Cape Fear、in JAPAN

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にっぽん男優列伝(212)竹中直人

2013-11-17 00:30:00 | コラム
56年3月20日生まれ・現在57歳。
横浜出身。

公式プロフィール


死んだかーちゃんは正統派が好きで、あおい輝彦のファンだったはずなのですけれど、
異端というかなんというか、けっして正統派ではなかった竹中直人(たけなか・なおと)さんのことも好きで、「出てくるだけで笑える」なんていってました。

受けつけないというひとも居るでしょうが、よく分からないのに、なんか面白い。
それでいて真面目なキャラクターもソツなくこなし、なかなかな芸達者じゃないかと。

ただ、このひとが出てくるだけで、そこは「ふつうじゃない空間」に変わってしまうところはあります。
それはコミカルな場合もありますし、スリラーな場合もあります。

かーちゃんは間違いなく前者の竹中さんが好きだったのでしょう、逆に自分は後者の竹中さんを支持するものです。
下痢で漏れそうな力士(=92年の『シコふんじゃった。』)も面白いけれど、日常と地続きな感じで妻子を殺める『GONIN』(95)のサラリーマンとか最高です。
あの異様な佇まいは天性のものでしょう、だからこそ「笑いながら怒るひと」なんていう芸が出来るのだと思います。

※面白いと感じるひとにとっては、最初から最後まで面白い




<経歴>

俳優・コメディアンとしてだけでなく、現在では映画監督としても著名な存在に。
夫人は元女優の木之内みどり。

多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科を卒業、その縁でしょう、現在は同学科の客員教授を担当しています。

学生のころから8mm映画制作に熱中し、『燃えよタマゴン』などのパロディ映画を創る。

77年、TBSのバラエティ『ぎんざNOW!』のコーナー『素人コメディアン道場』で王者となり芸能界デビューを果たす。

映画俳優デビュー作は、84年の『痴漢電車 下着検札』。
そう、ピンク映画です。しかも監督は、のちに職人監督としてオスカー外国語映画賞を取ることになる滝田洋二郎。
ただ竹中さんは俳優としてというより、コメディアンとして起用されているといっていい扱いです。
なにしろ痴漢の役ですからね、しかも松本清張であろうモノマネのまま痴漢行為をおこなうっていうふざけた展開で。

この映画、単にクダラナオモシロイというわけではないです。
性器の内部から外の世界を捉えるという「どえらい」実験的ショットが登場するので、それだけでも観る価値はあると思います。

『夕ぐれ族』(84)、『薄化粧』(85)、『吉原炎上』(87)、『私をスキーに連れてって』(87)。
80年代後半より「演技も出来るコメディアン」から「どちらかというと、俳優」というポジションへと変化を遂げ、
石井隆の『天使のはらわた 赤い眩暈』(88)あたりで「はまったら、すごい演技を披露するひと」という評価を得るようになります。
『226』(89)、『ファンシイダンス』(89)。

91年、つげ漫画の代表作『無能の人』を自らの手で映像化し監督デビューを飾る。

以降、『119』(94)、『東京日和』(97)、『連弾』(2001)、『サヨナラCOLOR』(2005)、『山形スクリーム』(2009)、『自縄自縛の私』(2013)とコンスタントに監督作を発表。

かなりこじんまりとした創りのインディーズですが、佳作が多いですね。

映画俳優としてのキャリアに戻ります。

『ヒルコ 妖怪ハンター』(91)、前述した『シコふんじゃった。』、『死んでもいい』(92)、
おそらく俳優としての代表作であろう『ヌードの夜』(93)、
江戸川乱歩を演じた『RAMPO』(94)、『夜がまた来る』(94)、『EAST MEETS WEST』(95)、そして『GONIN』。

『写楽』(95)、『Shall we ダンス?』(96)、『のど自慢』(99)、
小島聖とのからみが単純に羨ましかった『完全なる飼育』(99)、
『日本黒社会 LEY LINES』(99)、『双生児』(99)、『フリーズ・ミー』(2000)、殿山泰司を演じた『三文役者』(2000)。

『RED SHADOW 赤影』(2001)、『ウォーターボーイズ』(2001)、『助太刀屋助六』(2002)、伊藤晴雨を演じた『およう』(2002)。

「変わった師匠・指導者」を演じる機会も多く、とくに『ピンポン』(2002)のバタフライジョー役は素晴らしかったと思います。

『カタクリ家の幸福』(2002)、『あずみ』(2003…2005年の2作目にも出演)、『スウィングガールズ』(2004)、油すましを楽しそうに演じた『妖怪大戦争』(2005)、
『それでもボクはやってない』(2007)、『グミ・チョコレート・パイン』(2007)、『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』(2008)、『まぼろしの邪馬台国』(2008)、『新宿インシデント』(2009)、『僕らのワンダフルデイズ』(2009)。

主役から端役まで―という量産型キャリアは近作でも変わらず、
『シュアリー・サムデイ』(2010)、『ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う』(2010)、『一命』(2011)、『電人ザボーガー』(2011)、『ロボジー』(2012)、『謎解きはディナーのあとで』(2013)、『ジェリー・フィッシュ』(2013)、
そして最新作は、公開されたばかりの『天心』・・・という具合に、竹中さんの演技をスクリーンで観ない年はないです。

自分が信奉する塚本晋也と親交が深いようなので、いつか塚本映画の主演を務めてほしいです。


次回のにっぽん男優列伝は、竹野内豊さんから。

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明日のコラムは・・・

『瑞々、しい。』

コメント (2)
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