masumiノート

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消える環境規格ISO

2012年03月02日 | 切り抜き

自治体の「ISO14001」離れ 相次いで認証返上 
 
 
受付カウンターにあるISO14001の取得を示すプレート=神戸市役所
 環境に配慮した事業運営を示す国際規格「ISO14001」を取得した兵庫県内の自治体が、相次いで認証を返上している。2000年代前半、エコブームを追い風に18団体が取得したが、費用や事務手続きがネックになると、一転して認証離れが加速。現在も継続しているのは神戸市だけとなった。各自治体は「身の丈に合わない」「パフォーマンス的な要素が強い」などと振り返る。(小川 晶)


 電気やガスなどの削減目標を設け、事業活動に取り組む「環境マネジメントシステム」(EMS)の国際規格。1996年に運用が始まると、企業に続き、自治体でも本庁舎の事務を対象に取得する動きが出始めた。

 兵庫県内では、2000年の尼崎市を皮切りに、県と、県内41市町のうち合併前の自治体を含む18団体が取得。だが、00年代後半には流れが止まり、3年ごとの更新などのタイミングで返上する自治体が急増した。

 全国的にも同様の傾向で、審査を担当する民間団体「日本適合性認定協会」によると、企業が一定数を維持しているのに対し、認証自治体数は約500あった04年のピーク時の約2割にまで減少しているという。

 「環境のためではなく、審査を通るためのISOになり、目的が見えなくなった」。02年に取得したものの、一度も更新せずに返上した加西市の担当者はこぼす。

 年1回の定期審査の書類作成などで日常業務に支障が出るようになり、一部を外部委託した。年間約75万円の費用も重荷となり、市環境創造課は「取得のメリットは少なかった」と振り返る。

 昨年12月に更新をやめた宝塚市。ほかの自治体の相次ぐ返上も一因となった。02年からの9年間でかかった審査、更新料などは約700万円。市環境政策課は「何らかのシステムは必要。対外的なアピールもあるが、職員への意識付けという利点はあった」とする。現在は、ISOのノウハウを生かし、独自のEMSに取り組んでいる。

 県内で唯一残る神戸市は、13年3月に3度目の更新期限を迎える。庁内には費用対効果を疑問視する声もある中、継続の方針を固め、12年度予算案に約70万円の更新料を盛り込んだ。市地球環境課は「認証を持ち続けることが、環境への配慮を示す明確な根拠になる」としている。


【環境会計に詳しい國部克彦・神戸大大学院経営学研究科教授の話】

 ISO14001はエネルギーや燃料を大量に消費するなど、環境負荷が大きい製造業に向く規格で、オフィス業務が中心の自治体が取得する効果は薄い。宣伝にはなるかもしれないが、ISOにこだわる必要はなく、自治体の規模に合った枠組みで、EMSに取り組む方がよいだろう。

(2012/03/01 07:51)
http://www.kobe-np.co.jp/news/kyouiku/0004849924.shtml