9月20日付けの『産経ニュース』記事です。
「女子少年院で「瞑想」 米国発「マインドフルネス」で非行防げ!…ストレス減らし感情コントロール」より、
“法務省は平成26年度から少年院でマインドフルネスの試行を始め、現在は全国に9カ所ある女子少年院のすべてで実施。男子の少年院でも導入を進めている。
女子少年院が先行しているのは、非行少女の傾向として、過去に虐待や性被害といった被害体験を持つケースが多いためだ。
法務省のマインドフルネス外部アドバイザーを務める関西学院大の池埜(いけの)聡教授(心的外傷学)によると、そうした少女は未来に希望を抱けず、「生きていても仕方がない」と否定的な思いに支配されがちだ。だが、マインドフルネスで「今」を感じる時間を増やすことで、過去のトラウマを切り離して考えられるようになるという。“
日本でもこうして、
「厳しい状態にある子供たち」に、
「マインドフルネス」が実際に用いられ、
役立っているというのは、本当に嬉しいことです。
米国では、
「マインドフルネス」という言葉が用いられるかどうかは別にして、
「マインドフルであることが大切」というコンセプトは、
ビジネス界や教育界など様々な分野で、行き渡っている感があります。
とはいえ、「コンセプト」が受け入れられたとしても、
それを実践するかどうかは、また別のこと。
また漠然と「大切だよなあ」と思っても、
実際、何を具体的にどうしたらいいのか、
ちんぷんかんという場合もあるように思います。
「マインドフルであること」って、なんでしょう?
一般的には、
「いいとか悪いとかジャッジすることなく
自らの思考・感情・感覚に気づいていること」
とされます。
私自身実践を通し、
「自らの思考感情に気づきつつ、身体感覚を通してたどりつく状態」
ともいえるかなと思っています。
そしてその状態が、
上の記事にもあるように「今を感じる」という言葉で表されることもあるのだと。
アタマの中でノンストップにしゃべり続ける思考、
つられてわき上がる感情、
この繰り返しに気づきつつ、
身体感覚へフォーカスすることで、
「過去未来に漂う状態(=思考感情)」から、
「今」へと繋がっていく。
そして、「マインドフルネス」とは、
そうした「マインドフルである状態」を培うための「ツール」です。
この産経ニュースの記事にもあるように、マインドフルネスとは、
元々仏教の「瞑想法」を基にしていますが、
宗教色を排して開発されたことから、
世界中の医療機関や、英国や米国、
そしてこうして日本などの公的機関でも用いられるようになっています。
ストレス減退、落ち着く、集中力が増す、不安障害やウツの改善、
より健やかになったなどの効果が、
世界中様々な研究機関から報告され、
また脳に変化が起きる、といった研究データも発表されています。
私自身、確かになあと、その効果を実感しています。
記事にある女の子は、半年間マインドフルネスを体験し、こう言っています
「いらいらしたときは時計の秒針の動きに神経を集中させたり、
ペンを持つ手の感覚に注意を向けたりして、
¥心を落ち着かせることができるようになった。」
マインドフルネスを続けていくと、
出来事→思考感情がわき上がる→行動
といった自らのマインドの動きに、
より気づけるようになっていきます。
そして、「行動」に移す前に、
ワンクッション入れやすくなっていくんです。
起こることは起こり続けます。
それでも、その起こることに対し、
どう対応するかを、より自ら選択できるようになっていくんですね。
そしてこうした姿勢が、「健やかさ」にも繋がるわけです。
また、子供自身がスキルを身につけていくこともですが、
まずは、’子供に関わる人々が「マインドフルであること」を思い出してみる、
その効果も、私自身子供たちに接しつつ、実感しています。
こちらの記事「New research reveals mindful parenting reduces child stress
(新しい研究は、マインドフルな子育てが子供のストレスを減らすと明らかにした)」にも、
こんな研究が発表されています。
メルボルン大学の心理学者Lea Watersによると、
現代の子供のストレスレベルや、不安感は増しているとしつつ、
「親がより自身の感情にマインドフルであり、
怒りや、ストレスや、フラストレーションをそのまま行動に移す前に一休止はさめるようになることで、
子供たちは、大きなベネフィットを得ると分かっています」
とのこと。
そうして感情をぶつけることがより少なくなることで、
親も、「ああ、またやっちゃった・・・」と、
落ち込んだり、やり切れなくなることも減り、
親子で、気持ちが軽くなっていけますね。
具体的な方法については、
マインドフルネスというと、イメージ的に、
「じっと座って瞑想」が浮かぶかもしれません。
でもそれだと、時間的にもスキル的にもハードルがちょっと高いです。
ということで、より気軽にできるものとして、
歩く、食べる、見る、聞く、触るなどの動作を、
よりマインドフルにしてみる、というのがあります。
また、自分がどんな呼吸をしているのか気づいてみる、
長く吐いてみて、空気が鼻腔を通る様子やおなかが膨らむ様子など身体感覚に気づいてみる、
というのもいいです。
そうして日常に、マインドフルな動作を散りばめていく、
私自身、それだけでも十分効果ありありだと実感しています。
より具体的な方法について、
こちらにも、ざっと紹介してあります:
『オールアバウト』記事「育児ストレスが激減!マインドフルネスとは?」
歩いたり食べたりと動作しながら、また呼吸に注意を向けながら、
わき上がる思考や感情に気づきつつ、足裏の感覚や舌の感触や鼻腔やお腹などの
身体感覚に集中していきます。
フォーカスがアタマから身体に下りて、
パンパンなアタマがすっきりしますよ。
と、
いいところばかり強調されがちなマインドフルネスですが、
批判もあります。
私自身、注意したいことを、ひとまず3点あげておきますね。
1.合う合わないがあります
これは特に、「じっと座って瞑想」となると、
より顕著に出てくるかもしれません。
私自身は、ハイリーセンシティブ系の人には合うんじゃないかなと思ってます。
実際、ハイリーセンシティブ関係のウェブサイトでは、
マインドフルネスや瞑想についての記述をよくみかけますね。
HSPという特性を提示し自らもHSPとする心理学者のアーロン氏も、
「自然の中で過ごしたり、瞑想したりという時間がないともたない」というようなことを書いてましたし、
あのスーザン・ケイン氏の『Quiet Revolution(静かな革命)』でも、
マインドフルネスや瞑想関係の記事が掲載されていたりします。
敏感系の人々は、思考・感情・感覚が強烈だったりして、
それらに呑み込まれ苦しくなることも多いわけですが、
元々敏感な分、それらをより鮮明に感じられますし、
そこへ、それらとよりうまく付き合う姿勢を身に着けることで、
安定していくことができます。
また感情を司る扁桃体などの脳の箇所への変化を示す研究もあります。
敏感系の人の自分メインテナンスに最適なんですよね。
自らの様子をみつつ、合う合わないをみていきたいですね。
2.よりきつくなることもあります
慣れない内や、より大きな心の問題を抱えている場合は、
様々なことがフラッシュバックして、
きつくなることもあるかもしれません。
冒頭の『産経ニュース』の記事にもこうあります。
「導入当初はトラブルもあった。交野女子学院では瞑想中に数人が被害体験を思い出し、体調不良を訴えた。同学院は改良を重ね、ゲーム感覚でできるプログラムを独自に開発。現在は月2回、グループワークで行っている」
自らの様子を見つつ、自分に合ったペースと方法を見だしていきたいです。
またきつくなった場合など、信頼できるインストラクターなどにシェアできるといいですね。
3.どんな人に学ぶのか?
「マインドフルネス・ティーチャー」というのは、
医師や心理士といった何年も勉強し修得した資格というものが
あるわけじゃありません。
医療機関や心理士が用いるものはより科学的でしょうが、
元々オリジンが仏教にありますから、
インストラクターによっては、
とても宗教的、スピリッチュアル的にもなり得るでしょう。
自分が必要とする傾向を、選びたいですね。
ということで、
「マインドフルなひととき」を日常に散りばめていくこと、
興味ある方、是非試してみてくださいね!
マインドフルネスについてこれまで書いてきた記事が以下にまとまっています:
http://kosodatekyua.com/category/mindfulness/