[8月12日08:00.天候:晴 宮城県仙台市若林区某所 愛原の実家]
愛原:「今日は一旦、荷物を持って出るぞ」
高橋:「あ、はい。分りました」
朝食中、私はそう言った。
高橋:「お盆期間ですし、御親戚の方が来られるんですね」
愛原:「そうだ。その間はホテルに泊まってもらうから」
リサ:「先生は?」
愛原:「俺は親戚付き合いがあるから、家にいるよ。親戚達が帰ったら、またここに来れるから」
リサ:「『先生のお嫁さんです』って、紹介……」
愛原&高橋:「せんでいい!」
[同日09:15.天候:晴 同区白萩町 仙台市地下鉄薬師堂駅→東西線(列番不明)電車先頭車内]
出発の準備が整った私達は、最寄りの地下鉄駅に向かった。
高橋:「探索と言っても、随分ゆっくりなんですね?」
愛原:「まあ、同じ仙台市内だからな」
高橋:「え?そうなんですか?」
愛原:「それに、順調に行けば金庫はすぐに見つかる」
高橋:「そうなんですか」
愛原:「今が夏で良かったよ」
高橋:「そうなんですか?」
愛原:「山奥だから、冬だと大変だ」
高橋:「え、でも、仙台は雪が少ないんじゃ?」
愛原:「それはこういう平地の話だよ。これから行く所は、仙台でも山奥の場所だ。冬は凄い雪だぞ」
高橋:「そうなんですか」
〔1番線、2番線に、電車が到着します〕
仙台市地下鉄もパターンダイヤが組まれており、この薬師堂駅は東西方向の電車が同時発着する駅である。
その為、パターン外である深夜・早朝やダイヤが乱れている時などを除けば、接近放送も簡素なものとなる。
4両編成の電車が到着する。
都営大江戸線みたいな構造だが、それの半分の長さだ。
電車に乗り込み、私達はドア横の手すりや吊り革に掴まった。
〔1番線、2番線の電車が発車します〕
短い発車サイン音が乗って、ドアが閉まる。
開業時からホームドアが設置されており、電車もワンマン運転である。
〔次は連坊、連坊。仙台一高前です〕
坊が連なると書いて、連坊。
この坊とは、寺院のことを指す。
寺院が連なる、つまりお寺の多い地区なのである。
私が家族や親戚で参詣しに行くお寺も、最寄り駅としてはそこにある。
リサ:「鬼斬り先輩、怒るよ」
愛原:「何が?」
リサ:「『そんな邪宗の寺に行って、ホーボーだー』って」
愛原:「ホーボー?」
謗法のことか。
まあ、日蓮正宗は他の宗派を一切認めない教えだからな。
高橋:「先生んとこのお寺は何宗なんですか?」
愛原:「曹洞宗だな。いわゆる、禅寺だよ」
高橋:「ああ、座禅を組むんですね」
愛原:「そう!……禅寺というところは、食事も修行の1つと考えているようでね」
高橋:「何か、『ちゃんこも稽古の1つだ』の相撲みたいですね」
愛原:「そうかもな。あそこの精進料理が美味くてね。それだけが楽しみだよ」
リサ:「精進料理……!?」
リサが反応する。
愛原:「精進料理に、肉や魚は入っていないからな?」
リサ:「なーんだ……」
高橋:「それに、邪な鬼なんか入れちゃったら、先生に罰が当たりますぜ」
リサ:「邪じゃないもん!」
愛原:「何か、蓮華も言ってたな」
仏教から邪鬼扱いされるリサw
恐らく、衆合地獄に現れるという美しい鬼女のように見られるのだろう。
[同日09:21.天候:晴 仙台市青葉区中央 仙台市地下鉄仙台駅→JR仙台駅]
〔せんだい、仙台。南北線、JR線、仙台空港アクセス線はお乗り換えです〕
電車が仙台駅に到着する。
この駅での乗降は多い。
私達も電車を降りた。
愛原:「余計な荷物は、コインロッカーに預けておこう」
高橋:「はい」
愛原:「あくまでも、探索に必要な物だけを持って行くんだぞ」
高橋:「もちろんです」
地下鉄の改札口を出るのは当然だが、その足で地上に向かう。
地下鉄駅構内にもコインロッカーはあるが、私達はJR側のコインロッカーを利用することにした。
探索が終わってから回収することになるので、JRの駅に近い所の方が良いと思ったからだ。
愛原:「忘れ物は無いか?」
高橋:「大丈夫です。救急スプレーも持ちました」
愛原:「それ、必要かなぁ……?」
リサ:「グリーンハーブは持っていた方がいいかもね」
愛原:「またメタ発言を……」
とにかく、今は必要でない荷物をコインロッカーに預けた私達は、今度はJRの在来線乗り場に向かった。
高橋:「ん?Suica使わないんスか?」
愛原:「今度の行き先は、Suicaのエリア外なんだよ」
高橋:「え!?そんなド田舎?!」
愛原:「そんなド田舎にこれから行く所なんだよ」
その為、その駅まで行くのには紙の乗車券でなければならない。
リサ:「新幹線のキップ以外で、紙のキップで乗るの久しぶり」
愛原:「だろうな。無くすんじゃないぞ」
リサ:「はーい」
愛原:「必要な物があったら、今のうちにな」
改札口を通過すると、コンコース内にはNEWDAYSがある。
リサは当然のように、そこに立ち寄った。
高橋:「先生、昨日の事が新聞に載ってますよ」
愛原:「そうだろうな」
私は地元の新聞を購入することにした。
地元の地方紙ということもあり、昨日の事件の事は一面記事トップで伝えている。
『日本アンブレラの秘密施設か!?巨人が脱走!!』『渓流釣り場、阿鼻叫喚の地獄!!』『BSAAが出動し、対応に当たる』という見出しが目立った。
愛原:「新聞によると、BSAAがあの巨人を退治してくれたらしい」
他の面を見ると、巨人系BOWのイラストが描かれていた。
『エルヒガンテか?』と書かれていたが、私もそう思った。
尚、プロレスラーのエル・ヒガンテ氏とは何の関係も無い。
エルヒガンテは『追跡者』たるBOWとはまた違うので、昨日の私の緊張は杞憂だったということになる。
愛原:「また、こういうのがいるかもしれん。心して行こう」
高橋:「はい」
リサ:「お待たせー」
愛原:「だから、また色々と食べ物を買うー!」
リサ:「探索はお腹が空くからね」
高橋:「現地調達しろや!」
愛原:「いや、それは恐らくムリだと思う」
高橋:「そ、そうっスか!」
これ以上、リサが余計な食べ物を買わないよう、早めにホームに行くことにした。
多分、まだ電車は入線していないと思うが。
愛原:「今日は一旦、荷物を持って出るぞ」
高橋:「あ、はい。分りました」
朝食中、私はそう言った。
高橋:「お盆期間ですし、御親戚の方が来られるんですね」
愛原:「そうだ。その間はホテルに泊まってもらうから」
リサ:「先生は?」
愛原:「俺は親戚付き合いがあるから、家にいるよ。親戚達が帰ったら、またここに来れるから」
リサ:「『先生のお嫁さんです』って、紹介……」
愛原&高橋:「せんでいい!」
[同日09:15.天候:晴 同区白萩町 仙台市地下鉄薬師堂駅→東西線(列番不明)電車先頭車内]
出発の準備が整った私達は、最寄りの地下鉄駅に向かった。
高橋:「探索と言っても、随分ゆっくりなんですね?」
愛原:「まあ、同じ仙台市内だからな」
高橋:「え?そうなんですか?」
愛原:「それに、順調に行けば金庫はすぐに見つかる」
高橋:「そうなんですか」
愛原:「今が夏で良かったよ」
高橋:「そうなんですか?」
愛原:「山奥だから、冬だと大変だ」
高橋:「え、でも、仙台は雪が少ないんじゃ?」
愛原:「それはこういう平地の話だよ。これから行く所は、仙台でも山奥の場所だ。冬は凄い雪だぞ」
高橋:「そうなんですか」
〔1番線、2番線に、電車が到着します〕
仙台市地下鉄もパターンダイヤが組まれており、この薬師堂駅は東西方向の電車が同時発着する駅である。
その為、パターン外である深夜・早朝やダイヤが乱れている時などを除けば、接近放送も簡素なものとなる。
4両編成の電車が到着する。
都営大江戸線みたいな構造だが、それの半分の長さだ。
電車に乗り込み、私達はドア横の手すりや吊り革に掴まった。
〔1番線、2番線の電車が発車します〕
短い発車サイン音が乗って、ドアが閉まる。
開業時からホームドアが設置されており、電車もワンマン運転である。
〔次は連坊、連坊。仙台一高前です〕
坊が連なると書いて、連坊。
この坊とは、寺院のことを指す。
寺院が連なる、つまりお寺の多い地区なのである。
私が家族や親戚で参詣しに行くお寺も、最寄り駅としてはそこにある。
リサ:「鬼斬り先輩、怒るよ」
愛原:「何が?」
リサ:「『そんな邪宗の寺に行って、ホーボーだー』って」
愛原:「ホーボー?」
謗法のことか。
まあ、日蓮正宗は他の宗派を一切認めない教えだからな。
高橋:「先生んとこのお寺は何宗なんですか?」
愛原:「曹洞宗だな。いわゆる、禅寺だよ」
高橋:「ああ、座禅を組むんですね」
愛原:「そう!……禅寺というところは、食事も修行の1つと考えているようでね」
高橋:「何か、『ちゃんこも稽古の1つだ』の相撲みたいですね」
愛原:「そうかもな。あそこの精進料理が美味くてね。それだけが楽しみだよ」
リサ:「精進料理……!?」
リサが反応する。
愛原:「精進料理に、肉や魚は入っていないからな?」
リサ:「なーんだ……」
高橋:「それに、邪な鬼なんか入れちゃったら、先生に罰が当たりますぜ」
リサ:「邪じゃないもん!」
愛原:「何か、蓮華も言ってたな」
仏教から邪鬼扱いされるリサw
恐らく、衆合地獄に現れるという美しい鬼女のように見られるのだろう。
[同日09:21.天候:晴 仙台市青葉区中央 仙台市地下鉄仙台駅→JR仙台駅]
〔せんだい、仙台。南北線、JR線、仙台空港アクセス線はお乗り換えです〕
電車が仙台駅に到着する。
この駅での乗降は多い。
私達も電車を降りた。
愛原:「余計な荷物は、コインロッカーに預けておこう」
高橋:「はい」
愛原:「あくまでも、探索に必要な物だけを持って行くんだぞ」
高橋:「もちろんです」
地下鉄の改札口を出るのは当然だが、その足で地上に向かう。
地下鉄駅構内にもコインロッカーはあるが、私達はJR側のコインロッカーを利用することにした。
探索が終わってから回収することになるので、JRの駅に近い所の方が良いと思ったからだ。
愛原:「忘れ物は無いか?」
高橋:「大丈夫です。救急スプレーも持ちました」
愛原:「それ、必要かなぁ……?」
リサ:「グリーンハーブは持っていた方がいいかもね」
愛原:「またメタ発言を……」
とにかく、今は必要でない荷物をコインロッカーに預けた私達は、今度はJRの在来線乗り場に向かった。
高橋:「ん?Suica使わないんスか?」
愛原:「今度の行き先は、Suicaのエリア外なんだよ」
高橋:「え!?そんなド田舎?!」
愛原:「そんなド田舎にこれから行く所なんだよ」
その為、その駅まで行くのには紙の乗車券でなければならない。
リサ:「新幹線のキップ以外で、紙のキップで乗るの久しぶり」
愛原:「だろうな。無くすんじゃないぞ」
リサ:「はーい」
愛原:「必要な物があったら、今のうちにな」
改札口を通過すると、コンコース内にはNEWDAYSがある。
リサは当然のように、そこに立ち寄った。
高橋:「先生、昨日の事が新聞に載ってますよ」
愛原:「そうだろうな」
私は地元の新聞を購入することにした。
地元の地方紙ということもあり、昨日の事件の事は一面記事トップで伝えている。
『日本アンブレラの秘密施設か!?巨人が脱走!!』『渓流釣り場、阿鼻叫喚の地獄!!』『BSAAが出動し、対応に当たる』という見出しが目立った。
愛原:「新聞によると、BSAAがあの巨人を退治してくれたらしい」
他の面を見ると、巨人系BOWのイラストが描かれていた。
『エルヒガンテか?』と書かれていたが、私もそう思った。
尚、プロレスラーのエル・ヒガンテ氏とは何の関係も無い。
エルヒガンテは『追跡者』たるBOWとはまた違うので、昨日の私の緊張は杞憂だったということになる。
愛原:「また、こういうのがいるかもしれん。心して行こう」
高橋:「はい」
リサ:「お待たせー」
愛原:「だから、また色々と食べ物を買うー!」
リサ:「探索はお腹が空くからね」
高橋:「現地調達しろや!」
愛原:「いや、それは恐らくムリだと思う」
高橋:「そ、そうっスか!」
これ以上、リサが余計な食べ物を買わないよう、早めにホームに行くことにした。
多分、まだ電車は入線していないと思うが。