こちらの記事に、
・中流家庭に過酷な米国の大学学費状況を赤裸々に&大学進学の現状を通し子育てについて思うこと
米国で3人のお子さんを育てるゆきさんからコメントをいただきました。
私自身、今、身近に、日々いくつものケースを見聞きしていることですから、
言いたいことも溢れ、コメント返しも長くなっています。
言いたいことのひとつは、
「大学進学へも、もっと様々な道筋ができるといいですよね」
ということ。
18歳までに、周りから認められる輝かしい業績を形にできる子もいれば、
より時間をかけて伸びていく子もいます。
特に、凸凹があったり、学習障害など発達障害がある場合は、
大器晩成型の子も多いです。
・情緒面に目を向ける大切さ&遅咲きの子
私の夫の例でも、
40年以上かけて伸び続けていますよ。
今回の日本行きも、またひとつ夫の夢が叶った結果です。
・重度ディスレクシア&恵まれない環境に育った夫に学ぶ3つのこと、「落ちこぼれ代表」からの挽回
超難関大学は、その名門ぶりを競い続けるでしょうが、
コメントをしていただいた記事にもあげたパデュー(Purdue)大学のように、「どれほどの学生を不合格にしたかよりも、
どれほどの学生の力を引き出し育てたか」を目指す大学が増えていくこと。
←このPurdue大学、世界的にも工学分野では日本の東大京大をぬきトップ40位に入っています。
(ランキングはフォーカスすることによって変わることを考慮しつつ)
また、勉強したいことが絞られているのならば、
ユタ大学のゲームデザイン、コロラド大学ボルダー校の宇宙航空学、
コロラドスクールオブマインの石油工学など、
入学はそれほど難関でなくても、
大学に入ってから世界トップレベルの技術や力を身に着けられる大学を
考えてみるのも方法ですよね。
他にも、
誰でも入れるコミュニテーカレッジから大学へ編入
(かなりの学費セーブにもなります)、
学部はより簡単に入れるところで学び、大学院をより充実した大学へ進学
就職してから企業に学費をだしてもらい大学院進学など、
18歳で手にする「結果」は、単なるスタートでしかない、
そう思える道筋が、これからもどんどん増えていきますように。
みなさん、長い目で見て、
子どもたちを励まし、応援していきましょうね。
さて、
この『It Mama』さんへの記事には、
みなさんの「しつけのツール箱」に加えていただきたい
「ひとつの関わり方」を紹介しましたよ。
「しつけのツール箱」とは、こちらの記事で説明しましたが、
・『オールアバウト』寄稿:しつけの悩み解決!子供の主体性を育む7つの導き方&伝統的しつけ以外の方法がつまった「ツール箱」
「ツールとしての基本を理解したら、
その場のその子の状況に合わせ、
ツールを手にする各々が、
主体的&柔軟に修正&なじませながら用いていく」
というコンセプトを基にしています。
*「しつけ」とは、
「知恵を教え・学ぶ」という意味で用いています。
・「子どもと親は対等」というアドラー心理学の言説について&「しつけの原点」とは?
知恵を前にするなら、
教える側も学ぶ側も対等であると思い出していきたいです。
欧米で最も用いられているしつけ法「伝統的なタイムアウト」
「タイムアウト」というのは、
「体罰」が表向きには推奨されなくなる中で、
欧米で、最も用いられてきた「しつけの方法」です。
米国での子育てを通し、
これまで様々な教育現場や個々の家庭の集まりなどで、
「伝統的なタイムアウト」の場面に、
幾たびか出合ってきました。
そして、今でも出合います。
私自身は、
「好ましくない行為」をした子をその場から引き離し、
「タイムアウト」の椅子や場所と決めた場で、
何分間か(主に年齢分:2歳なら2分、4歳なら4分など)1人にしておく、
といったルールを日常生活に取り入れることに、
何となく違和感を感じ、我が家では用いることがありませんでした。
とはいえ、親子でかーとなると、
「部屋に行って落ち着いてきなさ~い!」と、
子どもをその子の部屋へ送ることはありましたから、
まあ、似たようなことはしていたわけですが。
「タイムイン」との出合い
そして、まだ長男が小学校へ上がる前の頃、
プレスクールで長年先生をしていた友人と
「タイムアウト」の話をしていたときのこと。
「この園でも、する先生としない先生がいるけれど、
私は、タイムアウトが必要となるような場面ほど、
その子はアテンションや温もりが必要だと思うのよね。
だから、私はしないの」と。
その言葉に、びりびりとしびれ、
「なるほどなー」と思いましたよね。
友人、問題を起こす子を、
ぎゅっと抱きしめたり、膝にのせたりしながら、
「タイムイン」してました。
その当時はまだ、
「タイムイン」という言葉が聞かれることもなかったわけですが、
「タイムイン」とは、
こちらのブログでも何度も紹介している
小児精神科医のダニエル・シーゲル氏が提案したものです。
以前、タイムアウトとタイムインについて書いた記事です:
『ユア子育てスタジオ』・「罰」を用いない子育て、「タイムアウト」から「タイムイン」へ
(思えば、この2014年の「タイムイン」についての記事が、
ダニエル・シーゲル氏のコンセプトに触れた始まりだったんですよね。)
この『ユア子育てスタジオ』の記事で引用したシーゲル氏の言葉です:
“親は「タイムアウト」の代わりに、「タイムイン」の時間を考えてみるといいですよ。部屋の隅に立たせるよりも、一緒に子供と座り話したり慰めたりして愛情を深める時です。小休止をはさみ、自身の行為を省みるというのがどういうことなのか落ち着いて話し合う時というのは、とても価値のあるものです。特に小さな子供にとっては、こういった「自身を省みる姿勢」と言うのは、「孤立の中」ではなく、「人との関係の中」で創られていきます。長い目で見た子育てにとって、(タイムアウトよりも)より効果的で報いのあるものとなるでしょう。“
“特に小さな子供にとっては、こういった「自身を省みる姿勢」と言うのは、「孤立の中」ではなく、「人との関係の中」で創られていきます。”
まさしく!と思いませんか?
『It Mama』さんの記事にも書いたんですが、
「頭冷やして反省しなさい!」とその場から引き離され、
じっと座らされるなり立たされるなりし、
1人静かに「ああ、自分がわるかったな…」と思う子が、
どれほどいるでしょう?
かえってその子の中に渦巻くのは、
怒り、悲しみ、悔しさ、恥ずかしさ(見せしめ的な場合は特に)、
分かってくれない、仕返ししてやろう、今度は見つからないようにしよう、自分はだめだな
そんな気持ちや思いではないでしょうか。
「ポジティブなタイムアウト」とは?
そうして、去年学んだ、
アドラー心理学を基にした「ポジティブなしつけ講座」で、
「ポジティブなタイムアウト」という方法に出合ったんです。
「ポジティブなタイムアウト」とは、
「罰」として「タイムアウト」を用いる「伝統的なタイムアウト」ではなく、
本来の「小休止を挟んで気持ちを切り替える」にフォーカスし、
そして、子どもと愛情を深める「タイムイン」の要素を取り入れたものです。
その根幹にあるのは、
子どもは、嫌な気持ちでいっぱいな時より、
いい気持ちの時に、より「学ぶ」ということです。
私たちの内には、
例えば、子供が「好ましくない行為」をしたとき、
「学ばせるために痛い思いをさせないと」
そんな気持ちが深ーく根付いていると思いませんか?
私自身、自分でも驚くほどですよ。
でも、どうでしょう?
本当に、その方が学ぶんでしょうか。
それは、子どもにとって、
今度は、痛い思いをしたくないからしないでおこう、
見つからなくて、痛い思いをしないならオッケー、
といった学習ではないでしょうか。
つまり、知恵を学んでいるわけじゃないんですよね。
気持が切りかわり、落ち着いたところで、
「何が、どうして、よくなかったのかな?」
「今度は、どうしたらいいかな?」と話し合ってみること。
子ども自身が「自分で考え行動している」と感じている状態こそ、
「知恵を学んでいる」ということ。
つまり、長い目でみて、その子を支える力となっていく、
18年間様々な子どもたちに接する中で、しみじみとそう思っています。
記事には、「ポジティブなタイムアウト」の具体的な方法を
分りやすく説明してあります。
興味ある方、是非、読んでみてくださいね。
そして、どうぞ「しつけのツール箱」に加えてみてください。
・すぐに叱るのはNG!? 「ポジティブなタイムアウト法」のススメ
「タイムアウト」は、
こちらの教育現場でも、たびたび用いられます。
一昔前は、日本でも、
生徒を廊下に立たせたりと、
罰としての「伝統的なタイムアウト」が用いられていましたね。
アラスカでも、こちら東海岸でも、
例えば、教師が何度か注意しても聞き入れず、
授業自体が進まなくなってしまう場合など、
「タイムアウト」が用いられています。
カウンセラーや他の先生などが来て、
その子を別室へ連れていき、話し合ったり、
他のクラスの活動に加わったり、
とにかく、その場を離れます。
「罰」として、教室から連れ出すというより、
向き合う側も、声を荒げたり、感情的になることなく、
「小休止をはさみ気持ちを切りかえ自らを省みることを促す」という姿勢で、
たんたんと、生徒が落ち着くよう接します。
生徒も、
場を離れることで、より自分の行為を客観的に眺められ、
学校スタッフ皆が、
自分のことを気にかけてくれるとも感じるのか、
落ち着いてクラスに戻ってくることが多いですね。
こうした対応が、
カウンセラーなどの担当者がいたりとシステムとしてあると、
どうしても一斉に同じことをせざるを得ない学校という集団も、
よりスムーズにまわっていきやすいと実感しています。
―――――――
週末は、勤務先の学校に、
日本語の幼稚園の園児と親御さんと先生方が訪ねていらして、
工作をしたり、学校の生徒が園児に日本語の絵本を読んであげたりと、
合同活動がありましたよ。
幼稚園の先生方の、凛とした温かいたたずまいに、
何だかはっとして、みとれてしまいました。
ワシントンDCの『アメリカン・インディアン国立博物館(National Museum of the American Indian)』にて。
かご作り。
体験型展示っていいですね。
さっき、裏の森を走り終えた彼女ちゃんと長男。
(←学校が終わると毎日のように一緒に走ってエキソサイズしてます)
キッチンの椅子に座ってニコニコと見上げながら話しかける彼女ちゃんに、
長男がポリッジを作ってあげてました。
こんな風に、キッチンが使われる日がくるとは…。
みなさん、温もり溢れる日々を!