現代を生きている私達が、現代の言葉で現代を詠まずして、何を詠めばいいのか。いたずらに懐古趣味にならず、古い型を懐かしむのではなく、この古い型に新しい生命を吹きこんで、今に生かし続けておきたい。(-まえがきより)
タイトルにドキッとしてしまいますが、大賞をとるためのノウハウが書かれている本ではありません。俳句を始めたばかりの人が読んでわかりやすく、長く俳句をやっている方にとっては漠然としていたものを確認しより深く俳句と付き合っていくことができる、そんなエッセイです。たくさんの例句をあげられとても読みやすいものと思います。私は『俳句ってたのしい』を読んで辻桃子の門を叩きましたが、この『あなたの俳句はなぜ佳作どまりなのか』を読んで『童子』に入りました。という方も。文中、「ボーッとした句、ヌーッとした句」として、
砂風呂の砂から春の頭かな あぶみ
また「具体的な季語」の項に、
耳袋していろいろと思ひ出す あぶみ
「自分の表現、自分の表記」の項には、
出来秋や赤子を抱けばすぐに唄 あぶみ
を取り上げていただいています。
扉にいただいたサイン。 辻桃子最新刊は、
『生涯七句であなたは達人』(新潮社) 。こちらも好評です。