“アンドロイドマスター”より、前回の続き。
[??? ??? ??? ウィリアム・フォレスト、シンディ、謎の少女]
とある研究室と思しき場所。
1人の老科学者が、何やらロボットの整備をしている。
その傍らには、シンディがいた。
「ドクター。お嬢様がお見えよ」
シンディは部屋のドアを一瞥すると、老科学者に言った。
それまで一心不乱にロボットに向き合っていた老科学者は作業の手を止め、振り向きながら掛けていたゴーグルを外した。
「おっ、そうかね」
その顔は綻んでいた。それはまるで、孫に会うのを心待ちにしていた老人のそれそのものであり、とても狂った科学者とは違う顔をしていた。
「お祖父ちゃん!」
部屋に飛び込んできたのは、まだ12、3歳くらいの金髪碧眼の少女。
ウィリーを祖父と呼び、その胸に飛び込む。
「見て見て!ハイ・スクールの合格通知よ!」
「ほっほっ!さすがは、わしの孫じゃ。わしの目に狂いは無かった。お前は天才じゃ。この調子で、大学も飛び級で行くのじゃぞ」
「うん!」
「そして、行く行くは、わしの後を継いで……」
[2014年1月3日19:40.IBEXエアラインズ機内 敷島孝夫&エミリー]
「……敷島さん。敷島さん」
「……はっ!?」
そこで敷島は目が覚めた。
「仙台空港に・着陸しました」
「えっ!?あっ、そうか」
敷島は周りを見渡した。乗客達がぞろぞろと出口の方に向かって歩いている。
「すっかり、寝落ちしちゃったのか」
敷島は急いで席を立った。
予定通り、日もすっかり暮れた小松空港から飛行機に乗り、無事に帰ってきたのだった。
[同日20:00.仙台空港駅 SAT-E721系車内 敷島&エミリー]
飛行機から降りた後、すぐにその足で仙台空港駅へ向かう。
ちょうどやってきた降り返しの電車に乗り込むと、空いてるボックシートに向かい合って座った。
〔この電車は、仙台空港アクセス線、普通、仙台行きです〕
時折、首都圏のJR電車でも流れる自動放送を聞き流しながら、夢の内容について考えてみた。
「随分と生々しく、変な夢だったよ」
「?」
敷島は目の前に座るエミリーに言ったが、突然のことで、エミリーは首を傾げる反応をした。
「ウィリーとシンディが出て来てさ、何か、まともなんだよ。気持ち悪いくらい。でさ……」
敷島は夢の話をシンディにしてみた。
「本当にウィリーは天涯孤独だったのか?」
「……検索・してみます」
エミリーは目を閉じた。
数分位経って目を開けたが、
「検索・できませんでした。ドクター・ウィリーの・家族データは・ありません」
「じゃあ、やっぱりただの夢だったのか……」
「シンディの・メモリーが・解析できれば・答えが・出るかも・しれません」
「そんなこと言ったって、もうこの世に無いんだから」
敷島は文句を言った。実はシンディ処分前に、メモリーを抜き取って解析しようという試みがあった。
しかし、それも罠だった。メモリーを解析しようとした途端、その媒体がPCごと爆発し、重傷者を出す羽目になったのである。
「結局、真相は闇の中かよ」
敷島は大きなため息をついた。
[同日20:14.SAT-E721系車内 敷島&エミリー]
電車は定刻通りに発車した。
〔今日も、仙台空港アクセス線をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は、仙台空港アクセス線、普通、仙台行きです。……〕
高架上のホームを出発した電車は左にカーブして行き、急にその高度を下げる。
ワンマン電車の自動放送は、首都圏のJR電車と同じ声優、言い回しである。
「もう1度寝たら、夢の続きが見られるかな?」
「分かりません。仙台駅・到着まで・20分少々ですので・起きていらっしゃることを・お勧めします」
エミリーは微笑を浮かべて言った。
電車は地下トンネルの中に潜り込む。
路線自体は名取駅までずっと高架線(よって、踏切は無し)なのだが、どうしてもそれだと航空機の離着陸に支障が出る為、滑走路付近については地下線になっている。
エミリーは今までバージョン・シリーズが付近にいたり、接近したりしてくると、すぐにそれを察知して警戒・防衛態勢に入る。
だから、今回の場合は不思議だった。
「ん!?」
トンネルを出た途端、電車がけたたましい警笛を鳴らした。
〔急停車します。ご注意ください。お立ちのお客様は、お近くの吊革、手すりにおつかまりください〕
そして、急停車。
「な、何だ!?」
「パパー、変なロボットがいるよー」
運転室のすぐ後ろ、ブラインドが下ろされていない部分の窓から前展望を楽しんでいた子供がそんなことを言った。
「な、何っ!?」
「感知できません」
エミリーは困惑した様子だった。敷島は窓を開けて身を乗り出し、前方を見た。(SATは単線であり、確かに対向電車の心配は無いが、良い子はマネしないでね)
「な、何だありゃ!?……うおっと!」
敷島が身を引っ込めるのと、マシンガンの弾が飛んでくるのは同時だった。
「エミリー、お前の出番だ!行けっ!」
「イエス!」
エミリーは敷島が開けた窓から車外に飛び出し、電車の進路を阻んでいるモノに向かって行った。
エミリーが感知できないロボットとは一体……?
[??? ??? ??? ウィリアム・フォレスト、シンディ、謎の少女]
とある研究室と思しき場所。
1人の老科学者が、何やらロボットの整備をしている。
その傍らには、シンディがいた。
「ドクター。お嬢様がお見えよ」
シンディは部屋のドアを一瞥すると、老科学者に言った。
それまで一心不乱にロボットに向き合っていた老科学者は作業の手を止め、振り向きながら掛けていたゴーグルを外した。
「おっ、そうかね」
その顔は綻んでいた。それはまるで、孫に会うのを心待ちにしていた老人のそれそのものであり、とても狂った科学者とは違う顔をしていた。
「お祖父ちゃん!」
部屋に飛び込んできたのは、まだ12、3歳くらいの金髪碧眼の少女。
ウィリーを祖父と呼び、その胸に飛び込む。
「見て見て!ハイ・スクールの合格通知よ!」
「ほっほっ!さすがは、わしの孫じゃ。わしの目に狂いは無かった。お前は天才じゃ。この調子で、大学も飛び級で行くのじゃぞ」
「うん!」
「そして、行く行くは、わしの後を継いで……」
[2014年1月3日19:40.IBEXエアラインズ機内 敷島孝夫&エミリー]
「……敷島さん。敷島さん」
「……はっ!?」
そこで敷島は目が覚めた。
「仙台空港に・着陸しました」
「えっ!?あっ、そうか」
敷島は周りを見渡した。乗客達がぞろぞろと出口の方に向かって歩いている。
「すっかり、寝落ちしちゃったのか」
敷島は急いで席を立った。
予定通り、日もすっかり暮れた小松空港から飛行機に乗り、無事に帰ってきたのだった。
[同日20:00.仙台空港駅 SAT-E721系車内 敷島&エミリー]
飛行機から降りた後、すぐにその足で仙台空港駅へ向かう。
ちょうどやってきた降り返しの電車に乗り込むと、空いてるボックシートに向かい合って座った。
〔この電車は、仙台空港アクセス線、普通、仙台行きです〕
時折、首都圏のJR電車でも流れる自動放送を聞き流しながら、夢の内容について考えてみた。
「随分と生々しく、変な夢だったよ」
「?」
敷島は目の前に座るエミリーに言ったが、突然のことで、エミリーは首を傾げる反応をした。
「ウィリーとシンディが出て来てさ、何か、まともなんだよ。気持ち悪いくらい。でさ……」
敷島は夢の話をシンディにしてみた。
「本当にウィリーは天涯孤独だったのか?」
「……検索・してみます」
エミリーは目を閉じた。
数分位経って目を開けたが、
「検索・できませんでした。ドクター・ウィリーの・家族データは・ありません」
「じゃあ、やっぱりただの夢だったのか……」
「シンディの・メモリーが・解析できれば・答えが・出るかも・しれません」
「そんなこと言ったって、もうこの世に無いんだから」
敷島は文句を言った。実はシンディ処分前に、メモリーを抜き取って解析しようという試みがあった。
しかし、それも罠だった。メモリーを解析しようとした途端、その媒体がPCごと爆発し、重傷者を出す羽目になったのである。
「結局、真相は闇の中かよ」
敷島は大きなため息をついた。
[同日20:14.SAT-E721系車内 敷島&エミリー]
電車は定刻通りに発車した。
〔今日も、仙台空港アクセス線をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は、仙台空港アクセス線、普通、仙台行きです。……〕
高架上のホームを出発した電車は左にカーブして行き、急にその高度を下げる。
ワンマン電車の自動放送は、首都圏のJR電車と同じ声優、言い回しである。
「もう1度寝たら、夢の続きが見られるかな?」
「分かりません。仙台駅・到着まで・20分少々ですので・起きていらっしゃることを・お勧めします」
エミリーは微笑を浮かべて言った。
電車は地下トンネルの中に潜り込む。
路線自体は名取駅までずっと高架線(よって、踏切は無し)なのだが、どうしてもそれだと航空機の離着陸に支障が出る為、滑走路付近については地下線になっている。
エミリーは今までバージョン・シリーズが付近にいたり、接近したりしてくると、すぐにそれを察知して警戒・防衛態勢に入る。
だから、今回の場合は不思議だった。
「ん!?」
トンネルを出た途端、電車がけたたましい警笛を鳴らした。
〔急停車します。ご注意ください。お立ちのお客様は、お近くの吊革、手すりにおつかまりください〕
そして、急停車。
「な、何だ!?」
「パパー、変なロボットがいるよー」
運転室のすぐ後ろ、ブラインドが下ろされていない部分の窓から前展望を楽しんでいた子供がそんなことを言った。
「な、何っ!?」
「感知できません」
エミリーは困惑した様子だった。敷島は窓を開けて身を乗り出し、前方を見た。(SATは単線であり、確かに対向電車の心配は無いが、良い子はマネしないでね)
「な、何だありゃ!?……うおっと!」
敷島が身を引っ込めるのと、マシンガンの弾が飛んでくるのは同時だった。
「エミリー、お前の出番だ!行けっ!」
「イエス!」
エミリーは敷島が開けた窓から車外に飛び出し、電車の進路を阻んでいるモノに向かって行った。
エミリーが感知できないロボットとは一体……?
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