Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(399)

2021-12-11 06:39:58 | コラム
じんぐるべ「る」→「る」んぺん

ルンペンは、一般的にはNGとされている?ことばかな。

自分がガキのころはフツーに使われていたので、「言葉狩り」が話題になっていく90年代前半にNGとなった可能性が高い。

うん、ガキのころは「浮浪者」ではなくルンペン(あるいは乞食)といっていた、現代的に適切なのは「ホームレス」だが、ホームレスなんてガキのころ聞いたことなかったな~。

俗語っぽい英語でいえば、「bum」。

『パルプ・フィクション』(94)の魔法の弾丸で目覚めてしまったジュールスが「カンフー映画のように、真理に辿り着くまで放浪をつづけるかもしれない」と宣言すると、
ヴィンセントは「それを浮浪者というんだよ」と返す場面で「bum」を使っている。


ルンペンの語源は、ボロ服を意味するドイツ語の「Lumpen」だそうで。

乞食より悪いイメージないけどね、NGにしなくてもよいのではないかなぁ!!


ことばから想像するのは、不幸、不潔、不憫といったところか。
実際には分からないけれど頭に「不」がつくイメージであると。

『時計じかけのオレンジ』(71)のアレックスも、『その男、凶暴につき』(89)の少年も、彼らを襲った。

襲った理由はたぶん「目に入ったから」という単純なものだろうが、「弱者だから」という理由もあると思う。

『フィッシャー・キング』(91)のバリー(ロビン・ウィリアムズ)は、ある事件をきっかけとしてルンペン(敢えてこっちで表現しておこうね)になってしまうし、なんだか不幸の象徴のようだよね。


ルンペンを「そっちではない」キャラクターとして描いた映画も、あるにはある。

ジョン・ランディスによる『大逆転』(83)は、「人間、出世するのは血統か環境か」という賭け事の対象にされたエリートとルンペンの立場が入れ替わるという物語。

コメディとして成り立っているのはエディ・マーフィのおかげだけどね、

劣悪な環境にある彼らのなかにも自尊心があることをサラリと描いてみせてお見事。

タイトルがズバリの『ビバリーヒルズ・バム』(86)も、一般人とルンペンの交流を見つめたコメディ。

要は「描きかた」だとは思うが、
日本では、なかなかこういう映画は創られ難いかもなぁ。

スターがルンペンを演じるのはリスク高いだろうし、事務所もOK出さないだろうし。
でもやってくれたら、そのひと大好きになるけどね自分は。


漫画『詩人ケン』(業田良家)には、「じつは大金を持っている」ルンペンが登場する。

彼は主人公ケンに「可哀想とか、勝手な思い込みはやめよう」みたいなことをいう。

ケンもハッとしていたが、自分のように虚を衝かれた読者も多いのではないか。




あすのしりとりは・・・
るん「ぺん」→「ぺん」ぎん。

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明日のコラムは・・・

『シネマしりとり「薀蓄篇」(400)』
コメント (4)
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