マイコー雑記

行き来するもの書き留め場

『It mama』寄稿:「じっとしてなさい!」と怒る前に試したい米国式メソッド4つ&理解が広まりますように

2017年11月01日 | 身体を動かし発達促進

仕事原稿と仕事原稿の合間に、

みなさんにお伝えしたいことを一記事、

更新します!

 

この『It mama』さんの記事にまとめたことは、

本当に、何度も繰り返して言い続けたいことです。

あちらこちらに、ばらばらに書いてきたことを、

今回機会をいただき、コンパクトにまとめました。

 

日本でも米国でも、

子供が集まる場では、必ずと言っていいほど、

「じっとしてなさい!」と

イライラしている大人に出合います。

 

 

私自身も、まだ子育て初めのころは、

身体を動かすことの大切さが、

全くぴんときてませんでした。

 

長男が六歳の時に、ある日、

米国で長年幼稚園の先生をする友人が言いました。

 

「この子は、思いっきり走り回りたいんじゃないかな」

 

こう言われても、全然ぴんときませんでしたよね。

「??? この子は、身体を使うより、

本を読んだり、何かを作っている方が、好きなのよね」

ぐらいに思っていました。

 

でもですね、年を経るにつれ、

記事にあるように、

・身体をしっかり動かすこと。

・ある程度ごそごそ動くことを許すこと。

その大切さを、年々、かみしめて実感するようになりました。

 

そうして今、私自身、

「この子は、思いっきり走り回りたいんじゃないかな」

そう思う子に出会ことがたびたびあるんです。

 

 

 

スポーツが大きな助けとなっている我が家と親族の事例&ADHDについて研究

我が家は、5人ともスポーツをしているんですが、

しっかり身体を動かすことで、

他のことがよりうまく回っていくためという理由も大きいんです。

 

それは、集中力や、

物事に向き合う意欲や落ち着きといったことです。

 

 

また親族では、義弟の子供時代のビデオをみて、

その一時もじっとしていない様子に驚いたことがあります。

小学生時代、ADHDの検査を受けるように担任から言われ、

それでも結果としては「ボーダー」で診断がおりなかったそうです。

 

彼は、物心ついたころからスポーツ三昧。

姑によると、でないと、日常生活が回っていかなかったといいます。

そして、スポーツの推薦で入った大学にて学業に目覚め、

その後、みるみる伸び、

今は世界を股にかける研究員です。

 

 

また、記事でもとりあげましたが、

ADHDの研究の多くが、

身体をしっかり動かすことで症状が緩和することを示しています。

こちらにも以前紹介しました。

AD(H)D傾向の子にもハイリーセンシティブな子にも大切な「身体を動かす」こと

 

 

スポーツが得手不得手とか、スポーツで活躍する必要はないんです。

ADHD系の子や人々にとって、

自分なりにしっかり身体を日常的に動かすことは、

日常をまわしていくために、必須なのじゃないかと実感しています。

 

 


教室で出合うじっとしていない子たちには「動」を散りばめた対応を

教室でも、必ず、じっとしない子がいます。

そうした子に、「じっとしなさい!」と言っても、

何の効果もないんです。

じっとしたと思ったら、眠り始めますね。

 

こうした子たちは、

「プリント配ってね」「前に出てきて発表して」など、

少し「動くタスク」をしてもらうと、課題への「エンゲージ度」が一気にアップします。

また何かを作り始めると、細かなところまで驚くほどの集中力を発揮したりと、

「動」をちりばめていくことが鍵です。

 

長男も、高校生になってからも先生に、

「お宅の息子さん、テストの間、

ごそごそとどうしても落ち着かないようでしたから、

後ろの席のスペースのある所に移動させ、

立ったり座ったりすることを許したんですよ。」

と言われたことがありますよ。

(ちなみに落ち着くには、

スポーツもですが、睡眠をしっかりとることも大きいですね。)

 

 

また今も実感していることですが、

休憩時間で外へ出て走り回った後は、

クラス全体もしっとりと落ち着いて課題に向かえますし、

休憩時間を飛ばすと、如実にクラスがざわつき、全体の集中力が落ちます。

←休憩時間の効果については研究結果もいくつか出ています。

 

 

 

 

記事で紹介した「ヨガボール」に座ることについて

記事で紹介した教室内でヨガボールを椅子の代わりに使うことについてですが、

アラスカの「ギフテッドプログラム」だけでなく、

今、こちら東海岸の子供たちが通う公立小学校でも、

次男の小学3年生のクラスで、選択が与えられています。

また、ボールに座ることが許される公立のクラスというのは、

たびたび他の知り合いからも聞きます。

 

そうしてADHDやギフテッドプログラムと言ったことに関係なく、

実践されている先生方が口をそろえておっしゃるのが、

「子供の集中度がアップする」ということ。

 

こちらは担任によって面白いほど方針が違うのですが、

この次男の担任先生のクラスでは、生徒の座る定位置は決まっておらず、

床の上のクッションだったり、ソファだったり、ボールだったり、椅子だったりと、

好きなように移動して、どこに座ってもいいことになっています。

 

長年先生をされ、

敏感で、温かく、大らかな方。

面白い試みを、長い間続けていらっしゃいます。

 

学校に慣れるのに時間がかかったあの次男が、

「これまでで一番好きな先生」とつぶやいていました。

今では、毎朝嬉しそうに学校へ通っています。

 

 

それでも、きちっとじっと座ってられた子のみを育てた方や、

伝統的な教え方に慣れた先生方などは、

こうしたことが、全く理解できなかったりします。

「静止できないのは心の乱れ」として忌み嫌われます。

 

こうした情報が、広く行き渡り、

少しでも楽になる親子が増えますよう心より願っています。

 

こちらにも、身体を動かすことの大切さをまとめてあります:

http://blog.goo.ne.jp/managaoka/c/aeca69db2e0d020e35467916437af17c

 

 

 

またこちらにも以前書きましたが、

 ・「特性の違い」を理解した上で、落ち着きのない子に対して「他にもできること」

『It mama』さんの記事に載せた、

「じっとしてない子とのスキンシップや親の心持ち」についても覚えておきたいです。

『虹色教室通信』の奈緒美さんも、以前こんな記事を書かれています。

 ・本当のことを教えてもらえない時代 言ってもらえない時代

 私自身も、自身と子供たちの関係の中で、確かに、と実感しています。

 

他にも、

実際にこちらの公立小学校で用いられている呼吸法も紹介してあります。

マインドフルネスですね。すっと落ち着きますよ。

興味ある方是非どうぞ!

「じっとしてなさい!」と怒る前に試したい米国式メソッド4つ

 

 

 

 

 

さて、今日はこれからハロウィンです。

とはいえ、上2人はそれぞれの活動、

次女は、お友達と繰り出し、

私は、友人家族と下2人&子犬と共に、近所を回る予定です。

昨夜はあまり寝てないのですが、

半分夢の中で、ハロウィン満喫してきます!

 

明後日はランニングクラブでもハロウィンパーティー。

これから年末に向け行事が続きますね。

 

この方たち、今朝、バナナとピザで登校しましたよ。

 

目がビーム。

それではみなさん、今日もよい日を!


算数学習に身体全体を用いての「動き」を取り入れることで学習効果アップ!というデンマークの研究紹介

2017年03月21日 | 身体を動かし発達促進

身体的な活動が、認知機能やアカデミックの達成に利益をもたらすという研究は、

これまでもいくつか発表されています。

こちらにもいくつかまとめてきました:

身体を動かし発達促進:http://blog.goo.ne.jp/managaoka/c/aeca69db2e0d020e35467916437af17c

 

今回は、

「算数の学習に動きを取り入れることで、学習効果が著しくアップする!」と示す、

今年2月に発表されたデンマークの研究紹介です。

 

 

 

 


「Fine Motor(微細運動)」と「Gross Motor(粗大運動)」とは?

この研究では、動きあり&動きなし、の違いだけでなく、「動き」の中でも、

 「Fine Motor(微細運動)」と「Gross Motor(粗大運動)」の学習面での効果の違いに着目したそうです。

 

ちなみに、

Fine Motor (微細運動)とは、目と共に手や手首や指などを用いる小さな動きのコーディネーション。例えば、はさみを使ったり、紙を折ったり、スプーンを用いて食べたり。

Gross Motor (粗大運動)とは、腕や足や、他の大きな身体の箇所を用いた大きな動きのコーディネーション。例えば、走ったり、這ったり、泳いだり、階段を上ったり、自転車をこいだり。

 




身体全体を使った「粗大運動」がより算数の学習効果をアップさせる?

研究チームは、165人の小学1年生を以下の「3つのグループ」に分け、

6週間の算数指導カリキュラムを施したといいます。

 

グループ1. 算数の指導に「Fine Motor (微細運動)を取り入れる

移動せず座り、1人もしくは少人数のグループでレゴやブロックを用いる。例えば、算数や幾何学的な問題を解くために模型を作るなど。


グループ2. 算数の指導に「Gross Motor (粗大運動))を取り入れる

テーブルや椅子は取り除かれた教室にて。例えば、身体で三角形や数字を作ってみたり、生徒1人1人を動かすなどして足し算や引き算をするなど。


グループ3.通常の算数の指導のみ

机に向かって座り、鉛筆と紙と定規などを用いるのみ。

 

生徒は、6週間の算数指導の前と後に「算数のテスト」を受けます。

すると、グループ2の「身体全体を使った生徒」が、他の2つのグループに比べ、著しくスコアを改善したといいます。

こちらに詳細チャートあり:http://www.frontiersin.org/files/Articles/231099/fnhum-10-00645-HTML/image_m/fnhum-10-00645-t002.jpg

 

研究を率いたコペンハーゲン大学のJacob Wienecke氏曰く

「子供は、動いたり身体全体を使うことでより学びます。

激しい動きが学習効果をアップさせるという研究は発表されてきましたが、

より激しくない動きであっても、学習のトピックに結びつけられている限り、

同じように効果的、もしくはより効果的ということが分かりました」とのこと。

 

 

階段上りながら段数を数えるとか、

数字のラインを作ってその上を歩いてみるとか、

「人間すごろく」を作るとか、

身体も頭もフル回転で学習効果アップなんて、楽しくていいですよね。

 

 

 

 

 

「動く」ことは算数が平均、もしくは平均以上にできている子により有効?

この研究によると、平均もしくは平均以上に算数ができている場合は、

動きを用いたほうがより著しい好影響を受けたけれども、

平均よりできない場合は、

動きを取り入れても取り入れなくても、違いはなかったとのこと。

 

つまり、その子の算数レベルを観ての対応が必要ということですね。

 

とはいえ、この研究によると、平均よりできない子にとっても、

「動き」を取り入れることがデメリットになるわけではないので、

クラス全体に「動き」を取り入れたカリキュラムを組むことは有効なのでしょうね。

 

ただ、動きを取り入れることで、平均以上にできている子なら、

ますますできるようになっていくため、

できる子とできない子の格差がますます開いてしまわないよう、

配慮が必要になるでしょう、とのこと。

(平均よりできない子へより多くの指導時間を持つなど)

 

 確かにです。

 

これまで接してきた子、我が家の子をみても、

「動く」ことが、かなりベネフィットになる子がいる、

そう実感しています。

 

その子の様子を観つつ、 

生活の中で「動き」ながら学んだり、

学習に「動き」を取り入れたりと、

心がけていきたいですね。

 

 

 

「しよう!」と思うことが溢れて、

ふと立ち止まり、もうどこから手をつけたものかと呆然としてしまいますが、

とにかく、思い描くビジョンのほんの一片一片でも形にしていくなら、

必ず、全体像に近づく日が来る、そう信じつつ。

それではみなさん、今日もよい日を!


オールアバウトに「身体を動かすことの大切さ」についてまとめました

2016年09月25日 | 身体を動かし発達促進

『オールアバウト』に、「身体を動かすことの大切さ」についてまとめました。

学力アップの秘訣!身体を動かすことの大切さ

こちら『マイコー雑記』に書いてきたようなことが、コンパクトにまとまっています。

 

『ユア子育てスタジオ』への紹介はこちらです。

オールアバウト記事「学力アップの秘訣!身体の動かすことの大切さ」

 

興味ある方、是非どうぞ!


幼児期のアカデミックってどう思う?という質問、『遊び=動き』のあふれた自主的な体験の大切さ

2016年09月04日 | 身体を動かし発達促進

幼児期にアカデミックを教えることについて、

質問をいただくことがあります。

 

私自身は、様々な子供の育ちに関わる中で、

小さな時分ほど、実生活の文脈のなかで、

子供自身の興味を軸とした自主的な体験を通して学ぶことが、

最も健やかに子供を伸ばす、そう思っています。

 

道端の石を数えたり、

どのスーパーの袋に最も多く物が入っているか、じゃあ一番重いのはどれか、

積み木のお城のお堀をつくるにはいくつぐらいどんな形の積み木がいるのか、

などから、「数のセンス」を身につけ。

影の大きさや位置が変わることや、

空が青かったり灰色だったり真っ赤だったりするのは「なんでだろう?」

という疑問からサイエンスに親しみ。

周りの人々の話すストーリーや、

お友達とのコミュニケーションから

語彙や言語感覚を身につけていく。

 

 

例えば、

こんな場が増えるといいなあと常日頃から思っている

『虹色教室』のようなところですね。

また私自身教室でお手伝いさせていただいたことのあるウォルドルフの幼児教育

(シュタイナー教育についての記事:http://kosodatekyua.com/category/steinereducation/)や、

1991年に「世界で最も優れた10の学校」に選ばれた「レッジョ・エミリア・アプローチ」や、

自主性を育てるということではオランダの「ピラミッドメソッド」やモンテソーリ式

なども、ありますね。

 (「レッジョ・エミリア・アプローチ」については、改めてまとめたいなと思ってます)

 

 

コネチカットのニューヘイブンにある、

「遊びに基づくプレスクール」として名高い学校のディレクター、

サラ・ギャノン氏の言葉に大きく頷きます。

 

「昨今、アカデミックが強調されるばかりに、

小さな子たちが、

まだ準備できてないことに強制的に取り組ぬことがのぞまれています。

もちろん、私たちも、文字や音や数や量について教えます。

それでも、文脈のある体験を通してなんです。

つまり、実際に子供たちが校庭で見つけたどんぐりを数えてみたり、

積み木を組み立てたり、

お友達たちの名前を発音してみたり書いてみたり、

歩きながら信号を見たりするといった、体験を通してなのです」

http://www.theatlantic.com/education/archive/2016/05/why-young-kids-learn-through-movement/483408/より)

 

机上の教科書やプリントワークで学んでいくやり方は、

施す側にとって、

準備や結果をとらえやすいといったことからも

より「簡単」なんです。

そして子供によっては、次から次へと

進みたがる子もいるだろうと思います。

 

どんどん机上のお勉強をやりたがる子には、

まあ自主的にやらせるようにし、

嫌がったりのんびりな子には、

机上のことはほどほどにして、

どちらのケースであったとしても、

身体感覚をフル活用した体験を通し学ぶ楽しさを積み重ねてやりたい、

そう思います。

 

 

以下、「体験を通して自主的に学ぶ」ことの大切さについて、

『The Atranticの記事「Why Young Kids Learn Through Movement

どうして幼児は動きから学ぶのか)」から抜粋しますね。

 

 

英国バンガー大学心理学教授エミリー・クロス氏曰によると、

 

「新しい神経科学の研究では、

学習者が動き、行動し、交流する場では、

脳の働き方自体が変化し、

子供の学習過程を加速すると分かっています。

それでも動きのない消極的な学びでは、

こうした脳の活動は見られないんです」といいます。

 

つまり、

「人は、単に観察するよりも、

自らの身体を従事させた方が、

新しく獲得するスキルをよりよく吸収しやすいんです」

とクロス氏。

 

動きながら学ぶことは、

脳の働き方を変化させるんですね!

まあ、鉛筆持って手だけ動かすより、

身体全部を総動員した方が、

それは脳も活性化するだろうとは素朴に思いますよね。

 

また、

プレティーンや青年についての調査でも、

活発に動くことに従事した方が、

動きのない消極的な学びよりも、

パフォーマンスが著しく優れるといった研究結果も、

クロス氏によって発表されています。

机上ばかりでない体験の大切さは、幼児にとってだけではないんですねー。

 

 

小児科医のバネッサ・デュランド氏曰く、

「子供は、全ての感覚を総動員して世界を体験することで学ぶんです。

動きを制限することとは、特に年齢の低い子にとっては、

体験的学びを妨げることなんですよ」とのこと。

 

 

こう見てくると、

「じっと座って勉強しなさい!」

と小さな子を長時間座らせることが、

いかに「的を得ていないか」を思います。

 

 

 

ラスリー大学のナンシー・カーソンページ教授曰く

「よいキンダー(年長さん)の教室というのは、

誰もが動いているんです。

先生も動いているんです」

 

例えば、遊びの場では、

「他の積み木がどう働くかといった関係を見ながら積み木の形を見定め、

もっと必要か、バランスが取れるか、もっと高くなくちゃいけないか、

左右対称であるかなど 創りだすためには何が必要かと、

創作の場を行ったりきたりして決断していきます。

これらの『数学的なコンセプト』全て、

子供が活発に組み立て動くことから明らかになっていくんです」とのこと。

 

子供たちは「ただ遊んでいる」ように見えて、

五感をフルに使ってアカデミックの土台を身につけています。

そもそも、「遊びとアカデミック」を切り離す方が、

不自然なんですよね。

 

 

 

 

それでも、昨今、

こうした「動きを通した学びのあり方」のできる場が

減っていると危惧されています。

 

バージニア大学の研究によると、

「1998年に比べ、今日の子供は、

自由に動き、自ら選んだ活動に従事する

といった自主的な学びに費やす時間というのが、

はるかに減っています。代わりに、

はるかに多くの時間を消極的な学び環境で過ごしているんです」

とのこと。

 

レスリー大学の幼児教育学の教授ベン・マーデル氏は、

「大人が遊びを学びに組み込むときでさえ、

しばしば、動きや自主性を制限してしまいます。

遊びでは、遊ぶものが参加者を決め、ゴールを選択し、ルールを導き形作っていきます。

大人が『こうすべきよ』と子供たちに伝えるとき、

遊びがもたらす重要な発達面での利点を多く失うことになります」

と指摘しています。

 

 

 

 

「『遊び=動き』のあふれた自主的な体験」

を大切にする幼児教育の場が、

増えていくことを願っています。

今後の教育現場では、

「頭ばっかり」でなく、

身体感覚をどう統合していけるか、

これが鍵になっていくのじゃないかな、私自身はそう思っています。

 

それでは、みなさん今日もよい日を!


有酸素運動が学業面でも鍵となる「実行機能」を高める、その子のペースでえっほえっほと動くひとときを

2016年08月26日 | 身体を動かし発達促進

運動を生活に取り入れることで、

「実行機能(executive function)」の改善が見られた、

と示す研究がいくつかあります。

 

「実行機能」とは、

計画、開始、整理、維持といった目標を達成するために必要な認知機能。

一般に、「実行機能」は以下のような能力に関わるとされています:

衝動のコントロール、感情のコントロール、柔軟な思考(必要な思考を柔軟にスイッチする力)、ワーキングメモリー(何が大切かを思い出す力)、論理的に推測し計画する力など。

 

昨日の記事で「運動することで認知テストや成績がアップした!」

と示す研究を紹介しましたが、

「実行機能」は、

こうしたアカデミックなパフォーマンスに大きく関わるとされています。

 

確かに、アカデミックな課題を前にした際、

・達成のために関係のない反応を避け、

・柔軟に思考をスイッチし、

・この課題には何が大切なんだろうと思い出し、

・計画を立て整理遂行する

といった「実行機能」が高いほど、より高い成果をあげられますね。

 

 

「運動」が「実行機能」に与える影響を示す研究例です:

(以下、生物人類学者グエン・デワー氏による研究紹介まとめです)

・有酸素運動がADHDの子供の脳の活動を変化させ、自制力を促進した。

・肥満児が1日40分の有酸素運動をすることで「実行機能」を改善させた。

・13週間の有酸素運動が、生徒の数学スキルを改善し、「実行機能」に関わる前頭前野を活性化させた。

・20人の7歳から9歳の児童を、放課後の運動プログラムで毎日70分運動するようにしたところ、「実行機能」と「ワーキングメモリー」の改善が見られた。プログラムに入らなかった子には、改善がみられなかった。

・220人以上の児童に放課後60分の有酸素運動を毎日9ヶ月間するようにしたところ、集中力と認知的柔軟さが増した。

 

引用終わりーーーーーー

 

 

これらの研究をみると、

「有酸素運動(aerobic activity)」がいいみたいですね。

スポーツチームにいれないと! でなくても、

近所を走り回ったり、散歩でもいいんですよね。

 

足が速い遅い、運動苦手得意などに関係なく、

その子のペースで、えっほえっほと運動する機会を持っていけたら。

 

身体を動かすことで、

しっとりと落ち着いて物事に取り組める、

子供に接しつつ日々実感しています。

 

 

 

運動はこうして「脳の発達」だけでなく、

心身の健やかさにもよいとされるわけですが、

「敏感な子」にとっても、

ムードをよりスムーズに調整できるようになったり 

ぎゅっと萎縮しがちな身体がほぐされたりと、

ポジティブな働きがあるなあ、そう実感しています。

 

最後に、大人にとっても運動って大切ですね。

年とともに弱くなる骨を支えるためにも、

私も、筋肉鍛えていこうと思います。

 

 

できる範囲で、

親子で「身体を動かすとき」、

日常生活に取り入れていきたいですね。

 

みなさん、楽しい週末をお過ごしください!


子供の発達にとって「身体を動かすこと」がいかに大切か、改めて生活を見直したいですね

2016年08月25日 | 身体を動かし発達促進

その子の個性や特性に適した対応、

成果やスキルなど目につきやすい面だけでなく「心」や「情緒面」をみていく、

「敏感な子」をどう伸ばしていくか?

などについて、探究を続けつつ、

「身体を動かすこと」の大切さについて、

少しまとめていきます。

 

「身体を自由に動かす」ことの大切さについて、

私自身、初めて気づかされたのは、

長男が6歳の頃、

プレスクールの先生をしていた友人と話していたときのことです。

長男をみていた友人が、何気なく言ったんです。

 

「この子って、思いっきり走り回りたいんじゃないかな」

 

「?」というのが最初の気持ちでした。

読書が大好きで、分厚い歴史図鑑を持ち歩き、

ごそごそとレゴやら何やら作るのが大好きで、

運動の方は、習っていた空手や水泳をみていても、

ちょっとぎこちない様子。

この子ってスポーツタイプじゃないんだろうなあ、と。

 

それでも、この友人の言葉、

長男はじめ様々な子供に接する年月や機会が増えるにつれ、

ストンと実感できるようになっていきます。

 

子供って、動きたいんだよなあ、と。

「動き」とは、「体験」であり、「遊び」。

「動きのある生活」が子供を伸ばしていきます。

 

それは、

モンテソーリの教室で決まった動きをし、

空手で決まった型を学び、

水泳で手足はこう動かすのよとクロールを学び、

といった「動き」だけではなく、

より「自由な動き」。

能動的自発的に身体を動かすことです。

 

 

身体を動かすことは、

心身の健康にとってよいということはよく言われるわけですが、

昨今は、「子供の脳の発達」にも重要、

ということが言われるようになっています。

 

例えば:

・集中力の低い子に20分間ウォーキングマシーンで歩かせた後テストしたところ正確さが増した。

 

・56人の生徒を以下の3つのグループに分けます:

1.朝90分間ずっと座っているのみ

2.90分後に20分の運動をする

3.90分の前後にそれぞれ20分の運動をする

すると、「3」の90分の前後に運動した生徒が最も集中力の高さをみせたとのこと。

 

・以前に紹介しましたが、ADHD傾向にある子は、特に、動くことで認知力が高まることが分かっています。

13週間の運動プログラムの後、数学のスキルの改善がみられた、など。

 

・67人の青年への調査では、インテンシブな体育の授業を週に4セッション受けることを4ヶ月続けたところ、他の生徒より認知テストスコアと成績が高くなった。それほどインテンシブでない体育の授業を受けた生徒は認知テストに改善が見られなかった。

 

・過去60年間に発表された59の研究を調べたところ、身体的な活動は子供の達成や認知力に決定的にポジティブな影響を与えていると分かった。

 

(生物人類学者グエン・デワー氏のこちらの記事に、これらの研究が紹介されています)

 

 

 

また年齢が大きくなるほど、しっかりと身体を動かす運動の大切さを示す研究も多くあります。

こちらのクリップには:

http://www.kidsinthehouse.com/teenager/health-and-development/brain-development/how-exercise-improves-brain-function-children

120万人の15歳の男の子を18歳まで追って調べたところ、より早く遠くまで走れるようにするなど心臓血管や心肺機能を鍛え身体面を発達させた子ほど、認知面やIQスコアがより高まっていったというスウェーデンの研究が紹介されています。身体を動かすことと脳の発達は密接に関わっているとのこと。

 

 

子供の発達にとって身体を動かすことがいかに大切か、

ざっと研究例をみてきましたが、

現代の学校生活というものが、

机上での作業をより重視するようになり、

「身体を動かす」ことから遠ざかってしまったことによる弊害

指摘されるようになっています。

小さな頃から、じっと机に向かってプリントばかりする、というのは、

脳の発達にとってもかなり無理があるんですね。

 

「身体を動かすこと」、

小さな子から青少年まで、

改めて見直したいですね。