[5月6日06:00.天候:曇 北海道札幌市中央区 京王プラザホテル札幌]
シンディ:「社長、お時間です。起きてください」
敷島:「ん?ああ……」
シンディに起こされて、敷島が起床した。
敷島:「外の天気はどうだ?」
シンディ:「どんよりと曇っています。もしかしたら、雨が降るかもしれません」
敷島:「そうか。まあ、しょうがない」
敷島は起き上がると、洗面台に入った。
初音ミクを除くボーカロイド以外の全員がロビーに集まる。
井辺:「社長、お気をつけて行ってらっしゃいませ」
敷島:「井辺君はあとを頼む。こんなことは、もう最後にしたいものだな」
井辺:「はい」
敷島:「シンディは井辺君達を頼む。俺達を出し抜いて、井辺君達が危険になるかもしれないからな」
シンディ:「分かりました」
現地に行くのは敷島、平賀、エミリー、ミクということになる。
シンディ:「姉さん、これを」
シンディは腰から電気鞭を外した。
シンディ:「何かの役に立つかもしれないから持って行って」
エミリー:「シンディ……」
エミリーはシンディから電気鞭を……。
①受け取った。
②受け取らなかった。
敷島:「準備ができたら行くぞ。平賀先生は大丈夫ですか?」
平賀:「自分はOKです」
初音ミク:「わたしもです」
敷島:「よし、行こう」
[同日06:40.天候:雨 JR札幌駅 プラットホーム]
北海道最大のターミナル駅に移動する頃、雨が降って来た。
今日は1日中、天気が悪いらしい。
本州などのターミナル駅と比べてディーゼルカーの発着が多い為、とてもホームは賑やかだ。
特に、ホーム全体を覆う屋根のおかげで、そのアイドリング音が反響している。
〔♪♪♪。お待たせ致しました。まもなく7番線に、6時56分発、網走行き特別急行“オホーツク”1号が入線致します。危ないですから、黄色い線の内側まで下がってお待ちください〕
ホームにディーゼルエンジン音に負けないほどの大音響で接近放送が流れる。
〔「今度の7番線の列車は函館本線、石北本線回り、網走行きの特別急行“オホーツク”1号が発車致します。4両編成、グリーン車は3号車の後ろ半分、自由席は1号車です。……」〕
短い汽笛を鳴らし、ディーゼルエンジンを唸らせながら列車がやってきた。
エミリー:「お待たせしました。お弁当です」
敷島:「おっ、ありがとう」
平賀:「朝から駅弁、旅ですね」
敷島:「全くですよ」
やってきたのはキハ183系という車両で、旭川から東は電化されていないこともあり、ディーゼルカーである。
特急用として設計されている列車ではあるが、道内では古参の車両になっていて、敷島達が札幌入りするに利用した“スーパー北斗”との車両よりも古い。
ドアが開くと、敷島達はグリーン車に乗り込んだ。
“スーパー北斗”と同様、2列シートと1列シートが並んでいる。
敷島と平賀、エミリーとミクとで乗った。
敷島:「充電コンセントは……無いか」
平賀:「まあ、そうでしょうね」
グリーン車だから、座席は広いのだが。
肘掛けからテーブルを出して、その上に駅弁とお茶を置く。
〔「ご案内致します。この列車は6時56分発、函館線、石北線回り、網走行きの特急“オホーツク”1号でございます。自由席は1号車、グリーン車は3号車の後ろ半分です。2号車の前半分と4号車は指定席となっております。列車は4両編成、1番前が1号車、後ろが4号車です。途中の遠軽で、列車の進行方向が変わります。当列車に車内販売はございませんので、予めご了承ください。……」〕
敷島:「昨日、あえてミクの例の持ち歌を披露したのに、何の反応もありませんでしたね」
平賀:「あれで反応があったら、あからさま過ぎますよ。第一、反応するわけが無いんです。何しろ、自分の予想としては残骸の状態で発見されるはずなんですから」
敷島:「そうですね。上手く行って、残骸の状態で発見。ダメだったら、発見すらできない」
平賀:「学者の自分としては、何かしら発見したいものです」
敷島:「自分も、『子供のお使い』みたいになるのは嫌だな。表向きにはイベントは成功させたから、四季グループ的には『子供のお使い』にはならないけど……」
敷島は緑茶のペットボトルを開け、弁当の蓋を開けた。
敷島:「幕の内弁当だな」
エミリー:「はい。1番、無難なのを買ってきました」
敷島:「お前らしい」
平賀:「いや、全く」
シンディは面白い物を買ってこようとするのだが、当たりかどうかは50%である。
ハズレの時もある。
ミク:「昔はわたしがたかお社長に、お弁当や飲み物を買ってきましたよ」
敷島:「会って最初の頃の話だろ。あの時は、どう売り出して良いやら分からなかったもんなぁ……」
南里研究所時代は仕事が無い日が多く、予定表のホワイトボードは鏡音リン・レンの落書きコーナーになっていたくらいだ。
その後、ミク達の不思議な歌声で人々の心を魅了し続けたことで、仕事も軌道に乗り出した。
それが今や、その『不思議な歌声』こそが兵器だったことが判明している。
敷島:「ボーカロイドの歌声が、人間の脳波に影響を与えるものだとは知りませんでしたよ」
平賀:「自分もです。脳科学者に知り合いがいるんですが、その脳科学者が何気に、『ボカロの人間の脳に与える影響』について調べてみたところ、偶然発見してしまったものなんです。もちろん、通常使用している分には、むしろ人間の脳に良い影響を与える効果があると証明されています。但し、設定を誤操作……或いはわざと……してしまうと、最悪……」
敷島:(聴いた人間の脳幹を破壊するほどのレベル。そんなことがあるんだろうか……)
もちろんそんなもの実験する気にはなれない。
ただ、数字で予想するとそうなるのだそうだ。
最初は平賀も、南里の言っていることは元マッドサイエンティストならではの誇大妄想だと思っていた。
ただ、それでも天才科学者ではあったから、それがせっかく作ったものを投棄するのは勿体無いと思い、エミリーに頼んで回収してもらった。
『エミリーの欲するアンドロイドマスターの資格を持つに相応しい人間を探すのに協力する』というのを条件にして。
敷島達が弁当に箸を付けている間に出発時刻となり、ディーゼルエンジンの音が響いて、列車が出発した。
札幌駅を出ると、車窓に雨粒が当たり始めた。
シンディ:「社長、お時間です。起きてください」
敷島:「ん?ああ……」
シンディに起こされて、敷島が起床した。
敷島:「外の天気はどうだ?」
シンディ:「どんよりと曇っています。もしかしたら、雨が降るかもしれません」
敷島:「そうか。まあ、しょうがない」
敷島は起き上がると、洗面台に入った。
初音ミクを除くボーカロイド以外の全員がロビーに集まる。
井辺:「社長、お気をつけて行ってらっしゃいませ」
敷島:「井辺君はあとを頼む。こんなことは、もう最後にしたいものだな」
井辺:「はい」
敷島:「シンディは井辺君達を頼む。俺達を出し抜いて、井辺君達が危険になるかもしれないからな」
シンディ:「分かりました」
現地に行くのは敷島、平賀、エミリー、ミクということになる。
シンディ:「姉さん、これを」
シンディは腰から電気鞭を外した。
シンディ:「何かの役に立つかもしれないから持って行って」
エミリー:「シンディ……」
エミリーはシンディから電気鞭を……。
①受け取った。
②受け取らなかった。
敷島:「準備ができたら行くぞ。平賀先生は大丈夫ですか?」
平賀:「自分はOKです」
初音ミク:「わたしもです」
敷島:「よし、行こう」
[同日06:40.天候:雨 JR札幌駅 プラットホーム]
北海道最大のターミナル駅に移動する頃、雨が降って来た。
今日は1日中、天気が悪いらしい。
本州などのターミナル駅と比べてディーゼルカーの発着が多い為、とてもホームは賑やかだ。
特に、ホーム全体を覆う屋根のおかげで、そのアイドリング音が反響している。
〔♪♪♪。お待たせ致しました。まもなく7番線に、6時56分発、網走行き特別急行“オホーツク”1号が入線致します。危ないですから、黄色い線の内側まで下がってお待ちください〕
ホームにディーゼルエンジン音に負けないほどの大音響で接近放送が流れる。
〔「今度の7番線の列車は函館本線、石北本線回り、網走行きの特別急行“オホーツク”1号が発車致します。4両編成、グリーン車は3号車の後ろ半分、自由席は1号車です。……」〕
短い汽笛を鳴らし、ディーゼルエンジンを唸らせながら列車がやってきた。
エミリー:「お待たせしました。お弁当です」
敷島:「おっ、ありがとう」
平賀:「朝から駅弁、旅ですね」
敷島:「全くですよ」
やってきたのはキハ183系という車両で、旭川から東は電化されていないこともあり、ディーゼルカーである。
特急用として設計されている列車ではあるが、道内では古参の車両になっていて、敷島達が札幌入りするに利用した“スーパー北斗”との車両よりも古い。
ドアが開くと、敷島達はグリーン車に乗り込んだ。
“スーパー北斗”と同様、2列シートと1列シートが並んでいる。
敷島と平賀、エミリーとミクとで乗った。
敷島:「充電コンセントは……無いか」
平賀:「まあ、そうでしょうね」
グリーン車だから、座席は広いのだが。
肘掛けからテーブルを出して、その上に駅弁とお茶を置く。
〔「ご案内致します。この列車は6時56分発、函館線、石北線回り、網走行きの特急“オホーツク”1号でございます。自由席は1号車、グリーン車は3号車の後ろ半分です。2号車の前半分と4号車は指定席となっております。列車は4両編成、1番前が1号車、後ろが4号車です。途中の遠軽で、列車の進行方向が変わります。当列車に車内販売はございませんので、予めご了承ください。……」〕
敷島:「昨日、あえてミクの例の持ち歌を披露したのに、何の反応もありませんでしたね」
平賀:「あれで反応があったら、あからさま過ぎますよ。第一、反応するわけが無いんです。何しろ、自分の予想としては残骸の状態で発見されるはずなんですから」
敷島:「そうですね。上手く行って、残骸の状態で発見。ダメだったら、発見すらできない」
平賀:「学者の自分としては、何かしら発見したいものです」
敷島:「自分も、『子供のお使い』みたいになるのは嫌だな。表向きにはイベントは成功させたから、四季グループ的には『子供のお使い』にはならないけど……」
敷島は緑茶のペットボトルを開け、弁当の蓋を開けた。
敷島:「幕の内弁当だな」
エミリー:「はい。1番、無難なのを買ってきました」
敷島:「お前らしい」
平賀:「いや、全く」
シンディは面白い物を買ってこようとするのだが、当たりかどうかは50%である。
ハズレの時もある。
ミク:「昔はわたしがたかお社長に、お弁当や飲み物を買ってきましたよ」
敷島:「会って最初の頃の話だろ。あの時は、どう売り出して良いやら分からなかったもんなぁ……」
南里研究所時代は仕事が無い日が多く、予定表のホワイトボードは鏡音リン・レンの落書きコーナーになっていたくらいだ。
その後、ミク達の不思議な歌声で人々の心を魅了し続けたことで、仕事も軌道に乗り出した。
それが今や、その『不思議な歌声』こそが兵器だったことが判明している。
敷島:「ボーカロイドの歌声が、人間の脳波に影響を与えるものだとは知りませんでしたよ」
平賀:「自分もです。脳科学者に知り合いがいるんですが、その脳科学者が何気に、『ボカロの人間の脳に与える影響』について調べてみたところ、偶然発見してしまったものなんです。もちろん、通常使用している分には、むしろ人間の脳に良い影響を与える効果があると証明されています。但し、設定を誤操作……或いはわざと……してしまうと、最悪……」
敷島:(聴いた人間の脳幹を破壊するほどのレベル。そんなことがあるんだろうか……)
もちろんそんなもの実験する気にはなれない。
ただ、数字で予想するとそうなるのだそうだ。
最初は平賀も、南里の言っていることは元マッドサイエンティストならではの誇大妄想だと思っていた。
ただ、それでも天才科学者ではあったから、それがせっかく作ったものを投棄するのは勿体無いと思い、エミリーに頼んで回収してもらった。
『エミリーの欲するアンドロイドマスターの資格を持つに相応しい人間を探すのに協力する』というのを条件にして。
敷島達が弁当に箸を付けている間に出発時刻となり、ディーゼルエンジンの音が響いて、列車が出発した。
札幌駅を出ると、車窓に雨粒が当たり始めた。
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