ユダヤの結婚式に、
愛を誓いあう式のクライマックスに、
新郎が足でグラスを割るという儀式がある。
愛が溶け合う幸せの絶頂時に、パリン!と粉々に。
これは、全てが完全に見える中で、
世界はまだまだ不完全に溢れているということを、
思い出すためともされている。
内に広がる完全に見える世界。
その温もりに浸り、
もうここに一生暮らせばいいじゃないと微笑み。
そこへパリン!とグラスを割るイメージ。
外に目を向けるのならば、不完全さに溢れている。
内から外に向かう。
具体的形を、行為を、日々少しずつでも刻んでいく。
それがこうして肉体を持ち生きているということ。