神戸まろうど通信

出版社・まろうど社主/詩と俳句を書く/FMわぃわぃのDJ/大阪編集教室講師など多様な顔を持つ大橋愛由等の覚え書き

第146回「Mélange」例会のお知らせなど

2019年09月22日 12時41分02秒 | めらんじゅ
2019年9月の神戸からのメールニュースです。

今月は「Mélange」、「カフエ・エクリ」とも月例会は月末です。

神戸から、詩と俳句を中心とした文学イベントのお知らせです。

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◆1.--第146回「Mélange」例会〈9月29日(日)〉読書会と合評会 
◆2.--カフェ・エクリの活動〈9月30日(月)〉+「カフェ・エクリ」の一泊旅行〈11月18日〜19日〉
◆3.--オルタネイティブ・フォークフェスタ〈仮称〉(11月4日〈日〉)
◆4.--文学短報=A/――南海日日新聞の連載コラム「つむぎ随想」 B――第22回吟遊同人総会・懇親会(10月20日〈日〉)C/――俳誌「奔」4号について D/――元正章牧師の「益田っこ通信」から転載
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◆1.--第146回「Mélange」例会〈9月29日(日)〉読書会と合評会
146回目の「Mélange」例会は第一部「読書会」(pm1:00~3:00)。第二部「合評会」(pm3:15~6:00)の構成です。7月の例会「読書会」は、野口裕さんが担当します。テーマは、「西東三鬼全句集拾い読み」。以下に野口さんから送られてきた案内文を掲載しておきます。ちなみに西東三鬼の全句集については、角川文庫から2018年に刊行されているので入手しやすくなっています。

――――――――――「西東三鬼全句集拾い読み」にむけて-----------              
        
         野口 裕

 以前、漱石の「野分」を読んだときに、結末の部分が「文七元結」を彷彿とさせるところがあり、少しびっくりしたことがあった。よく考えると、寄席を愛好し圓朝に倣って言文一致体を完成させた漱石であれば、かくもあらんと言うところだが、気づくまでは些細なことでも分からないもので、気づくと嬉しい気もする。
 翻って、三鬼である。倫敦からの洋行帰りの寄席愛好家に対して、シンガポール帰りのコスモポリタンにして映画狂(ここの描写、イメージで語っているだけで事実は知らない)。多分周囲からは白秋の「邪宗門」から抜け出たような人物に受け取られていたのではないか。漱石の寄席通いが言文一致体の小説の完成に寄与したとすれば、三鬼はニュース映画から俳句の素材としてはあり得なかった戦争を主題とした句を編み出した。当時としては破格の俳句。それが年を経ての三鬼の変貌と、死後の歴史の中でどのような評に至るか。 多分酒席の話だろうが、吉岡実、加藤郁也、澁澤龍彦の間に、三鬼の句
  水枕ガバリと寒い海がある
を巡って、論を戦わせることがあったらしい。澁澤は、「ガバリ」というオノマトペが陳腐だと否定した。他方、吉岡と加藤は句を擁護する側に回る。論の決着はつかなかったようだが、後に朝日文庫「高濱虚子集」の序文を澁澤が書いたことにも、論争の影響を見ることが出来るだろう。少し引用すると、
  「日ごろ俳句の世界に親しんでいない私のような読者が、新興俳句といわず 前衛俳句といわず、現代の多くの俳句に接してしばしば感じるところの難解さや 曖昧さは、虚子に関するかぎり、およそ一カ所もないのだ。」 
となる。三鬼は第一句集「旗」の自叙にある通り、
  或る人たちは、「新興俳句」の存在を悦ばないのだが、私はそれの初期以来、いつも忠実な下僕である。
であるから、この点では二人は相容れない。もっとも、論争は三鬼の死後遙かのことであるから、三鬼の知ったことではないのだが。肯定否定いずれにせよ、三鬼については多くの人が言を連ねている現状で、他人の言を知らないまま語るのは無謀な話ではあるが、長年俳句に接するうちに数多の三鬼の句を記憶してきた。そうした記憶をたどる形で何かしゃべることも意味があるかと思う。普通なら、野口裕選の三鬼の句を以下に記するところだが、彼に限っては、句の良否を除いて、野口裕の記憶に引っかかっている句を記した方が良さそうだ。なお、括弧内の数字は全句集のページを表す。

聖燭祭工人ヨセフ我が愛す(7)
水枕ガバリと寒い海がある(10)
前書 びつことなりぬ春ゆふべあまたのびつこ跳ねゆけり(11)
右の眼に大河左の眼に騎兵(12)
白馬を少女瀆れて下りにけむ(12)
手品師の指いきいきと地下の街(12)
算術の少年しのび泣けり夏(15)
緑蔭に三人の老婆わらへりき(16)
葡萄あまししづかに友の死をいかる(16)
大辻司郎象の芸当みて笑ふ(17)
冬天を降り来て鉄の椅子にあり(19)
昇降機しづけに雷の夜を昇る(24)
湖畔亭にヘヤピンこぼれ雷匂ふ(28)
機関銃熱キ蛇腹ヲ震ハスル(29)
逆襲ノ女兵士ヲ狙ヒ撃テ!(33)
中年や独語おどろく冬の坂(85)
おそるべき君等の乳房夏来る(86)
中年や遠くみのれる夜の桃(87)
穀象の群を天より見るごとく(87)
枯蓮のうごく時きてみなうごく(91)
露人ワシコフ叫びて石榴打ち落す(91)
まくなぎの阿鼻叫喚を吹きさらふ(95)
まくなぎの阿鼻叫喚をふりかぶる(385)
赤き火事哄笑せしが今日黒し(96)
大寒や転びて諸手つく悲しさ(97)
限りなく降る雪何をもたらすや(97)
頭悪き日やげんげ田に牛暴れ(129)
炎天の犬捕り低く唄ひ出す(142)
暗く暑く大群衆と花火待つ(163)
秋の暮大魚の骨を海が引く(259)
春を病み松の根つ子も見あきたり(283)
広島や卵食ふ時口ひらく(337)
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△第2部の詩の合評会は、午後3時すぎからスタートします。6時すぎに終わることを目指していきます。△第三部は、懇親会です(これがまた愉しい詩人たちのひとときです。最近は例会ならびに懇親会に詩を愛好する方の参加があり、参加者の幅が広くなりました)。
△第二部(pm3:00~6:00)は、詩の合評会です。今回も意欲的な作品をお寄せください。作品の締め切りは9月26日(木)です。 みなさんの意欲的な詩稿をお待ちしています。 合評会への詩稿は、(maroad66454@gmail.com)に送ってください。事前に一斉送信いたします。合評会に参加する前に読んでおいてください。また送っていただいた作品は「月刊めらんじゅ146号」に掲載。合評会当日にみなさんに配布(無料)します。 
この会を運営しているのは、神戸を拠点とする詩のグループ「Mélange」。代表と事務局は私・大橋愛由等。詩の会(二部構成)をほぼ毎月開催しています)。
■会場:スペインレストラン「カルメン」電話:078-331-2228(阪急三宮駅西口から北へ徒歩一分)創業1956年の神戸でも有数の老舗レストランです。毎週土曜日にフラメンコライブをしています。

★「月刊めらんじゅ145号」をネット上にアップしました。https://docs.google.com/viewer?a=v&pid=sites&srcid=ZGVmYXVsdGRvbWFpbnxtYXJvYWQ2NjQ1NHxneDozMGQ5MTk1YTdjYzlmNGZh

★「月刊めらんじゅ144号」をネット上にアップしました。https://docs.google.com/viewer?a=v&pid=sites&srcid=ZGVmYXVsdGRvbWFpbnxtYXJvYWQ2NjQ1NHxneDo3OTFmZTZhODk4NzQ5MDM1

★「月刊めらんじゅ143号」をネット上にアップしました。https://docs.google.com/viewer?a=v&pid=sites&srcid=ZGVmYXVsdGRvbWFpbnxtYXJvYWQ2NjQ1NHxneDo2ZjIyNGYyNjc0MTY4Yzc5

――――――――――◇
「Mélange」月例会、2019年の日程です。(敬称略・開催場所はすべて神戸三宮のスペイン料理カルメン・開催時間は毎回午後1時)
予定ですので変更する場合があります。その際には、この月報(「Mélange」メールニュース)あるいは、ブログ「神戸まろうど通信」をご覧になって確認してください。 
*2019年における読書会の内容です(敬称略)。
☆10月27日(日)147th講演者/神尾和寿(詩人とは誰のことかーハイデガー「四方界」(Geviert)再考ー)
☆11月24日(日)148th講演者/木澤豊(宮沢賢治を語るシリーズ〈テーマは『シグナルとシグナレス』(童話集『銀河鉄道の夜』から)『銀河鉄道の夜』とも通底していますし、汽車は賢治と世界をつなぐ大事なモチーフです。)(会場はすべてスペイン料理カルメン。8月と12月は休会します)
◇12月=休会
〈来年2020年前半の「Mélange」例会の日程ならびに読書会の日程は現在作成中です。決定次第お知らせいたします〉

◆2.―カフェ・エクリの活動〈09月30日(月)〉
高谷和幸氏主宰の詩の会「カフェ・エクリ」についてです。この会は、(兵庫県)播磨地域で表現活動することを全面に押し出した詩を中心とした文学集団です。月に一回の詩の会(「Mélange」例会と同じく読書会パーツと詩・川柳の合評会パーツの2部制)を中心に、シンポジウム開催や、年に一回程度の一泊の宿泊をともなう小紀行を実施しています。

△10月例会は9月30日(月)になります(10月には例会がなく11月にとびます)。スタートは午後2時から。会場はたつの市「ガレリア」(姫新線「本竜野駅」下車徒歩12分」)で午後2時から。第一部読書会の講師は美術家・原田哲郎氏。現代美術評論がテーマです。

☆第一部を読書会。☆第二部は詩と川柳の合評会(詩稿をそれぞれ12-13部程度印刷して会場に持参してください)。☆第三部は午後5時すぎから、姫路駅前に場所を移動して懇親会を開催します。

――――9月例会「読書会」の報告――――――――――――――――
★すでに終わりましたが、9月例会は9月2日(月)姫路市内で行われました。テーマは「自治会 地域再生の第一歩」。講師は高谷久美子さんと吉田ふみゑさん。語られた内容のひとつとして、ゴミ出しがあります。地域のどこの場所にゴミを出すのか、鴉・猫対策はどうしているのか、分別は守られているかなど、地域ごとの差異がはっきり現れます。赤穂の市域部では5軒単位の隣保組織が今も機能しているなど戦前からつづく地域社会の結び付きの濃さが伺いしれたのです。自治会は国家組織の下請けとなっているとの指摘もありました。

―――――――――――エクリ今後の日程〈講師名とテーマ〉―――★
☆11月11日(月)姫路/千田草介〈テーマ未定〉
☆12月02日(月)姫路/難波正司氏〈テーマ「播磨の俳句史」〉「エクリの播磨を読むシリーズ①」
☆2020年01月→休会
☆02月17日(月)姫路/中村雅子〈テーマ未定〉
☆03月09日(月)赤穂/大橋愛由等(テーマ「フーコーを読み直す」)

▲「カフェ・エクリ」一年に一回の一泊旅行の日程が決まりました。
☆「エクリ・詩人たちによる秋の瀬戸内紀行」
☆日時/11月18日(月)〜19日(火)
☆行き先/岡山県南部の民宿に宿泊
☆旅の内容/まだ決まっていません(残念ながら、「瀬戸内国際美術祭 秋の部」は終わっていますが、秋の瀬戸路の旅を楽しもうと思っています)
☆出発地/JR姫路駅南口で集合して、そこからレンタカーで出発する予定です。
☆内容と費用/これから決めます。
☆問い合わせ先/高谷和幸 まで
ふるっての参加をお待ちしています。

◆3.―オルタネイティブ・フォークフェスタ〈仮称〉(11月4日〈月・祝〉)
初めての試みです。詩人でフォーク歌手の大西隆志氏の第1回プロデュースライブです。会場はスペイン料理カルメンです。カルメンにとっても異色のライブとなります。今回のライブはまさに「民の音楽フェスタ」を目指しています。フォークの世界で昔から活躍している中川五郎さんも出演されます(ビックゲストです)。もちろんプロデューサーである大西さんも歌います。
詳細は後日お知らせします。
☆名称/オルタネイティブ・フォークフェスタ〈仮称〉
☆場所/スペイン料理カルメン(神戸市中央区北長狭通1-7-1)
☆日時/2019年11月4日〈月・祝〉午後2時~5時
☆料金/いまつめています(チャージ、ワンドリンク、ワンフード込み)
☆出演者/中川五郎ほか5-6バンド

◆4.―文学短報
A/――南海日日新聞(奄美で発行されている日刊紙)の連載コラム「つむぎ随想」に、私・大橋愛由等が原稿を書いています。来年まで毎月一回執筆します。8月は、奄美が日本国に施政権返還すると発表された1953年の「ダレス声明の夏」を書きました。
  
B/――第22回吟遊同人総会・懇親会(10月20日〈日〉)
私が同人となっている俳誌「吟遊」の総会・懇親会のお知らせです。

「前略 吟遊同人、会友の皆様、お元気でお過ごしのことと思います。多くの吟遊同人・会友が主力の実行委員となって開催した「第10回世界俳句協会大会」も大成功のうちに幕を閉じました。そこで、延期になっていた第22回同人総会・懇親会を下記のとおり開きますので、是非ご出席ください。参加申込み締め切りは10月17日(木)。本紙下端にご記入のうえ、メール、ファックス、または郵便にて、吟遊社あてお送りください。よろしくお願いします。    
吟遊社 夏石番矢 鎌倉佐弓」
                    記
●第22回吟遊同人総会
開催日時 2019年10月20日(日曜日) 午後2時00分~8時00分(受付1時30分~)
会費   同人総会 1000円
     懇親会  4000円
会場   新宿・城北パイラスクラブ(別紙案内図参照)
     東京都 新宿区 新宿3丁目10-9 -4F    電話 080-5171-0331(鎌倉佐弓の携帯)
同人総会 自己紹介、吟遊社からの報告(午後2時00分~2時30分)
「吟遊」第82、83号を中心に合評(午後2時30分~4時30分)
俳句翻訳と海外の俳句について合評(午後4時30分~5時00分)
表彰式(午後5時00~5時30分)
吟遊・夏石番矢賞2019 川口信行
懇親会  同じ会場  午後6時00分~8時00分
乾 佐伎第一句集『未来一滴』、古田嘉彦日英句集『Selected Haiku』について合評など。

C/――俳誌「奔」4号についてです
☆次回の原稿は11月10日締め切り。
☆特集は「日韓問題」と「加藤典洋論」となります。文字数は4000字まで。

D/――元 正章牧師のこと島根県益田市で牧師をしている元(はじめ)正章氏についての情報です。元氏の両親はともに奄美群島出身です。

-------------元 正章牧師からのメール転送----------------
☆今回は、「益田っこ」(29号)を全文転載します。(ちなみに元牧師が赴任している日本基督教団の益田教会はヴォーリス設計の建築として著名です)

★「ほんがほんが しとるが~」(32号)                    
この夏休暇で帰省の折、書棚で埃に被っていた『民衆の知恵を訪ねて』(宮本常一 未来社1963年)を、車中で読む。自然の原風景に触れることは、同時に民衆の原点とも接することになる。地べたで生き続けている人々から学ぶこと。そこに立脚点を置いたとき、都会生活では薄れ消えてしまった“農村的”という風土と良風な気質が昔も今も変わることなく残っている「田舎まち」のこの益田が、もともと「神戸っこ」の私自身の魂のふるさとに思えるから不思議である。
「幼い日からこうしてきたえられ、与えられた仕事を自分のこととして忠実に守って育っていくものに見る素朴で明るい前向きの力づよさ」「村落共同体は生活を守ることを第一の目的としたもので、生産共同を目的としたものではない」「百姓精神の神髄とは、お先走りでもない、が頑固でもない、いつも自分のいるべき地位を見定めて、人の邪魔をしない」「みな律儀な人ばかり」(同著)。こうした気質は良き面で今も伝えられていて、「益田は仏さんのような人ばかりですよ」と言えないこともない。でも現実はその半面もあるのであって、そこらの微妙な“間合い”を、「ほんがほんが」(出雲弁without thinking anythingのらりくらり、ぼっとしている)で、やっていくのが、周りとの軋轢もなく、長続きするこつであろう。「いまのままで ええんかね」と呟き嘆きつつ、それでも、この街はどこか憎めず、かわいい感じがする。「遍一切処」(一切の場所に遍く有る)。しかし、ここは「理」が一切処に遍在するには程遠い。「ほんがほんが」。

〒698-0021 益田市幸町4-54  日本基督教団益田教会牧師  元 正章
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