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神戸まろうど通信

出版社・まろうど社主/詩と俳句を書く/FMわぃわぃのDJ/大阪編集教室講師など多様な顔を持つ大橋愛由等の覚え書き

第19回ロルカ詩祭(8月20日開催)のお知らせ

2016年07月11日 08時42分56秒 | 文化
今年で19回目を迎える「ロルカ詩祭」についてのお知らせです。


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第19回  ロルカ詩祭

『いまふたたびの我らの中庭で』           中堂けいこ

 おお、フェデリコ!また8月がやってきた。19日の血の執行! 銃に囲まれ、長い道を来たあなたが夜明けの野にあらわれる。グラナダの犯罪。額に血、腹に弾丸。あわれなグラナダ!あなたのグラナダが暑い蛮行に狂い立つ日だ。そしてブエノスアイレスの熱狂もとだえてしまう。
だが、フェデリコ!わたしたちの中庭は健在だ。サクラモンテの丘のジプシーたちの歌と旋律。手と踵を打ち鳴らす、強拍の怒涛のリズム。ドローレスの胸に抱かれ耳もとで囁かれた、子守唄、アンダルシアの伽話を忘れようもない。あなたの詩の飼い葉、戯曲の揺り篭。

あれは月です 踊ってますね
 死んだ者たちの中庭で。

  ごらんよ 精魂尽きたその身体、
 影と傷とに黒ずんで。

  母さん、月が踊っているのです
 死んだ者たちの中庭で。

  夢のちょうど入り口で
 石の仔馬を傷つけるのは誰ですか?
  
  月です!月です!
 死んだ者たちの中庭の!
・・・・・・・・・・  (サンティアーゴの月の踊り)部分
          

また8月の扉が開かれる。何十回何百回と開けられる扉は一度として同じではなかった。世界をかけめぐるテロリズムの蛮行はいまだわたしたちを血塗りの恐怖に陥れる。暴力の剣の前でわたしたちは盾も持たず、ただことばだけで、そのことばだけで一歩を踏み出す。扉の向こうからかの世の者たちがおおぜいやってくる。彼らは再び生の痛みと顔をとりもどすが、わたしたちは互いに入り混じり葬列のあとに続く。最後尾の者が先頭になり、先頭の者がふたたび後尾につく。なんという賑やかさ、喧しさ、歌え、歌え、さあ歌え・・・!
今宵、ロルカ詩祭、スペイン語翻訳家の鼓直氏によるロルカ詩新訳が披露される。メランジュ同人詩友、詩の愛好者が熱い神戸につどう。

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★第19回ロルカ詩祭

◇開催日時/2016年8月20日(土)午後5時開場
第一部(ロルカ作品のスペイン語、日本語による朗読)…午後5時30分スタート
第二部(ロルカ的世界に身を委ねた自作詩の朗読)…午後6時00分スタート〈前半・後半あり〉

◇詩祭案内/スペインの国民的詩人であるフェデリコ・ガルシア・ロルカ(1898-1936)の生誕100年にあたる1998年から神戸で始まった詩の朗読会。8月19日のロルカの命日に近い土曜日に、神戸市三宮のスペイン料理カルメンで開催されている。
この詩祭は、スペイン内戦が勃発した直後、ファシストによって殺されたロルカへの追悼ばかりではなく、阪神大震災をはじめとした震災の犠牲者に対する追悼、さらにはロルカ詩祭に参加し今は鬼籍に入っている清水昶氏らへの追悼をふくむ。


◇朗読参加予定者/(1)鼓直(新たなロルカ詩の翻訳をたずさえて)、(2)金里博、(3)今野和代、(4)情野千里、(5)大西隆志、(6)北岡武司、(7)高谷和幸、(8)中堂けいこ、(9)大橋愛由等、(10)安西佐有理、(11)北原千代、(12)福田知子、(13)秦ひろこ、(14)千田草介、(15)髙木冨子、(16)中嶋康雄、(17)黒田ナオ


◇演奏者/秦コウタロー(アコーディオン)

◇料金/Aセット(チャージ+ワンフード+ワンドリンク付き)2000円、Bセット(チャージ+コース料理〈スープ、サラダ、メインディッシュ、パエリア、珈琲、デザート付き〉3600円)のいずれかを選択。

◇場所・問い合わせ/スペイン料理カルメン(〒650-0012 神戸市中央区北長狭通1-7-1 カルメンビル2F 申し込み、問い合わせは、電話078-331-2228)

第18回ロルカ詩祭に行こう!

2015年08月01日 09時14分31秒 | 文化
第18回ロルカ詩祭〈8月15日(土)〉

 今年も、「ロルカ詩祭」を開催します。1998年のロルカ生誕100周年から始めた詩の朗読イベントです。今回で18回目となります。8月に開催するのは、1936年にスペイン内戦が勃発してまもなくの頃に、ファシスト勢力によってロルカが暗殺された8月19日に近い土曜日を選んで開催するためです。

この詩祭は二部構成。第一部は、フェデリコ・ガルシア・ロルカの詩作品の朗読(スペイン語、日本語ほか)、第二部はロルカの詩世界によせた自作品の朗読です。毎回濃密な朗読会が開催されています。朗読者のバックで演奏するのは、キーボード奏者の春間げんさんです。 



席に余裕ありです。この詩祭は、毎年夏に神戸で行われている詩の祭典です。朗読という声のつらなりと語りのかさなりが縦横に展開されます。

今年も第一部で、ラテン・アメリカ文学者の鼓直氏が、あらたなロルカ詩の翻訳をひっさげて参加されます。





☆第18回ロルカ詩祭

    吟じられるのは

      抒情

      鎮魂

     あるいは

      沈黙


☆〈出演者〉

ゲスト詩人/海埜今日子、飛火野 椿

演奏/春間げん(キーボード)



(朗読者)アグスティン、安西佐有理、得平秀昌、大西隆志、大橋愛由等、黒田ナオ、今野和代、千田草介、高谷和幸、鼓直、 富 哲世、にしもとめぐみ、福田知子



☆ 〈 詩祭スケジュール 〉

8月15日(土)午後5時 開場

[ 1部 ]PM5:30〜PM6:00

ロルカ詩の朗読

[ 2部 ]PM6:15〜PM8:30

詩人たちの自作詩朗読


《場所》スペイン料理カルメン(神戸市中央区北長狭通1-7-1

    電話078・331・2228 〒650-0012)

    JR・阪急・阪神・地下鉄「三宮駅」から徒歩三分。

《料金》Aコース/3600円(チャージ込み)(1)夏の特選スープ(2)季節のサラダ(3)メインディッシュ(4)パエリア

     (5)コーヒー(6)デザート

    Bコース/2000円(チャージ込み)(1)ワンドリンク(選択可)(2)スペイン産チョリソー

《特典》当日参加者の方全員に、第二部参加の詩人たちが朗読する詩作品掲載の『八月一九日詩集・vol.18』を進呈します。



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☆迸(ほとばしる)るドゥエンデの場「第18回ロルカ詩祭」へ



今野和代



見ていたい。こどもがオレンジの実を食べるのを、農夫たちが麦を刈り取るのを。だから「わたしが死んでも露台(バルコニー)は開いたままにしておいて」。そんな「別れ」の詩のフレーズを書いたロルカ。アンダルシアですら滅びかけていたヒターノによる土着のフラメンコを愛し、奔走して蘇らせたロルカ。詩人で朗読家、脚本家で演出家、作曲家で演奏者、絵を描く人でもあった。自らを「アナキスト、コミュニスト、自由主義者で、カトリック、伝統主義者、王政主義者」と語った。38歳の彼は、スペイン内戦のさなか1936年8月19日から20日未明かけてのグラナダ郊外ヴィスナルのオリーブ畑で、ファランヘ党により銃殺された。フェデリコ・ガルシア・ロルカへの敬愛と哀悼、阪神・淡路大震災で犠牲となられた人々への鎮魂と復興へのおもいを込めて1998年より神戸の地で「ロルカ詩祭」が開始され、今年で18回を迎える。広島・長崎の原爆投下そしてアジア太平洋戦争終結から、きっかり70年。阪神・淡路大震災から20年。東日本大震災から4年。ネパール大震災から4カ月。星座と海の詩人寺岡良信を失って2カ月の夏でもある。戦争と厄災と死の脅威と無惨と空白は、今なお私たちを襲い苛み、深い喪失感と悲しみの底に突き落とす。2015年8月15日。「ただなか」という一人ひとりの切実な現実を抱えながら、会場となる老舗「カルメン」での詩祭には、出会いと戦慄、声と音楽、沈黙と発語と身体とスピリッツによる、名づけることのできない新鮮な時間が流れるだろう。ロルカが「霊感の瞬間的な噴出、真に生命あるものの紅潮。演者がある瞬間に創りだす全てのもの」と言った「ドゥエンデ」の場が出現するはずだ。マルケス『百年の孤独』、ボルヘス『伝奇集』翻訳者の鼓直氏のご出演を今年も得た。 東京から海埜今日子さんと飛火野 椿さんをお招きする。どうかみなさま、ふるってご参加ください。  

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うたを巡る-02/カマロン、パコ=フラメンコの真髄

2014年05月28日 13時52分23秒 | 文化
うた59-2/

2回目はフラメンコ。

どの世界にも天才はいる。稀代のカンタオーレ(男性の歌い手)カマロン、そして少し前不慮の事故でなくなったギタリスタのパコ・デ・ルシア。
二人とも故人になったゆえにこの動画は貴重である。
https://t.co/9pd7TpSso0 
曲は「ブレリア」。二人の火花が出るような掛け合いが凄まじい。
フラメンコは(奄美シマウタのような)カンテ同士の掛け合いはないが、カンテとギターラとの掛け合いが聞き応えがある。

パコのギターラは歌伴にとどまるこたなくバシバシと音を挑発的に入れ込んでいく。カマロンも負けてはいない。この録音、1976年だそうで、若い二人はノリに乗っている。

楽譜のない口誦性ゆたかな芸能であるフラメンコの醍醐味を見ることができる。はたして今後フラメンコにこの二人を超える演者は出現するのだろうか。

59のうたを巡る-1/吉田美奈子のバラード

2014年05月27日 13時45分22秒 | 文化
うた59-1/

わたしにまつわる<うた>を集めてみよう。
59の〈うた〉をネットにあげることで自らの音楽履歴を振り返ってみる。
物心ついて自ら選びとった曲、忘れられない曲、そして今のわたしにまつわる曲を紹介することにしよう。

1回目は学生時代から聞いてきた吉田美奈子。歌唱力抜群のこの人が歌うバラード曲は絶品だ。
https://t.co/qxNLoOdNen 
紹介するのは、「時よ」。男女の別れの切なさを歌い上げる。なんど聴いても胸がしめつけられる思い。

第2回尹東柱詩祭ひらかれる

2014年02月17日 23時17分11秒 | 文化
2月17日(月)に京都・同志社大学今出川キャンパスにある「尹東柱詩碑」前で、〈第2回 在日韓国人・日本詩人共同 尹東柱詩人追悼会〉が行われました。

その様子を動画で収めていますので、ご覧になってください。

http://twitcasting.tv/gunshaku/movie/39921676
尹東柱詩祭その1/2014.02.17

http://twitcasting.tv/gunshaku/movie/39923732
尹東柱詩祭その2/2014.02.17

http://twitcasting.tv/gunshaku/movie/39924464
尹東柱詩祭その3/2014.02.17

http://twitcasting.tv/gunshaku/movie/39926298
尹東柱詩祭その4/2014.02.17

http://twitcasting.tv/gunshaku/movie/39927619
尹東柱詩祭その5/2014.02.17

ちなみに私は、俳句で追悼会に参加しました。

・冬ざれの詩神の寡黙つづきおり

・遡行せし詩碑にパトス玲瓏たり

・不条理(うたかた)の東柱忌に小風吹く    愛由等


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会場で配布しました冊子をネットに挙げました。ご覧になってください。

https://docs.google.com/viewer?a=v&pid=sites&srcid=ZGVmYXVsdGRvbWFpbnxtYXJvYWQ2NjQ1NHxneDo2MjJhYzk0NGJmMGY5N2Ez


姫路・風羅堂、一月に閉店

2013年12月10日 23時42分28秒 | 文化
私の第一詩集の版元である、風羅堂が、2014年1月をもって店舗営業を終了することになりました。
以降は、店舗なしのネット販売で営業を続けるようです。
まず、店主・大西隆志さんがFacebookに書いた「閉店の辞」を読んでください。

--------以下、引用-----------------------------------------
大西 隆志
本日12月10日(火曜日)公式発表いたします。2011年5月4日に開店しました書肆風羅堂ですが、来年と言うか、年明けの1月をもって閉店いたします。2年と8ヶ月になります。皆さんの応援でやってこれましたが、引く時にはひかないと、駄目だと思い、撤去いたします。2月以降は、ネットは生きていますので、「日本の古本屋」でご注文いただければ幸いです。
1月からは閉店セールをやりますので、よろしくお願いします。
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この書き込みに対して、多くの友人・知人が閉店を惜しんで書き込んでいます。

私もショックです。
風羅堂そのものはなくなりませんが、私が版元として託した出版社・風羅堂が、詩集の奥付けの住所から撤退することになるのです。この奥付けに掲載されている住所をもとにたどっていく人たちに対して、どのようにフォローしていくのでしょう。
出版社の住所変更は珍しいことではありません。また最近では、ネットで検索すれば最新の住所は確認できます。私の心配は杞憂かもしれませんが、気になるところです。

来年は、NHK大河ドラマで姫路ゆかりの黒田官兵衛が取り上げられれるために、姫路が注目される年になるので、風羅堂の閉店は残念です。上質な人文系書籍を揃えていて、「詩の教室 カフェ・エクリ」で姫路を訪れるごとになにがしかの書籍を購入してきただけに、その店舗がなくなるのは、姫路にとっても大きな文化的損失ではないでしょうか。(土曜日に音楽のミニコンサートをしばしば風羅堂は開催していて、いずれ私もなんらかの形で、演奏者(あるいは朗読者)として出演しようと思っていただけに、残念です)。

オブジェを作りました

2013年01月11日 21時22分35秒 | 文化


神戸文学館で開催されている兵庫県現代詩協会の「アート&コレクション展」に出品したオブジェです。

出品はこれで二度目です。
展覧会は、本日(11日)から開催、22日(水)までが会期です。

実は搬入日を一日間違っていました。昨日だったのです。同協会事務局長の高谷和幸氏に「明日の搬入時間は何時からですか」などと、とぼけた電話をしてしまったのです。「いま搬入しています。大橋さんの作品をお待ちしていますよ」との返事。「すみません。いま製作中なのです」と答えたのです。

今回出品した作品は、二次元を通り越して、三次元での展開(言語/詩の、三次元化/空間化)を目指したものです。

色は黄色で統一しました。危機を現す色です。

神戸文学館への入場は自由です。どうぞご覧になってください。



台湾に向き合う

2010年04月30日 13時33分34秒 | 文化
『台湾--変容し躊躇するアイデンティティ』(若林正丈著、ちくま新書、2001)を読む。

一九七〇年代後半を大学生として過ごしたわたしは何度か海外へひとり旅をした。東アジアでは、中国はまだ簡単に入国できなかった事情があり、最初の海外旅行の地として韓国を撰んだ。朴正煕大統領の独裁政治のただなかで、戒厳令が敷かれていた。
ところが同じ戒厳令が敷かれていた台湾に行かず、韓国に行ったのはどういう理由だったのだろう。韓国の歴史と文化の蓄積に魅力を感じていたのに較べて、台湾には私を引きつける決定的な動機がなかったのだ。もちろん、台湾は、父が小学校の時に住んでいた場所(台南市)であって、興味は抱いていたが、自分の中で台湾に行く必然性が見出せなかったのである。

本書を読んで、思いつくところを書いてみよう。

1.台湾(人)もまたアイデンティティに揺れるているのだということが、本書が伝えたい重要なテーマである。1895年から50年間にわたり日本の植民地であったために、自前の国民国家をつくることができなかった。しかも日本が1945年に降伏してから国家主権を担ったのは、台湾居住者ではなく中国本土からやってきた統治者であった。
さらに1949年の国共内戦の敗北によって、蒋介石を初めとする大量の国民党の軍隊と関係者が台湾に移り住み、あらためて台湾そのものが再設定されることになった。これによって、台湾の住民は、(1)もともと台湾島に居住していた原住民(日本統治時代は「高砂族」と言われた)と、(2)漢族系のびん南族(「福ろう人」とも、祖先が福建省で、詳しくは「泉州人」と「せん州人」とに別れる)、(3)客家族(客家語をしゃべる。台湾に来ているのは主に広東省北部出身者)、(4)そして外省人と呼ばれている中国大陸からやってきたひとたち(必ずしも漢族ばかりでなく満州族なども含まれていた)といった、四つの「族群」がある。その族群が台湾のエスニシティを構成しているために、「多重族群社会」と云われている。

2.四つの族群は、言語が違う。戦後になっても原住民における部族間の共通語が日本語であったのはよく知られた事実である。また七〇歳以上の台湾人は日本語で育った人たちで、日本語による文学創作も続けられている。しかし、びん南語を中心に発達した台湾語は、戦後になって弾圧され、学校で使用が禁止され、日本語教育が徹底された奄美・沖縄と同じ情況が展開していた。こうした言語の多重性は今でも続いている。わたしの知る神戸生まれの台湾人(30歳代女性)が台湾で勉学している時、学校ではバイリンガルだったそうだ。本省人同士では、台湾語をしゃべるが、外省人出身の同級生には分からないらしく、教室内で「なにいってるの」「あっ、ごめん」と言って国語(中国語)で言い換えるといった場面は日常のことだったという。また、神戸にいると、少年の頃に耳にした中国語といえば、圧倒的に台湾出身者の台湾語であったために、あの柔和で、耳にやわらかい台湾語を聞き慣れていたわたしにとって、中国本土の北京語や、本土の言葉は耳に刺すように響いて違和感を感じでいた。

3.本書は、台湾の戦後の政治史を理解するのに、よくまとまった内容であるといえよう。特に戦後の台湾社会の政治史の変遷については、簡便に書きまとめている(反面、文化的な記述が少ないが)。台湾社会が経済成長をとげ、徐々に本省人に対して門戸を開け、そして本省人の李登輝総統の出現を準備した人物として、蒋経国の実績を客観的に記述していることも印象にのこる。

4.あれはきっと外省人系のひとだったのだろう。神戸で大きく事業を展開する台湾系のひとと口論になったことがある。その人は、日本ならびに日本人そのものに不信感を抱いていて、決して台湾の人たちがすべて親日的ではないということを、わたしに教えてくれたのである。まさに台湾は、「多重族群社会」としてのモザイクのように存在しつづけ、今でも、「台湾人」=国民というアイデンティティや均質性を模索しているのことが分かる。

5.わたしはいずれ台湾の地を踏もうと思っている。亡くなった父の故地のひとつである台南に行ってみたいのである。台南はもともと台湾人意識の強い場所であることも、わたしを惹きつける。わたしの父方の祖父である大橋千代造は、アルミ工場を台南でたちあげるべく家族をともなって堺市から渡っていった(本書にも台湾の産業にアルミニウム産業があったと記述されている)。1930年代後半のことである。しかし、事業に失敗して這々の体で堺に逃げ帰ったと聞く。いわば祖父の敗地に立つことで、台湾と向かい合い、われわれの1930年代からの立ち位置を考えて行きたいと思っているのである。

参加自由の大阪城夜桜会

2010年04月07日 20時23分08秒 | 文化
今年も、恒例のまろうど社の花見「大阪城夜桜会」のシーズンがめぐってきました。

今回で15回目となります。参加は自由です。ブログで見たと言っていただければ、歓迎いたします。

今年は、12日(月)午後6時から午後10時ぐらいまでしています。
われわれが集う場所は、八重桜の下なので、まだまだ12日でも花の盛りです。ご安心ください。

開催場所はいつものごとく、大阪城西の丸庭園入口近くの芝生の上でします。
今年のゲストは、姫路在住の舞踏家・川柳作家である情野千里さんです。

満開のしだれ桜のもとで、暗黒舞踏系の踊りをしていただく予定です。

ちなみに川柳作家としての情野さんですが、『情野千里 川柳作家全集』(新葉館出版、2009)から、桜に関する作品を拾い出してみましょう。

 ひと暴れして来た夜の桜風呂
 チャタレー夫人の靴が桜の下にある
 盗むたび男のくちびるは 桜
 桜の下で開脚前転くり返す

以前も、前衛舞踏を踊ってもらったことがあります(今豹子さん)。その時の印象は今でも鮮明に覚えています。
この夜桜会に一度でも参加された方は分かるのですが、広大な大阪城での花宴はまことに幻想的であり、忘れることの出来ない一夜になると信じています。毎年、ふいと見知らぬ人が参加します。その出会いも楽しい限りです。去年は、失恋したという若い女性達が、われわれの会に参加して、奄美の島唄を聞いて、傷をいやしていました。

さて、みなさん、この一年はどのような年だったでしょうか。去年秋には、「安重根決起百年目の日に集う」という集会を、2009年10月26日に、枚方で開催して、金里博氏、寺岡良信氏らとシンポジウムを開催しました。

ひさしぶりに再会しましょう。初めての方も憶することなく参加してください。
すぐ打ち解けます。

会は誰でも、参加できますが、ひとつだけルールがあります。
参加するひと人すべて、自己紹介をしていただくということです。その順番は、わたしがその日の情況をみて、順不同に指名させていただきます。語り/聞き、語り/聞く--という連鎖のもとに熟成される情感の共時性を楽しんでください。

なお、会場についてですが、大阪城西の丸庭園の入り口ちかくの芝生に陣取っています。大阪城公園は広く、同庭園が午後8時に閉園すると、われわれの周囲はほとんど誰もいない状態となります。ペットボトルにロウソクをともした灯明がわれわれ
の集団の判別方法です。意外とすぐ分かります。


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〈まろうど社 2010年 大阪城夜桜会〉
■日時・4月12日(月)午後6時00分~(だいたい午後10時半ぐらいまで。何時に来てもいいですが、だいたい7時にこられる方が多いようです。情野さんの舞踏は、午後8時から約20分間行います)。
小雨決行。大雨の時は、おそらく谷町6丁目「すかんぽ」で残念会。当日の決定に
ついては、大橋の携帯090-5069-1840 まで

■場所・大阪市中央区の大阪城公園・西の丸庭園入口の近くの芝生です。(交通機関は、地下鉄谷町線「谷町四丁目」駅下車。大阪府警・NHKの方に歩いていって、大阪城に入り、大手門をくぐり抜け、西の丸庭園を目指してください。我々の花見会
場は、庭園の入口近くの芝生で行います。今年は、庭園が営業してるかどうか分かりませんが時、午後8時に閉園となりますので、後はまったく静かな環境になります。ですから、イメージするような花見会場とは全く位相の異なる会場です) 

まず、ネットで出てきた「西の丸庭園」の位置です。 
http://map.goo.ne.jp/mapc.php?MAP=E135.31.32.721N34.41.00.261&MT=


■参加・誰でも参加自由です。もちろん、参加費は不要です。ただし、飲み物、食べ物はなにがしかのものを持ってきてください。また、夜は冷えますので、暖かい格好をしてきてください。

犬と猫と運命と

2009年09月19日 09時26分24秒 | 文化
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犬と猫と運命と
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鳩山・民主党首が飼っていたゴールデンリトリバー〈アルフィー〉が、9月16日に13歳で亡くなりました。国会で飼い主が首相に選任されたことを見届けるかのように、幸夫人が見守る中で死んでいったとのことです。アルフィーが産まれたのが1996年。鳩山氏が民主党をたちあげた年です。その愛犬がここ数日具合が悪くなっていたのを、政権獲得した16日までなんとか持ちこたえて死んだということになります。犬好きな人にとってはたまらない「忠犬物語」ですね。猫派である私も、涙腺が弱いので、ほろりとなってしまいました。犬というのはこうした飼い主に対する忠の意識と生がプログラミングされているのでしょうか。

ところで、私の母はもともと猫派だったようですが、私が物心ついた時はすでに愛犬家でした。溺愛していたマルチーズが、高齢の故と、大嫌いだった雷の鳴る日にショック死してしまい、母がその亡骸を抱いていつまでも号泣していたことを今も鮮明に思い出します。母とそのマルチーズは自他の区別がつかないほどに一体化していました。そしてその母がなくなった時、実家で飼っていたのが、柴犬でした。母が病院から遺体で実家に帰って来た時、その柴犬は動かぬ母のそばで一晩中鼻をくうくう鳴らしていたのです。寿命からすると、人が犬(ペット)の死を見送る頻度は高いのですが、その反対もあります。私が知る限り、犬もまた飼い主の死を悼む<哭き>行為をするのです。うた=〈詩歌〉の発生には諸説がありますが、犬もまた死者の前で哭くことを考えると、<悼み>は、うたを生み出す大きな要因であることを深く確認するのです。

では猫に〈忠〉はあるのでしょうか。猫にも人間(飼い主たち)のその時の気分を察知したり、仲介役を演じたりします。また、同居する犬に対する強い仲間意識を抱いていることも報告されています。猫は唯我の気配があるものの〈関係性〉の生き物であるかもしれません。


アジア各地の神社は戦後どうなったのか

2009年05月29日 14時49分43秒 | 文化
神戸の「つぶて書房」の吉田宗弘氏から面白い情報を受け取りました。

わたしも、戦前のアジア各地に建てられた神社の行く末を、その後どうなったのか、興味があったのです。
即座に破壊されたものや、なにがしかの目的でしばらく転用されたものもあるでしょうね。
日本人にとって貴重な神の社や神域であっても、占領されていた人たちにとっては、侵略の象徴以外のなにものでもなかったはずです。


以下はメールの転送です。
私もサイトを見ました。なかなかの労作ではないでしょうか。
報告者は、辻子 実氏です。

------------転送--------------------
神奈川大学常民文化研究所「非文字資料研究センター」から、「海外神社(跡地)に関するデータベース」の増補改訂版が公開されました。
今回の増補では、『侵略神社』(新幹社)に掲載出来なかった資料を提供し、古絵葉書を中心に600点以上のデータが増補
されています。
侵略神社の戦前の画像に関しては今後とも、これ以上充実したデータ公開は無理ではないかと思います。

http://www.himoji.jp/himoji/database/db04/

神戸詞あしび--32---2009.05

2009年05月27日 09時24分22秒 | 文化
ほぼ毎月開催している『Melange』読書会・合評会に間に合うように、「月刊めらんじゅ」誌を作成しています。
今年からは、詩作品以外に、四本の評論や書評、エッセィの連載が掲載されるようになりました。主な出席者への宿題と言えばいいのでしょうか。私も「神戸詞(うた)あしび」という名のエッセィを書いています。この「神戸まろうど通信」ではめったに紹介しませんが、今回は最新のエッセィを掲載するとにします。

----------神戸詞あしび--No.32---2009.05----------------


 本づくりが一段落したので、映画を観た。「いのちの戦場 アルジェリア1959 L'ennemi intime」(フローラン=エミリオ・シリ監督)。

 第二次世界大戦が終了した後、フランスのかつて植民地であったベトナムが、旧宗主国に対して独立戦争(インドシナ戦争)を展開していた。再びベトナムに君臨しようと企図していたフランスだったが、ディエンビエンフーの戦い(一九五四年)の敗北によって撤退を余儀なくされる。こうした国際情勢に深く影響されたのが、アルジェリアであった。独立戦争が一九五四年から六二年にかけて行われるが、フランスは、アルジェリアを植民地ではなく、あくまで自国内であるとみなしていた。フランスからやってきた植民者が、社会や経済などに根深く入り込み、利権を張り巡らせ、支配層として定着していたからである。

 映画は、一九五七年に、フランス軍の最前線基地に赴任してきた中尉を主人公としている。山深いオーレス・カビリアといった山岳地域は、FLN(アルジェリア民族解放戦線)の活動拠点であり、フランス軍と激しい戦闘を繰り返していた。理想主義者の中尉は最初、この戦争にはアルジェリア側に正当性を認めていたが、最前線のリアルな殺戮現場、仏軍による凄惨な拷問、仏軍・FLN双方による民間人の集団虐殺などを経験することで、人格が毀れていくのである。この映画が誕生したのは、中尉役で主演を演じたブノワ・マジメルの、「アメリカがベトナムを描いたように、フランスもアルジェリアを描かねばならない」といった意思が先行していたことも注目したい。

 こうした戦争という事態は新しい思想の生起と大きく連関している。せっかくアルジェリアについての映画を観たので、『フランツ・ファノン』(海老坂武著、みすず書房、二〇〇六)を繙いてみた。ファノンはカリブ海にあるフランス海外県・マルテニック諸島の出身である。ここは白人、黒人、インド人、中国人の混血が進んでいるために、言語とともにそのクレオール性が特徴である。しかし、マルテニックの人たちは、自分たちはフランス人であると信じて、父の血を受けて肌の黒いファノンですら、ネグリチュード(黒人性)であることを拒絶していたほどであった。
  
 そのファノンが、変容するのは、第二次世界大戦に仏軍(ビシー政権に反対する自由フランス軍)に志願兵として参戦して、フランス社会における差別の実態を体験したことからである。戦後、精神科医となったファノンは、アルジェリアに赴任して、植民地における抑圧された人たち特有の精神疾患を見いだすのである。こうした<アルジェリアという病い>は、武力によって、克服すべきであるとみなし、ファノンもまたFLNに身を投じるのである。 

 ファノンがわれわれに提示したもののひとつに、独立を選択せずに、フランスの海外県(実態は植民地)を選択して、「同化」の道をすすんだマルテニックの、自己定律していくことの困難さがある。「同化」の時期がながく、むしろ「同化」を積極的に迎え入れ、住民も「同化」しているとの意識さえ希薄になっている地域のありようは、ひとつマルテニックだけに終わらないだろう。

6月27日のスペイン文学シンポジウム

2009年05月15日 08時42分02秒 | 文化
6月27日(土)に、神戸文学館で、「スペイン文学と神戸」というシンポジウムをするのですが、準備が進んでいません。ちょっと焦っています。でもその案内だけしておきましょう。

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<スペイン文学と神戸>シンポジウム 

      ☆
神戸日西協会 創立30周年記念事業
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◆(開催趣旨)神戸とスペインは海を介してつながっているのです。去年は、スペインのカタラン自治州バルセロナ市と神戸市が姉妹都市提携を結んで15周年を迎えました。神戸市立海洋博物館の屋外には、コロンブスがアメリカ大陸に向かったサンタマリア号の復元船が設置されていて、スペインの歴史を間近に感じることができます。今年は神戸とスペインの友好をはかる目的で結成された<神戸日西協会>が設立されてちょうど30年となります。
また、神戸市立外国語大学の中にイスパニア学科が置かれ、優秀な卒業生を輩出しています。そして意外と知られていませんが、神戸市内には、多くの<スペイン文学者>が住んでいるのです。こうした神戸におけるスペインとの浅からぬ縁を、神戸文学館という文学を愛する場でも、神戸市民のみなさんとともに共感してもらい、神戸においてこれからスペイン文学の魅力をもっと知ってってもらおうとの目的で開催することにしました。

◆日時 2009年6月27日〈土〉午後2時~4時
◆場所 神戸市立 神戸文学館(神戸市灘区・王子動物園西隣)

◆シンポジウム参加予定者
<パネラー>
・吉富志津代氏(NPO法人・多言語センターFACIL代表)
・安藤哲行氏(摂南大学教授)
・鼓直氏(元神戸市立外大勤務、法政大学名誉教授)
・富 哲世(詩人)
<司会>
・大橋愛由等(神戸日西協会副会長)

☆会場では、スペインの国民的詩人であるガルシア・ロルカの詩(日本語)を、パネラーであり詩人の富哲世氏に朗読してもらいます。また、ロルカの詩はフラメンコでも歌い継がれているので、カンテ(歌/エリさん)とギターラ(ユウイチさん・神戸市北区)に、何曲か歌ってもらう予定にしています。

☆参加費(資料代)200円 誰でも参加できます。


企画担当者/大橋愛由等(神戸日西協会副会長)

今年も大阪城で夜桜会をします

2009年04月08日 13時52分56秒 | 文化
◇今年も、恒例のまろうど社の花見「大阪城夜桜会」のシーズンがめぐってきました。
今回で14回目となります。もうそんなに回を重ねたのですね。


◆13日(月)午後6時から午後10時ぐらいまでしています。
われわれが集う場所は、八重桜の下なので、まだまだ13日でも花の盛りです。ご安心ください。

◇今年もぎりぎりのお知らせとなりました。

◆場所はいつものごとく、大阪城西の丸庭園入口近くの芝生の上でします。今年のゲストは交渉中ですが、うまくいかなければ、何年かぶりに、ゲスト(鳴り物)なしに語り合いたいと思っています(そういいつつ、いつも誰か楽器を持参してくれるのですが)。人数が少なくてもしみじみと飲もうと思っています。みなさん、ふるって参集してください。

この夜桜会に一度でも参加された方は分かるのですが、広大な大阪城での花宴はまことに幻想的であり、忘れることの出来ない一夜になると信じています。毎年、ふいと見知らぬ人が参加します。その出会いも楽しい限りです。去年は、大阪城公園に集う人たちを撮影しているという大阪のどこかの学校の写真部に所属する女子高生たちと出会いました。初々しい限りでした。

さて、みなさん、この一年はどのような年だったでしょうか。
ひさしぶりに再会しましょう。初めての方も憶することなく参加してください。すぐ打ち解けます。

会は誰でも、参加できますが、ひとつだけルールがあります。
参加するひと人すべて、自己紹介をしていただくということです。その順番は、わたしがその日の情況をみて、順不同に指名させていただきます。語り/聞き、語り/聞く--という連鎖のもとに熟成される情感の共時性を楽しんでください。

なお、会場についてですが、大阪城西の丸庭園の入り口ちかくの芝生に陣取っています。大阪城公園は広く、同庭園が午後8時に閉園すると、われわれの周囲はほとんど誰もいない状態となります。ペットボトルにロウソクをともした灯明がわれわれ
の集団の判別方法です。意外とすぐ分かります。

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〈まろうど社 2009年 大阪城夜桜会〉
■日時・4月13日(月)午後6時00分~(だいたい午後10時ぐらいまで。
何時に来てもいいですが、だいたい7時にこられる方が多いようです。
小雨決行。大雨の時は、おそらく谷町6丁目「すかんぽ」で残念会。当日どこでするかは、このブログをごらんになってください。
■場所・大阪市中央区の大阪城公園・西の丸庭園入口の近くの芝生です。(交通機関は、地下鉄谷町線「谷町四丁目」駅下車。大阪府警・NHKの方に歩いていって、大阪城に入り、大手門をくぐり抜け、西の丸庭園を目指してください。ただ、我々の会場
は、庭園の入口近くの芝生で行います。今年は、庭園が営業してるかどうか分かりませんが時、午後8時に閉園となりますので、後はまったく静かが環境になります。ですから、イメージするような花見会場とは全く位相の異なる会場です) 

まず、ネットで出てきた「西の丸庭園」の位置です。 
http://map.goo.ne.jp/mapc.php?MAP=E135.31.32.721N34.41.00.261&MT=
その地図の上に、わたしがマーキングしたものを添付しておきます。

■参加・誰でも参加自由です。もちろん、参加費は不要です。ただし、飲み物、食べ物はなにがしかのものを持ってきてください。また、夜はまだまだ冷えますので、暖かい格好をしてきてください。