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報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「帰宅後に起きた異常」

2025-07-21 23:00:14 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[9月18日19時15分 天候:雨 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所]

 降りしきる雨の中、新庄タクシーは事務所に着いた。
 雨が降っているので、ガレージの中まで入ってもらった。
 合図の為か、ガレージにバックで入る際、新庄氏はクラクションを2回鳴らした。
 電子ホーンに改造しているらしい。
 それからバックでガレージの中に入る。
 そうしている間に、パールがエレベーターから降りてきた。

 パール「愛原先生、お帰りなさい」
 愛原「ああ、ただいま」

 私は新庄タクシーにメーター料金と迎車料金を払った。
 領収証を出してもらう。

 新庄「それでは翌朝、東武の浅草駅までお送りを……」
 愛原「宜しくお願いします。まあ、明日はパールも一緒ですが」
 新庄「承知しております。それでは、また明日……」

 新庄氏はまたタクシーに乗り、どこかへと走り去って行った。
 恐らく、今日の仕事は終わりにして、明日に備えるべく、帰宅したのだろう。

 パール「先生、どうぞ。夕食の準備ができております」
 愛原「そうか。じゃあ、ちょっと荷物を置いてこよう。リサも濡れた水着とか、洗濯してもらうといいよ」
 リサ「うん、分かってる」

 私達はエレベーターに乗り込んだ。

 愛原「ん?どうした、パール?ハンドガンなんか持って」

 パールのジーンズの後ろポケットには、ハンドガンが差さっていた。

 パール「あっ、これはですね、先生がお帰りになるまでの間、明日に備えて準備をしていたところです!つい、持って来ちゃいました!」
 愛原「腰にはコンバットナイフを差しているし……」
 パール「これもお手入れしておりましたので!」
 愛原「ふーん……」

 エレベーターが3階に到着する。
 まずは汚れ物とかを洗濯機まで持って行こう。

 愛原「リサの水着姿、可愛かったよ。また着てもらいたいな」
 リサ「そ、そう?どっちが良かった?」
 愛原「どっちもだよ。今度は虎柄ビキニとか」
 リサ「ガチの鬼みたいな恰好だねぇ……」

 この時、何故かリサは私から目を逸らしていた。
 何だろう?
 いつもなら、ラブ波とばかりに、私をジーッと見つめるのに……。
 他の荷物は、後で片付けることにする。
 どうせ私の場合、また明日からの出張の準備をしなければならないし。
 ダイニングに向かって、夕食を取ることにした。

 

 リサ「おおっ!分厚いステーキ!」
 愛原「さすがは鬼里村だな。焼くの大変だっただろう?」
 パール「いえ。表面はガッツリ焼いてありますが、厚さの関係で、中身は赤身が多いかと思います。鉄板の余熱で焼かれることをオススメします」
 愛原「なるほど、そうか」
 リサ「いただきまーす」

 リサは鬼形態に戻ると、ガツガツとステーキを食べ始めた。
 最初はそんなリサの食べ方を意地汚いと思ったものだが、今では可愛げがあると思うようになっている。
 そして、そんなリサの食べ方を見ると、更に美味しそうに見えるのだ。

 愛原「腹を空かせると、人食いもするようになるから、しっかり食べておかないとな」
 リサ「ん!」
 愛原「特に、この赤身部分が美味い。正に、『血のしたたるステーキ』ってヤツだ。肉の旨味は肉汁だが、この肉汁の正体は血だからな」
 リサ「それを生で啜りたいものだねぇ……」
 愛原「しょうがないな。また、『足ツボマッサージ』を頼むよ。俺の血中老廃物でいいだろ」
 パール「それですと先生、お酒は控えて頂きませんと」
 愛原「うっ、しまった……」
 パール「明日も早いですしね」
 愛原「そう、だったな……」

 私は項垂れた。
 逆を言えば、新幹線の中で缶ビールを開けといて良かったということだ。

[同日21時00分 天候:雨 同地区内 愛原家3階リビング]

 

 リサ「それじゃ先生、マッサージ始めるねぇ……」

 リサも風呂から上がり、私はソファに仰向けになった。
 リサは体操服とブルマに着替えている。

 愛原「宜しくね。霧生市の土産、買って来るから」
 リサ「霧生市で何が売ってるのw ゾンビの白骨?要らないよw」
 愛原「ハハ、それもそうだな。まあ、帰りも鉄道になるだろうから、鉄道沿線の土産とかかな……」
 リサ「それなら良し!」

 リサは私の足の裏をグイグイ押し始めた。

 愛原「うー……そこそこ……」
 リサ「宮城でも歩き回ったから、老廃物が溜まってるねぇ……。いただきまーす……」

 私から見えないが、リサの指からは髪の毛よりも細い触手が生え、私の足の裏に無数に刺さったはずだ。
 リサの変化の1つ。
 今ではナリを潜めているが、腕を変化させて触手化させ、直接人間の体に突き刺して血液を吸い取ることも可能。
 そもそもあれからリサの体質も変わっているので、今もそのような事ができるかは不明。
 寄生虫を使うことはできるようだが……。

 リサ「うっ……!!」
 愛原「!?」

 突然リサが呻いたかと思うと、私から離れてトイレに駆け込んだ。

 愛原「どうしたんだ!?」

 トイレからはリサが嘔吐する音が聞こえる。
 あれでは夕食に食べた物を全て吐き出すくらいの勢いだ。

 愛原「おい、リサ!大丈夫か!?」

 しばらくリサはトイレに籠もった。
 それから、ようやく出てくる。
 かなり顔色が悪い。

 愛原「大丈夫か?!どうしたんだ!?」
 リサ「わ……分かんない。急に、吐き気がして……」
 愛原「まさか、夕食に当たった?」
 リサ「BOWのわたしが、そんなわけない……。だったら、先生は……?」
 愛原「そ、そうだよな!?」

 もしも夕食の何かで食中毒になったというのなら、同じ物を食べた私も影響を受けているはずだ。
 しかし、実際には私の身には何も起きていない。

 リサ「多分、先生の血のせいだ思う。いつもより……味が違う……」

 リサは再びトイレに駆け込んだ。
 今度は腹を下したようで、その排便の音が外まで聞こえていた。
 私の血が、どうしたというのだろうか?
 一食食べられないだけで人食いも辞さない鬼型BOWが、血を啜っただけで食中毒になるような私の血って……。

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