人生日訓(108)
「愚痴なる人はその詮なきことを思ひ云うなり」
一人の老尼があった。その当時はみすぼらしい風態であったことを恥ずかしい顔を
して、ともすると他人に向かって、「今はこんなにおちぶれてしまっているが、その昔
は由緒ある宮中の女官であつた」と語った。道元はその後ろ向きの愚痴の姿が気の
毒に思えて、そんなことを今更他人に言ったところで何の役に立つものか、「甚だ無
用なりと覚ゆるまり」と言い添えている。これは決して昔話ではない。ひと事ではな
い。「死んだ児はみめよし」という通り、今は帰らぬ愚痴をこぼす人が多い。みんなこ
れは「詮なここと」どうにもならぬこと、今更、何の役にも立たぬことである。「その
昔、自分の実家に蔵屋敷が七つあった」などと自慢すれう哀れな主婦に逢ううこと
があるが、「言わぬは言うにまさる」で、黙ってくれた方がゆかしさがある。言ったとこ
ろで、何の役にも立たぬ今日である。
==============================
12月に咲いている花「カランコ」
秋から初冬にかけて咲く。 (温室ものは春まであるようだ) ・葉っぱは多肉質。花色が鮮やか。 ・アフリカ東部のマダガスカル島を 中心とした、熱帯地方原産。 ・3月21日の誕生花 ・花言葉は「幸福を告げる」 ・別名 「紅弁慶(べにべんけい)」 赤く強壮な花なので。
(季節の花300より)