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マイコー雑記

行き来するもの書き留め場

子どもの「好ましくない行為」を前に流れる「効果音」に気づく、過去でも未来でもない今のその子に向き合うために

2017年03月04日 | 思慮あるしつけ(discipline)

子どもの「好ましくない行為」を前にすると、

様々な思いや感情が湧きあがります。

 

怒りやイライラ、不安や心配。

 

そして時にそうした思いは、過去へ未来へと、果てしなく広がっていきます。

「またしてる!この前もあの時も・・・」(過去)

「このままだとこれからも・・・、もし~になってしまったら・・・」(未来)

 

我が家も、5人毎日いろいろやらかしてくれますから、

日々、こうした、過去、未来へと旅立つ機会に溢れています。

 

 

昨日あげた次男の例でも、

ベストセラー「しつけ本」著者ダン・シーゲル氏がスッキリまとめる「この社会で生き生きと力を発揮できる『ひといちばい敏感な子』」を育む鍵

今では、「必ず、楽になりますよ」ときっぱり言えるわけですが、

 

渦中はもう、

「ああ、まただ!この前もああしてたしこうしてたし・・・」

と過去の出来事を芋ずる式に思い出し、

 

「ああこのままでこの子は一体どうなっちゃうんだろう、

もし外へ一歩も出られない人になってしまったら・・・」

と押し寄せる未来への不安や心配に呑み込まれていたものです。

 

 

 

 どんな「効果音」を聞いていますか?

こうした親の内面状態が、

『No Drama Discipline』に、

とても分かりやすく描かれています。

 

例えば、

森を通って海にたどりつく光景をスクリーンに観ているとします。

 

・穏やかでピースフルな音楽が背景に流れる場合。

← ああ、気持ちのいい散歩道、あら、海がみえてきた。きらきらしてるう、きれいだわあ。

 

一方、

・ホラー映画のような効果音や音楽が流れる場合。

← き、木の間から何か出てくる?、あ、う、海・・・、何あの光具合、いやだ、サ、サメでも出てくるのー!

 

同じ光景を観ていても、

背景の「効果音」によって、

光景のとらえ方が、全く違ってきます。

 

 

 

 

そこで、著者のシーゲル氏とブライソン氏は

自分が今、どんな「効果音」を聞いているのかに、気づきましょう、

と言います。

 

芋づる式に思い出す過去のうまくいかなかった出来事や

未来への不安や心配は、

「ホラー映画の効果音」のようなもの。

 

目の前の、「今の現実」をゆがませ、

現実的な解決策を考え行動することを妨げてしまいます。

 

 

 

テストで落第点を取った5年生の女の子の例 

例えば著書には、

5年生の娘ちゃんが、

テストで落第点を取ってきたケースがあげられています。

 

前の週に体調を崩し、

ちょうど授業を休んでしまい理解できていない箇所が、

テストでは問われたようです。

 

具体的な解決策としては、

休んでいた期間の学習内容を見直すこと。

先生に連絡をする必要もあるかもしれません。

 

ところが、中学生のお兄ちゃんが、

よく宿題を忘れ、数学の基本的な部分でつまづいている、

という「効果音」が流れ始めます。

 

この娘も、このまま兄のようになってしまう。

このままでは、高校の成績にも響くだろうし、

大学進学審査だってパスできないかもしれない、

果ては、就職も見つからず・・・、

 

過去へ未来へ、思いは果てしなく広がり、

結果、目の前の娘ちゃんに対して

「何て点をとってきたの!」と言い放ち、

他のアクティビティーを減らすなど、

全く解決にもならない「過度の反応」をしてしまいます。

 

 

 

今、目の前の「あるがままの子ども」に向き合う大切さ

“今、どんな「効果音」を聞いているのかに気づくこと。

目の前の出来事に当てはまらない過去の体験や未来への不安に基づいて

子供に向き合うのを止めましょうよ“

と著者はいいます。

 

本当に、そうですね。

 

この、目の前の子どもから離れ、過去へ未来へと果てしなく広がっていくというの、 

特に、考え感じ「過ぎる」傾向にあるHSP系の親にも、

よくありがちだと思いませんか?

 

過去の関連する出来事や未来への不安や恐れというのは、

現状を改善するためにとても役立つ材料でありサインです。

 

それでも、「過ぎない」よう、

自ら調整していきたいですよね。

それらは、活用するものであって、呑み込まれるものではないわけですから。

 

まずは、自分が「何を反芻し始めて」いるのか、

「効果音」に気づいていきたいです。

 

 

 

自らに合った「気持ちを切りかえる方法」を見出す

 

”「効果音」に気づいたら、気持ちを切りかえましょう。

それには、自分に合った気持ちの切りかえ方を見つけておくといいですよ、”

とシーゲル氏とブラインソン氏。

 

例えば、

深呼吸したり、

子供について愛することを3つ書き出したり、

気持ちを言葉にしてみる

など。

 

他にも散歩や運動やストレッチやマインドマップやマインドフルトレーニングやと、

あ、この「効果音」・・・、と気づいたら用いられるよう、

自分に合ったものをスタンバイしておきたいですね。

 

 

それではみなさん、楽しい週末をお過ごしください!


精神科医の提案する「考える脳を育むしつけ」、「NO!」と言いたくなったら文章を組み立てなおす

2017年03月01日 | 思慮あるしつけ(discipline)

以前お世話になった小児科医の診察室の壁に、

「どうぞ子どものために、NO! と言ってやってください」

というタイトルの記事が貼ってありました。

 

「昨今の子育ては、子供の意向を大切にし過ぎて、

子どもに対しNO!と言えなくなっています。

結果、したい放題の子が生まれてしまいます。

子どもにはリミットが必要です。

だめなものはだめと、はっきりNO!を言ってやってください。

それが子供のためです」

 

といった内容でした。

 

「確かになあ」と思う部分もあります。

「リミットなしのしたい放題」で最も苦しむのはその子自身。

 

それでも、

NO―――! うぎゃー!きー!と何度もぶつかるなかで、

結局、「NO!」と頭ごなしに向き合わない方が、

うまくいくことの方が多いよなあと思っていました。

 

「ゴミ捨てない!」より「どこに捨てる?」

「お友達の家に泊まりにいっちゃだめ!」より「誕生日会はOK」や「月1回」と話し合って決める。

「ゲームしない!」より、ゲームと同じくらい楽しいアクティビティーを組み込んだり、ゲームのメリットデメリットなど話し合って、スケジュールを一緒に立てる。

 

 

 

なるべくこうして普段から「NO!」と頭ごなしに言わない解決策を試し、

NO!は時間がない時や、

「ここぞ」という時に、取っておく。

 

すると、「NO!」に対しても、

「あ、今はだめなんだな」「これは交渉の余地なしなんだ」と、

子どもたちなりに、理解するようになっていきます。

受け入れることのできる「感情のストック」のようなものも、

蓄積されるということなのかもしれません。

 

 

 

 

幼児からティーンまで、NO!と頭ごなしに言われ続けるなら、

感情のぶつかり合いになることの方が多いもの。

何度も体験してきて、思います。

 

このことについて、「思慮あるしつけ」についてまとめる中で活用している

著書『No Drama Discipline』by Daniel J. Siegel, M.D. and Tina Payne Bryson, Ph.D.にこう説明されています:

 

NO!と言われると、人は本能的に「ファイト・フライト・フリーズ状態」になります。


つまり、「考える部分(階上)」より、

より原始的な「反射や強烈な感情(階下)」部分に脳がのっとられた状態とのこと。

(参照:脳全体に働きかけるイメージで子育て!脳の仕組みを分かるなら対応もより分かる

 

ファイト!と感情むき出し攻撃的になるか

フライト!と一目散に逃げるか、

フリーズ!と思考停止で固まるか。

 

ましてやこちらも感情むき出し般若の形相で「NO!」というなら、

なおさら、「反射」状態は高まります。

 

 

 

それよりも、なるべく「考える部分(階上)」を用いるよう導くことで、

周りに何が起こっているのかと、他者とのつながりの中で、

学ぶことができますとのこと。

 

 

著書では、

「Noを条件をつけたYesで言いかえてみるといいですよ」とのこと。

 

例えば、

グランマの家にもっと泊まりたいという娘ちゃんに、

「それはだめだ!もう帰る時間だからね!」よりも、

「もちろん泊まれるよ。来週はどうだろう」と言葉をかける。

 

「駄目よ!公園へは行けないわ。だって雨降ってるじゃない」よりも、

「あなた公園行くの大好きね。雨が止んだら行こうか!」と条件をつけたyesを用いる。

 

 

だめ!いけません!と言いそうになったら、

そして、その場の状況が許されるようなら、

「条件をつけたyesの文章」や、

「服脱ぎっぱなしにしない!」→「服どうしたらいい?」など

より「子ども本人が考えられるような言葉」へと変換してみます。

 

そうすることで、「感情爆発」でも「思考停止の言いなり」でもなく、

著者曰く、「考える脳が鍛えられますよ」とのこと。

 

文章を言いかえるのって、

私自身実感しているんですが、

親にとっても、頭のストレッチになりますね。

 

 明日は、「タイムイン」について書けたらなと思っています!

それではみなさん、今日も良い日を!


万引きした6歳女の子の事例、「良心」からの「心理的感情的メッセージ」に気づくよう導くことで「内在化した律=モラル」が育つ

2017年02月25日 | 思慮あるしつけ(discipline)

先週こちらの記事にて、

米国ベストセラー著書にみる「思慮あるしつけ」の日常実践例 & 実生活での実感

 

"「良心」とはリミットが内在化したものなのか? 

それとも、本来元々備わるものなのか? 

それは分かりませんが、

「コネクト」して気持ちを落ち着けるにつれ

自ずと、この「良心」が表れる場合があるとも感じています。

すると「教え・学ぶ」とする必要もそれほどなく、子供自ら動き始めます。"

 

と書きました。

 

この「自ずと良心が表れる場合がある」について、

『No Drama Discipline』by Daniel J. Siegel, M.D. and Tina Payne Bryson, Ph.D.

に紹介されている事例を意訳します。

こうして日常の「文脈」の流れでみると、理解しやすいですね

 

 

 

 

p. 141-144より

ーーーー意訳始まりーーーー

6歳の娘ちゃんとお母さんが、学校で必要な文房具のショッピングへ出かけます。

 

娘ちゃんは、ある特定のクレヨンセットをとても気に入ります。

お母さんは結局買わなかったのですが、後日、娘ちゃんの部屋を掃除していた時に、

そのクレヨンセットを見つけます。

娘ちゃんがお店でそっとポケットに入れて、持ち買ってきてしまったのです。

 

お母さんは、直接聞いてみることにします。

 

お母さんが手にするクレヨンセットと、

お母さんの混乱した表情を見、

娘ちゃんは、恐れと罪の意識で両目を大きく開けます。

 

さて、ここでどう接するか?

 

これほど悪いことをしたんだから、

しっかり痛い目にあわせておかないとと、

叫び、(体)罰を与え、部屋へ送り、

楽しみにしていたイベントへの参加を取りやめるなどして思い知らせるか?


このお母さんは、

「思い知らせる」よりも、「教え・学ぶ」ことにフォーカスしました。

 

しばらく静かに隣に座り、

娘ちゃんが感じている「不快な気持ち」に気づくひと時を与えます。

 

お母さんは娘ちゃんの目線の高さに合わせ膝まづき、

愛情を込めて会話を続けます。

 

最初はクレヨンセットを取ったことを否定し、

次に「覚えていない」と言います。

お母さんが忍耐強く待つ中、

とうとう「お母さんが心配することは何もないの、

だって、あの“大きな髪”をした店員さんが見ていない時まで待ってから、

ポケットに入れたもの」と。

 

そこで、お母さんは、質問を始めます。

 

「他の人のモノを持ってきてしまうことを何ていうか知っている?」

「“盗むこと”は法に反することかな?」

「あの“大きな髪“の女性は、このクレヨンをお店に並べるために、

彼女自身のお金を費やしたのが分かる?」

 

娘ちゃんはうなだれ、下唇を少し突き出します。

大きな涙の粒がぽたりぽたりと落ち始めます。

 

お母さんは静かに泣き続ける娘ちゃんを抱き寄せ、

「既に自ずと起こっていること」を妨げることも止めることもせず、

その過程に参加します。

 

「してしまったことについて、悪かったと感じているのね」

 

娘ちゃんはうなずき、涙が止まりません。

 

お母さんが何もせず何も言わずとも、

自然に起こり続ける「しつけ」の過程に、

お母さんはただ、娘ちゃんを慰め、共にいてやります。

 

お母さんは娘ちゃんを抱き、

娘ちゃんが感じ、泣くままにさせます。

しばらくして、涙をふくのを手伝い、深呼吸をするよう励まします。

 

そして、簡潔に会話を続けます。

正直さ、他者の持ち物を尊重すること、

たとえ難しくても「正しい」選択をすることについて。

 

 

 

お母さんは、即座に思い知らせ打ちのめすよりも、

娘ちゃんのアテンションを、

娘ちゃんが既に感じていた内面の「罪の意識」に向けさせました。

 

与えられた罰に対する恐れや怒りへと感情をシフトさせるよりも、

子ども自身の内面的な体験を中心に据えることで、

自身の行為が他者にどんな影響を与えたのか考え、

倫理やモラルの基本について学ぶことができ

お母さんは、娘ちゃんの「脳の階上(考える部分)」を活性化することができたのです。

 

 

特に私たちが怒り、衝動的に罰を与えたり思い知らせたりすることは、

逆効果になり得ます。

なぜなら、それは子供たちを、自身の「良心」からの

「心理的感情的なメッセージ」に気づかなくしてしまうからです。

 

―――意訳終わりーーー

 

その後、お母さんと娘ちゃんは、お店にクレヨンセットを一緒に返しに行き、謝ったそうです。

 

 

即座に怒鳴り、(体)罰を与えと、

外から「痛み」や「恐れ」を与えるよりも、

子ども自身が既に感じている「不快感」や「罪の意識」に

気づくよう導いてやる。

 

そうして体験する「痛み」に寄り添い、

「教え・学ぶ」ことのできる状態を整えていく。

すると、こちらが大して「教えず」とも、自ら学んでいくこともあるというんですね。

 

私自身、試行錯誤を繰り返してきた中で、

とても納得できます。

 

特に「敏感な子」は、

早い時期から「周りのルールを内在化しやすい」ともされますが、

間違ったことしてしまった時の、

「罪の意識」も強烈なものだったりします。

 

ですから、こちらは、

その子が自らの内面に向き合うサポートをしつつ、

その痛みに寄り添うことをしていくだけで、

自ら「学んで」いくこともあるんですね。

 

 

 

 

同時に、子供の性質やその時のその子の内面の動きによって、

「ここぞ」というときは、

こちらが本気で怒ったり悲しんだりするところを示し、

感情の嵐を共に体験しつつ、ようやく落ち着いたところで、

上記の会話のような「教え学ぶ」ことをしていくのもありかなと

私自身は、思っています。

こうなると『No Drama Discipline(ドラマのないしつけ)』ではなくなるわけですが。

 

「あの時ママは(先生は)、本気で怒った、本気で悲しんでいた」と

鮮明に思い出し続けるような体験。

心の底で通じ合うような体験。

 

「教え学ぶ」とセットになることで、

その子に「内在化した律=モラル」として生きていくんじゃないかなと感じています。

 

とはいえ、普段から『No Drama Discipline(ドラマのないしつけ)』を心がけ、

ほとんどの場合、「穏やか」に「対応」するからこそ、

こうした「ここぞという体験」も生きてくるのでしょうね。

 

 

 

いずれにしても、

まずは、目の前の子供の様子を観ること。

その子の内面の動きに思いを向け、どうしたら最もこの子が学べるのかと、

こちらの対応を調節していきたいです!

 

 

 

 

 

メモ:

結局思春期の反抗も、

それまでどれほど「させられている」と感じてきたかが大きいように思います。

 

思春期とは、親から離れ自立していく準備のためにも、

「させられている」と感じることは、

ひとまず全てとっぱらいたくなる時期ともいえるかもしれません。

 

「させられている」ではなく「自分がしている!」と感じたい。

 

ですから、

「言われるから」「怒られるから」と積み重ねられる「律」よりも、

自身が納得し「内に築いてきた律=モラル」って、

思春期の反抗期からみても、大切だなと思うんです。

 

 

思春期の反抗期がそれほどみられない場合というのは、

2通りあるのかもしれません:

 

1.それまでも「自分がしている」という気持ちが強い子

「させられている」と背負い込んできたものがそれほどない。

 

2.「させられている」まま大きくなっていく

強力に抑えられ、結局「自分がない」まま成長していく。

 

 

普段から子供の内面を尊重し

「1」のように育てることは可能なのだろうと、

周りの様々な事例をみても、思っています。

 

 

 

 

さて、怒涛の週末です!

みなさん、春の日差し、お楽しみください!


『オールアバウト』と『It Mama』へ3記事更新:「効果抜群!子どもの考える力を伸ばすしつけ法」「断乳?卒乳?世界基準は2歳以降!」「米国日本の離乳食意識差」

2017年02月23日 | 思慮あるしつけ(discipline)

こちら『マイコー雑記』にて書いてきた「思慮あるしつけ」について、

『オールアバウト』へ要点をまとめました。

 

効果抜群!子どもの「考える力」を伸ばすしつけ法

 

引き続き、「思慮あるしつけ」について、まとめていきますね。

 

 

 

『It Mama』へは、まずは昨日こちらにまとめしたが、

断乳?卒乳?いつがベスト? 批判したくなる原因が単なる「心象的な居心地悪さ」ならば、 自らとは異なる決断も尊重し合いたいです

断乳、卒乳について:

世界基準は2歳以降!?「断乳・卒乳」はいつがベストなの? #9

ちょっと最後、尻切れトンボみたいなんですが、

長すぎて、切れてしまったんですよね。

 

媒体によって、構成的な向き不向きがあります。

忙しいママがさらっと読むようなこうした媒体に、

さらっと心に届く要点をまとめられるよう、

精進していきます。

 

 

 

 

そして、離乳食に対してこれほどまでに違うか!と驚いた米国と日本の「意識差」についてまとめました。

米国はアバウトでノンストレス?日本との「離乳食意識差」#10


アメリカ人友人の、「優先することが違うのよね」という言葉が印象的でした。

日本のママとの「力の入れどころ」の違い、他の子育て面でも、たびたび感じることです。

またまとめてたいと思います!

 

興味ある方、以上の3記事、是非どうぞ!

それではみなさん、今日も良い日を!


米国ベストセラー著書にみる「思慮あるしつけ」の日常実践例 & 実生活での実感

2017年02月17日 | 思慮あるしつけ(discipline)

米国ベストセラー著書にみる「思慮あるしつけ」の日常実践例

 

『No Drama Discipline: the whole-brain way to calm the chaos and nurture your child's developing mind』

by Daniel J. Siegel, M.D. and Tina Payne Bryson, Ph.D.

のp.66-68に紹介されている事例です。

 

ーーーーー意訳始まりーーーーー

お父さんはバスケットボールの試合中継を見るためテレビの前。

コマーシャルになったら、上の階の子ども達の様子を見に行こうと決めています。

 

8歳のお兄ちゃんとお友達と5歳の弟君が、レゴの整理に取り組んでいます。

お兄ちゃんはこの日のためにお小遣いをはたいて、「釣り道具を小分けにして収納する入れ物」を購入。

レゴフィギュアの頭、胴、剣や弓矢など持ち物まで細かく分類していきます。

分類のアイデアも次々飛び出し、夢中になってレゴを整えるお兄ちゃんとお友達。

 

次第に、5歳の弟君には、複雑過ぎて、よく分からなくなっていきます。

お兄ちゃん達は、弟君にはまだ難し過ぎるからと、弟君が参加することを拒み始めます。

 

怒りがこみ上げる弟君。

 

整理整頓済みの入れ物をつかみ、床に投げつけたああああ!!!!

何百ものレゴが、音を立ててハードフロアに散らかり、入り口のドアから部屋のすみずみまで広がります。

 

階下で音を聞きつけ、何事かと部屋へ現れるお父さん。

 

「○○(弟君)が全部むちゃくちゃにしたー!」

泣叫びながら部屋を走り出るお兄ちゃん。お友達も居心地悪そうについていきます。

 

真っ赤になって鼻息荒く立ちすくむ弟君。

 

さて、お兄ちゃん達が一生懸命分類したレゴがめちゃくちゃになっただけでなく、

部屋中に散らばったレゴも片付けなくてはなりません。

おまけに、バスケットボールの試合も見逃すことになってしまい。

 

 

弟君に指をつきつけ、

「なんでこんなことをするんだ!

だから○○(兄)達がおまえにレゴを触らせたくないのが分かるか!

二度と○○(兄)達の遊びに参加するなああああ!」

と、思わず叫びたくなります。

 

そこへ、「“考える” 脳の箇所(階上)」が発動。

 

「全脳に働きかける」アプローチを試してみます。

 

弟君が今まず必要なのは、

「お前みたいなちびっ子には理解できないよ」と仲間はずれにされ、

傷ついた気持ち、悲しみ、怒りを落ち着けること。

「してよいこと/ よくないこと」を「教え・学ぶ」よりも、まずは、「コネクト」。

 

お父さんは、膝をついて腕を広げます。

お父さんの胸に顔をうずめる弟君。

お父さんは、嗚咽する弟君の背中をなぜ、

時折「I know, buddy, I know(分かるよ、○○(名前)」とだけ言います。

 

少しすると、弟君はお父さんを見上げ、涙目で「レゴ、こぼしちゃった」といいます。

お父さんは少し笑って、「“こぼしちゃった”よりも、随分ものすごいけどね!」

 

弟君も少しふき出し。

 

ここで、お父さんは「教え・学ぶ」ことのできる状態になったなと思います。

 

そうして話し始めます。

お兄ちゃんがどう感じたか。

自分たちの行動というのは、しばしば他の人々に大きな影響を与えること。

強い感情をどう表すのが適切なのか。

 

弟君も、今では、お父さんの言うことを聞き、考え、お兄ちゃんの気持ちを想像し、

今度はどうしたらいいか?と思うことができるようになっています。

 

ーーーーー意訳終わりーーーーー 

 

 

 

まずは、気持ちを落ち着けること。

 

感情が高まっている時とは、脳の「階下の(大脳辺縁系)」が活発になっている状態。

考え、想像し、共感し、記憶するといった前頭野を含む「階上(大脳皮質)」は、

うまく機能してない状態といいます。

 

その感情の高まりを落ち着けるのが、著書曰く、「コネクト」なんですね。

子どもにとっては、気持ちを認めてもらい、大好きなパパやママの温もりに包まれること。

 

感情が落ち着けば、考え、想像し、共感しと、「教え・学ぶ」こともできるようになります。

 

 

 

実生活での実感

私自身振り返り、

このお父さんが、立ちすくむ弟君に向け、思わず指をつきつけて叫びそうになった言葉、

「なんでこんなことをするんだ!だからお兄ちゃん達はおまえにレゴを触らせたくないのが分かるか!二度とおにいちゃんとお友達の遊びに参加するな!」

何度こみ上げ、実際投げつけたこともあったか・・・。

 

でも、そうして繰り返すうちに、

この「まずはコネクト、それからリディレクト(導く)」という方法が、

結局は、最も近道で効果的だと、今では心の底から実感しています。

 

 

こちらは、当時4歳だった次男とのやりとりをまとめたものです:

全部飲む!「条件づけ」と「無条件の愛情」

冷蔵庫にひとつだけ残ったヨーグルトドリンクを飲みたい!

→他の子も飲みたい!

→皆で分けてね。

→分けたら一人お猪口にちょっとぐらいの量になる。

→癇癪。

→抱っこゆらゆら。次第に気持ちが落ち着く。

→落ち着いたら、自分から皆に分け始める。

 

といった出来事。

 

当時私自身は、

「ああこれが、無条件の愛情をひっこめることなく、それでも『リミット』は教えていくということなんだな」

と自分なりにイメージしていました。(成長には、無条件の愛情と条件付けの両方が必要)

それは「より力の入る利き手で抱き、もう片方の手で押しやる」

といったイメージともいえるなあ、と。

 


そこへ、この著書『No Drama Discipline』に出合い、

「脳の機能」からの説明を学び、よりすとんと整理でき、

「新しい言葉」を与えてもらった!というような気持ちでした。

 

無条件に感情面を包み込みつつ、

してよいこと・よくないことの「リミット」も「教え・学び」としていく。

 

「考え、想像し、記憶する」ことのままならない脳の状態にあるときに、

いくら教えようとしても伝わりやしません。

目の前の「好ましくない行為」の「よし悪し」はひとまず横に置き、

まずはコネクトし落ち着く。

 

是非、実生活でお試しください!

結局、近道で最も有効なのだと実感されると思います。

 

 

メモ:

・「良心」とはリミットが内在化したものなのか? 

それとも、本来元々備わるものなのか? 

それは分かりませんが、

大きくなるにつれ、「コネクト」で気持ちを落ち着けるにつれ

自ずと、この「良心」が表れる場合があるとも感じています。

すると「教え・学ぶ」とする必要もなく、自ら動き始めます。

 

・また、「大脳辺縁系」(強烈な感情、反射、不安恐怖)と

「大脳皮質」(考え、想像し、共感し、全体像を観られる)のバランスについて、

エレイン・アーロン氏も、「敏感な子は前頭野(考える箇所)が活発」というようなことを言っているんですが、

「敏感な子」って、周りの人々の期待や状況を読み(過ぎ)、

期待にこたえようと本来の年齢の脳の発達には不自然なほど「考える部分」に偏りすぎ、

「大脳辺縁系」(強烈な感情、反射、不安恐怖)が爆発して癇癪などを起こしてしたりと、

バランスを壊しやすいのかな、と感じたりします。

 

著書『No Drama Discipline』には、

「脳の考える部分に働きかける繋げる」ということがよく書かれているんですが、

「敏感な子」の場合はバランス的に、

「原始的な機能(感情など)」をのびのびと発揮できるような場を整えることが大切だなあと感じています。

あくまでも、脳科学についての素人が、日頃「敏感な子」達に接する中で感じていることです。

 

「良心」の表れや、「敏感な子」への働きかけについて思うこと、またまとめたいです!

 

 

さて、怒涛の週末が始まります!4連休!

それでは皆さん、楽しい週末を!


親子の絆強まり共にステップアップ!感情をぶつける「反応」→より適切な「対応」を助ける「3つの質問」

2017年02月07日 | 思慮あるしつけ(discipline)

子育て生活で感情マックスになったときほど「しつけ(discipline)」の原点「教える・学ぶ」に立ち返る

状況も子どもも常に変化し多様なのに「この方法のみ」なんて無理、より有効な「しつけ」を助けるツール

に続く「思慮あるしつけ」についてです。

 

精神科医ダニエル・J・シーゲル 氏と心理学者 ティナ・ペイン・ブライソン 氏の著書

『No Drama Discipline: the whole-brain way to calm the chaos and nurture your child's developing mind』

邦訳『子どもの脳を伸ばす「しつけ」 ~怒る前に何をするか--「考える子」が育つ親の行動パターン~』

『No-Drama Dscipline Workbook』を参考に。

 

 

さて、

「しつけなければ!」となる状況というのは、

往々にして、親子共に「感情高まりマックス」の場合が多いです。

 

それでも「しつけ」とは、本来「教え・学ぶ」機会なわけですから、

感情高まりマックスでは、脳の働きからも、

とてもとても「教え・学ぶ」ことは無理難題というものです。

 

ということで、

まずは、親子共に感情を落ち着け、

「教え・学ぶ」ことのできる状況を整えましょう。

 

感情をそのままオートパイロットにぶつける「反応」から、

より適切な「対応」を心がけてみましょう、

とこれまでみてきたわけですが、

 

では、どう「適切な対応」を選択したらいいんでしょう?

 


より適切な対応を助ける「3つの質問」

シーゲル氏とブライソン氏は、

この「より適切な対応」を助けるために有効なのが、

以下の自らに問う「3つの質問」ですよ、としています:

 

1.なぜ、この子はこうするんだろう?

2.なにを、この子に教えたいか?

3.どうしたら、この子に最も伝わるだろう?

 

「好ましくない行為」をする子どもを前に、

これら3つを自らに問うてみてください、というわけです。

 


「3つの質問」についてのポイント:


1.  なぜ、この子はこうするんだろう?

・推測より好奇心をもってアプローチ。

←親自身の「好奇心」は鍵ですね。

 

・行為の背景にあるかもしれないものを深く見る。

←目の前の行為は氷山の一角。

 

・発達的に適切な行為であるかを確かめる。

←自我が育つためにも反抗したい時期なんだな、等。

 


2. なにを、この子に教えたいか?

・状況に応じて、どんなライフスキルを強化したいかを考える。

(自制心、シェアする大切さ、行為に責任を持つ、強い感情を表す適切な方法、など)

←その場がまるくおさまればめでたしなわけじゃないですよね。

 

 

3.どうしたら、この子に最も伝わるだろう?

・親自身と子どもの感情状態の両方を考慮する。

← 互いに「感情高まりマックス」では「しつけ(教え・学ぶ)」は難しいです。

 

・年齢や発達段階や、状況の文脈を考慮する。

←その子の発達段階や性質や置かれた状況をみ、ハードルを調整します。

 

・一緒に問題を解決しようとする。

← 自ら考え「こうしたら今度うまくいくかな?」と子ども自身の頭を通ると、身につきやすいです。質問を用いて考えさせていく。

 

 

 

 

 


9歳の女の子と親の「宿題バトル」の例 

この著書の『ワークブック』の方に、

9歳の女の子と親の「宿題バトル」の例があげられてます:

 

うまくできないとイライラし、親に向かって泣き叫び、「意地悪な先生!」など先生の悪口。「こんな問題できないなんて自分は馬鹿だ」という。

→親もイライラする。言い争う。説教し、授業ではなく、時間のマネージメントがなってないと娘を責める。

→娘は黙り込む。繋がりが壊れる。親は罪の意識を感じる。このサイクルを繰り返す。

 

という状況。

 

ああ、我が家も、

課題がうまくできないと癇癪状態になり、

「自分はバカバカだーー!」と叫ぶ子がいますから、

よーく分かります。

 

親として、このイライラする気持ち!

 

「オートパイロット(自動反応)」で、こちらのイライラをぶつけ、

言い争い、説教し、互いにますます爆発し、あげく、娘が泣きながら黙り込む。

我が家の体験からも、ありありとこの情景が想像できますよ。

 

 

では、どうしたらいいのか?

 

まずは、

「あー、私かなりイライラしてる、爆発寸前になってきてるよ」

そうイライラが湧き上がり、

怒りのマグマがふつふつする自身に「気づき」ます。

 

そして以前の記事で紹介してきた方法、

深呼吸したりイライラや怒りでかたくなってきた身体の箇所をゆるめたりとしつつ、

さて、上の「3つの質問」です。

 


1.  なぜ、この子はこうするんだろう?

・宿題の何がこの子を圧倒させ参らせるのだろう。授業が理解できない?書くことがうまくできない?先生の評価が厳しい?宿題にあてる時間が短すぎる?時間管理の問題?

・疲れてる?体調が悪い?お腹がすいている?

・今日は何かいやなことがあったのかな?この子を不機嫌にする何か他の状況や原因があるのかな?

 

 

2. なにを、この子に教えたいか?

・効率的な時間管理力?

・責任感?

・ネガティブな感情へ向き合うスキル?

・課外活動のスケジュールを組み直すこと?

 

 

3. どうしたら、この子に最も伝わるだろう?

・親もこの子も教え学ぶことのできる状態?まずは落ち着くのを助けて、後で話した方がいい?

・どんな質問をすれば、一緒に問題を解決していける?

 

 

 

 


これって現実的なんですかね ← 体験からそう思いますよ

泣き叫んで癇癪起こす子を前に、

こんな自問なんてしてられますかね、

と思われるかもしれません。

 

私自身実感してることなんですが、

完璧な質疑応答といわずとも、

「なぜ?何を?どうやって?」とポイントを心に留め繰り返している内に、

よりささっと、つかみどころを抑えられるようになってきます。

 

それで、この著書にも書いてあるんですが、

何といっても繰り返すほど、

その子をより理解できるようになります。

これは、単にお腹がすいてるんだな、

ああ、こういうところを難しく感じがちなんだよね、などなど。

 

それでますます、「適切な対応」がしやすくなっていきます。

 

 

 

 

著書にはこんなことが書いてあります:

「感情高まりマックスでへっとへとになるときや、

バトルが勃発するときっていうのは、

よりその子を理解し、その子自身も学び、

親子で互いによくなっていくための絶好の機会なんですよね。」

 

渦中は、全然しゃれになってなくて

単なる「きれいごと」のようにも聞こえるんですが、

でも私自身振り返っても、本当にそうなんですよね。

 

ひとつひとつのヘットヘトになった時期が、

親子で成長するステップアップの機会だったと思います。

と、今もそのステップを親子で共に上る過程なんですが。

 

 

 

「なんでこんなことするわけ!」となるたび、

待てよ、とちょっと立ち止まり、

「なぜ?なにを?どうやって?」と「好奇心」を発動させ、

探索してみてください。

 

必ず、親子共にステップを上る機会となります。

 

「思慮あるしつけ」について、

次回は「脳の仕組みを理解する」へと続けます!

それではみなさん、今日もよい日を!


状況も子どもも常に変化し多様なのに「この方法のみ」なんて無理、より有効な「しつけ」を助けるツール

2017年02月01日 | 思慮あるしつけ(discipline)

先の記事、子育て生活で感情マックスになったときほど「しつけ(discipline)」の原点「教える・学ぶ」に立ち返る

に続く「思慮あるしつけ」についてです。

小児精神科医ダニエル・J・シーゲル 氏と心理学者 ティナ・ペイン・ブライソン 氏の著書

『No Drama Discipline: the whole-brain way to calm the chaos and nurture your child's developing mind』

邦訳『子どもの脳を伸ばす「しつけ」 ~怒る前に何をするか--「考える子」が育つ親の行動パターン~』

を参考にしています。

 

このシーゲル氏とブライソン氏が目指す「しつけ(discipline: 教える・学ぶ)」では、

目の前の「この子ども」に「この状況」で「今この瞬間」に、

より「適切な対応」を、個々の大人が選択する大切さが強調されています。

 

これはしてはいけない! → 叱りつける、(体)罰、タイムアウト

「一定の決まった方法を、全ての状況に当てはめる(One-size-fits- all)」わけではなく、

その行為が行われた状況や、その子の様子を観て、

よりふさわしい「対応」をその都度選択していきましょうよ、というわけです。

 

 

例えば、「朝出かける時間が迫っても、ぐずぐずして服を着替えない」という場合。

 

こちらも分刻みで動いていますから、

「キー!何してんの!早くしなさい!」

と叱りつけたくもなります。

 

それでも、文脈や、その場の状況や、その子の様子や性質などに少し思いを向けると、

 

・前日夜に普段より遅く就寝し睡眠不足

・体調が優れない

・前日お友達に服装について言われた言葉がひっかかってどの服にしようか決まらない

・着ていこうと決めていた服が洗濯中で服を決めるのにいつもより時間がかかっている

・時間の概念がまだよく分かっていない(発達段階の問題)

・時間通りに登校する、親が時間通りに通勤することの大切さを分かっていない(発達段階の問題)

 

などなど、様々な様相が浮かび上がってきます。

そして、それぞれに異なる「適した対応」があるわけです。

 

「今日は早く寝ようね」と声をかけ、夜のスケジュールを見直す、

熱をはかってみる、蜂蜜入り喉ドロップを与える、

ひとまず服選びや着替えを手伝い、

お友達関係や、時間や、ルールについて改めて話し合う時をもつ、などなど。

 

私自身省みてもつくづく思いうんですが、

一緒くたに、「早くしなさーい!」と叱りつけるだけでは、

何の「解決」にもならないんですよね。

 

 

 

 

とはいえ、キー!と感情高まる中で、

その行為がされた文脈や、その場の状況や、その子の様子や性質などに少し思いを向ける

→より適切な対応を選択する

なんて、できるもんかね、と感じるかもしれません。

 

でも、

少しずつでも心がけていると、

随分と違ってきますよ。

 

著書にも、

「繰り返している内に、よりスムーズにできるようになってくるものです」

とあるんですが、「その通りだなあ」としみじみ実感しています。

 

完璧からほど遠く見えたっていいんですよ。

 

キー!

ふー、ちょっと待てよ。

と少しでも、「ワンクッション」はさめるようになっていくこと。

 

それが、結局は、長い目でみてより効果的な

「しつけ(discipline: 教える・学ぶ)」を可能とします。

 

 

 

 

これはしてはいけない! → 叱りつける、(体)罰、タイムアウト、

といったオートパイロットの「反応」より

「対応」を心がけていくこと。

 

これまで何度か紹介してきましたが:

「反応」:感情の押し寄せるまま行動

「対応」:感情押し寄せる→気づく→より適切な行動を選択

 

 

「反応」ではなく「対応」を心がけるために、

即座に取り組めることと、

長い目で見て取り組みたいことが、

シーゲル氏とブライソン氏の著書の「ワークブック」にもまとめられていますので、

以下、紹介しておきますね。

(” No-Drama Dscipline Workbook” by Daniel J. Siegel  & Tina Payne Brysonより)

 

「反応」ではなく「対応」を助けるために即座に取り組めるツール:

・好ましくない行為をする子どもに向き合う前に、その子について愛することを3つ心の中であげてみる。

・向き合う前に10数える。

・「反応」する前に、5つ数えながら深く鼻から息を吸い、5つ数えながら息を止め、ゆっくり口から息を吐く。時間が許すなら最低2回繰り返す。

・「反応」する前に「ボディスキャン」をさらっとする。顎や肩にぎゅっと力が入っているなど、「怒り」が身体のどこに表れているかに気づく。濡れた犬が身体をブルブルとして水を弾き飛ばすように、頭から顔、肩、腕、お腹、足とそれぞれブルブル振って力を抜いていく。

← こうして「動く」のっていいんでしょうね。息を吐きながらそれぞれの箇所を緩めていくのも効果的です。

 

「反応」ではなく「対応」を助けるために長期で取り組みたいツール:

・自分ケア: 睡眠を十分とる。運動する。自身の人生を楽しむ。

・朝のイメージトレーニング:完全に起き切る前の数分間、子どものニーズに意図をもって「対応」し、1日がスムーズにいくイメージを描く。

・自分の子育ての目標を可視化し、日々目のつくところにおいておく:ピースフルな家族の食事、楽しいバケーション、穏やかな就寝前の時間などなど。

・子育てで大切に思うポイント(「反応」より「対応」など)をメモし、自動車のハンドル、冷蔵庫、トイレの鏡など日々目に付くところに貼りつけ、どのように考えどのように子どもと時を過ごしたいのかを思い出すようにする。

← 確かに、人ってすぐに忘れますからね。

 

 

次回は、

自らの感情の高まりに気づき、

ではどう「適切な対応」を選択していくのかについて、

具体的な助けとなる自らに問う「3つの質問」を紹介しますね。

 

さて、これからワシントンDC方面に出かけてきます!

それではみなさん、今日もよい日を!


子育て生活で感情マックスになったときほど「しつけ(discipline)」の原点「教える・学ぶ」に立ち返る

2017年01月27日 | 思慮あるしつけ(discipline)

HSPやHSCという概念を提示した心理学者エレイン・アーロン氏が、

「喜び溢れる敏感な子へと育てるために大切ですよ!」とする「4つのこと」

のひとつに「思慮あるしつけ」があります。

(「4つのこと」についてはこちら:

「喜び溢れる敏感な子」を育てるための「4つの鍵」&「認知のゆがみ」にも気づかせていきたいですね

 

この「思慮あるしつけ」について、私自身「まさしく!」と同感する

小児精神科医ダニエル・J・シーゲル 氏と心理学者 ティナ・ペイン・ブライソン 氏の著書

『No Drama Discipline: the whole-brain way to calm the chaos and nurture your child's developing mind』

邦訳『子どもの脳を伸ばす「しつけ」 ~怒る前に何をするか--「考える子」が育つ親の行動パターン~』

を参考に、少しずつまとめていきたいなと思います。

 

米国でベストセラーとなったこの著書は、

元々、全ての子ども対象に書かれたものですから、

「敏感な子」はもちろん、どんな特徴を持つ子にも、

用いていけますよ。

 

 

 

「しつけ(discipline)」の原点とは?

日本語で「しつけ」と訳される英語の「discipline」は、

ラテン語の「disciplina」を語源としていて、

11世紀頃には、「教える・学ぶという意味で用いられていたそうです。

 

「しつけ(discipline)」というと、

英語でも、叱りつけたり、結果を知らしめたり、(体)罰を与えたり

といったイメージと繋がりもします。

日本語だと何だか「動物のしつけ」とも重なり、

「(鞭もって)調教する」ようなイメージもあるように思います。→ちょっと極端?

 

そこで、シーゲル氏とブライソン氏は、

「disciplineの語源」である

「しつけ(discipline)とは、教え、学ぶこと」

という意味に立ち返りませんか? と提案します。

 

 

 

 

「しつけが必要!」となる場面で気づきたいこと

「しつけなければ!こういうことはしていけないのだと教えなければ!」

という場面って、

親も子も、「感情の高まりがマックス」なことがよくありますよね。

 

例えば、

子どもは、大癇癪状態だったり、

親は、「なんでこんなことするわけー!」と怒りマグマ状態だったり。

 

にこやか~、穏やか~に時が過ぎているときには、

「しつけなければ!」という気持ちになんて、なかなかなりません。

 

とはいえ、

こうした親子で「うぎゃー!」「きー!」と感情マックス状態では、

「教え・学ぶ」ことは難しいです。

 

上にあげた著書や、以前こちらで紹介した同じ著者の本に、

脳全体に働きかけるイメージで子育て!脳の仕組みを分かるなら対応もより分かる

「それはなぜか?」についての脳の仕組みが説明されているんですが、

簡単に言ってしまうと、

感情マックス状態というのは、

教え学びと考える「脳の機能(前頭前野)=upstairs(階上)」が働かなくなっている状態だからだそうです。

こんな感じですね。

思考や想像などより複雑な機能を司る前頭野を含む「大脳皮質部分(upstairs)」

情動や衝動や反射などより原始的機能を司る扁桃体などを含む「大脳辺縁系(downstairs)」。

 

そこで、「しつけが必要!」となった場面でまず気づきたいのが、

親として「教えられる状態」にあるか、

子どもが「学べる状態」にあるか。

そして、互いに「教え・学ぶ」ことのできる状態に整える、

ということになるというんですね。

 

脳全体が、こんなように繋がって働いているイメージ。



例えば:

1.何度も「危ないからやめなさい!」と言ったのに、

フェンスによじ登って落ちて膝を擦りむいて泣き叫ぶ。

 

2.お友達と玩具の取り合いをして、相手の子を突き飛ばしたところ、

泣きながら起き上がってやり返してきた子に玩具で叩かれ泣く。

 

3.スーパーのお菓子売り場で「おまけ入りのキャンディーがほしい!」と

床に寝転がって足をばたばたさせ大声で泣きわめく。

 

4.遊びに行ったお友達の家から「帰りたくない!」と、

玄関先で泣きわめいて動かない。

 

などなどの場合。

 

 

荒ぶる子どもの感情に、

親の感情も極限状態となり、

「いいかげんにしてーーーー!」と爆発したくもなります

(というか、私自身幾たびか爆発してきました)。

 

でも、体験から身にしみて思いますが、

感情高まり荒ぶっている時に、

「教え・学ぶ」なんてこと、

効果的にできやしないんですよね。

 

 

まずは、自らの気持ちを落ち着け、

そして子どもの気持ちを落ち着けます。

「しつけ=教え・学ぶ」のは、それからというわけです

 

 



子どもの感情を落ち着けるために有効な「共感」&「繋がり(connect)」

シーゲル氏とブライソン氏は、

「共感」や「繋がり(connect)」こそが、

子どもの気持ちを落ち着けることになるといいます。

そして、しつけが必要になるときとは、

実は子どもが最も「共感」や「繋がり」を必要としている時と。

 

これは、よく分かりますね。 

失敗やうまくいかないことに一番困っているのは、

実はその子自身ですから。

 

例えば、上にあげた例の場合:

1.何度も「危ないからやめなさい!」と言ったのに、

フェンスによじ登って落ちて膝を擦りむいて泣き叫ぶ。→

「どこ擦りむいた? 痛かったね」となでてやる。

 

2.お友達と玩具の取り合いをして、相手の子を突き飛ばしたところ、

泣きながら起き上がってやり返してきた子に玩具で叩かれ泣く。→

「玩具あたって痛かったね」と抱きしめてやる。

 

3.スーパーのお菓子売り場で「おまけ入りのキャンディーがほしい!」と

床に寝転がって足をばたばたさせ大声で泣きわめく。

 4.遊びに行ったお友達の家から「帰りたくない!」と、

玄関先で泣きわめいて動かない。→

抱きあげ、ひとまず静かになれる場に移り、抱っこしながら背中をとんとんしてやる。

 

こうした「共感」「繋がり(connect)」により、

感情が落ち着いたら、

さて、いよいよ「しつけ=教え・学ぶ」ができる!というわけです。

 

 

そこで、以下のように話し合ってみます:

1.「今度大人の人に『危ない』って言われたらどうしたらいい?」「フェンスや高いところはなんで危ないのかな?」

 

2.「痛かったね。じゃあ、あなたが突き飛ばしたお友達はどう感じたかな?」「今度お友達が持っている玩具が欲しい時は、何て言えばいいかな?」

 

3.「お店に入る前に何を買うか決めておこうね」「今度お店で何か欲しくなってママの言うことも何も聞けなくなっちゃったら、すぐにお店を出ようね」

 

4.「今度は帰る30分前と10分前に声をかけてあげるから、心の準備をしようね」「お友達に笑顔でバイバイって言えたら、楽しく遊んだ大好きなお友達も嬉しくなるね」

などなど。

 

 

 

 

感情マックスな難しい状況で起こりがちな2パターン

私も振り返って思うんですが、

こういう感情マックスな難しい場面って、

往々にして、以下の「2パターン」になりがちだと思いませんか?:

 

1. 感情荒ブル最中に叱り飛ばし、力で抑え付けておしまい 

子どもは恐れや不満を感じ、「叱れるからする・しない」という「学び」のみ。

 

たとえ、親も感情爆発で怒りをぶつけてしまっても(ありますよね、人間ですから)、

その後、お互い落ち着いたところで、

上のような「話し合い」をしていけるといいですよね。

 

「なぜ怒られたのか? 今度はどうしたらいいのか?」を理解しているかどうか、

確認したいです。

 

 

2. 共感し、繋がりを確認し、なぐさめ、子供の感情が落ち着いてめでたし →

今度同じ場面でどうしたらいいのかといった「学び」なし。

 

 昨今、「叱らない子育ての弊害」なんて言葉も聞かれることがありますが、

「弊害」と指摘されるようなケースというのは、

この感情が落ち着いてからの「しつけ=教える・学ぶ」部分を

切り落としちゃってるんじゃないかな、と感じています。

 

「叱らない子育て」とは「叱らないでいい子育」てであって、

共感し、受け入れ、繋がり、同時に

「教える・学ぶ」チャンスを最大限生かしていくからこそ可能なんですよね。

「叱らない」だけに焦点があてられてしまって、

伝える側の意図が、誤解されてしまう場合があるなあと。 

 

 

 

長々と書きましたが、シンプルにまとめると、

うぎゃーと親子で感情マックス状態になって、

「こんなことは許しちゃいかん!シツケないと!」と迫ってきたら、


まずは、

親は、「教える」状態にあるか、

子どもは、「学ぶ」状態にあるかに気づいていくこと。


そして、

「共感」や「繋がり」を通して、

子どもが「学ぶ」ことのできる状態へと整えていく。


親の感情を落ち着ける方法は、

こちらにも以前書きましたが、

2分で実践!育児ストレス予防トレーニング【マインドフル子育て#02】

育児で叫びたくなったら?ネガティブを「引きずらないコツ」3つ

こうした深呼吸や身体を緩めるなどの他にも、

後ほど紹介する、自らに問いかける「3つの質問」が効果的です。

← 親の「考える脳の機能(前頭前野)」を発動させるわけです。

 

 

これって、ティーンにとっても「まさしく」と実感してますよ。

我が家でも、思い出していきたいです!

 

「思慮あるしつけ」について、引き続き、つづっていきますね。

 

いろいろ書きたいことが溢れて、全く追いついてないんですが、

できるペースでこつこつと続けます!

それではみなさん、楽しい週末を!


『3つの気質』を考慮した接し方具体例、ひとりひとりのニーズが満たされる場を願いつつ

2016年08月03日 | 思慮あるしつけ(discipline)

「気質」について、

子供&自分の気質を理解するために覚えておきたい「9つの要素」、一般&HSCの観点から

「子供には『3つの気質類型』がある」という研究、養育者自らがその子に期待することを見直す大切さ

とみてきました。

 

ところで、

この「気質」研究を続けられてきた精神科医トーマス&チェス夫妻ですが、

ご自身の4人のお子さんについて、

「同じ家庭で同じような環境に育ちながらも、

どうしてひとりひとりこうも違うのだろう?」

という疑問を持ったことから、

これらの「気質」研究を始めたそうです。

 

私自身5人育てていて、よーく分かります。

それぞれホントに、違いますから。

その子その子に向き合いつつ、

向き合い方を見直していく大切さ、

身近な家庭から、日々実感しています。

 

では、異なる「気質」を理解しつつ、

目の前の子にどう向き合っていったらいいのか? 

精神科医トーマス&チェス夫妻の研究を参考に、

1.外界に慣れにくい子、養育者にとって扱いにくい子(THE DIFFICULT CHILD):10%

2.外界にゆっくりと慣れる子、養育者にとって時間のかかる子(THE SLOW-TO-WARM-UP):15%

3.外界に慣れやすい子、養育者にとって扱いやすい子(THE EASY CHILD):40% 

の順に、少し具体的にみていきましょう。 


 

1.外界に慣れにくい子、養育者にとって扱いにくい子

就寝食事時間の不定期さ、家庭のルールに慣れるのに時間がかかるなど、「扱い方」の問題は初期から現れるといいます。そして、世話をする人が、「一貫せず、忍耐強くなく、懲罰的だったりすると、子供は他の子よりも一層ネガティブに反応する」とされています。

「子供の気質を完全に理解した際立った客観性、一貫した扱いのみが、その子が他者と容易に仲良くなり、適切な行為を学ぶことを可能にします。これには、長く時間がかかるかもしれません」とのこと。

 

これまで接した子の中にもまさしく!と思う子達がいましたが、「(家庭では)難しい子タイプ」が我が家にもいます。

とにかく、こうと決めたらこう!と「やり抜く力」や意志が強いです。「あ、オッケーな場合もあるんだ」と分かると、そこを突破口にどんどん境界を越えようとしますから、「一貫した姿勢」がより大切になってきます。大声で泣きわめいて癇癪を起したり、分かりやすい「強烈な反応」をすることも多く、こちらもつられてどっかーんと爆発してしまったり、いい聞かせても「やり抜こう」とするため、こちらも「怒りのボタン」を押されっぱなしだったり。

このタイプの子は本当に、養育者の忍耐を鍛えてくれます。罰を用いるとしても、より重いものへとエスカレートせざるをえなくなっていくだけですから、「予防」(環境を整える、いい時に話し合う、温もりのある信頼関係を築く)に力を注ぎ、できたときにはしっかりとこまめに認めてやります。

 

トーマス&チェス夫妻によるヒント:

取り組んでいることを邪魔され気がそれるのを好まない「やり抜く力の強い子」は、呼ばれてすぐに走り寄ることを期待されるべきではありません。呼ばれる前にあと何分あるかを前もって知らせてやるんです。

順応性のある子は、コンセントにモノを突っ込んでいるのを見つけた際でも、いかに危険かを一度教えれば、二度とすることがないでしょう。それでも「やり抜く力の強い子」は、ほかの活動へと気をそらしたり、危険から物理的に引き離す必要があるかもしれません。

 

・”活動レベルの高い子は、例えば、8時間の自動車の旅にずっとじっと座っていることを求められるべきではないんです。頻繁にストップし、走り回り彼のエネルギーの通りをよくすることを許されるべきです。

また教室でも、鉛筆やほかのモノで遊んだり、隣の生徒との活動に巻き添えになったりと、絶え間なくごそごそする生徒は、明らかに特別な扱い方を必要とします。もし教師が、その子は学びたくないのだと決めつけ、そのように扱うのならば、その子は、自分を愚かで好かれないと結論付け、より問題のある行動さえ起すようになるでしょう。教師は、「迷惑」や「邪魔」といった感情的な表現をなるべく避け、彼のエネルギーを建設的な方向へと向ける術を提供してやるのが最もいいのです。雑用に走らせたり、黒板をふかせたりなどです。”

私自身もチャレンジングな子達に接しつつ何度も実感したことです:

ごそごそ動いた方が学習効果アップ!ADHD・ギフテッド・舞踏家タイプの子


 

・”「難しい子」は、すぐにマスターできない学習課題に対しての、教師の消極的で、放任&無干渉的な態度に、ネガティブに反応します。教師には、忍耐が必要です。ルールを学ぶことに向き合い続け、新しいタスクに親しむことで、自信をもって取り組むことを達成していくために、長くかかるかもしれないません。”

 

・”放任・無干渉な扱いは、「やり抜く力が弱く、すぐに気がそれるような子」にとってもうまくいきません。このような子は、ほとんど要求されず、ほとんど達成を期待されないとするなら、うまくいきません。彼の能力を生かすよう、要求する必要もあります。”

無干渉と過干渉の間で、本人が自主的にやる気になれるような関わり方をしてやりたいです。タスクを細かく分け、小さな達成を積み重ねるなどの工夫を身につけさせてやりたいですね。

 

 



2.外界にゆっくりと慣れる子、養育者にとって時間のかかる子

これらの子が「成功する発達のカギは、その子が自身のペースで環境に順応するのを許すこと」といいます。「親や教師がこれらの子に新しい環境にも早く行動するよう圧力をかけるならば、彼らの持つ強烈さが彼らの引きこもる自然な傾向をより強烈にします」と。また一方、「彼らは新しい物事を試すための励ましと機会を必要としています」とのこと

 


例えば、ボビーという子の例があげられています:

”彼の両親は、ボビーが新しい物事に参加することを励ますことがありませんでした。ボビーが気に入らないものがあれば、単にひっこめることで対応したんです。乳児期には、ボビーは新しい食物を拒否し、口から吐き出しましたが、すると両親は、彼の食事からその食材を除去しました。10歳になるまでに、ボビーは、ハンバーガーと、アップルソースと、半熟卵だけを食べるようになっていました。そして社会面でも一人。新しい人々や新しい要求にさらされるどんな活動もボビーにとって不可能となりました。それでも、彼は彼自身のスピードで追及できるアクティビティーには喜びを見出し取り組みました。”

 

無理をさせ過ぎる圧力は、ネガティブに働きますが、無理させ過ぎない少しの無理をさせる励ましや機会やプッシュは必要なんですね。この「ややこしさ」、私自身もう何度もうなずきたくなるほど実感しています。

(今夏の水泳レッスンでの次男の様子や、プールサイドで出合ったさまざまな「気質」について、次の記事をまとめ中です)


また敏感な子の場合、親も子供の感情の動きに敏感だったりして、子供がネガティブな感情を示すことは避けたいとすぐに引っ込めてしまうこともあるだろうなと、私自身を振り返っても思います。

目の前のしかめつらや泣きべそも、「過程」だと捉えること。いつも笑ってハッピーでなくてもいいんですよね。ただ、笑ってハッピーであるといった状態が、「軸」にあってくれたら、その「軸」を築いていけたらな、私自身、そう思っています。

「無理過ぎないちょうどよい加減の少しの無理」、この加減が分かるのが、身近な親か、優れた教育者なのでしょうね。

 

トーマス&チェス夫妻によるヒント

・”高い順応性のある子は、新しい食べ物を抵抗なく受け入れ、むしろ喜びさえすると期待されることもできます。一方、順応性に乏しく、(外&内に向かって)強烈な反応を示す子の場合、何日間かかけ、それぞれの食事で提供されることにより、慣れるようになっていくでしょう。もし子供に拒否された食材をひっこめ、それでも何週間後に再び試し、また抵抗にあい引っ込め、と繰り返すならば、子供は、単に十分だだをこねるなら、自分のやり方を貫けるのだと学ぶでしょう。”

 

・”学習面でも、「ゆっくり慣れる子」は、忍耐と、励ましと、繰り返し学習タスクにさらされることを必要とするかもしれません。慣れることにより、より快く取り組み達成することができるようになります。”

これは例えば我が家の場合、博物館や水族館などを訪ねつつ実感しています。初めて訪ねた時は、何かを学ぶというよりは、とにかくその場に圧倒されっぱなし。数度訪ねてから、少しずつ展示物の詳細に目がいくようになっていきます。

 

 

 


3.外界に慣れやすい子、養育者にとって扱いやすい子

極端に手を焼くというほどではないかもしれませんが、時に養育者にとって「難しいな」とか「困ったー」と感じる、その子の「~気質より」というものはあるでしょう。遊びを中断されると癇癪を起こす場合は、前もって残り時間を知らせるなどの工夫をしたり、「気がそれやすい」と感じる場合は、目標を小分けにしてみたり、必要なことに取り組むのを拒否する場合など、慣れるのにより時間をかけてやったりと、その子の示す「傾向」に合わせ、「難しい子」や「ゆっくり慣れる子」に接する際の注意点を適用していきたいです。

また「扱いやすい子」が、自主性や、自らの欲求や感情を引っ込め続けたまま「扱いやすく」なっていやしないかを見てやりたいです。敏感な子は、周りの要求も敏感に感じ取ります。本人が、どう思うか、どう感じているかなど、表現したり選択する機会を与えてやりたいです。

 

 



特に、「慣れにくい子」「慣れるのに時間がかかる子」の場合、不可欠なのは、「通常以上にこの子の扱いには手がかかるだろうと自覚すること」といいます。周りの比較的大多数(40%)「扱いやすい子」にうまくいくやり方でも、この子にはうまくいかないかもしれないと腹を据えてしまうこと。私自身、そう開き直ることで、随分と気持ちが楽になりました。

決まったことを決まった期間に皆で一斉にこなしていかなくてはならない学校などの集団の場合、子供のひとりひとりに注意を向けられなかったり、ひとりひとりのニーズに合わせたカリキュラムを組み込むスペースがないのが問題なんですよね。先生の仕事量も半端ではなく、物理的な時間や気持ち的余裕を持つのが難しいこともあるでしょう。

異なる気質を持つ子供たちのニーズが満たされる場が整えられていくことを願いつつ。

 





新居暮らし3日目。

あれやこれや詰めて閉めたダンボールを開け、

あれやこれや取り出し生活を整えつつ。

今日はこれから小中高の手続きに走り回ります!

皆さんよい日を!


「子供には『3つの気質類型』がある」という研究、養育者自らがその子に期待することを見直す大切さ

2016年07月26日 | 思慮あるしつけ(discipline)

「気質」を理解するためのヒント、第二弾です。


ひとつ前の記事、

子供&自分の気質を理解するために覚えておきたい「9つの要素」、一般&HSCの観点から

にて紹介した「9つの要素」に基いて、

精神科医Alexander Thomas 氏と Stella Chess氏夫妻は、

子供を「3つの気質類型」に分類します。

 

 

1.外界に慣れやすい子、養育者にとって扱いやすい子(THE EASY CHILD):40% 

規則性があり、周りの物事に対し穏やかな反応を見せ、順応性があり、新しい状況に引きこもるより踏み出していく。乳児期には、早いうちに規則的な食事や就寝スケジュールを確立し、新しい日課、食べ物、人々にも、明るく比較的早く慣れる傾向にある。大きくなるにつれ、ルールやゲームを素早く学び、新しい活動に参加する準備ができており、学校にも容易に適応する。

 

2.外界に慣れにくい子、養育者にとって扱いにくい子(THE DIFFICULT CHILD):10%

不定期で、周りの物事に対し強烈に反応することが多く、新しい物事を前にするとなかなかうまく対処できなかったり引きこもる傾向にあり、環境の変化に順応するのに時間がかかる。乳児期には、しばしば不定期な寝食スケジュールであり、新しい日課、食べ物、人々に慣れるのに長く時間がかかり、よく泣く傾向にある。泣き声や笑い声も大きいのが特徴。フラストレーションが暴力的な癇癪につながることもある。

 

3.外界にゆっくりと慣れる子、養育者にとって時間のかかる子(THE SLOW-TO-WARM-UP):15%

(身体的な)活発レベルが穏やかで、新しく出合うことに引きこもりがち。周りの物事に対し(咄嗟に分かりやすい)強烈な反応は見せない。周りから「シャイ」と描写されたりする。

 

残り35%は、3つの特徴を合わせ持ち、3つの類型のどれか1つに当てはまることがなかったとのこと。

 

‘The Origin of Personality’ by Alexander Thomas, Stella Chess and Herbert G. Birchより)。

 

 

 

こうした「気質の違いがある」ということを理解しておくと、

世話をする側も、対応の仕方がより見えてきます。

 

つまり、

その子がすんなりできることと、

そうはなかなかすんなりとはできないことを理解し、

養育者自らがその子に期待することを見直し、

ハードルを調整してやれるようになるということです。

 

 

 

1の「扱いやすい子」が「40パーセント」という数字が出ていますが、

そうした比較的「多数者」に接するような姿勢や方法のみでは、

2の「扱いにくい」ような子には届きません。

これは、放課後スクールでも、私自身改めて実感したことです。

また、「ハイリーセンシティブな子(HSC)」の場合は、周りの期待を敏感に感じ取るため、

1の「扱いやすい子」になろうなろうと、

無理し過ぎることもあるでしょう。

もしくは、どうしてもそうなれない自分を責め、

罪悪感や恥の意識を募らせるということもあるかもしれません。

 

ちなみに、心理学者のアーロン氏は、HSCというのは、

3の「外界にゆっくりと慣れる子、養育者にとって時間のかかる子」

として分類される傾向にある、と言及しています。

(『The Highly Sensitive Child』 by Elaine N. Aronより)

HSCについては、我が家を振り返っても思うんですが、

外では1や3のように振る舞い、家庭では2のように爆発する、

ということもあるでしょうね。

 

 

その子の気質を理解し、

では、どう対応していくのが効果的なのか?

そう養育者として自らに問いかけつつ、

工夫していきたいですね!

 

いくつかの具体的な対応例について、

ざっとですが、後ほど、みていきます。