fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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『赤毛証明』光丘真理(くもん出版)

2020年06月08日 | 本の紹介
        
 
 メグは地毛が赤い。
 そして、通っている私立中学は、黒髪じゃない場合、赤毛である「証明」が必要。生徒手帳にばんと赤いゴム印で押された「赤毛証明」! それを毎朝登校時に見せなくてはならない。
 
 自分はふつうじゃないの? その疑問にとりつかれたように、考えるメグ。
 だったら、ふつうって何なのか。
 親友のサワちゃん、幼なじみの紘。それぞれの関わりの中で、メグは、考え、悩む。

 光丘さんは、この本を書くため、たくさんの中学生を取材し、自ら物語内の中学の生徒手帳を作成もしたという。
 普通じゃないという言葉も、普通だねという言葉も、人を傷つける。
 
 私も、思うときがある。人様の俳句を読んで、自分で作って、「普通だなあ」と。これは決していい意味じゃない。
 でも、もっとパワーのある俳句を作りたいとき、作ってもらいたいとき、やっぱり使いたいかもしれない。 言われたほうは、傷つくだろうとわかった上で? 困ったな。

 なんて、ことまで考えた。
 だって、文学をやっている人は、普通でいいとは思ってないんじゃないかな。でも、普通のよさもあるよね。
 ああ、考え始めると、メグのように「ふつう」にとらわれてしまう。
 でも、メグはちゃんと、結論を出し、人と関わっていく。
 きっと、読んだ人たち、みんなが、考え始めるだろう。それが、大事なことだ。