masumiノート

何を書こうかな?
何でも書こう!

請負人 越後屋 №23

2010年05月29日 | 作り話
あれから数週間が経ったころ、「新仕切方式」なるものの原案を持って三沢がやって来た。

原油価格か先物取引か或いは平均か・・・数種類の卸値を用意し、それを特約店(販売店)に選ばせる。
3者店と呼ばれる販売店には選択権は無く、特約店が選んだものを受け入れるしかない。
まるで博打のような方法だ。
契約は半年毎に見直すことができるが、その間は選んだ方の単価が高くて失敗したと思っても変更はできない。

しかし、こんな博打のような方法では、こちらも損をすることもあるのでは無いのか?と訊くと、

「大丈夫よ。そんなものはどうにでも操作出来るし。万が一の時には保険として“下限値”というものを用意しておくから」


「下限値」とは簡単に説明すると、例え市況が下がっても精製コストを下回るような時には、それ以上は下げない、という安全装置だ。
「下限値」を作る以上は反対の「上限値」も作ることになるそうだが、おそらくそれはお飾り的なものになるだろう。


三沢が投げやりに続ける。

「だからぁ、仕切り値の交渉でも何でもそうだけど元売はいちいち販売店なんか相手にしないこと。元売が話を聞いてあげるのは特約店だけでいいのよ。・・・まぁ、特約店にも真剣に対応する必要はないけどね」「だって、もう精製から販売まで自分の所だけで出来ちゃうんだからサ」

「こっちのやり方が嫌なら辞めれば良いのよ。辞めたくなかったら言うこと聞くしかないわよね」

何だか今日の三沢はイライラしている。

「とりあえずグッドアイデアでしょ。具体的な方法を考えたら又来るわね」

そう言って部屋を出て行った。

つづく


※6月2日追記

6月2日 燃料油脂新聞

JXの仕切り体系について、系列3者店が不安を隠しきれない。
「いまだにきちんとした説明がない」というのが理由だ。

元売側は「特約店側の裁量権に委ねている」と、販売店向けには関知しない意向を表明している。




※この物語はmasumiさんの被害妄想に基づくフィクションです(^^;
実在の人物及び団体とは一切関係ございません。

尚、加筆修正及びキャラの変更等もあるやも知れませぬことをお断り申しておきまする(^^;


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。