[11月1日14:40.福島駅・福島交通飯坂線ホーム 敷島孝夫、アリス・シキシマ、エミリー、シンディ]
(福島駅・私鉄乗り場。ホーム先端付近から振り返って撮影。左が福島交通飯坂線、右が阿武隈急行線)
JR電車は定刻通りに福島駅に着いた。
ここまでは順調。
私鉄ホームに移動すると、ちょうど阿武隈急行の電車が発車していった所だった。
同じホームに2つの鉄道会社が並ぶのは、実はそんなに珍しいことではない。
但し、大抵はJRが絡んでて実質そうなってることが多い。
福島駅のように、JRは絡んでなくて2つの私鉄や第3セクターが並ぶのが珍しいということだ。
自動化されてない改札口から入ろうとすると、駅員が改札鋏でキップを切る。
アナログだが、どこか懐かしい光景だ。
(福島駅・私鉄ホーム改札口。このように、全く自動化されていない。大宮駅野田線ホームも、昔はこんな感じだったのだろうか)
1面2線だが、福交と阿武急では乗り場が固定されている。
因みに、番号(何番線とか)は無いもよう。
電車が入線してきたのは発車の2分前。
これで折り返すのだから、随分と慌ただしい。
(福島交通7000系。面影があるから分かるように、元は東急電鉄7000系の中古車を改造したものである)
2両編成の電車に乗り込んだ。
ワンマン運転はしておらず、運転士と黒い革製の鞄を下げた車掌が乗務している。
〔「ご乗車ありがとうございます。14時40分発、飯坂温泉行きです。終点、飯坂温泉には15時3分に到着致します。まもなく発車致します」〕
(車内全景。モケットなどは交換されているが、概ね東急時代の名残がまだある)
電車は慌ただしさの中に、どこかのんびりとした雰囲気を残しながら、福島駅を発車した。
東急池上線なども東横線や田園都市線と比べてのんびりしている所が見受けられるが、ここはそれ以上だ。
〔ご乗車ありがとうございます。この電車は、飯坂温泉行きです。終点の飯坂温泉まで、各駅に止まります。……次は曽根田、曽根田でございます。……〕
電車は1番東側の線路を走る。
阿武急行線とは、早々にお別れする。
乗客は敷島達のような観光客よりも、地元民の方が多いくらいだ。
土曜日ではあるが、学生達の姿が多く見られた。
ここではシンディやエミリーも、ドアの横に立っていた。
(全く。平賀先生は何を考えておられる?)
敷島は手持ちのケータイの画面を見ながら首を傾げた。
平賀からのメールで、今夜、ホテルまでエミリーを取りに行くから充電だけよろしくお願いしますということだった。
[同日15:03.福島交通・飯坂温泉駅 上記メンバー]
(リニューアルされた新駅舎。温泉街の入口の雰囲気を醸し出している)
〔「ご乗車ありがとうございました。飯坂温泉、飯坂温泉、終点です。……」〕
車内自動放送が言い終わらないうちに次の駅に着いてしまう駅間距離の短さに苦笑を隠しながらも、敷島達は無事に飯坂温泉に着くことができた。
「タカオ、ここからどう行くの?」
「ホテルの車が迎えに来てくれるってさ」
これまた自動化されていない改札口で、駅員にキップを渡す。
「敷島です」
駅前に止まっていたワンボックスカーの前で待っている男性スタッフに言うと、
「お待ちしておりました。どうぞ」
と、車の中に案内した。
「お荷物はこちらへどうぞ」
「ありがとう・ございます」
「エミリー、そーっと置けよ!そーっと!」
エミリーはアリスが持ち出した兵器の入っているキャリーバッグをハッチから載せた。
「大丈夫よ。安全装置が付いている間は、デコイも爆発しないから」
と、アリス。
「バカ!声がデカい!」
「えー、では出発します」
運転役のホテルスタッフは、車を走らせた。
「ここからホテルまで、どのくらい?」
「およそ5分ほどです」
アリスの流暢な日本語の質問に、スタッフがにこやかに答えた。
「駅から車で5分なら近いもんよ」
隣に座る敷島が片目を瞑った。
(やけに走りが重いな。このお客様のお荷物、そんなに重いのかな?)
スタッフは首を傾げながらディーゼル・エンジンを吹かした。
まあ、バッグもそれなりの重量なのだろうが、1番重いのは後ろに乗っているマルチタイプ2機だろう。
1機の自重は約200キロ。つまり、合わせて400キロである。
平賀は何とか軽量化を図りたいとしているが、全て理解しきれない設計図で、ヘタにイジくると修復不可能になるばかりか、自爆装置を起動させる恐れがあるということで、財団(特に十条)から制止されている。
七海などのメイドロボットは、平賀の心血のおかげで、マルチタイプの約半分まで軽量化に成功し、ボーカロイドに至っては人間の体重くらいまで軽量化に成功している。
温泉街を走り抜けること、約5分。
「まもなくですよ」
スタッフの声にフロントガラス越しに前方を見ると、大型のホテルがその姿を現した。
(本当は高いホテルなんだろうに、田村の婆さん、やりやがるなー)
敷島は心の中でそう言った。
宿泊券の入っていた封筒を見ると、『協賛 スーパーたむら屋』とあったので、恐らく田村会長の知り合いか何かが件のホテルに関わっているのだろうと思われる。
こうして敷島達は、無事にホテルの宿泊客となることができたのである。
(福島駅・私鉄乗り場。ホーム先端付近から振り返って撮影。左が福島交通飯坂線、右が阿武隈急行線)
JR電車は定刻通りに福島駅に着いた。
ここまでは順調。
私鉄ホームに移動すると、ちょうど阿武隈急行の電車が発車していった所だった。
同じホームに2つの鉄道会社が並ぶのは、実はそんなに珍しいことではない。
但し、大抵はJRが絡んでて実質そうなってることが多い。
福島駅のように、JRは絡んでなくて2つの私鉄や第3セクターが並ぶのが珍しいということだ。
自動化されてない改札口から入ろうとすると、駅員が改札鋏でキップを切る。
アナログだが、どこか懐かしい光景だ。
(福島駅・私鉄ホーム改札口。このように、全く自動化されていない。大宮駅野田線ホームも、昔はこんな感じだったのだろうか)
1面2線だが、福交と阿武急では乗り場が固定されている。
因みに、番号(何番線とか)は無いもよう。
電車が入線してきたのは発車の2分前。
これで折り返すのだから、随分と慌ただしい。
(福島交通7000系。面影があるから分かるように、元は東急電鉄7000系の中古車を改造したものである)
2両編成の電車に乗り込んだ。
ワンマン運転はしておらず、運転士と黒い革製の鞄を下げた車掌が乗務している。
〔「ご乗車ありがとうございます。14時40分発、飯坂温泉行きです。終点、飯坂温泉には15時3分に到着致します。まもなく発車致します」〕
(車内全景。モケットなどは交換されているが、概ね東急時代の名残がまだある)
電車は慌ただしさの中に、どこかのんびりとした雰囲気を残しながら、福島駅を発車した。
東急池上線なども東横線や田園都市線と比べてのんびりしている所が見受けられるが、ここはそれ以上だ。
〔ご乗車ありがとうございます。この電車は、飯坂温泉行きです。終点の飯坂温泉まで、各駅に止まります。……次は曽根田、曽根田でございます。……〕
電車は1番東側の線路を走る。
阿武急行線とは、早々にお別れする。
乗客は敷島達のような観光客よりも、地元民の方が多いくらいだ。
土曜日ではあるが、学生達の姿が多く見られた。
ここではシンディやエミリーも、ドアの横に立っていた。
(全く。平賀先生は何を考えておられる?)
敷島は手持ちのケータイの画面を見ながら首を傾げた。
平賀からのメールで、今夜、ホテルまでエミリーを取りに行くから充電だけよろしくお願いしますということだった。
[同日15:03.福島交通・飯坂温泉駅 上記メンバー]
(リニューアルされた新駅舎。温泉街の入口の雰囲気を醸し出している)
〔「ご乗車ありがとうございました。飯坂温泉、飯坂温泉、終点です。……」〕
車内自動放送が言い終わらないうちに次の駅に着いてしまう駅間距離の短さに苦笑を隠しながらも、敷島達は無事に飯坂温泉に着くことができた。
「タカオ、ここからどう行くの?」
「ホテルの車が迎えに来てくれるってさ」
これまた自動化されていない改札口で、駅員にキップを渡す。
「敷島です」
駅前に止まっていたワンボックスカーの前で待っている男性スタッフに言うと、
「お待ちしておりました。どうぞ」
と、車の中に案内した。
「お荷物はこちらへどうぞ」
「ありがとう・ございます」
「エミリー、そーっと置けよ!そーっと!」
エミリーはアリスが持ち出した兵器の入っているキャリーバッグをハッチから載せた。
「大丈夫よ。安全装置が付いている間は、デコイも爆発しないから」
と、アリス。
「バカ!声がデカい!」
「えー、では出発します」
運転役のホテルスタッフは、車を走らせた。
「ここからホテルまで、どのくらい?」
「およそ5分ほどです」
アリスの流暢な日本語の質問に、スタッフがにこやかに答えた。
「駅から車で5分なら近いもんよ」
隣に座る敷島が片目を瞑った。
(やけに走りが重いな。このお客様のお荷物、そんなに重いのかな?)
スタッフは首を傾げながらディーゼル・エンジンを吹かした。
まあ、バッグもそれなりの重量なのだろうが、1番重いのは後ろに乗っているマルチタイプ2機だろう。
1機の自重は約200キロ。つまり、合わせて400キロである。
平賀は何とか軽量化を図りたいとしているが、全て理解しきれない設計図で、ヘタにイジくると修復不可能になるばかりか、自爆装置を起動させる恐れがあるということで、財団(特に十条)から制止されている。
七海などのメイドロボットは、平賀の心血のおかげで、マルチタイプの約半分まで軽量化に成功し、ボーカロイドに至っては人間の体重くらいまで軽量化に成功している。
温泉街を走り抜けること、約5分。
「まもなくですよ」
スタッフの声にフロントガラス越しに前方を見ると、大型のホテルがその姿を現した。
(本当は高いホテルなんだろうに、田村の婆さん、やりやがるなー)
敷島は心の中でそう言った。
宿泊券の入っていた封筒を見ると、『協賛 スーパーたむら屋』とあったので、恐らく田村会長の知り合いか何かが件のホテルに関わっているのだろうと思われる。
こうして敷島達は、無事にホテルの宿泊客となることができたのである。
大半は合理化で徹底的に削減してますけどね。
まあ、飯坂線は駅の無人化は進めても、ワンマンまではしていないんですね。