報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「盂蘭盆の愛原家」

2022-10-27 14:46:22 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月13日12:30.天候:晴 宮城県仙台市若林区連坊小路 曹洞宗福現山保寿寺]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は親戚一同が集まって、お盆の法要を行った。
 それが終わり、今は大広間で昼食を御馳走になっている。
 曹洞宗は禅宗であり、食事も仏道修行の1つとされていて、精進料理が美味い。
 もっとも、私達が口にしているのは来客用としての贅沢な内容らしいが。
 リサよりもやかましい甥っ子や姪っ子の面倒を押し付けられ……もとい、頼まれながら、私はその合間に高橋に電話をした。

 愛原:「あー、もしもし。高橋か?」
 高橋:「先生、お疲れさまです!」
 愛原:「あー、こっちは大変だ。リサも順当に人間として育てば、こんな感じになっただろうってな子供達ばかりだ」
 高橋:「それはお疲れさまです。ガキの相手は、ガキにやらせますか?」
 愛原:「リサのことだから、寄生虫でも寄生させて操るくらいのことはするかもしれん。やっぱりいい」
 高橋:「それもそうですね」
 愛原:「そっちはどうだ?」
 高橋:「取りあえず時間潰しに、駅前のネットカフェにいます」
 愛原:「ネカフェ?もっと楽しい所、行ってもいいのに」
 高橋:「いえいえ。先生がお忙しいのに、弟子の俺が遊ぶわけにはいきませんから。化け物の監視役は、俺に任せてください」
 リサ:「化け物言うなって言ったじゃん!」

 電話の向こうから、リサの声が聞こえた。

 愛原:「何か、ダーツバーのような音が聞こえるが?」
 高橋:「あー、ダーツもあるんです」
 愛原:「そうなのか。料金は後で立替ておくよ」
 高橋:「あざっす」
 リサ:「あのね、先生!わたし、おとなしくしてるからね!?」
 愛原:「ああ、分かった分かった。ネカフェだと、あれだろ?マンガもいっぱいあるだろ?それでも読んで、時間潰しててくれ」
 リサ:「分かったー!」
 愛原:「俺はまだやることがあるから」
 高橋:「親戚付き合いですね。お疲れさまです」
 愛原:「それもあるんだが、あれだよ」
 高橋:「あれ?」
 愛原:「昨日、奥新川で見つけた資料さ。お盆明けにデイライトさんに届くよう、資料だけでも送ってくれって言われてるんだ」
 高橋:「そうなんですか」
 愛原:「一応、こっちでもコピーだけは取っておきたいんだが、何しろ忙しいからなぁ……」
 高橋:「それ、俺がやりますよ」
 愛原:「やるって?」
 高橋:「俺が先生の御宅に伺います。それから、コピー取りますよ」
 愛原:「そうか。じゃあ、頼むよ」
 高橋:「弟子にして助手の俺に任せてください」
 愛原:「午後には実家に戻るから」
 高橋:「御親戚の方々は?」
 愛原:「夕食食べてから帰るそうだ。だから、もう一泊、ホテルで我慢してくれな?」
 高橋:「先生の御命令は絶対ですから。お気になさらないでください」
 愛原:「そこのリサにも、よろしくな?」
 高橋:「分かってます。こんなアホでも、先生の御命令は絶対ということくらい……」
 リサ:「誰がアホやねん!」
 愛原:「あはは……」

 うちの事務所スタッフは本当に賑やかだ。
 高野君がいなくなって以来、本当に……。

 姪っ子A:「おじちゃん!おじちゃん!遊ぼ!」
 姪っ子B:「今度はおじちゃんが鬼!」
 愛原:「わっ、ととと!わ、悪い!昼休み、強制終了だ!また後でな!」
 高橋:「は、はい!」
 リサ:「本物の鬼とやらを見せてやr……」

 何だか電話の向こうで、リサが変な怒りを出していたような気がしたが、知らなかったことにしておこう!
 だいたい、姪っ子なんだから、別に問題無いだろ!

[同日同時刻 天候:晴 宮城県仙台市宮城野区榴岡 BiVi仙台駅東口3Fアイ・カフェ仙台店]

 リサ:「先生!女と遊んでる!」
 高橋:「先生の親戚だろ?なにジェラってんだよ?」
 リサ:「だって!」
 高橋:「まあ、確か……あのくらいの離れた親等だったら、結婚できるって聞いたことあるなぁwあぁ?w」
 リサ:「ちょっと今からお寺行って来る!」
 高橋:「オマエみたいな鬼が行ったら、坊さんに滅されるぜ?」
 リサ:「鬼斬り先輩みたいなのじゃなければ大丈夫!」
 高橋:「先生が実家にお戻りになったら、俺は資料を取りに行く。オマエはここに残ってマンガでも読んでな」
 リサ:「ヤダ!一緒に行く!」
 高橋:「オマエなぁ……!」

 高橋はまた電話した。

 高橋:「あー、先生。お忙しいところ、サーセン。実はリサの奴……かくかくしかじか」
 愛原:「あー、分かったよ!連れて来ていいよ!」
 高橋:「了解っス!」
 姪っ子A:「休みなのに仕事してる叔父ちゃんは、どーん!」
 姪っ子B:「どーん!」
 愛原:「わああ!」
 高橋:「何やってんスか?」
 愛原:「姪っ子達に馬乗りにされた!早く帰りたい!」
 高橋:「お疲れさまっス」

 高橋は電話を切った。

 高橋:「先生の大慈大悲に感謝しな。オマエも来ていいってよ」
 リサ:「おー!……でも何か、電話の向こうが騒がしかったけど?」
 高橋:「先生は今、お忙しい。今、『ロリ姪っ子2人に騎乗位されてイかされた僕』を実演されているところだ」

 馬乗り≒騎乗位

 リサ:「! 先生の秘蔵動画に入ってたアレ!」
 高橋:「というわけで、先生が帰還されたと同時に行くからな?じゃ、頼んます!」
 リサ:「うぅ……私も交ざりたい……!」

[同日15:00.天候:晴 仙台市若林区某所 愛原の実家]

 親戚達と両親を交えた長話のせいで、私はなかなか帰れなかった。
 しかもその間、唯一の独身者である私が子供達の面倒を見なくてはならなくなったのだ。
 そして、ようやく帰れた時には3時のおやつの時間になっていた。
 姪っ子や甥っ子達が3時のおやつに夢中になっている間、私は急いで自室に籠り、まずはSDメモリーカードのコピーだけを行なった。
 紙の資料については、コピー機が無いので、どこかでコピーしなくてはならない。
 それはコンビニでもいいのだが、いかんせんコンビニに行くヒマすら無いのだ。
 と、そこへ私のスマホにLINEの着信があった。
 それは高橋からで、どうやら実家前に着いたらしい。
 私は早速、原本のSDメモリーカードと紙の資料を持って玄関に向かった。

 高橋:「先生、お疲れさまです!」

 家の外には高橋と、帽子を深く被って角は何とか隠しているものの、エルフ耳と長く鋭い爪は隠せていないリサがいた。

 リサ:「先生に騎乗位しやがったクソバカガキ共はどこ!?」
 愛原:「はい!?」
 高橋:「ハーッハッハッハ!」

 リサの見当違いの怒りに高橋、大爆笑。
 高橋の奴、リサに何か変なこと吹き込んだな?

 愛原:「俺は子供達と遊んだだけだよ!?」
 リサ:「アタシにも騎乗位して!」
 愛原:「何がだ!」
 高橋:「先生、それより例のブツを」
 愛原:「資料って言えよ。因みにメモリーカードについては、俺のパソコンでできたから、コピーはこの紙の資料でいい」
 高橋:「お任せください。その後、姉ちゃんとこの事務所に送ればいいんですね?」
 愛原:「ああ。この大きさなら、レターパックで行けるだろう。但し、あれだぞ?必ずハンコかサインの要る赤い方で送るんだぞ?青い方はダメだぞ?」
 高橋:「分かってますって。お任せください」
 リサ:「……わたしはここに残りたいな」
 愛原:「いいからここは俺に任せて、高橋に付いててやれよ」
 高橋:「まあ、俺1人で大丈夫なんスけど……」
 愛原:「口うるさい叔母さんとかいるから、オマエ達がいると説明が面倒臭いんだよ」
 高橋:「『不肖の愛弟子』という説明ではダメっスか?」
 リサ:「『将来のお嫁さん』という説明ではダメ!?」
 愛原:「うん、ダメだね」

 私は2人を何とか家から追い出した。
 それよりリサの奴、正体を隠さないとヤベーだろ。

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