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マイコー雑記

行き来するもの書き留め場

世界のニーズに逆行する「子供の創造性は低下の一途」現象をどうにかしたいですよね

2016年11月02日 | 子育て全般

こちらの記事

創造的な子は先生にとって重荷?既存のシステムでの「成功」と「創造性」を育むこととのバランス

で紹介した調査によると、

今の通常の学校教育の現場というのは、

「創造性」が育つには、

なかなか難しい環境といえるでしょう。

 

こんな研究もあります。

教育学者Kyung Hee Kim氏が、

過去10年間米国の30万人以上の年長から高校生までを調査したところ、

1990年以来、創造性が、著しく低下しているとのこと。

 

特に、年長から3年生までの創造性のスコアが最も低下しており、

4年生から6年生までが、次に低下が著しいとのこと。

 

 

こうした結果が生まれてしまう原因としては、

様々絡み合っているわけですが、ひとつには、

米国でも統一テストがより重視されるようになり、

低学年時代からテストの点をあげるため、

以前より詰め込み式の教育が盛んになってきたため、

とも言われます。

 

また、この研究を率いたKim氏によると、

「構造化し過ぎる」ことがひとつの原因だろうとしています。

 

「研究によると、

とてもきれいにオーガナイズしきっちりと構造化している親の子供は、

より創造的ではないと報告されています。

 

創造的な子供の親は、

子供が創造的なエネルギーを発散するやり方を許しています。

たとえ、ちょっとぐちゃぐちゃになったとしても。

 

創造的な子供には、

探索し、モノを投げ、汚くする自由が与えられています。

そして親は、子供が何か新しいものを作り出したとき、

それがたとえ役に立とうが立たなかろうが、

価値を見出します。

また親は親自身の創造性にも価値をおいています」

とのこと。

 

 

できるできない、役に立つ役に立たない、

きれいきれいじゃない、意味がある意味がない、

そんな「大人の目線」でスパスパと子供の取り組む物事をよりわけていく。

 

そんな親の姿勢が、

現代の子供の創造性の低下をもたらしているんじゃないか、

ということですね。

 

よく分かります。

 

我が家も日々のスケジュールを回していくためには、

「大人目線でスパスパと構造化した態度」になりがちです。

子供本人が、

探索して試して失敗してとたっぷりと浸れる時間の大切さ、

心に留めていきたいですね。

 

 

 

またKim氏によると、

3つのタイプのギフテッドチルドレン」がいるといいます。

1.高い知性と高い創造性を持つ

2.低い知性と高い創造性を持つ

3.高い知性と低い創造性を持つ

 

「創造的であるためには、

高い知性を持つ必要はありません。

統一テストなどで成績のよくない生徒でも、極度に創造的でありえます」とのこと。

 

そしてアンダーアチーバーの原因のひとつとして、

「学校が創造性を重視せず、

創造的な生徒が息苦しくてしょうがなくなるため」

をあげています。

 

Kim氏が、学校をドロップアウトした生徒を調べたところ、

「創造的な人々というのは、

教室や家庭でニーズが見合っているならば、

オーバーアチーバーになりますが、

さもなければ、アンダーアチーバーになります。

創造的な生徒の場合、ドロップアウト率は52パーセント」とのこと。

 

また、

「アンダーアチーバーの生徒の間では、

問題行動と創造性が強く結びついています。

創造的であるほど、その創造的パーソナリティーゆえに、

より問題行動も多くなるわけです」と。

 

 

 

こうした研究が、どんどん出てくることで、

成績やテスト結果がよくないからといって、

チャンスを与えられず、

生かされることのなかった創造的な子の能力が、

より生かされるようになることを願っています。

 

 

 

これからの不透明な社会を生き残るには、

「創造性が鍵」とも言われています。

(次の記事では、

成長率が高く活躍し続ける企業などで、

「創造性がいかに重要とされているか」をまとめますね)

 

今後、人工知能も様々な分野に行き渡っていきますから、

与えられたタスクを型どおりのパターンでこなすのは、

ロボットで十分なわけです。

 

それにしては、

現代の学校教育や家庭教育がテストスコアをあげようと躍起になり、

ますますきっちり「構造化」していき、

創造性の大切さがますます無視されてしまっているという現象は、

社会で必要とされる流れにまさしく逆行していて、

全体からみるならちぐはぐですよね。

 

「学校教育は創造性を殺す」というケン・ロビンソン氏のTEDスピーチが、

過去世界中で最も視聴されたスピーチとなったことも示しているように、

「軌道修正」の必要性を切に思う人々も世界中に多くいるのでしょう。

現実的な動きとなっていくことを願っています。

 

 

まずは、身近にできることを!

・日々の「大人目線でスパスパと構造化した態度」から少しずつ見直してみる。

・スケジュールの合間に、探索して試して失敗して、といったひとときを確保する。

周りの空気を読み、

「いい子」であろうとする敏感な子達にも、

伸び伸びと創造性に浸ることのできる場や時を

整えてやる。学校集団では難しいならば、家庭の中で。

 などなど。

 

それではみなさん、今日もよい日を!


パンプキン彫り、工作などにたっぷりと浸れるこの限られた時を大切に

2016年10月30日 | 子育て全般

今年もパンプキン彫りです。

 

 

 

まずは、パンプキン選びから。

近所のスーパーにて。

大きさ、横広だったり縦長だったり、表面のスムーズさなど、

パンプキンにも様々な表情があるんですよね。

 

「これ!」と思うものを子供たちそれぞれが選びます。

 

デザインを決めます。

ネットで検索したり、

自分で考えたり。

 

そして、まずはへた部分or底部分を切り取ります。

 

ネットで見る限り、

「私は昔からずっとヘタ部分を切ってるわ」派も多いようですが、

底&ヘタと両方試した我が家では、やはり底部分を切り取るほうが、

キャンドルも入れやすくていいです。

 

が、今年はそれを忘れて、

皆ヘタ部分を切り取った時点で、

「あ、そういえばー!」と気づきました。

 

まあ、一年たつと忘れてしまうぐらいの、

「ちょっとした便利さの違い」です。

 

穴からヌチャヌチャする筋を取り出して。

種は、オーブンでグリルしておやつに。

 

 

さて、彫ります!

デザインを用いる場合は、

テープで貼り付けて。

しるしをつけていきます。

 

長女と次男のオーソドックスなジャックオーランタン。   

      

次女はお化け、 BOOー!

 

三女は、暗くなっても終わらず、

屋内に移動。

 

コウモリの群れ!

 

 

 

 

ティーンにもなってくると、様々な活動に忙しくて、

「パンプキン彫りにどっぷり浸る」

といった時間もなかなかとれなくなってくるんですよね。

 

長男も、今年初めて、

「パンプキン彫り」がスケジュールからはずれました。

様々忙しい長女も、

さらっと作ることのできるシンプルなデザインに。

 

幼児や小中学生時代、

デザインをあれこれ考え、

ちょっと複雑なものに挑戦したり失敗したりと、

「パンプキン彫り」や工作などに「たっぷりと浸ることのできる時間」を、

大切にしたいですね。

 

大きくなれば、

そうしてたっぷりと浸ったときが、

様々違った形で生きてくる、

そう感じています。

 

我が家でも、

長男はロボティックスや様々な活動に、

長女は、チアリーディングでチームメートと技を完成させることに

それぞれ夢中のようです!

 

みなさん、ハッピーハロウィン! 


創造的な子は先生にとって重荷?既存のシステムでの「成功」と「創造性」を育むこととのバランス

2016年10月25日 | 子育て全般

子供の「創造性」について、考えてみましょう。

 

こんな研究があります。

 ・生徒ひとりひとりの「創造性」をはかります。

そして、担任の先生に、

先生が感じる「好ましい生徒」「好ましくない生徒」のリストを、

作ってもらいます。

 

創造性のスコアと、

先生の作成した生徒のリストを照らし合わせたところ、

先生が「好ましい」とする生徒ほど、創造性がより低く、

先生が「好ましくない」とする生徒ほど、創造性がより高い、

という結果になったとのこと。

 

創造性の高い子というのは、

集団をまとめる側にとって、

時に、「好ましくない存在」になりえるというの、

分かりますよね。

 

先生も、

「ここからここまでこうして教えなさい」というマニュアルを基に、

集団でまとまってノルマを達成させる必要がありますから、

独特なやり方やペースで創造的に動きたがる子は、

「やっかいもの」に感じてしまうわけです。

 

 

また興味深いのは、

「創造性」の度合いと、先生本人が「好ましい」と思う生徒は、

「反比例」しているにも関わらず、

先生本人は、「私は創造的な子供とワークするのが大好きです」

と自己申告していたということ。

 

子供に接する側が、

創造性の定義や重要さや育むために大切なことなど、

今後、教育現場でもより話し合われ、

行き渡っていくといいですね。

 

 

こちらの研究では、

創造性がトップ5パーセントとはかられた子供の家庭と、

そうでない子供の家庭を比較したところ、

こんなことが分かっています。

 

創造性がそれほど際立っていない子の家庭には、

平均して「6つ以上」のルールがあったそうです。

何時に宿題をするとか、何時に寝るとかです。

 

一方、

創造的な子供の家庭には、

平均して「1つ以下」のルールしかみられなかったとのこと。

 

 

日々、「さ、何時にあれするよーこれするよー」、

と走り回っている親として、

考えさせられます。

 

 

創造性って、「広がり」が必要なんでしょうね。

 

自らあれやこれやくっつけたり離したりして

試して失敗して試して失敗してと繰り返していく。

時間的にも、思考のスペース的にも、

「広がり」が必要なんだと思います。

 

ですから時間的にも、思考のスペース的にも、

「外から」きちきちと細かく分断されてしまったら、

創造的活動は、遮られてばかり。

 

 

 

これらふたつの研究を紹介する記事を書いたペンシルバニア大学教授のアダム・グラント氏曰く、

「子供時代にギフテッドとされたり能力が高い子のほとんどが、

結局は、革新的な仕事をするには至らない」

と言います。

 

ではどうなるのか?

 

「膨大な既存の技術や科学的知識や方法を詰め込むことに忙しく、

作曲するよりも、素晴らしいモーツアルトの演奏者となり、

医療のあり方を見直すよりも、腕のいい優れた医者になり、

新しい法を作り出すより、いかに法に準拠するかを目指す。

そうして、既存のシステムに波風を立てることなく、輝いていく

というんですね。

 

確かになあと思いますね。

学校システムで優秀と認められていく子の多くが、

行き着く先です。

 

グラント氏は、

創造性を培うのは一筋縄ではいかないけれど、

鍵は、「本人のパッション」だろうとしています。

 

「外から」与えられるものに「従う」より、

内から溢れるパッション、やる気、好奇心、取り組むことへの愛

これらが「創造性」の源であると。

養育者が「この子にはこうあってほしい」

とするパッションではなく、

子供の内から溢れるパッション、と。

 

確かに、

外から与えられるものに従うだけで、

内から外へと向かう気持ちがなければ、

既存のものを超える発想など、

生まれないでしょうね。 

 

 

ここで時間切れですが、

子供の創造性について、

もう少しまとめていきますね。

 

 

 

昨日、

学校から帰宅した長女が嬉しそうに見せてくれたもの。

サボテン。ちいさーい。

植物好きな長女に、お友達がくれたそうです。

このまま土に少し埋めておくと、

根付くのだそう!

 

それではみなさん、今日もよい日を!


脳全体に働きかけるイメージで子育て!脳の仕組みを分かるなら対応もより分かる

2016年10月13日 | 子育て全般

脳の仕組みやマインドの動きが分かりやすくまとめられ、

「なるほどー!」と思うような対応法が紹介されている著書のおススメです

 

『The Whole-Brain Child: 12 Revolutionary Strategies to Nurture Your Child’s Developing Mind

(全脳の子供:子供のマインドの発達を培う12の革命的方法)』

by Daniel J. Siegel &Tina Payne Bryson 

邦訳は『しあわせ育児の脳科学』早川書房 となっているようです。

邦訳本は読んでないんですが、なんでこんなに値段高いんでしょう??原本は5百円ほどでした)


米国では数年ほど前ベストセラーになり、

アマゾンの書評の数もとても多くて内容も好評なんですか、

日本ではそうでもなかったようですね。


「最新脳科学に基づく」とのことですが、

詳しい研究については省かれ、

一般の養育者向けに書かれた本です。

 

「脳全体を育むイメージで子育てしましょう」

というメッセージが込められ、

実用的な方法も載せられています。

 

 

 

例えば、我が家でも活用することがあるのが、

 

思考や想像などより複雑な機能を司る前頭野を含む「大脳皮質部分」と、

情動や衝動や反射などより原始的機能を司る扁桃体などを含む「大脳辺縁系」

をコブシを用いて表す方法です。

 

思考・想像・統制を司る脳の(大脳皮質)部分が、

指部分の「階上(upstairs)」。

情動・衝動・反射を司る脳の(大脳辺縁系)部分が、

手の平部分の「階下(downstairs)」。


 こうするとホンと、脳みたいですね。

 

「階上」は、

計画を練り、考え、想像し、

感情や身体を統制し、自身を理解し、他者に共感し、

全体的な視野を持ち、よい選択をし、「正しい」ことをロジカルに進める、

といったより複雑な働きをします。

 

「階下」は、

呼吸やまばたき、反射、衝動などのより基本的機能や、 

怒り不安などの強い感情など情動を司っています。

 

 

子供や思春期というのは、

「階上」が「階下」に比べ、まだまだ未成熟。

こう理解しておくと、

子供の理不尽な言動も、なるほどなーと納得できます。

 

ちなみに、

「階上」は25歳くらいまでに形作られるのに対し、

「階下」の情動面は10歳頃から劇的に成長するとされています。

 

この脳の「階上」と「階下」の成長過程のギャップが、

思春期の難しさの原因となっているとも言われています。

「まだまだ全体的視野に基づいてロジカルに物事を進められない上に、

情動面ばく進!状態」なんですね。

(『ユア子育てスタジオ』記事:ティーンの脳って何がどう特殊なの?新しい関係を築くために

 

 

この著書のメッセージは、

「脳の全体を繋げるイメージで働きかけていきましょう」ということ。

 

この階上と階下を、

こうして親指を包み込むようにして、

繋げるイメージです。

 

癇癪を起こしたり、

感情を爆発させたりと、

衝動や情動面が爆発している状態というのは、

こんな感じ。

 

まずは感情を受け止め、

感情が落ち着いたら、

「階上」に働きかけていきます。

「なんであそこに登っちゃいけないんだろう?」

「あんな高いところから落ちたらどうなっちゃうかな?」

「睡眠時間を8時間取るためにはひとまず何を優先したらいいだろう?」などなど。

 

働きかける養育者の側もですが、

子供たち本人も、

「コブシの階上階下を繋げるイメージ」をもっておくと、

はっと、気づけることもあります。

 

ああ、私今、こんな状態だよな・・・、

そう衝動や感情がハイになっている自分の状態が、

より客観的に見えたりするんですね。

 

 そして、

「じゃ、何ができるだろ?」

「階上」を発動させるきっかけになったりします。

 

 

逆に、

「階下」がぎゅーと押さえ付けられ過ぎて、

感情が隠れっぱなしな場合は、

開放してやるイメージも大切ですね。

 

 

また、

原本タイトル直訳にある「子供のマインドの発達を培う12の革命的方法」のひとつとして、

「階上階下」のバランスをとるために、

「身体を動かす」という対応法も紹介されています。

 

ぎゅーと「階下」が抑えられて、

癇癪などで一気にぱっと開き、

分けが分からなくなっている場合など、

「身体を動かさせる」のも手ですよ、と。

「階上階下」のバランスが戻ってくるんですね。

 

 

 

一旦、こうした脳の働きをコブシを用いて子供とともに理解しておくと、

いちいち言葉で説明するよりも、

階上を閉じていく「動作」、

階下を開いていく「動作」、

と、「記号」として用いていけます。

 

例えば、

癇癪や爆発などの感情がある程度おさまったら、

コブシをゆっくり閉じる動作を示してみる。

すると、自ら、「えっと・・・」と「考え始める=階上に繋げる」ことができます。

(感情の爆発真っ只中では、

油に火を注ぐようなものですから、

まずは感情を受け止め感情がある程度落ち着いてから。)

 

 

 

 

著書にはこうした「階上階下」以外にも、

・左脳と右脳の統合

・記憶の整理

・多様な感情に気づく

・自分と他者を繋げる

などについて、どんな働きかけができるか、

脳の仕組みに沿ってコンパクトに説明してあります。

 

 

「全体脳を育む」というコンセプト、

なるほどですね!

 

 

 

 

ちなみに、著者ダニエル・J・シーゲル 氏と ティナ・ペイン・ブライソン 氏の新刊

No-Drama Discipline: The Whole-Brain Way to Calm the Chaos and Nurture Your Child's Developing Mind 

も、今年邦訳されています。

『子どもの脳を伸ばす「しつけ」 ~怒る前に何をするか--「考える子」が育つ親の行動パターン~ 』大和書房

 

こちらは私自身まださらっとしか読んでないのですが、

脳科学からみる「しつけ」、なるほどーと納得ですよ。

 

それではみなさん、今日もよい日を!


「受け入れる(accept)」でなくても「認める(acknowledge)」でいい

2016年10月13日 | 子育て全般

「マインドフルである」ためのトレーニングなどで、

「自らの思考や感情に気づき、認める

と言われることがあります。

 

この「認める(acknowledge)」というところに、

「受け入れる(accept)」という言葉が用いられることもあります。

 

「自らの思考や感情に気づき、受け入れる」と。

 

でも私自身は、

それらの思考や感情の存在を「認める」でいい、

そう思います。

 

「受け入れる」と自分の枠内に囲う必要はない。

思考も感情も、選択しない限り、

誰のものでもないんですから。

 

 

 

これは、子育てでも同じだなあと思うんです。

 

よく、子供の気持ちを「受け入れて」やりましょう、

子供のできなさ、足りなさもひっくるめて、「受け入れて」やりましょう、

というようなことが言われます。

 

この「受け入れる」というのも、

「認める」でいいよなあと。

もしくは、「受け止める」「抱きしめる」かなあと。

 

痛かったね、辛かったね、悲しかったね、と

子供の気持ちを「受け止めて」てやる。

できなさ、足りなさもひっくるめて、

子供の存在を「認め」「抱きしめて」やる。

 

 

思考も感情も子供も、

変化し続けています。

「入れる」と、自身の枠内に囲う必要はないんです。

 

 

言葉のニュアンスの問題ですが、

親の気持ち的に、私自身がそうであったように、

楽になる方もいるんじゃないかな、そう思います。 


人工物と自然の違いを写真を見ながら感じてみよう

2016年10月13日 | 子育て全般

 前の記事

「自然ってなんでヒトの心身によいと思う?」と子供たちと話し合い、敏感な子に自然体験がススメられるわけ

に書いた、人工物と自然が感覚に与える影響について。

 

写真を撮ってみました!

 

五感をなぞりながら、

違いを感じてみてくださいね。

 

葉の色も大きさも向きもまちまちに、

わさわさと生い茂る木々。

空の色も白から薄い青から濃い青まで。

雲の形もいろいろ。

対して、

フェンス、街灯、道と芝生の区分の規則正しさ!

形や色やの画一さ!

 

同じ時と場所で、

カメラの向きを変えてみるなら、

空には刻々と変わリ続ける色と形のドラマ。

対して、直線直角に佇む、旗掲揚柱に建物。

 

変化し続ける夕暮れの空。風に揺れる木々。

対して、道やサインの、規律正しさ。

 

今朝は、あたり一面霧。

見慣れた風景も、何だか幻想的

変わらず、すっくと佇む街灯。

 

木漏れ日の光に包まれ、ほっとひととき。

先週末、バージニアのポトマック川にて。

 

 

人工物と自然に囲まれながら、

感覚のバランスをとっていきたいですね!


「自然ってなんでヒトの心身によいと思う?」と子供たちと話し合い、敏感な子に自然体験がススメられるわけ

2016年10月08日 | 子育て全般

昨夜のファミリーディナー。

パンをこねこね。

 

子供たちに、前の記事にあげた19の研究を、ざーと紹介しました。

 

それで、「何なんだろうね、自然って」と、

皆で自然がヒトの心身によい理由を考えてみました。

 

 

・空気の違い

樹木や植物などの光合成生物は、

二酸化炭素を吸い込み酸素を吐き出しと、

空気をきれいにしてくれます。

 

また森や、川の流れなどの水しぶきが激しいところでは、

マイナスイオン(「マイナスイオン」は日本のみの造語)が空気内に多く占めているとも言われますね。

 

深呼吸自体、副交感神経に作用してリラックス効果があるわけですが、

緑に囲まれ深呼吸するなら、

光合成で清浄され

一説には副交感神経に作用すると言われるマイナスイオンたっぷりの空気ですから、

確かにリラックス効果も抜群でしょうね。

 

 

・視覚的な緊張と緩みの調整

自然には、

「直角」や「まっすぐな線」がほとんどないんですよね。

また画一的な形のみよりも、多様で変化に富んでいます。

屋内や都会の風景と自然の風景を見比べ、

感覚を済ませてみるなら、

身体の緩み張り具合の違いがわかります。

 

また葉間を通した穏やかな日差しも、

目や触覚にも優しいですね。

 

 

・聴覚的な緊張と緩みの調整

キー、ガー、といった人工的で規則正しい音の連なりよりも、

鳥のさえずりや、虫の泣き声や、葉が風に揺れる音など、

不規則で、無理な緊張や緩みがない。

 

 

・匂いと深呼吸

土の湿った匂い、樹木の匂い、花の匂い、

移り変わる匂いに、呼吸も深まり(ゆえに副交感神経にも作用し)

リラックス。

 

 

・触覚の多様さ

コンクリートとより弾力のある土では、

土には微妙な隆起が常にあり、また踏みしめるたびに変化します、

木の根っこがはっていたり、木の葉が落ちていたりと、

常に多様です。

また風がほほをなでる感覚、木漏れ日の日差しの強さ、常に変化しています。

 

などなど、

五感をなぞりながら、

自然と人工的なものに囲まれている環境の違いを感じてみました。

 

 

前の記事にも書きましたが、

「敏感な子」に自然の中で過ごすのがススメられるのも、

「敏感な子」というのは、

こういった細かなことを無意識的にも意識的にも、

より強烈に感じているからじゃないかな、

そう思います。

 

自然というのは、「微妙な変化」に富み、

「緊張しっぱなし」や「緩みっぱなし」の間で、

ちょうどよいバランスをとってくれるんです。

 

 

 

長男いわく、

「僕は人工的な建築物とか、効率的で大好きだけど、

午前仕事して、昼に自然に囲まれ過ごして、

午後再び仕事するとより集中できるという研究があるみたいに、

時々、自然を挟み込んでみると、バランスがいいのかもしれないね」

 

あと、

この前ママが言っていたように、

集中力とか、AD(H)Dとかね、

身体をしっかり動かすことで症状が改善するとか、

今回も、自然の中で過ごすことで改善するとか研究があるようだけれど、

自然の中で思いっきり身体を動かす機会をもっと持つことで、

今の現状が変わってくることもあるのかもしれないね」

とも。

 

夫と私で、そうかもしれないね、とうなずいてました。

 

忙しいスケジュールの間にも、

夕焼けや星空を見上げたり、

街路樹の木々に目を向けたり、

土の上を歩いてみたりと、

自然に触れる機会を取り入れていきたいですね。

 

感覚を、調整してくれます。

 

それではみなさん、楽しい週末を!


自然体験って子供にとって何がどういいんでしょう? 19の研究紹介

2016年10月08日 | 子育て全般

自然に囲まれて過ごすって、

子供にとっていいんだろうなあ、

私もそうですが、

なんとなくそう思っている方も多いと思います。

 

では具体的に何がどういいんでしょう。

ざっと研究紹介です。

 

 

1.イリノイ大学が米国全土で行った調査によると、5歳から18歳までAD(H)Dの子供たちが、外に出て自然を楽しむ機会をより持つことで、著しい症状の改善がみられた。

https://www.sciencedaily.com/releases/2004/08/040830082535.htm

 

2.週に30分以上公園を訪れる人は、そうでない人よりも高血圧や乏しいメンタルヘルスといった症状を示さない。

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/06/160623095252.htm

 

3.テネシー大学の研究によると、丸太や花などの自然に触れられる遊び場で遊ぶ子は、メタルやけばけばした色彩の「伝統的な遊び場」で遊ぶ子より、より活発である。

https://www.sciencedaily.com/releases/2012/10/121011135036.htm

 

4.子供時代に定期的に自然に触れることで、自然や環境により尊敬と愛を持って育つ傾向にある。子供時代、キャンプやハイキングや森を歩くなど自然の中で遊ぶことは大人になっても、環境への態度や行動にポジティブな影響を与える。http://www.outdoorfoundation.org/pdf/NatureAndTheLifeCourse.pdf

 

5.日々自然に触れることで、集中力や認知力が高まる。

http://sfrc.ufl.edu/urbanforestry/Resources/PDF%20downloads/Wells_2000.pdf

 

  

以下6から11まで、こちらの記事にまとめられた様々な研究です(研究の詳細については記事をご覧ください):

6.アパートの外に自然がある個人は、そうでない環境のアパートに住む人々よりも、攻撃性や暴力性が著しく下がる、また集中力もより高い。

 

7.朝仕事に集中し午後集中することに難しさを感じる大人は、自然ななかで過ごすことで回復する効果を得るという研究結果に基づき、朝ハードにワークして自然に囲まれた遊び場で遊ぶことで、子供も午後に集中するのを助けるかもしれない。

 

8.都会の街路樹は幼少期の喘息を防ぐ。

 

9.屋外や自然の中で過ごすことは、大人と子供の近視を減少させる。

 

10.家のすぐ外に緑のスペースがある場合、特に都会の女の子は、平和的な気持ちになり、自制心や自律心を促進する。

 

11.9ヶ月同じプレスクールに通う子供を調査。ひとつのグループは一日に少なくとも2時間は自然の中で過ごすようにし、もうひとつのグループには時々過ごせるようにする。コーディネーション、バランス力、敏捷性に著しい違いが出た(後者より前者の方が発達)。

  

 

以下12から18まで、こちらの記事にまとめられた様々な研究です(研究の詳細については記事をご覧ください):

12.創造性が高まる。協力的に遊ぶようになる。問題解決力が培われる。

13.自然に基づいた体験教育を取り入れる学校の生徒は、社会化、科学、言語力、数学により秀でている。

14.屋外での科学プログラムは27パーセント科学のテストスコアをあげる。

15.多様な自然環境を体験する子は、より身体的に活発で、他者に対しても礼儀正しく、より創造的。

16.自ら食材を育てる子供は、より果物や野菜を食べるようになり、栄養に関してより高いレベルの知識を示し、一生を通し、よりヘルシーな食習慣を続けることになる。

17.屋外で自由に構造化されることなく遊ぶ機会を定期的に持つ子は、より賢く、他者ともうまく付き合え、より健やかでハッピー。

18.植物は高度にストレス状態にある子供のストレスを減退させる。植物がたくさんある地や緑の風景や自然にアクセスできる遊び場は、ストレス減退により著しい結果をもたらす。

 

 

こう書き出しているだけでも、

「今日も裏の森へ何としてでもレッツゴー」と思えてきます。

 

都会暮らしであっても、上にあげたいくつかの研究のように、

街路樹だったり、ちょっとした緑の風景を眺めるだけでも違ってくる

といった報告もあるんですね。

 

また、こんな研究もあります。

19.

9歳から10歳の子に15分ほど、

サイクリング運動をしてもらいます。

1のグループには、

森の風景の映像を見せながら運動してもらい、

2のグループには、視覚的刺激はなし。

 

すると、ビデオを見ながら運動をしていた子の方が、

より健やかな運動効果を見せた(血圧がより低かったなど)といいいます。

 

バーチャルのみでも効果ありなんですねー。

 

 

森の映像を見ながら、

自然に囲まれているという気持ちになるだけでも、

リラックスするというの、分かります。

 

我が家もへっとへとにつかれ切った夜など、

ピヨピヨ~(小鳥のさえずり)、サラサラ~(小川の流れ)などの

BGMのついた自然の映像などをスクリーンに流しておくことがあるんですが、

部屋の雰囲気が、ほっと落ち着いていきますね。

 

「敏感な子へのおススメ」といった英語の記事などにも、

「自然の中で過ごすときを持つ」とあったりします。

 

 

次の記事には、昨夜のファミリーディナーで、

子供たちとこれらの研究について

話し合った様子をまとめました。

 

日常生活に、自然に触れるひととき、工夫していきたいですね!

トウモロコシ畑にて。

収穫の秋!


もし日本で子育てしていたら英語教育にどう取り組む?という質問、バイリンガル教育の利と不利とダメージ

2016年10月06日 | 子育て全般

「もし、マイコーさんが日本人のみの家族で、日本で生活されていたら、お子さんにはいつごろから、どのような英語教育をするとおもいますか?」

という質問をいただきました。

 

まず思うのは、

その子の様子と、家庭の状況を見ながら、模索していくんだろうなあです。

 

より具体的に「いつごろから」「どのような」ということも、

この記事の最後に想像してみました。

 

その前にひとまず、どうしてそういった想像になるのか、

説明させてください!

 

 

 

日本の子供たちが「使える英語」を身につけていくことは、

これから日本が世界で活躍していく上で、

大切なことだと思います。

 

文部科学省も、ひとまず2020年の東京オリンピックを見据え、

英語教育の改革をすすめていくとのこと。(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/102/houkoku/attach/1352464.htmより)

日本の国全体が、英語教育促進に向けて動いていますね。

 

そんな中、乳幼児時代から、

「この子をバイリンガルにしよー!」

と意気込む親御さんも多いのだと思います。

 

 

ということで、

「バイリンガル教育」について、

これまで思ってきたことをまとめてみますね。

 

海外に暮らす日本の親御さんが必ず思うのが、

「我が子を、現地語と日本語のバイリンガルにしたい!」

です。

 

私自身も、もれなく、そう思っていました。

 

それでも子供たちに接する中で、

「そうそう一筋縄ではいかないんだなあ」、

というのが分かり始めます。

 

 

バイリンガルの子は、母国語がひとつの子に比べ、

認知面から記憶面から実行機能から思考の柔軟さまで

様々な面で優れている、と示す研究もあります。

また、将来的にアルツハイマーを遅らせるなどともいわれています。

(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22464592

http://serious-science.org/cognitive-advantages-of-bilingualism-2-2610より)

 

一方、

二言語以上用いる子は、母国語がひとつの子に比べ、

使いこなせる語彙や構文もより少なく、

適切な言葉を思い出すのが難しい場合があるなど、

全体的に言語能力が低くなり、

認知面や高度に考える力などに弱さが見られることがある、

といった研究もあるんですね。

http://www.omniglot.com/language/articles/bilingualadvantages.htm

「バイリンガルの科学」小野博 ブルーバックスより)

 

例えば、「セミリンガル」という問題もあります。

セミリンガルとは、二言語以上を獲得しつつも、

どの言語も母国語レベルに到達しない状態をいいます。

 元々は、ネイティブアメリカンの研究(1920年代)で、

英語もネイティブアメリカンの言語も、

母国語レベルに到達していない人々の存在を表す言葉として、

生まれた概念です。

http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/lcs/kiyou/15_3/RitsIILCS_15.3pp.199-205Oneill.pdfより)

 

 

 

バイリンガルについては、

こうして、相反する研究が報告されているわけですが、

「ほんとのところ、一体どっちなの?」と思いますよね。

 

私自身、17年間海外に暮らし、

様々なバイリンガルやトリリンガルの子供たちの成長を見てきて思うのは、

「両方あり得る」ということです。

バイリンガルを目指すことが「利」として表れることもあれば、

「不利」もしくは「ダメージ」として表れることもあるということです。

 

そしてどちらに転ぶかは、以下の2つの要素が絡んでくると思ってます。

1.その子の特性や資質

2.言語環境

 

1.その子の特性や資質

言語を操ることが得意な子もいれば、

周りより時間がかかったり、

少し特殊な学び方や伸び方をしたり、

不器用だったりする子もいます。

 

またディスレクシアや何らかの学習障害傾向がある子なども、

他言語学習は通常の何倍もの負担になるものです。

我が家の場合は、

「ディスレクシアの遺伝率(夫がディスレクシア診断を受けてます)」を思うとき、

やはりバイリンガル教育には、慎重にならざるをえませんでした。

 

 

バイリンガル環境にある子は、

小学校高学年頃までは、

現地語の遅れが見られることが多いです。

日本で英語とのバイリンガルを目指す場合は、

日本語に遅れが出るかもしれないということですね。

 

それでも、その後は、

両言語を器用に操り、バイリンガルとして成長していく子と、

現地語も伸びず、家庭で力を入れていた言語も伸びずといったセミリンガル状態に、

分かれていくように思います。

 

 

例えば、 

米国の大学で長年日本語を教えていた先輩の娘さんの例なんですが、

両親共に日本人の家庭でしたが、

小学校中学年から一切日本語を用いることをやめていました。

英語のみに絞ったところ、英語力がぐんぐんとつき始め、

米国の超難関とされる大学に進学、

その後、留学生として日本へ滞在し日本語を学んでいました。

 

バイリンガル教育が、

その子の持てる言語能力の発達を妨げることもあるんですね。

対応としては、

まずは母国語をしっかりと確立すること、

すると、長い目でみるなら、他言語を学ぶ力も培われていきます。

 

 

 

2.言語環境

言語の習得は、とにかく「インプット」が鍵です。

日常的に周りでその言語が豊かに用いられる環境にあるならば、

その言語を操る力や思考力も育つでしょう。

 

ヨーロッパなどのように、

多言語が日常的に豊かに話される環境にあるなら、

多言語を豊かに発達させることが可能です。

それでも、「セミリンガル研究」の元となったネイティブアメリカンの場合など、

一昔前は英語のみを用いるよう強制されたりと、

母語を話す人数も減り言語自体が衰退しています。

そうした言語環境では、

その言語を豊かに身につけていくことは難しいわけです。

 

 

家庭でバイリンガルを目指す中で気をつけたいのは、

インプットの機会が十分でないのにも関わらず、

「その言語でしか話せない」環境で育ってしまう場合です。

こちらでいうのならば、

片親しか日本語を話せず、日本を訪ねることもなく、

日本語の情報が圧倒的に少ない中で、

「家では日本語のみで話す」としてしまう場合などです。

成長とともにどんどん複雑になる思考や感情を、

表すには圧倒的に語彙も言い回しも足りませんし、

せっかくの親子の会話も、乏しいものになってしまいます。

 

その言語が豊かに用いられている環境をどれほど整えられるか、

吟味していきたいですね。

 

 

 

 

 

最後に、

「使える英語」というのは、

「英語力」のみに支えられるわけじゃないです。

複雑な語彙や構文を操る能力、考える力があってこそ。

 

ですから、

私自身、日本で子育てしていたら・・・と、

もう少しありありと想像してみるなら、

自身の英語が母国語の域ではないでしょうし、

「豊かな会話を楽しめる状況にないなかで、

子供にバイリンガル教育をしていくのはちょっと難しいだろうなあ」

ということになると思います。 

 

(とはいえ、まあ、

17年海外で様々な子供たちに接してきた体験があるからこそ、今、こう思うわけで、

今の日本の英語教育ブームの中で子育てを始めていたら、

「何が何でもバイリンガルにしなければ!」と意気込んでいたかもしれません。)

 

そうして、バイリンガル教育には慎重になりつつ、

まずは豊かな「母国語=日本語」の確立を軸に据え、

その上で、異文化にも親しみを持てるよう、

3~4歳ぐらいから、

英語の歌やリズム遊びや会話に触れさせていく、

もう少し大きくなれば、海外での暮らしの様子に映像などを通して親しむのもいいですね。

そうこうしつつ、その子の様子をみながら、

時間的物理的にできる範囲で、より深めていく、かなと。

 

 

コメント主さんが、最善にたどりつきますように!

それではみなさん、今日もよい日を!


現代の子育てはなぜ「きつい」?きつさと隣り合わせにある喜びを抱きつつできること

2016年09月29日 | 子育て全般

ちょっと大きなテーマなので、

あれやこれや押し寄せ溺れそうになりますが、

今後も考えていきたいことなので、

今の時点で思うことを、ここに形にしておきます。

 

人類が生まれてから500万年ほどの間、

ずーと営まれてきた子育て。

ひとまず近年の変化を、みてみましょう。

自分たちの置かれた状況を知ることで、

対策もより見えてくるはず、そう思うんです。

 

 

一昔前は、一日中赤ちゃんをおんぶしながら、

洗濯板とか布オムツを洗い続けていたわけですから、

電化製品も行き渡り、技術も進み、

「紙おむつゴミ箱へポン!」とできてしまう今は、

「子育てって楽!」となってもいいはずです。

 

ところが、「現代の子育てはきつい」という言葉が、

こちら米国でも日本でも行き交ってます。

 

ではこの「きつさ」って、一体なんなんでしょう?

ざっと整理してみましょう。

 

1.家族構成が変化し子育て体験なし手伝いなしの子育て環境

核家族が主流となった現代では、

赤ちゃんからおばあちゃんまで広い年齢層に揉まれながら大家族の中で育った、

という経験がある人ってあまりいません。

 

そこで、ある日突然赤ちゃんを腕に抱き、親になる場合がほとんど。

そして子育て中も、

頼ることのできる「おばあちゃん」や「おばちゃん」などの

子育て体験者が身近にいない場合も多いです。

 

「何をどうしたらいいのー」とわけ分からいまま、

子供との間に入って調整してくれる人もおらず、

マンションの密室などで、四六時中、「得体の知れない存在=子供」と

共に過ごすことになってしまいます。

 

 

2.「肌感覚」のないまま雑多な文字情報の海に投げ出される

こうして、

体験によって培われた「肌感覚」や

身近な体験に基づいた「知恵」のないまま、

ワラにもすがる思いで、

情報をかき集めることになります。

 

それでもネットや本など、

巷には、時に相矛盾する育児情報が溢れているもの。

 

ぶれぶれに翻弄されるのも、しごく当然のことですよね。

情報をより分ける軸が全く築かれないまま、

雑多な情報の海に投げ出されてしまうのですから。

 

 

 

3.我慢の質が異なる

一昔前は、子供は労働力でした。

そうして小さなころから畑仕事や家事をしたり、

妹や弟の世話をしたりが日常だったのなら、

子育ては、単にその延長でしかありません。

それほど大変とも思わないでしょう。

 

でも、今び親の世代(20~40代)は、

一昔前に比べると、

こうした自然や生ものを相手にした生活感のある我慢を以前ほどは、

してきてないです。

 

学校のスケジュールに従うとか、

試験勉強のために何かをあきらめるとか

そういう我慢はしてきたかもしれませんが。

 

また物質的にも、

一世代前よりは、選択肢が溢れ、

より好きなものを手に入れることができたのではないでしょうか。

 

時間的にも物質的にも自由のきかない子育ては、

我慢の限界越え、と感じるかもしれません。

手に入れる時間が細切れで「達成感が感じられない」というのも、

現代の親特有の悩みかもしれません。

 

 

4.子育て支援システムがないまま共働きが加速

実は人類誕生以来99パーセントの期間を占める狩猟採集時代ですら、

夫婦というのは共働きだったわけです。

 

でも、当時と現代とでは全く状況が違います。

何が違うかというと、当時は、

コミュニティー全体で子供を見ていたんです。

(「マザーグランド」と呼ばれるような、

子供をぽんとおいておける場があったり

http://naturalstart.org/feature-stories/reinventing-mother-ground)

 

今は、核家族が主で、コミュニティー間の繋がりも希薄。

「皆で育てる」といったバックアップ体制がどんどんなくなる中で、

共働きが促進加速されている状態といえます。

 

これでは、親にとっても子供にとってもきついですよね。

 

 

 

5.子供と過ごす時間の増加

(http://www.livescience.com/29521-5-ways-motherhood-has-changed.htmlより)

家事に膨大な時間がかった以前は、

専業主婦でもとにかく忙しくて、

子供と向き合う時間などなかったといいます。

 

今では家事も昔より格段に楽になったものの、

兄弟姉妹も少なく、子供だけで遊びまわれる場も減り、

頼れる親族などもいないなどの状況から、

子供につきっきりにならざるをえなかったりします。

 

米国では、

昔より女性が外で働くようになったものの、

親が子供と過ごす時間自体は増えていると報告されています。

1965年には外で働く女性の平均時間は週に8時間だったのが、

2011年には週に21時間になっています。

ところが、1965年には週に10時間子育てに費やしていたのが

(ちなみに父親は週に2.5時間)、

2011年には週に14時間(父親は7時間)費やすようになっているそうです。

 

つまり、外で働く時間が大幅に増えたにも関わらず、

子供と過ごす時間も増えているんですね。

 

家事量は減ったものの、

親の仕事量は、増加の一途というわけです。

 

 

6.いくら「きつく」ても「あなたの選択だから」に帰結

一昔前は、「女性はある程度の年齢になったら、

結婚して子供を持つ」のが当たり前でした。

 

それでも時代は変わり、

結婚も出産も「選択のひとつ」になりつつあります。

そこで、以上のように子育てを取り巻く状況がいかにきつかろうと、

「あなたが選んだことだから」で終わってしまい、

ママが一人で背負い込まざるえない、

という状況が生まれているといいます。

(http://family-studies.org/why-parenting-has-gotten-more-difficult/より)

 

と、まあこれは、米国でのことですね。

日本の場合はまだまだ、

「ある程度の年齢になったら結婚して子供をもつべき」

といった周りからのプレッシャーもより大きいかもしれません。

 

外からの圧力ではなく、

「結婚も出産もシングルも、したいからそうする」と、

より多くの人が感じられるようになるといいですね。

 

いずれにしても、

「自分で選択して結婚出産した」にせよ、

「周りのプレッシャーから結婚出産した」にせよ、

「あなたが決めたことだから」や、

「皆してきたことだから」で終わってしまうのは、

きついです。

 

 

7.何をどこまでしたら「ゴール」にたどり着くのかよく分からない

狩猟社会では、鹿や鯨を獲れるようになってくれたり、

皮をなめしたりできるようになってくれれば

「ああ、この子はこれで生きていける」とほっとできたわけです。

 

また一昔前は、ある程度健やかで、ある程度識字能力があればいい、

というぐらいがマジョリティーのゴールだったといわれます。

 

ところが、今はもっと複雑です。

 

医療の発達により身体面や衛生面へ気を配ることは

以前より切実でなくなったものの、

持てる力を最大限伸ばしてやりたいだとか、

社会性やメンタル面を健やかに育てたいだとか、

ハッピーな大人になってほしい!だとか、

いろいろ目指すものがあります。

 

しかも、

何をどうしたらいいのか、

何をどこまでしたら十分なのか、

はっきりととらえがたいゴールばかりです。

 

先行きが見えない不安感から、

ひとまず、

経済的ステータス的に高い成果をあげやすいとった確率的な指標に頼り、

いい大学やいい会社を目指すことに躍起になることもあるでしょう。

それでもこれはあくまでも「確率」であって

当てはまらない例も多くあります。

 

ましてや「幸せ」ということならば、

「経済的な成果」といった指標は当てになりません。

物質的に恵まれていても、

全く幸せでない人もいるという例はいくらでもありますから。

 

何を目指して子育てをしていけばいいのか、

霧の中を歩いているような「きつさ」があります。

 

 

 

 

と、「きつさ」ばかりあげるなら、

子育てはもう苦行か何かにしか見えないかもしれません。

 

でも物事には、常に、凹面もあれば、凸面もあります。

 

胸に手をあて、深呼吸して、

子供がもたらす「喜び」を思い出すなら、

必ず、様々な瞬間が浮かんでくるのではないでしょうか。

 

子供との日常には、

「小さく深い喜び」が溢れています。

 

相傘するお姉ちゃんが濡れないように一生懸命傘を傾ける、

言わなくてもごみを出してくれた、

一回起こしてすぐに起きた、

ピーマンを残さなかった

 

こうした「喜び」ひとつひとつを、心に浸してみます。

 

「きつさ」と隣り合わせに、

目の前には常に、「小さく深い喜び」がある、

そう気づいていきたいですね。

 

これらの「喜び」を抱きつつ、

上にあげたような「きつい状況」を改善していくために何ができるか?

そう問いながら、できる範囲で動いていく。

 

 

それは、何も大それたことじゃなくて、例えば、

・身近に子育てに困っている人がいたら話を聞いてみる

・子育て体験を発信していく

・情報を鵜呑みにせず、試し感じ考えと繰り返し自らの軸を築いていく

・子供との間にワンクッション入るような気の置けない繋がりを模索する

・子供に生活感のある体験をさせてやる

・子供と一緒に過ごす時を共に楽しめるよう工夫する

・万能な答えはないけれど、子供と向き合う中で自分たちなりの答えを見出していく

というようなことなのかもしれません。

 

 

私自身にできることを続けていきますね。

それではみなさん、よい日を!