神戸文学館で開催しました「1970-80年代俳句ニューウェイブ〈攝津幸彦〉を読む」の内容についてです。
〈開催趣旨〉摂津幸彦(1947~1996)は、兵庫県但馬生まれ。関西学院大学で学びました、1970年代から1980年代にかけて俳句界に大きな刺激を与えた〈俳句ニューウェーブ〉の一翼を担った俳人です。 今回のシンポジウムでは、世代の異なる俳人が参集して、攝津の作品を再読し、 語ることで、攝津の俳句世界をもういちど2010年代の今に再設定しようとす る試みです。
〈参加者〉大橋愛由等 岡村知昭 中村安伸 堀本 吟
〈参加者・自己紹介〉
★大橋愛由等
一九五五年神戸市生まれ。俳句誌「豈」、詩誌『Melange』同人
俳句に接したのはまず編集者として。八〇年代〈俳句ニューウェイブ〉の俳人たちの句集・評論集を編集担当することで、俳句の魅力に取り憑かれる。句集に『群赤の街』(冨岡書房、2000)。詩集『明るい迷宮』(書肆風羅堂、2012)。ほか奄美関係の共著多数。図書出版まろうど社代表。
▼自選五句
(『豈』54号より)
・漂泊船のオレンジは世界樹になると聴く
・昼月に布団晒して詩人待つ
・名付けなきまま去るものたちと青を踏む
・春遠し靴紐は迷宮結びとす
・自宮せし君に捧げよラム酒の一杯
★岡村知昭
一九七三年滋賀県近江八幡市生まれ。俳句誌「豈」「狼」「蛮」所属。現代俳句協会会員。共著に『俳コレ』(邑書林)。
たどたどしい歩みながら、とにもかくにも俳句を書き続けております。パネラーははじめての経験、たどたどしく語るばかりかもしれませんが、精一杯務めてまいります。よろしくお願い申し上げます。
▼自選五句
(引用は『俳コレ』より)
・いのうえの気配なくなり猫の恋
・マンゴーを紙の力士は縛りけり
・崇徳院詣でのカラスアゲハかな
・祇園こそ偽シベリアを耐えにけり
・耳うすく一月一日はどこへ
★中村安伸
一九七一年、奈良県生まれ。10歳の頃、祖父の影響で句作開始。95年、超結社句会「もののふの会」に参加。翌年「海程」に投句。04年「―俳句空間―豈」同人。08年、高山れおなと共に「―俳句空間―豈weekly」(10年終刊)を立ち上げる。09年『新撰21』(邑書林)に参加。10年、第三回芝不器男俳句新人賞・対馬康子奨励賞受賞。共著に『無敵の俳句生活』俳筋力の会 編(ナナ・コーポレートコミュニケーション)。
▼自選七句
・美しい僕が咥へてゐる死鼠
・京寒し金閣薪にくべてなほ
・殺さないでください夜どほし桜ちる
・総崩れの寺引いてゆく花野かな
・ひとりだけ菌のやうに白く居り
・冬ぬくしバターは紙に包まれて
・鰯雲どのビルも水ゆきわたり
★堀本 吟
一九四二年生。83年ごろ当時のニューウェーブを知る。同人誌「豈」、(摂津没後は「俳句空間―豈」)。超ジャンルの「北の句会」。最近「風来」(和田悟朗代表)に参加。戦後俳句俳句聞き語りの会、他方『摂津幸彦全句集』や『林田紀音夫全句集』を読むなど、公開で読書会に関心有り。「京大俳句」を読む会所属。現代俳句協会員。評論集『霧くらげ何処へ』(深夜叢書社、92年)。「俳句空間―豈」(39―2・特別号関西編)を関西同人で編集。
▼自選五句
・舌端に風景隠す異邦人
・細やかな滝の泡にぞ母棲める
・線量計微動している木下闇
・らんちゅうの鰭に除けらる昼の月
・闇汁にふさわしくないものもある
▼動画で一部を見ることができます。
http://twitcasting.tv/gunshaku/movie/6318485
http://twitcasting.tv/gunshaku/movie/6318839
http://twitcasting.tv/gunshaku/movie/6319033
http://twitcasting.tv/gunshaku/movie/6319406
http://twitcasting.tv/gunshaku/movie/6319774