[8月5日15:00.天候:晴 東京都豊島区池袋 四季エンタープライズ本社・社長室]
敷島孝夫:「……それでは来週、今度の3連休、イベントで仙台に行って来ます」
敷島俊介:「毎年の通りだな。都内でイベントやった方が盛り上がるだろうに、お前のこだわりには脱帽するよ」
孝夫:「いえ。ボーカロイドはそれぞれ生まれの地は異なれど、活動の開始地点は仙台なんですよ。そしてそれまで売れなかったミクに、ミニライブという形でライブさせてもらえたのは、向こうの夏休みイベントのおかげでしてね。その恩返しです。それに、向こうにもちゃんとしたイベント施設はありますから、十分盛り上がれると思いますよ」
俊介:「先般の北海道ライブの時は、赤字が出ない程度だった。いや、収益自体はむしろ良い方だったんだが、とある『テロとの戦い』で、誰かが費用を費やしてしまったものだからなぁ……」
孝夫:「も、申し訳ありません。ですがもう、『テロとの戦い』は終焉したも同然。なので、今度こそ純利益はごっそり入れることができるかと……」
俊介:「そうしてもらわないと兄さん……うちの会長がいい加減キレるよ」
孝夫:「叔父さんに見込んでもらってから、既に何年も経ちました。常に成果を提示することで、その応えとしたいと思います」
俊介:「それなら会長も文句は無いと思うな。分かった。会長には私から言っておくから、孝夫は存分にやりたいことをやりなさい」
孝夫:「ありがとうございます」
敷島は社長室をあとにした。
孝夫:(稼ぐ時はドカッと稼ぐが、その後で「キングボンビー」がその稼ぎを持って行くパターンか……)
[同日15:29.天候:晴 東京メトロ池袋駅・有楽町線ホーム]
敷島:「今日も暑いな。エミリー、暑くないか?」
エミリー:「私は大丈夫です。耐熱温度は高いので」
敷島:「そりゃ素晴らしい」
〔まもなく3番線に、新木場行きが参ります。乗車位置で、お待ちください。ホームドアから手や顔を出したり、もたれ掛かるのは危険ですからおやめください〕
トンネルの向こうから、HIDランプとフルカラーLEDの行き先表示が接近してくる。
敷島:「どんなに電車が新しくなっても、基本は変わらんものだな」
エミリー:「はい」
〔池袋、池袋。丸ノ内線、副都心線、JR線、西武池袋線、東武東上線はお乗り換えです。3番線は、新木場行きです〕
電車に乗り込む敷島達。
敷島:「車内は涼しい」
空いているオレンジ色の席に座るが、エミリーはそのまま立つ。
〔「31分発、各駅停車、新木場行きです。発車までご乗車になり、お待ちください」〕
敷島:「そういえば昔、南里研究所のクーラーが故障した時、お前だけが涼しい顔していたな」
エミリー:「そうです」
ボーカロイドや人間達が暑さに耐えかねて弱音を吐いているところ、エミリーと平賀奈津子(当時は未婚の為、赤月奈津子)だけが涼しい顔をしていた。
もっとも奈津子の場合、机の下に仕掛けた氷水入りのバケツに足を突っ込んでいた上、PCのUSBポートから電源を取った扇風機の風に当たっていたのだが。
因みに敷島はエアコンの効いた車で、MEIKOや巡音ルカの送迎で見事に逃げていた。
敷島:「実に懐かしい」
そうしているうちに発車の時間がやってきて、短い発車メロディが鳴った。
これは各駅ごとに違い、しかもそれぞれ曲名が付いている。
池袋駅A線(新木場方面)は“bright”という。
車両のドアが動いてからホームドアが動く。
車両のドアが閉まってからホームドアが閉まり、それの戸閉を確認してから、車掌が更に発車オーライのブザーを押してようやく走り出すものだから、JRのホームドア無し駅の発車に慣れていると、まだるっこしく感じるかもしれない。
〔東京メトロ有楽町線をご利用頂きまして、ありがとうございます。この電車は永田町、有楽町方面、新木場行きです。次は東池袋、東池袋です。乗り換えのご案内です。都電荒川線は、お乗り換えください〕
東京決戦では地上線ばかりが取り沙汰されていたが、地下もまたバージョン3.0の軍団に蹂躙されていたという。
地上にいた連中は初音ミク達の歌により、“強制停止”の信号を受けて停止したが、地下には届かなかった為である。
もし敷島達がウィリアム・フォレストのビルに、地下から潜入する作戦を立てていたなら、ものの見事に失敗したであろうとされている。
無謀ながら、堂々と正面突破の選択が正解だったというわけだ。
尚、後からやってきた平賀は、メイドロイドの七海と強力してビルの消火設備を破壊し、地下階を水没させたことにより、地下からのバージョン軍団突入を食い止めたという。
当時の主力だったバージョン3.0は、生活防水以外の防水が施されていなかった為。
『どんな精密機械も水ブッ掛けりゃブッ壊れる』という敷島のメチャクチャな理論が効いた結果になった。
後で平賀が急いでエミリーに、海水に潜っても平気な防水加工を施したことは言うまでもない。
敷島:「おっ、井辺君の方も制作会議が終わったみたいだぞ」
エミリー:「MEGAbyteの出演するテレビですか?」
敷島:「そう。ボーカロイドというだけで、なかなかクイズ番組とかバラエティとか出れなかったもんな」
エミリー:「井辺プロデューサーも、なかなかやり手のようです」
敷島:「うん。非常に助かる。おかげで俺も、『テロとの戦い』に専念できたしな」
エミリー:「もうこれで戦いに赴く必要は無いのですね」
敷島:「うーん……。こちらから仕掛けることは無いが、向こうさんがどう出てくるかだからねぇ……」
鷲田:「戦いに赴く必要は無いが、しかし事後処理には強力してもらいたい」
敷島:「鷲田警視……!いつの間に!?」
村中:「公安警察をナメてもらっては困るよ。取りあえず豊洲駅まで行く前に、桜田門駅で降りてもらおうかな」
鷲田:「例の北海道の件で、聞きたいことがある」
敷島:「あー……。ま、ここで断ったら、『転び公妨』されそうなんで行きます」
鷲田:「お前、警察ナメてんだろ」
村中:「『転び公妨』……オウムの時によくやってたなぁ……」
敷島:「やってたんかいw 宗教テロに関しては、公明党に任せておけば創価の圧力で潰してもらえますから大丈夫ですよ」
エミリー:「社長……」
敷島孝夫:「……それでは来週、今度の3連休、イベントで仙台に行って来ます」
敷島俊介:「毎年の通りだな。都内でイベントやった方が盛り上がるだろうに、お前のこだわりには脱帽するよ」
孝夫:「いえ。ボーカロイドはそれぞれ生まれの地は異なれど、活動の開始地点は仙台なんですよ。そしてそれまで売れなかったミクに、ミニライブという形でライブさせてもらえたのは、向こうの夏休みイベントのおかげでしてね。その恩返しです。それに、向こうにもちゃんとしたイベント施設はありますから、十分盛り上がれると思いますよ」
俊介:「先般の北海道ライブの時は、赤字が出ない程度だった。いや、収益自体はむしろ良い方だったんだが、とある『テロとの戦い』で、誰かが費用を費やしてしまったものだからなぁ……」
孝夫:「も、申し訳ありません。ですがもう、『テロとの戦い』は終焉したも同然。なので、今度こそ純利益はごっそり入れることができるかと……」
俊介:「そうしてもらわないと兄さん……うちの会長がいい加減キレるよ」
孝夫:「叔父さんに見込んでもらってから、既に何年も経ちました。常に成果を提示することで、その応えとしたいと思います」
俊介:「それなら会長も文句は無いと思うな。分かった。会長には私から言っておくから、孝夫は存分にやりたいことをやりなさい」
孝夫:「ありがとうございます」
敷島は社長室をあとにした。
孝夫:(稼ぐ時はドカッと稼ぐが、その後で「キングボンビー」がその稼ぎを持って行くパターンか……)
[同日15:29.天候:晴 東京メトロ池袋駅・有楽町線ホーム]
敷島:「今日も暑いな。エミリー、暑くないか?」
エミリー:「私は大丈夫です。耐熱温度は高いので」
敷島:「そりゃ素晴らしい」
〔まもなく3番線に、新木場行きが参ります。乗車位置で、お待ちください。ホームドアから手や顔を出したり、もたれ掛かるのは危険ですからおやめください〕
トンネルの向こうから、HIDランプとフルカラーLEDの行き先表示が接近してくる。
敷島:「どんなに電車が新しくなっても、基本は変わらんものだな」
エミリー:「はい」
〔池袋、池袋。丸ノ内線、副都心線、JR線、西武池袋線、東武東上線はお乗り換えです。3番線は、新木場行きです〕
電車に乗り込む敷島達。
敷島:「車内は涼しい」
空いているオレンジ色の席に座るが、エミリーはそのまま立つ。
〔「31分発、各駅停車、新木場行きです。発車までご乗車になり、お待ちください」〕
敷島:「そういえば昔、南里研究所のクーラーが故障した時、お前だけが涼しい顔していたな」
エミリー:「そうです」
ボーカロイドや人間達が暑さに耐えかねて弱音を吐いているところ、エミリーと平賀奈津子(当時は未婚の為、赤月奈津子)だけが涼しい顔をしていた。
もっとも奈津子の場合、机の下に仕掛けた氷水入りのバケツに足を突っ込んでいた上、PCのUSBポートから電源を取った扇風機の風に当たっていたのだが。
因みに敷島はエアコンの効いた車で、MEIKOや巡音ルカの送迎で見事に逃げていた。
敷島:「実に懐かしい」
そうしているうちに発車の時間がやってきて、短い発車メロディが鳴った。
これは各駅ごとに違い、しかもそれぞれ曲名が付いている。
池袋駅A線(新木場方面)は“bright”という。
車両のドアが動いてからホームドアが動く。
車両のドアが閉まってからホームドアが閉まり、それの戸閉を確認してから、車掌が更に発車オーライのブザーを押してようやく走り出すものだから、JRのホームドア無し駅の発車に慣れていると、まだるっこしく感じるかもしれない。
〔東京メトロ有楽町線をご利用頂きまして、ありがとうございます。この電車は永田町、有楽町方面、新木場行きです。次は東池袋、東池袋です。乗り換えのご案内です。都電荒川線は、お乗り換えください〕
東京決戦では地上線ばかりが取り沙汰されていたが、地下もまたバージョン3.0の軍団に蹂躙されていたという。
地上にいた連中は初音ミク達の歌により、“強制停止”の信号を受けて停止したが、地下には届かなかった為である。
もし敷島達がウィリアム・フォレストのビルに、地下から潜入する作戦を立てていたなら、ものの見事に失敗したであろうとされている。
無謀ながら、堂々と正面突破の選択が正解だったというわけだ。
尚、後からやってきた平賀は、メイドロイドの七海と強力してビルの消火設備を破壊し、地下階を水没させたことにより、地下からのバージョン軍団突入を食い止めたという。
当時の主力だったバージョン3.0は、生活防水以外の防水が施されていなかった為。
『どんな精密機械も水ブッ掛けりゃブッ壊れる』という敷島のメチャクチャな理論が効いた結果になった。
後で平賀が急いでエミリーに、海水に潜っても平気な防水加工を施したことは言うまでもない。
敷島:「おっ、井辺君の方も制作会議が終わったみたいだぞ」
エミリー:「MEGAbyteの出演するテレビですか?」
敷島:「そう。ボーカロイドというだけで、なかなかクイズ番組とかバラエティとか出れなかったもんな」
エミリー:「井辺プロデューサーも、なかなかやり手のようです」
敷島:「うん。非常に助かる。おかげで俺も、『テロとの戦い』に専念できたしな」
エミリー:「もうこれで戦いに赴く必要は無いのですね」
敷島:「うーん……。こちらから仕掛けることは無いが、向こうさんがどう出てくるかだからねぇ……」
鷲田:「戦いに赴く必要は無いが、しかし事後処理には強力してもらいたい」
敷島:「鷲田警視……!いつの間に!?」
村中:「公安警察をナメてもらっては困るよ。取りあえず豊洲駅まで行く前に、桜田門駅で降りてもらおうかな」
鷲田:「例の北海道の件で、聞きたいことがある」
敷島:「あー……。ま、ここで断ったら、『転び公妨』されそうなんで行きます」
鷲田:「お前、警察ナメてんだろ」
村中:「『転び公妨』……オウムの時によくやってたなぁ……」
敷島:「やってたんかいw 宗教テロに関しては、公明党に任せておけば創価の圧力で潰してもらえますから大丈夫ですよ」
エミリー:「社長……」
確かに見た目に汚いコンパネだが、あの模様に何か意味があるのだとしたら、私は1つ思い当る。
もっとも、んっ?さん達のコメントを見るに、そこまで凝った意味では無いだろう。
せいぜい、養生ボードの代わりといったところか。