masumiノート

何を書こうかな?
何でも書こう!

請負人 越後屋 №2

2010年04月26日 | 作り話
プリウスは静岡県に入った。
どうやら行き先は伊豆市のようだ。
あれから、中藤常務は2度GSに寄って用を足した。
その度に憎憎しげな表情で戻ってきた。

それはそうだろう・・・都市部や大型スーパーがあるような郊外なら、販社や広域業者が新設GSを出店させているだろうが、こんな田舎道にあるGSは異星人マークであろうが、ホタテ貝マークであろうが、築年数も古く、どこも似たようなものだ。
それに特石法廃止と石油市場規制自由化以降、元売各社による差別対価によって、ああいった小さな販売店は赤字経営に陥っているだろうから、従業員もやる気を出せないでいるだろう・・・

しかし、まさかこんな時代がこようとは・・・

窓の外に目をやりながら物思いに耽っていると中藤常務の声がした。

「石崎くん、それはそうと突然呼び出して悪かったね」

「いえ」

「実は、今日来てもらったのは君にある人物を紹介しようと思ってね・・・」

「はい。・・・あの、どのようなお方で?」

「うむ。まぁそれは着いてからの事にしようか・・・・ほら、もうすぐそこだ。」

視線の先には「土肥金ちゃん山」の看板が。

車が駐車場に入っていくと、どこからともなく迎えの者が現れ
「お待ちしておりました」と丁寧に頭を下げた。
「お連れのお客様は既にお部屋にお通ししております。」

「うむ。」
「石崎くん、この施設には来たことがあるかね?」

「いえ、初めてでございます」
半歩後ろを歩きながら石崎は答えた。

「そうなのかい?・・・まあいい。ここでは砂金取りの体験コーナーもあってな、休日には家族連れで賑わうのだが、平日はまぁこんなもんだ。」
「しかし、これから案内する場所は内々に作らせた場所でな。一般には公開しておらんのだよ。そこは心得ておいてくれたまえよ。」


何の変哲も無いドアを開けると、4畳ほどの部屋になっており、両脇には書棚が置いてある。
どうやら2重扉になっているようで、奥を右に回ったところにもう一枚ドアがあったようだが、後ろを歩いていた石崎には良くわからなかった。
歩みを進め、部屋の全貌が視界に入った途端、石崎は息を呑んだ。

いくら金鉱山とはいえ、そこかしこに金が施されている絢爛豪華な部屋が現れたのだ。
真ん中には金で出来たライオンの彫像がとてつもなく威圧的な存在感を示している。

一体、幾ら掛かっているのか見当もつかない。

圧倒されて呆然としていると

「あ~ら!ナーちゃん。遅かったわね!お腹が空いて死にそうだったから先に頂いているわよ!」
目をパチクリさせている石崎に目をやり
「こちらの方が今日会わせるって言ってた人?」
「そうだ」
「はじめましてぇ~♪私、越後屋の三沢・・・あん!だけどみっちゃんと呼んでねぇ~」

酒焼けのハスキーボイスで馴れ馴れしく腕を絡ませながらウィンクしてくるこの人物が車の中で話していた、会わせたいという人間なのか?
ワケが分からぬまま慌てて名刺を差し出し自己紹介をする石崎であった。

つづく


※この物語はmasumiさんの被害妄想に基づくフィクションです(^^;
実在の人物及び団体とは一切関係ございません。

尚、加筆修正及びキャラの変更等もあるやも知れませぬことをお断り申しておきまする(^^;

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