[2月6日17:00.天候:晴 新千歳空港国内線ターミナルビル]
もうすっかり日が暮れた頃、1台のワンボックスが新千歳空港に到着する。
所員:「着きました」
敷島:「おっ、ありがとうございます」
苫小牧行きのバスの時間まで、DCJ千歳営業所でマルチタイプや妖精型を職員のみに公表していた。
その礼ということで、ここまで送ってもらった由。
駐車場からだと歩くのだが、大きな荷物はマルチタイプ達が軽々と持ってくれている。
シンディ:「社長、バスの乗車券購入してきますね」
敷島:「おっ、頼む。バスなら、お前達も乗れるからな」
敷島は財布の中から3000円出してシンディに渡した(2017年3月9日現在、新千歳空港〜苫小牧西港フェリーターミナル間の運賃は大人670円)。
アリス:「それにしても、飛行機には乗らないのに空港に2度も来るなんてね、不思議な気持ちだわ」
敷島:「日本の空港はそれ自体が交通ターミナルになっている場合があるからな、しょうがないよ」
敷島はそう言って、ターミナル内の椅子に腰かけた。
ここはANAの到着口から程近い。
敷島:「科学館の人達は簡単に騙されたのか?」
アリス:「そうなのよ。到着ロビーに着いたでしょ?そしたら、『DCJロボット未来科学館職員ご一行様』って書かれたペナントを持ったガイドがいるでしょう。しかも、ホテルマンの恰好をした状態で。最初は皆不思議がってたんだけど、迎えが来るなんて聞いてないから」
しかし、出迎え役の男が言葉巧みに科学館職員達を丸め込んだという。
実際連れて行かれた場所に止まっていたバスも、大きく宿泊先のホテルの名前が書かれていて、それで皆騙されたということらしい。
バスに乗ってしばらくは空港の周りを走っていたのだが、古びたドライブインに入った途端、運転手と案内役がガスマスクを着けたかと思うと、車内に催眠ガスが充満したという。
アリス:「気がついたら、アタシはあのボロ家に閉じ込められてたってわけ」
敷島:「そして、他の職員さん達は札幌市郊外の廃墟に監禁されていたということか。やっぱりアリスを狙った犯行だったのかねぇ……」
アリス:「どうして今頃?」
敷島:「そりゃやっぱり、アリスが北海道に来ることを知ってチャンスだと思ったんだよ、きっと」
アリス:「だったら尚更、ここから早いとこ離れないとね」
敷島:「マーク達はさすがに死んだだろうし、他のテロリスト達も今、警察がガサ入れしている最中に行動しないだろう」
そんなことを話している間に、シンディが戻ってきた。
シンディ:「お待たせしました。大人4枚分です」
敷島:「おっ、ありがとう」
萌:「ボクの分は無いの?」
エミリー:「お前は棚の上だ」
敷島:「はっはっはー」
[同日17:20.天候:晴 新千歳空港国内線ターミナル→北都交通バス車内]
外のバスプールでバスを待っていると、バスが入線してきた。
高速バスタイプのボディだが、4列シートでトイレは付いていない。
近距離を走るのだから、当たり前か。
それでも荷物室はあるので、そこに荷物を預ける。
バスに乗り込むと、敷島とアリスは真ん中の席に座った。
通路を挟んで隣にエミリーとシンディ。
萌は敷島達の真上の棚に乗った。
乗客はあまり乗っておらず、定員の半分以下ってところか。
発車時間になり、バスは折り戸式の扉を閉めて出発した。
〔「お待たせ致しました。苫小牧西港フェリーターミナル行き、発車致します」〕
バスプールを出て少し開けた場所に出ると、離着陸する飛行機の姿が見える。
外はすっかり日が暮れているので、ターミナルの夜景が結構きれいである。
空港連絡バスなので、車内自動放送は日本語だけでなく、英語も流れる。
その後で運転手が改めて肉声放送を行う。
〔「……終点、苫小牧西港フェリーターミナルには18時ちょうどの到着予定です。……」〕
大洗行きのフェリーが18時45分に出航するので、なかなかちょうど良い時間帯であろう。
萌は荷棚の上に横になって寝ているフリをしながら車内の様子を見ていたし、マルチタイプ姉妹は外を警戒していた。
取りあえず、道内を出るまでは警戒態勢ということだ。
[同日18:00.天候:晴 苫小牧西港フェリーターミナル]
バスは途中、高速道路を通って苫小牧市内に入った。
所要時間40分くらいの近距離であっても、高速道路は通るわけである。
バスはターミナルビルの前にあるバス停に停車した。
他にもポールが立っているところを見ると、地元の路線バスもやってくるわけだ。
運転手:「はい、ありがとうございましたー」
ドアが開くと乗車券は運賃箱の中に放り込む。
これは札幌都心行きと同じ方式だ。
乗客を全員降ろしてから、運転手が降りてきて荷物室のハッチを開けた。
マルチタイプ姉妹で、大きなキャリーケースを降ろす。
敷島:「こういう時、力持ちがいると安心だな」
エミリー:「お任せください」
シンディ:「こんなの片手で持ち上がりますよ」
シンディが調子に乗ってそれをやろうとしたが、エミリーに止められた。
エミリー:「目立つからやめなさい」
アリス:「どうやってフェリーに乗るの?」
敷島:「乗船手続きをしなきゃいけない。ちょっと待て。俺が行ってくる」
このターミナルにはフェリー会社が3社ほど入居している。
そのうちの1つ、敷島は商船三井フェリーのカウンターに向かった。
敷島:「もう既に支払は済ませてるからなぁ……」
敷島の場合は電話予約である為、記帳台に行って乗船名簿を記入する必要がある。
敷島:(今日の日付、行き先は大洗、支払方法は現金、住所、連絡先、予約番号、等級はスタンダード、あと乗船者氏名……シキシマ・タカオ、シキシマ・アリス……ファースト・エミリー、サード・シンディにしておくか。……で、車両は無しで、荒天時の同意はOKっと)
敷島は記入が終わると、これで窓口に向かった。
ふとロビーの方を見ると、アリスの横をシンディが立って周囲を警戒していた。
敷島:「ん?エミリーはどこ行った?」
エミリー:「はっ、ここに」
敷島:「いつの間に!?」
エミリー:「さっきからいましたが?」
敷島:「まあいい。書類の記入は終わったから、ちょっと窓口行ってくる」
エミリー:「はい」
敷島達が車利用者以外での最後の乗客か。
すぐに乗船券を手に船内へと向かって行った。
もうすっかり日が暮れた頃、1台のワンボックスが新千歳空港に到着する。
所員:「着きました」
敷島:「おっ、ありがとうございます」
苫小牧行きのバスの時間まで、DCJ千歳営業所でマルチタイプや妖精型を職員のみに公表していた。
その礼ということで、ここまで送ってもらった由。
駐車場からだと歩くのだが、大きな荷物はマルチタイプ達が軽々と持ってくれている。
シンディ:「社長、バスの乗車券購入してきますね」
敷島:「おっ、頼む。バスなら、お前達も乗れるからな」
敷島は財布の中から3000円出してシンディに渡した(2017年3月9日現在、新千歳空港〜苫小牧西港フェリーターミナル間の運賃は大人670円)。
アリス:「それにしても、飛行機には乗らないのに空港に2度も来るなんてね、不思議な気持ちだわ」
敷島:「日本の空港はそれ自体が交通ターミナルになっている場合があるからな、しょうがないよ」
敷島はそう言って、ターミナル内の椅子に腰かけた。
ここはANAの到着口から程近い。
敷島:「科学館の人達は簡単に騙されたのか?」
アリス:「そうなのよ。到着ロビーに着いたでしょ?そしたら、『DCJロボット未来科学館職員ご一行様』って書かれたペナントを持ったガイドがいるでしょう。しかも、ホテルマンの恰好をした状態で。最初は皆不思議がってたんだけど、迎えが来るなんて聞いてないから」
しかし、出迎え役の男が言葉巧みに科学館職員達を丸め込んだという。
実際連れて行かれた場所に止まっていたバスも、大きく宿泊先のホテルの名前が書かれていて、それで皆騙されたということらしい。
バスに乗ってしばらくは空港の周りを走っていたのだが、古びたドライブインに入った途端、運転手と案内役がガスマスクを着けたかと思うと、車内に催眠ガスが充満したという。
アリス:「気がついたら、アタシはあのボロ家に閉じ込められてたってわけ」
敷島:「そして、他の職員さん達は札幌市郊外の廃墟に監禁されていたということか。やっぱりアリスを狙った犯行だったのかねぇ……」
アリス:「どうして今頃?」
敷島:「そりゃやっぱり、アリスが北海道に来ることを知ってチャンスだと思ったんだよ、きっと」
アリス:「だったら尚更、ここから早いとこ離れないとね」
敷島:「マーク達はさすがに死んだだろうし、他のテロリスト達も今、警察がガサ入れしている最中に行動しないだろう」
そんなことを話している間に、シンディが戻ってきた。
シンディ:「お待たせしました。大人4枚分です」
敷島:「おっ、ありがとう」
萌:「ボクの分は無いの?」
エミリー:「お前は棚の上だ」
敷島:「はっはっはー」
[同日17:20.天候:晴 新千歳空港国内線ターミナル→北都交通バス車内]
外のバスプールでバスを待っていると、バスが入線してきた。
高速バスタイプのボディだが、4列シートでトイレは付いていない。
近距離を走るのだから、当たり前か。
それでも荷物室はあるので、そこに荷物を預ける。
バスに乗り込むと、敷島とアリスは真ん中の席に座った。
通路を挟んで隣にエミリーとシンディ。
萌は敷島達の真上の棚に乗った。
乗客はあまり乗っておらず、定員の半分以下ってところか。
発車時間になり、バスは折り戸式の扉を閉めて出発した。
〔「お待たせ致しました。苫小牧西港フェリーターミナル行き、発車致します」〕
バスプールを出て少し開けた場所に出ると、離着陸する飛行機の姿が見える。
外はすっかり日が暮れているので、ターミナルの夜景が結構きれいである。
空港連絡バスなので、車内自動放送は日本語だけでなく、英語も流れる。
その後で運転手が改めて肉声放送を行う。
〔「……終点、苫小牧西港フェリーターミナルには18時ちょうどの到着予定です。……」〕
大洗行きのフェリーが18時45分に出航するので、なかなかちょうど良い時間帯であろう。
萌は荷棚の上に横になって寝ているフリをしながら車内の様子を見ていたし、マルチタイプ姉妹は外を警戒していた。
取りあえず、道内を出るまでは警戒態勢ということだ。
[同日18:00.天候:晴 苫小牧西港フェリーターミナル]
バスは途中、高速道路を通って苫小牧市内に入った。
所要時間40分くらいの近距離であっても、高速道路は通るわけである。
バスはターミナルビルの前にあるバス停に停車した。
他にもポールが立っているところを見ると、地元の路線バスもやってくるわけだ。
運転手:「はい、ありがとうございましたー」
ドアが開くと乗車券は運賃箱の中に放り込む。
これは札幌都心行きと同じ方式だ。
乗客を全員降ろしてから、運転手が降りてきて荷物室のハッチを開けた。
マルチタイプ姉妹で、大きなキャリーケースを降ろす。
敷島:「こういう時、力持ちがいると安心だな」
エミリー:「お任せください」
シンディ:「こんなの片手で持ち上がりますよ」
シンディが調子に乗ってそれをやろうとしたが、エミリーに止められた。
エミリー:「目立つからやめなさい」
アリス:「どうやってフェリーに乗るの?」
敷島:「乗船手続きをしなきゃいけない。ちょっと待て。俺が行ってくる」
このターミナルにはフェリー会社が3社ほど入居している。
そのうちの1つ、敷島は商船三井フェリーのカウンターに向かった。
敷島:「もう既に支払は済ませてるからなぁ……」
敷島の場合は電話予約である為、記帳台に行って乗船名簿を記入する必要がある。
敷島:(今日の日付、行き先は大洗、支払方法は現金、住所、連絡先、予約番号、等級はスタンダード、あと乗船者氏名……シキシマ・タカオ、シキシマ・アリス……ファースト・エミリー、サード・シンディにしておくか。……で、車両は無しで、荒天時の同意はOKっと)
敷島は記入が終わると、これで窓口に向かった。
ふとロビーの方を見ると、アリスの横をシンディが立って周囲を警戒していた。
敷島:「ん?エミリーはどこ行った?」
エミリー:「はっ、ここに」
敷島:「いつの間に!?」
エミリー:「さっきからいましたが?」
敷島:「まあいい。書類の記入は終わったから、ちょっと窓口行ってくる」
エミリー:「はい」
敷島達が車利用者以外での最後の乗客か。
すぐに乗船券を手に船内へと向かって行った。
昼間でも独立3列シートで、スーパーハイデッカータイプは眺望も抜群である。
東北道福島県南部を走行中。
バスの写真を撮ってみたが、やはり“バスターミナルなブログ”の管理人様ほど上手くは撮れない。
元々が渋滞にハマッたダイヤの作りになっているらしい。
ここから大宮まで上越新幹線のMaxたにがわ号に乗る。
自由席ばかりの通勤列車で、しかもこちとら大きな荷物を抱えているので、通勤電車に乗り換えるよりは周囲の迷惑にはならないだろう。
尚、新幹線代を出しても仙台から乗るよりまだ安上がりである。
で、どうもそれだと商船三井フェリーの夕方便に乗るには不適切らしい。
いや、フェリーは18時45分発なのだが、乗船手続き自体はその2時間近く前には終了させないといけないようなのだ。
もし本当だとしたら、私の取材不足である。
あくまでもフィクションということで、どうか御容赦願いたい。
あくまでもそんなに早いタイミングでの乗船手続き完了を求められるのは、フェリーに車を乗せる乗客だけで、車を乗せない乗客はもう少し遅くても大丈夫だったと思うのだが、他の船会社のことだったのだろうか。