masumiノート

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請負人 越後屋 №16

2010年05月16日 | 作り話
食事をご馳走になった礼と自己紹介を済ませ、静江の勤めるクラブへ移動した。

流石に橘という男は羽振りが良いのか、他のテーブルには女の子がせいぜい二人しか着かないのに、このテーブルにはクラブのママも含めて6人も女の子が着いた。

世間話をしながら、クラブの女の子達に「お買い物ツアー」の約束をさせられている。

「しかし、石崎さん、石油の元売さんっちゅうんは何を考えてはりますのんやろなぁ? 大手の商社はんが韓国とかの海外から安うにガソリンを仕入れて、安うに売ってはるんが気に入りまへんのんかいな? ほんでも私らがいっつも行ってるスタンドのご主人が言うてはりましたけど、元売さんから仕入れてるガソリンの値段は高い言うて愚痴ってはりましたでぇ」

「それにあれは何時の話でしたかいなぁ・・・、東京と山形で奥さん連中が元売さん相手に起こしてた裁判(※ヤミカルテル灯油裁判) あれも消費者側が敗訴になりましたけど殺生な話でんなぁ。 価格協定による価格と現実の購入価格による損害の因果関係を原告側に立証せえっちゅうんやから、裁判所も裁判所やけど・・・、大企業ちゅうんはえげつないもんでんなぁ」

石崎は黙って聞いているしかなかった。

何かの合図があったかのように静江を残して他の女の子達は居なくなった。

「で、今回は何をご希望です?」

「はい、以前からも要望させて頂いておりますように、石油の完全自由化を急いで欲しいのです。お陰さまで段階的に規制は緩和されていっておりますが、一日も早く我々元売が自ら小売を行えるように・・・」

「ほんでも石崎さん、今でも元売さんらが作った立派なスタンド・・・最近はセルフっていうやつとか、あれを特約店ちゅうんですか?そこに運営させてはるや無いですか?」

「ええ、まぁ・・・、しかしそれはやはり別個のものですから、元売会社としてはどうしても直販がやりたいのです」

確かにバブル期に元売が出資して敷地面積の広大な立派なガソリンスタンドを建て、100万ほどのリース料で元売の役員を天下りさせた特約店に運営させることはしてきたが、あくまでも会社は直販にこだわっているのだ。
しかもその形態は全てセルフでやることになっている。

「へーっ、そんなもんですか・・・そやけど、元売さんにそんな事されたら、今までの販売店はたまったもんやありまへんなぁ」

「・・・そうですね。しかしこれも時代の流れです」


妻の実家が販売店でもあり、本当は石崎自身はこういった元売の姿勢には反対であったのだが、会社を代表してこの席に居る以上、それを口に出すわけにはいかなかった。

「わかりました。ほな、私の方から田ノ上先生には連絡しておきますさかい、石崎さんは来週、1本持って先生の事務所まで訪ねてください。いや、話はつけておきますよって、石崎さんは挨拶だけ・・・まぁカタチですわ」



つづく





※この物語はmasumiさんの被害妄想に基づくフィクションです(^^;
実在の人物及び団体とは一切関係ございません。

尚、加筆修正及びキャラの変更等もあるやも知れませぬことをお断り申しておきまする(^^;

お願い
方言に間違いがございましたらご指摘頂けると嬉しいです。

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