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【非認知能力2】変革を支えるもの、教育現場での取り組み、ひといちばい敏感な子と自制心

2018年05月26日 | 非認知能力

 

【非認知能力1】『オールアバウト』寄稿:世界トップが実践!子供の「非認知能力」を育むヒント

から続きます。

 

「認知能力」が世界中で注目されたきっかけ&思い出したいこと

『オールアバウト』さんの記事にもあげましたが、

こうした「非認知能力」の大切さが

世界中で声高に叫ばれるようになったきっかけは、

2000年にノーベル経済学賞を受賞したジェームス・ヘックマン氏の研究です。

 

幼児期にIQや読み書き計算といった

「認知能力」を上げようとする働きかけは、

一時的に認知能力が著しく伸びても、

小学校高学年になる頃には、

結局周りも追いつき、その効果が分からなくなっていく。

けれど、幼児期に「やり抜く力」や「自制心」といった

「非認知能力」を育む関わり方は、

その後の子どもの人生の質に大きく関わってくる、

といった50年近く子どもたちを追跡調査した研究です。

 

そこで、ヘックマン氏は経済学者ですから、

「幼児期の教育環境に投資することが最もリターンが大きい」

としたんですね。

 

この研究、

実際は、研究対象となった子どもたちが極貧地区出身であり、

「人生の質」の基準が一般とは少し違っていたり

(例えば、犯罪をおかさない、生活保護を受けないなど)、

厳しい環境で育つ子は遺伝的要素を存分に発揮することが難しく、

より環境に大きく影響を受ける傾向にあるなどの様々な面で、

学問的には、この研究のみで、

「幼児期の非認知能力への働きかけが人生の質を左右する」と

一般化することはできない、ととらえられているようです。

 (「非認知的(社会情緒的)能力の発達と科学的検討手法についての研究に関する報告書」 

研究代表者 遠藤利彦 (国立教育政策研究所 総括客員研究員)より)

 

でも、20世紀初めから、

「非認知能力が大切」と示す基盤となるような研究は多くあり、

ですから、実際のところ、ヘックマン氏の研究というのは、

それまで積み重なったたくさんの先行研究の上に、

タイミングよく表れた「最後の一押し」のようなものなのですね。

 

 

 

何か変化が起こる時って、

必ず、こうした表には見えないところに、

膨大な積み重ねがあると思いませんか?

 

今、「非認知能力」が世界中で叫ばれているのも、

これまで、たくさんの人が「おかしい」と思ってきたゆえ。

 

変革の最中には、

大きな注目を集める人物や出来事などがあるわけですが、

そこに至るまでの土台には、

膨大な思いや気持ちや行動があります。

 

ですから、思い出したいのは、

今は、「何をしても変わらない変わらない」と見えたとしても、

その小さく小さくみえる行動も、

実は、未来の大改革を創るひとつなのかもしれないということ。

 

今、自分にできることを、

こつこつと続けていきたいですね。

 

 

 

 

教育や子育て現場に「非認知能力」を育む試みをどう取り入れる?

日本政府も、2017年の文部科学省による「学習指導要領」に、

「非認知能力」の大切さを組み込んだわけですが、

では、具体的にどうやって「非認知能力」を伸ばす試みがされていくのでしょうか。

 

それぞれの教育現場で

工夫され練られていく様子を見守りながら、

家庭にも取り入れていきたいですね。

 

以前紹介しましたが、

こちら米国の公立小学校でも、

「非認知能力」を育む試みがされています。

どんな教育環境が子供にとってよりよい?1 「非認知能力」を育む教育現場での試み

 

アラスカの「ギフテッドプログラム」でも、

週に2日ほど、「認知能力」以外の面を育むため、

プロジェクトをしたりゲームをしたりといった時間がありました。

・心の習慣に加えるもの 

 

これらの記事に出てくる、

「成長型マインドセット」というのはは、

「やり抜く力(グリット)」を提唱したアンジェラ・ダックワース氏も

グリットを育むための鍵と言及してますね。

・成長型マインドセットについての記事:

https://blog.goo.ne.jp/managaoka/c/53bdb425150e46c79dfad1893d101255

 

・グリットについての記事:

子供が成功する鍵!「グリット」を育む6つのヒント

1人の発信者として「『グリット (やり抜く力)』は過大評価されている」という批判について思うこと

 

 

そして、こうして学校で、「象徴的な何か」を作ったり

プロジェクトをしたりということもですが、

やはり大切なのは、日々、子供たちに向き合う姿勢ですよね。

 

特に年齢が低くなるほど、

『オールアバウト』さんの記事にもあげた、

1.愛着&信頼関係を築く

2.目先の結果より過程の取り組み姿勢を認める 

3.思いや気持ちをもった1人の人として子どもに向き合う

といったことが大切になると思います。

 

アイデアに触れ工夫しながら、

日常にできる範囲で、

「非認知能力」を育む関わり方を取り入れていきたいですね。

 

 

 

 

「ひといちばい敏感な子」と「自制心」

最後に、「ひといちばい敏感な子」と

ヘックマン氏も注目した非認知能力「自制心」についてです。

 

敏感っ子には、

「自制心」を育む関わりより、

「表現すること」を励ます関わりの方が大切ですよね。

 

 「自制心」というとスタンフォード大学のマシュマロ実験が有名ですが、

こちらにも以前書いたように、

敏感っ子は、きっと、マシュマロ食べませんよね。

ハイリーセンシティブチャイルドと「マシュマロ実験」、HSCの立場から眺めてみると 

 

もともと、ひといちばい敏感な子は、

学問的には「抑制型(inhibited)」と分類されるように、

とにかく、自らを抑える傾向にあります。

 

そうして家庭では、外で我慢し続けた分、

癇癪ということもあるでしょうが、

思いや気持ちを「表す力」がついてくるにつれ、

きっと、緩和してくると思います。

ひといちばい敏感っ子に心がけたい「インサイドアウト(内から外)」。必ず変わっていきます

 

 

例えば、我が家の次男の事例です。

プレスクール:3か月でドロップアウト

キンダー(年長):付き添い通学

低学年:ルールを必死で守る模範生徒

中学年の今:学校でもよりのびのびとやんちゃ面も出せるように

      毎日楽しそうに登校

 

 

5歳の時、

心理学者の方に審査を受けたことがあるのですが、

・ギフテッドの審査を終えて、大切に思うこと

 

その時、こんなことを言われました。

 

「この子は、自制心がとても強いので、

きっと、周りの同年齢の子を全く理解できないと思います。

なぜ、椅子に座れないのだろう、

なぜ、先生の言うことが聞けないのだろうと。

それが、この子を周りから浮かせ、

学校という場にフィットするのを妨げるかもしれません」

 

今、その当時の状況を振り返ると、

先生がガミガミと他の子を怒る様子におびえ、

自分も何かしてしまうんじゃないかと自制心にますます拍車がかかり、

疲弊していったんだなあと思います。

 

その上、音にも敏感で、

先生にもイヤーマフをすすめられたり、

「学校は音が大きすぎて嫌だ」と言ってました。

 

こうした敏感っ子にとって、

大勢が密に一か所に集まり、

様々な思いや気持ちや音が渦巻く学校というのは、

ものすごくきつい場なんですよね。

 

ですから、

こういう子に心掛けるのは、

「その子に合った慣れ方やスピード」を許すこと、

「自制心」ではなく、

内から外へと向かう力を培っていくこと

そう思います。

 

 

そして、つくづく思うのは、

「性質」の大きさです。

我が家は皆、敏感な面がありますが、

ここまで敏感だった子は初めてでしたから。

 

この子のおかげで、

それまで出会った子達、その前の4人、そして私自身の生い立ちなど、

「ひといちばい敏感な子」への理解もより深まりました。

「こういう子もいるんだなあ。

ああ、そういえばあの時の???は、

こういうことだったんだなあ」と。

 

そして、エレイン・アーロン氏がいうように、

「ひといちばい敏感」であっても、

生き生きと力を発揮し、

楽しく幸せに生きていけるのだということも、

今では、確信しています。

 

敏感系の子が、

この敏感でない社会で

幸せに生きていけるサポートをしていきたいですね。

 

 

 

 

年度末が近づき、行事続きですよ。

プロムの様子。

長男と彼女ちゃん。

ネクタイは、

彼女ちゃんが仕立て直したスカートの切れ端で、

彼女ちゃんが作ってくれたのだそうです。

 

おとといは、

彼女ちゃんのお母さんから、

「一緒に大学見学行っておいで」と飛行機チケットをプレゼントしていただき、

長男が進学を決めた大学見学に2人で日帰りで行っていました。

 

19世紀終わりに建てられた大学。

図書館がキャンパスに6つほどあったり、

学校スタッフと学生の割合も1:6と、

とにかく施設もカリキュラムも充実していると

長男、とても気に入ってました。

 

「全ての楽しみが死ぬ」という評判があるほど、

アカデミックを徹底的にする大学なのですが、

キャンパスを行く学生の雰囲気はとにかくハッピーで、

案内してくれた大学生も

「ハンドルできないほどでは全然ないから」と言っていたとのこと。

 

ギャップイヤー後の大学生活を、

心から楽しみにしています。

 

前日は長男が彼女ちゃんの家に泊まり、

早朝4時のフライトで発ち、

真夜中のフライトで午前1時ころ我が家に2人で帰宅し、

翌日は早朝から2人で卒業式の練習に出かけ一緒に戻ってきてと、

とにかく、毎日一緒にいます。

 

これから別々の大学へ進学し、

離ればなれになるんですが、

様々な気持ちを体験していくことでしょうね。

 

そのひとつひとつが、

たとえその時はつらくても、

人としての深みを与えてくれるのだと思います。

 

みなさん、温もりあふれる日々を!

 


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