5月7日 燃料油脂新聞より
3.11の教訓 「消費者の異常行動」SS開店に恐怖感も
石油危機でも起きなかった暴力行為、「不安」と「傲慢」同居
東日本大震災から来週で2ヶ月
震災直後に見られた給油車両の長蛇の列もなく、SS店頭は平穏を取り戻した。
しかし、震災直後の給油をめぐるトラブルで、
消費者のSSスタッフやタンクローリー運転者への暴力行為は度を越していた。
販売業者は「石油危機のときでもこんなことは起きなかった」と今回の異常さを指摘する。
ある特約店店主は
「怖くてSSを開けられなかった」と恐怖感さえ覚えたという。
・・・
4月9日付け朝日新聞の夕刊に載っていた東京、八王子市に住む30代主婦の投書
「夫はGSの店長です。販売量を1回20リットルに制限するなど、なるべく多くの方にガソリンがいきわたるように努めていますが、お客様の中には、中身の入ったペットボトルや火のついたタバコを投げつけてくる方が何人もいます。
従業員の身を案じて、早々に閉店する状態になっているそうです。
またガソリンを積んでくるタンクローリーについてくる方、
信号で止まるたびに車の窓を叩いてくる方がおり、到着時間が大幅に遅れているそうです。
事故につながらないか心配です」
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長時間待った客と「待ったんだから満タンにさせろ」と押し問答や、殺気立った場面もあったという。
ガソリンだけではなく、日用品や食糧も品不足になった。
関東圏ではミネラルウォーターやカップ麺など、数量限定販売が続いているコンビニやスーパーもある。
しかし、数量限定は同じでもコンビニやスーパーで暴力沙汰に発展した話は聞かない。
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消費者が都市部では傲慢になったと話す専門家もいる。
SSでは暴力沙汰が頻発した今回の事態を振り返り、
SSが消費者の目にどのように映っているのか、考える必要があるのかも知れない。
混乱の只中に投げ込まれた同業者の皆さんに同情します。
かなり辛い日々だったと思います。
モノを投げつける行為も許せませんが、
ガソリンスタンドに火のついたタバコを投げつけるなんて!!!
テロ行為にも等しい。
ひとつ間違えれば大惨事になるような危険行為です。
給油の列を警察から注意されたスタンドもあるようですが、その販売店に何の罪があると言うのでしょう?
スタンドに注意をするのではなく、そのような危険行為を行う輩こそ取り締まるべきだと思います。
職業に貴賎はないといいますが、私は6種類の仕事を経験した中で、
世の中には職種によって差別意識を持つ人が居るんだなァ、と思った出来事が何度かあります。
SSも低くみられている職種のひとつだと思います。
例えば、他店で働いていたことのあるアルバイトの男性は、
トイレに入ったお客さんの車を移動させたら、お前らみたいなもんが乗ったら車が汚れるだの臭くなるだのボロカスに言われたり、車内のものを何か盗ったように言われたりしたことが何度もあったと言っていました。
幸い、うちの店ではそこまでの暴言を吐くような人はいませんでしたが・・・
そして以前も書きましたが、セルフが解禁になってからマナーの悪い人が増えたと思います。
平成28年1月30日追記
セルフが、というより元売の「利益は油外で」施策や、業界が行ってきた“モノクレ”による販促など過剰サービスによって販売業界自ら価値を下げた結果だと思います。
窮地に立つ近畿販売店 マージン不足と減販が追い討ち
【大阪】4月の減販と近隣の安値業者との板挟みから近畿地区の販売店が悲鳴を上げている。
近隣安値にすり合わせるとマージンはリットル5円しかない。
販売量は明確にしていないが4月は2割の減販で50キロ前後と推定するとガソリン粗利益は25万円しかない。
油外収益を合わせても月間40万円前後が総粗利益になるようだ。
兵庫県内の販売店も同様に低マージンに喘いでいる。
近隣には複数の系列安値SSがあり、その安値看板が同店の仕切りになり
「まったく勝負にならない」と歯ぎしりする。
同店では看板を掲げずにガソリンを152円で販売しているが、これでようやくマージンはリットル9円。
店主は
「販売店の状況は似たり寄ったりだ。
月間粗利益も50万円以上あるところの方が少ないのではないか」という。
この状況で地下タンクの漏洩防止コストなど捻出できるはずがない。
「販売店が日本全国から消えて、困るのは消費者と国だ。
国は早く手を打たないと、国民から手痛いしっぺ返しを食らうと知るべきだ」
販売店が国内の石油供給網を事実上支えており、販売店を見殺しにすれば全国各地で供給不能地区が出現する。
同店主は、解決策は元売にもあるといい
「元売が業転さえ流さなければ、全国の販売店は生き残り、供給を担えることになる」
元売の社会責任の自覚を強く促している。
「他店の価格を気にせず、適正マージンを乗せて売れば良い」と簡単に言う人がいます。
(羨ましいことに、ホカコさんは「うちは日本一高値」と自信を持って看板を掲げておられますが)
商品の性質上、多くの販売店にとっては簡単なことではありません。
例えば、同じ材料でパンを作る二つの店があるとして、明らかに味が違えば美味しいパンの店は高値を付けても売れるでしょう。
同じ毛糸で編んだマフラーでも、出来上がりによって値段に差が生まれることもあるでしょう。
けれどもガソリンという商品に差別化を見出すことは殆ど出来ません。
「近隣安値に対抗」と言ったって、8円も高いのでは消費者にとっては
「は?それのどこが対抗?」てなもんです。
>元売が業転さえ流さなければ
商品の性質上、業転がなくなることはまず無いでしょう。
九州では、無印店の前の国道にまで車の列が出来るまで繁盛している一方、周辺販売店では「閑古鳥がないている」といった状況になっているようです。
やはり、
元売が系列と非系列(業転)の仕切り格差を小さく、且つ一定に保つようにすることと、
業界としては系列、非系列のメリットデメリットを消費者に周知させることが、業界の現状を打破する為に必要不可欠なことだと考えます。
14年連続して、年間(※14年掛けてでは無く、年間)1,000ヶ所を越すSSが減少し、
元売系SSは3月末現在2万9001SSにまで減っています。
仕切り格差が続く限り、地下タンクのコストを負担してまで営業を続けようとする販売店は少ないと思います。
同紙によると、現に埼玉県では、
平成22年度補助金給付37件のすべてが「地下タンク撤去」で、SSの閉鎖・廃業の為の補助金申請であったようです。
SS営業継続の為目的の給付は0件・・・
いかにSS経営がひっ迫しているか、という事です。