奄美大島のシマウタを歌っていると聴いた時の衝撃は大きかった。

まずは「朝顔節」https://www.youtube.com/watch?v=s6l-GsjnLbY

サンシンもしっかりしている。バックにガムランが鳴っている。ジャバラ・レーベルの乗りか。

さらに「らんかん橋節」https://www.youtube.com/watch?v=QWsiguLelBo 
も追加されている。

ファルセット〈裏声〉が、単なる高音になっているのがまだ改善の余地を残している。また裏声に移るときの絶妙の節回しもミクちゃんは習得してほしい。
近い将来、「初音ミク 奄美シマウタを歌う」といたCDが出現するのだろうか。楽しみである。

わたしは、奄美群島のシマウタや歌謡を紹介するFM番組を続けて18年になるので、奄美シマウタへのこだわりは、そこそこに強く持っている。

うたを巡る-02/カマロン、パコ=フラメンコの真髄

2014年05月28日 13時52分23秒 | 文化
うた59-2/

2回目はフラメンコ。

どの世界にも天才はいる。稀代のカンタオーレ(男性の歌い手)カマロン、そして少し前不慮の事故でなくなったギタリスタのパコ・デ・ルシア。
二人とも故人になったゆえにこの動画は貴重である。
https://t.co/9pd7TpSso0 
曲は「ブレリア」。二人の火花が出るような掛け合いが凄まじい。
フラメンコは(奄美シマウタのような)カンテ同士の掛け合いはないが、カンテとギターラとの掛け合いが聞き応えがある。

パコのギターラは歌伴にとどまるこたなくバシバシと音を挑発的に入れ込んでいく。カマロンも負けてはいない。この録音、1976年だそうで、若い二人はノリに乗っている。

楽譜のない口誦性ゆたかな芸能であるフラメンコの醍醐味を見ることができる。はたして今後フラメンコにこの二人を超える演者は出現するのだろうか。

59のうたを巡る-1/吉田美奈子のバラード

2014年05月27日 13時45分22秒 | 文化
うた59-1/

わたしにまつわる<うた>を集めてみよう。
59の〈うた〉をネットにあげることで自らの音楽履歴を振り返ってみる。
物心ついて自ら選びとった曲、忘れられない曲、そして今のわたしにまつわる曲を紹介することにしよう。

1回目は学生時代から聞いてきた吉田美奈子。歌唱力抜群のこの人が歌うバラード曲は絶品だ。
https://t.co/qxNLoOdNen 
紹介するのは、「時よ」。男女の別れの切なさを歌い上げる。なんど聴いても胸がしめつけられる思い。

第91回「Melange」読書会・合評会のお知らせ

2014年05月10日 16時26分48秒 | めらんじゅ
ゴールデンウィークも終わり、季節は初夏の気配さえします。
四月はこの「Melange」通信はお休みしました。月例会の代わりに、寺岡良信著『詩集 龜裂』を語る会(=出版記念会)が行われました。盛会でした。


INDEX------------------------------------------------------------------------------------
◆1.--第91回『Melange』読書会・合評会のお知らせ(5月25日〈日〉)
◆2.--カフェ・エクリ〈5月12日(月)〉
◆3.--木澤 豊詩集『かもめホテル』出版記念会〈6月15日(日)〉
◆4.--文学短報=A/俳句情報 B/兵庫県現代詩協会の関連事業

--------------------------------------------------------------------------------------------

◆1.--第91回『Melange』読書会・合評会のお知らせ(5月25日〈日〉)

読書会(pm1:00~3:00)の発表者は、小説家・千田草介氏です。仮題を「黒田官兵衛と播磨と文学と」を私が勝手に名付けておきます。千田氏は、「姫路文学127号」に小説「黒田官兵衛 中国大返し秘聞」を執筆されており、播磨の視点から羽柴秀吉の「中国大返し」を作品化しています
私なりに千田氏の語りで注目することを書いておきます。黒田官兵衛は、今年NHK大河ドラマで大きく扱われていて、放送もいままさに戦場と化している播磨のことが毎回登場します。この〈播磨〉とい地所は、そこに住む人たちとって、域内の多様性(東播・北播・西播・中播)が感得されています。しかし見方を変えれば、その多様性を見て取るほど地域実体として〈播磨〉が認識されているということであり、〈攝津〉に住むわたしが〈攝津〉を地域実体として認識しずらいのと、大きな差異があります。いわば〈播磨〉を語るということは、Regionalism(=地域としての実体性)と文学の関係にも敷衍して語りうるものと思っています。


 第二部は合評会(pm3:00-6:30)を催します。詩稿の締め切りは、5月22日(木)です。締め切りは守ってくださいね。合評会に出席できなくとも、送っていただいた詩稿は、「月刊めらんじゅ」に掲載します。同誌は91号を迎えます。みなさんの意欲的な作品をお待ちしています。また91号は、「寺岡良信著『詩集 龜裂』特集」を組みます。このメールとは別途、何人かの方に原稿依頼いたしますので、よろしくお願い致します。

「月刊めらんじゅ」をpdf化してネットにあげました。ご覧になってください(情報再掲)。
「月刊めらんじゅ」88号
https://docs.google.com/viewer?a=v&pid=sites&srcid=ZGVmYXVsdGRvbWFpbnxtYXJvYWQ2NjQ1NHxneDoyMTM2OWJhZmFkM2Q1YjZm

「月刊めらんじゅ」89号
https://docs.google.com/viewer?a=v&pid=sites&srcid=ZGVmYXVsdGRvbWFpbnxtYXJvYWQ2NjQ1NHxneDoyMTM2OWJhZmFkM2Q1YjZm


◆2.--カフェ・エクリ〈5月12日(月)〉

播磨を舞台にした詩の会「カフェ・エクリ」の紹介です。以下は、主宰者のひとり高谷和幸さんからのメッセージです。
--------------------------------------------------------------------------------------------
通勤・通学の新人たちの歩き方が少しいさましく見えるこの頃です。
エクリを5月12日(月)午後2時から「姫路イーグレ内 アイメッセ会議室」で開きます。
今回の講演者は千田草介さんです。
テーマはNHK大河ドラマの黒田官兵衛にちなんで、
はりまの武将から地域の深層に流れる気質をお話ししていただきます。
危機的状態、岐路に立たされた時になぜこのような決断をくだしてしまうのか?
そこに共通した「はりま気質」のようなものが我々をそうさせるのかもしれません。
意識の表面には現れない、深層の心理をさぐっていただきます。
2部は合評会です。
自作詩を10部程度ご用意ください。

これは予感ですが、
さらにサプライズがあるかもしれません。〈大橋注/今回は二次会の会場として、料理とワインが楽しめるかもしれません〉

 ☆2014年前半の「カフェ・エクリ」予定
  ・6月09日(月)龍野ガレリア   11時から
--------------------------------------------------------------------------------------------



◆3.--木澤 豊詩集『かもめホテル』出版記念会〈6月15日(日)〉

われらが誇るべき詩の大先輩である木澤豊さんの詩集が上梓されました。
第七詩集となると聞きます。
柔らかな感性に包まれた詩世界です。
6月15日(日)に大阪・谷町六丁目の〈薬業年金会館〉 〒542-0012 大阪市中央区谷町6丁目5番4号 TEL(06)6768-4451
で開催します。詳細がわかりましたら、この通信でお知らせします。

◆4.--文学短報
A-----俳句情報です
夏石番矢氏・鎌倉佐弓氏が編集・発行する句誌「季刊・吟遊(62号)」が出来上がりました。大橋は、俳句を9句、そして奄美の文芸に関する随想を寄せています。吟遊同人以外では、「Melange」同人でドイツ在住の岩脇リーベル豊美さんが、句を寄せておられます。日本語とドイツ語訳を付した作品です。なかなかの出来です。
 そして今年も「吟遊・神戸カルメン句会(第二回)」を夏に開催する予定です。日本語ばかりではなくて、多言語で寄せられる俳句/HAIKUを俎上に載せる句会です。スリリングな内容です。詳細はわかりましたらお知らせします。

B-----兵庫県現代詩協会の事業紹介です〈現在、同協会の常任理事を務めている関係上、お知らせするものです〉

*01
兵庫県現代詩協会の年次総会が、5月18日(日)に神戸市で開かれます。
2013年度の総括と、2014年度の新規事業が議題になります。
総会が終わりましたら、報告します。
今年度も、引き続いて私・大橋は、常任理事として汗をかきます。

*02
兵庫県現代詩協会のブログ http://hyogo-poetry.jugem.jp/
に「今月の詩」という連載が始まっています。これは毎月一人ずつ会員の作品を紹介するという企画です。
この企画は、去年9月から始まったもので、作者名、作品名の順です。事務担当は大橋です。
2013年09月/かただときこ 「手」
    10月/飽浦 敏  「菫」
    11月/小島みどり  「すずむし」
    12月/和比古  「やさしさを感じて」
2014年01月/黒住考子  「冬立つ」
    02月/井口幻太郎 「蜻 蛉」
    03月/増田まさみ 「離郷」
    04月/たかはしふみこ 「しゃくなげに」

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
☆『Melange』読書会・合評会の会場=神戸・三宮のスペイン料理カルメン(カルメン==078-331-2228==の場所は以下のサイトを参照してください。阪急神戸線三宮駅西口の北へ徒歩1分の場所にあります。
http://www.warp.or.jp/~maroad/carmen/)。
//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////