マイコー雑記

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どんな教育環境が子供にとってよりよい?1 「非認知能力」を育む教育現場での試み

2017年09月14日 | 非認知能力

アラスカに暮していた時、

米国東海岸で子育てしている方とお会いする機会がありました。

 

子供たちの学校の状況を話すと、

「ああ、あなたのいう『ギフテッドプログラム』というのは、

東海岸では、普通の公立学校でされているものかもしれないね」とその方。

 

「へー、それってまさしく私の思い描く理想の学校かも!」

そう思いました。

 

私は、「ギフテッドプログラム」のようなアプローチで伸びる子って、

「限られたテスト結果」によって入学許可される子よりも、

きっともっとたくさんいるよなあと、常々思っていました。

 

その後、縁があり、実際東海岸に引っ越すことになり、

「東海岸の普通の公立学校」といっても、地域や学区によって、

カリキュラムも方針もアプローチも雰囲気も随分と違うもんだと

目の当たりにすることになります。

 

そうして、1年暮した東海岸の地から再び引越し、

今年度で2年目になる今暮すこの地の公立学校ですが、

「ああ、あの方が言っていたのはこういうことか」、

と納得する日々です。

 

 

この記事&次の記事では、「これっていいよね」と私自身感じている、

こちらの公立学校の教育現場での試みをざっと紹介させてください。

「非認知能力」を伸ばす試みも含まれています。

「非認知能力」をリストアップしました、早期教育や今日の教育の弊害とは?

 

我が家の小学生組み、あの学校が嫌で慣れるのに時間のかかった次男でさえ、

今では毎日楽しそうに通っています。

中学生・高校生組みも、

まあ、日々の課題についての文句をぶちぶち言いながらも、

なかなか楽しい面もあるようで、日々飛び起きて通っています。

←寝坊して飛び起きる場合が多いですが。

(「嫌ならホームスクールしたら」というのですが、

今のところそうしたいとは思わないようです)

 

どんな学校にも「プロとコン」があり、

この地域の学校も様々な「試みの過程」にあるわけですが、

みなさんと共に、

「どういった教育環境が子供にとってよりよいのだろう?」

現実的に考え実践していく上で、少しでも参考になればなあと願っています。

 

 

1.「成長型マインドセット」を育むサポート

次男と三女の通う小学校では、

心理学者キャロル・ドウェック氏の提唱する「成長型マインドセット」を育む試みが、

全校あげてされています。

 

「非認知能力」というと必ずあげられる「やり抜く力(グリット)」ですが、

その「グリット」を提唱するアンジェラ・ダックワース氏も、

グリットを育むヒントのひとつは「成長型マインドセット」を育むことだと言っています。

・日本とテッドトーク:https://www.ted.com/talks/angela_lee_duckworth_grit_the_power_of_passion_and_perseverance?language=ja

 

また、こちらで紹介した

昨年話題になった研究「早い時期から突出した才能を示す子=天才児?に大切な8つのこと」は、結局どんな子にとっても大切ですよね

去年発表された「学業が飛びぬけてできる子」を育てる研究でも、

その大切さが言及されていましたね。

 

 

「成長型マインドセット」とは?

これまでも何度かとりあげてきましたが、

「能力は生まれ持ったまま固定されてる」といった

「固定型マインドセット(fixed mindset)」を持った子よりも、

「能力は生まれ持ったまま固定されているのではなく、

鍛えるほど成長していく」といった「成長型マインドセット(growth mindset)」を持った子の方が、

断然伸びる、という研究結果が多く発表されているんですね。

 

そりゃそうですよね。

 

「何したって、能力って生まれつきのものだから、しょがないよね」

と信じているより←「固定型マインドセット」

「努力することで、能力って成長していくんだよね」

信じていた方が←「成長型マインドセット」、

「今できなくても、自分なりに努力したら今よりできるようになるかもね」

と前へ進んでいけますし、その過程で実際力がつき、成長していきますよね。

 

こうした姿勢の違いを長い目で見るのならば、

その両者の開きとは、確かに、大きなものとなるでしょう。

 

 

次男と三女のクラスでの試み

次男3年生のクラスでは、

新学年始まってすぐに、「脳の成長」について話し合っていました。

 

「脳は使うほどニューロンがより強い結合を生み出し発達する」

といった脳の仕組みを理解し、

「努力や困難は、頭が悪いとか、無理だと諦めるときではなく、賢くなる過程」

と認識していくんです。

 

脳の絵に「毛糸=ニューロン」をはりつけ、

「じゃあ、どうやったら脳は成長する?」という質問に:

・新しいことを学ぶ

・失敗から学ぶ

・やり抜く

・「まだ、できない」と言う

・練習

・助けを頼む

・最善を尽くす

とクラスの皆で書き記していました。

 

ああ、写真撮ろうと少しの間床においておいたら、

目を離した隙に、子犬にびりびりにされましたー。

 

ちなみに、「脳の絵」部分に、白い毛糸=ニューロンがはりめぐらされてました。

(こちらでは宿題ができなかった言い訳というと「犬に食べられました」

というのがよく冗談交じりで言われるんですが、

実際に起こり得るのだと新鮮。)

 

 

脳の仕組みを理解し、努力や困難のとらえ方が変わることで

いかに子どもが成長するかの研究結果は、こちらでも紹介されています:

・キャロル・ドウェック氏によるテッドトーク(日本語)

こうした能力は成長するといった「成長型マインドセット」が育まれることで、

学力テストで最下位だったネイティブアメリカンの生徒たちが、

全米のトップ層に食い込んでいったというんですね。

 

また三女のクラスでも、新学年の始まりから、

「できない」ではなく、「まだ、できない」と言おう、

という話し合いがされています。

「まだ、できない」と言うことの効果も、上のテッドトークで話されています。

「自分はだめだめ」だとか、「どうせ無理」と落ち込んだり諦めるよりも、

「よりよくなる過程」ととらえていくんですね。

 

  

昨夜は、新学年について小学校で説明会がありました。

そこでも、成績表には「努力」と「結果」への評価がありますが、

小学生の時点の子供には「努力」のみを励ますようにしてくださいと話がありました。

成績表というのは、「改善の過程」であり、

「結果」部分は、「あなたの能力はこうだ」と固定するよりも

先生と親がどう生徒の状態を改善していくかの指針にするもの。

努力がAで結果がついてこない場合、努力がCで結果がAといった場合など、

いかに改善できるかと話し合うためにあるのです、と。

 

 

以前、こちらにドウェック氏の言葉を引用しました:

『ユア子育てスタジオ』・マインドセット、やる気の持続

 もし学校が

「興味があろうとなかろうとテストをして、あなたが賢いか賢くないかをジャッジされる場と捉えられているのなら誰も行きたいなんて思わない、もし学校が脳を成長させる場であり、難しいことをすることでより賢くなれる場だと捉えられるのなら皆こぞって学校へ行きたがりますよ。」

 

まさしくですよね。

 

「賢さや能力は成長していく。

努力、失敗、困難、課題は、賢くなる過程なんだ」

そう子供たちが信じられる場を整えていきたいですね。

 

読み書き算数といった「認知能力」だけでなく、

「成長型マインドセット」といった、

「人生を通して発達する個々の思考と感情と行動のパターン=非認知能力」を育む試み、

ますます教育現場に根づいていくといいなあと思っています。

 

 

こちらには、アラスカで子供達がお世話になったプログラムでの

「成長型マインドセット」を育む取り組みが紹介してあります。

『ユア子育てスタジオ』・キンダー「レゴ祭」&「成長型マインドセット」を育む取り組み

また、以前「成長型マインドセット」についての思いもつづっています:

『ユア子育てスタジオ』・努力の方向を見直す

『マイコー雑記』「成長型マインドセット」と「セルフ・コンパッション」、子供が能力を伸ばす最強セット

「能力は鍛えることで発達していくのよ」を子供に伝えるためのストーリー

 

こちらにも、「成長型マインドセット」についてコンパクトにまとめてあります。

『It Mama』挑戦する子に育てる!知っておくべき3つのこと【21世紀型子育て】#6

 

 

 

「1.成長型マインドセットを育む試み」で、

今日は時間切れになってしまいましたが、

のちほど、こちらの教育現場で「いいな」と思う試みについて、

続けていきますね。

 

ちなみに、この小学校は、様々な試みが認められ、

去年、州に800以上ある小学校の中から学力面をひっくるめ、

トップ6校に選ばれたんです。

先生方一人一人から、生き生きとした意欲を感じています。

 

この地域の雰囲気や学校について、

以前こちらにも綴っています:

引越し先の様子、「マンモス校」で改めて思う先生という存在の大きさ

新学年始まる前に担任の先生からいただいた手紙がいい、小さな子ほどすーとその気になるものですね

 

この町、自然も豊かでとても居心地よく、気に入っています。たどりつけたことに感謝しています。

さて、今日も午後から走り回りますよ。

 

「大切な紙」でなく、そうして骨をかじってね(次女撮影)。

みなさん、よい日を!


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