プリンストン大学からハーバード大学法学科へ進学し、ウォールストリートで弁護士やネゴシエイターとして活躍していたスーザン・ケイン氏は、その「輝かしい」キャリアを離れ、読み・書き・考えることに7年間没頭し、『Quiet』(2012年出版)を書いたといいます。「内向型」についてまとめられたこの『Quiet』は米国でベストセラーとなり、ケイン氏のテッドトークは最も視聴された記録的なスピーチのひとつとなっています。
そのスーザン・ケイン氏が主宰するブログ「静かな革命(Quiet Revolution)」に掲載された記事’On what to be' by Kelly Quirinoを紹介します。
(ちなみに、エレイン・アーロン氏の「HSP」と、ケイン氏のいう「内向型」とは、重なる部分が多く、著者自身も互いに言及しています。こうした「感受性が強く敏感な子」関連の情報を、様々な側面から発信していきたいと思っています。)
4歳の時にごみ収集車の運転手さんに憧れ、
5歳の時に将来は郵便配達人になりたいと憧れていたケリーさん。
5歳の時に、審査の結果「ギフテット」とされ、
1年生から「ギフテッドプログラム」に通うことになりました。
「賢い子」に囲まれ、「普通クラス」よりも倍の勉強量、
「こなせないタスク」がたまっていきます。
そうして通い始めた何週間後から、毎朝吐くようになります。
不安感も高まり、誘拐される、恐竜が生き返る、
空から大きな手がつかみかかってくるといった恐怖感におびえるようになり、
部屋の窓をより頑丈なブラインドで覆ったり、
夜中もすぐに逃げられるよう靴を履いて寝ることもあったといいます。
結局三年生の時にプログラムを抜け、
「賢い子」というレッテルがはがれ、ストレスからも解放され、
とても楽になったというケリーさん。
その後も、静かで、シャイで、不安感が強いまま、
あらゆる授業で落第点を取り、
17歳で高校をやめ、本屋につとめたのち、病院スタッフとして働き始め、
二人の母親となった今も、同じ職場につとめているとのこと。
「私は外科医でも、科学者でも、CEOでも、ノーベル受賞者でもありません。私が人生に望むのは、シンプルに、正直に、謙虚に生きることなんです。私が望むのは、私の子供たちに、あなたたちは愛されていると示すこと、そして、私の周りの世界を少しよく、少し美しく、少し平和にしていくことです。こうしたことが、この世で私の時間を過ごすために、価値あることなのだと、私の心は感じるのです。それでも、いつも、小さな私の一片が、私が野心を嫌悪することは、間違っていると見出します。小さな声が、私は私が与えられたものを無駄にしていて、私が私であっては、十分でないと告げるんです。
もし、プロフェッショナルな仕事を選ぶとするならば、私は今でも、大学教授より、ごみ収集車の運転手さんを選ぶでしょう。28年たった今でも、私はまだ、そのことについて、私自身を許そうとしています」
「ギフテッド」とされる子供たちを何人も見てきましたが、「『世間的に認められるもの』へなろう、そのために頑張ろう」ということに興味がない、または「きつい」と感じるケリーさんのような、感受性強く敏感な子に、しばしば出会ってきました。
周りは「もったいない」と思い、そうして本人も、いつかケリーさんのように、「ギフトを無駄にしている」というような気持ちを抱くことになるのかもしれません。
それでも、きっとどうしても、強烈に感じている心に、嘘がつけないんですよね。
この記事のコメント欄には、親や世間に望まれるようなキャリアを駆け抜けてきて、それでも心の底で、自然に囲まれた山の中で静かに人の目に触れず暮らすことを望んでいる、または途中で燃えつきドロップアウトし、自分が本当に望む道を歩み始めているなど、ケリーさんの手記に共感する人々の声が寄せられています。
我が家の子供たちの中にも、「大好きな人たちと暮らし、シンプルに幸せな人生を送るの」と言う子がいます。「子育てが一段落しても戻ることができる専門を若いうちに身に着けて」とは言うものの、自分の興味を掘り下げ広げたいなあということが「もっぱらの未来」だった私自身の子供・青年時代を思い出し、力が抜け、「もっと夢とか抱かないわけ?」と、ちょっとじれったく感じることもあります。
それでも本当、ケリーさんのように、自分の特性や心に正直に生きていくこと、それが、本人にとって、最も幸せなこと。私自身、年を重ね、様々な人々の人生に触れてきて、しみじみそう思います。
自分が幸せな気持ちを持ち、身近な周りの世界を「少しよく、少し美しく、少し平和にしていく」。
そう「少し」に見える、その世界の深さ豊かさに、はっとさせられつつ。
その子が幸せになる道を、サポートしていきたいですね。
引越し先物件の決定や手続きの期限が迫り、走り回っています。
こつこつと発信、続けていきますね!
それではみなさん、喜び見出す日をお送りください!