私自身にとって、子育てをふっと軽く感じられる瞬間というのは、
子供一人一人の人生を、「小説」のように捉える時。
特に純文学的な「小説」というのは、
あれ、で、どういうこと?
こ、ここで終わっちゃうわけ?
で、何がいいたいんだっけ?
読み終わった瞬間、よく分からない場合が多い。
それでも、物語全体から、何だかじわじわと立ち上がるものがある。
行間や、一つ一つの言葉や、雰囲気に、何だかよく分からないのだけれど
心が惹きつけられ、自らの奥に、宝物が少しずつ増えていくような感覚。
親という立場であるから、自らも、子供達の物語の登場人物となり、
話を展開する役割を担っていて、その中で、辛かったり、悲しかったり、
笑ったり、喜んだりする。
それでも、時々、物語の外へと出てみる。
成功ストーリ、失敗ストーリ、ダメダメ人生ストーリといった「くくり」をはずし、
「純文学」のように、眺めてみる。
編み込まれた行間や一つ一つの言葉、全体から立ち上がる雰囲気。
子供たち誰もが、「最高の純文学」を生きている。
その確信と共に、
今日も、登場人物の一人として、
物語を織りなしていきたい。