報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“戦う社長の物語” 「いま、再びの富士宮へ」

2018-03-07 10:15:13 | アンドロイドマスターシリーズ
[1月13日07:26.天候:晴 JR東京駅・東海道新幹線ホーム]

 在来線電車にも引けを取らぬ高頻度で発着する新幹線。
 そんな速達列車の合間を縫って、各駅停車の“こだま”号の発車時刻が迫る。

〔「レピーター点灯です」〕

 ホームに発車メロディが鳴り響く。
 JR東日本新幹線ならまだ電子電鈴だが、東海道新幹線ホームは、かつて“のぞみ”号で使われていた車内チャイムを使用している。

〔16番線、“こだま”635号、名古屋行きが発車致します。ドアが閉まります。ご注意ください。お見送りのお客様は、安全柵の内側までお下がりください〕
〔「16番線から7時26分発、“こだま”635号、名古屋行き発車致します。……ITVよーし!乗降、終了!……16番線、ドア閉まります!」〕

 ブー!(客終合図)

 JR東日本新幹線と違い、随分慌ただしく出発するのは、それだけ高頻度で発着するからだろう。
 入線時刻に余裕があるのはホームに余裕があるからだろうが、発車に関しては東日本側よりも賑やかだ。

 アリス:「あー、美味しかった。ごちそうさま!」
 シンディ:「では空き箱を片付けて参ります」
 敷島:「オマエな、早食いはいいけど、景色を楽しみながら駅弁を食うというのがな……」
 アリス:「そもそもアメリカやヨーロッパで、駅弁という感覚が無いから」

 車内販売はあっても、駅弁が無いのは欧米の鉄道(その代わり食堂車がある)。

〔♪♪(車内チャイム。“いい日旅立ち・西へ”)♪♪。今日も、新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は、“こだま”号、名古屋行きです。終点、名古屋までの各駅に停車致します。次は、品川です〕

 敷島:「家でも食べるのはアリスの方が速い。普通、逆だろ?」
 アリス:「いいじゃない、どっちでも」

 日本人が早食いで欧米人が遅食いというのは、敷島家では通用しない。

 アリス:「このドクター吉塚だけど、じー様の日記にも書いてあったよ」
 敷島:「で、何て?」
 アリス:「『如何にロボット開発に携わる者とはいえ、随分とストイック過ぎる女だ。現に、今日で私の食事の誘いを5度も断ったのだ。ファキン・ジャップ!』……だって」
 敷島:「……ドクター・ウィリーって、そんな人間味のあるヤツだったっけ???」
 アリス:「反日家だったけど、それってドクター南里のせいじゃなくて、このドクター吉塚のせいかもね」
 敷島:「じゃあ、あとは悪口のオンパレードか。いいよ、もう」
 アリス:「あ、でも、ドクター吉塚の作る物に関しては褒めてたよ」
 敷島:「何だって?」
 アリス:「『彼女の作るフェアリーロボ、MOE-409は正に妖精そのものである。このままウォルト・ディズニーカンパニーに売り込めるのではないか。リアル・ティンカーベルとして!』」
 敷島:「……この爺さん、実際にフロリダのディズニーワールドに行ったんだろうなぁ……」
 アリス:「アタシも行きたかったなぁ……」
 敷島:「東京ディズニーランドで我慢しろよ。てか、行っただろ」
 アリス:「うん……」

 結婚前、実は敷島とアリスはディズニーランドに1度行っている。
 当ブログでも一部公表している(全部公表すると、ディズニー秘密警察の捜査を受け……おや?誰か来たようだ)。

 敷島:「今度はトニーを連れて……あっ、しまった」
 アリス:「なに?」
 敷島:「いやな、どうせKR団の元幹部の家を捜査するんだから、萌を連れてくれば良かったなぁって」
 アリス:「ああ!それもそうだったわね」

 妖精型のファンシーロボとして吉塚広美が設計・製造した萌。
 用途は潜入捜査用である。
 妖精の飛行能力、そして小さな体を利用して敵アジトに潜入させ、調査させる目的で作られた。

 アリス:「まあ、しょうがないよ。アタシも色々持って来たから、それで何とかしよ」
 敷島:「行っておくが、Rデコイは持って来てないよな?」
 アリス:「…………」
 敷島:「持って来てんのかい!」

 Rデコイとはアリスが開発した時限式爆弾のことで、爆発前に特殊な光と信号を放つ。
 するとそれにAI性能の低いロボット達が引き寄せられ、粗方集まったところで爆発し、大ダメージを与えるというもの。
 なのでAIの性能が高いマルチタイプやボーカロイドには効かないはずなのだが、鏡音リン・レンの好奇心は誘ってしまい、この2人は近づいてしまったという実験データが出ている。

 敷島:「黒いロボットには効くか、それ?」
 アリス:「その実験データも取ってみたいねぇ……」
 敷島:「そう、都合良くは現れんだろ」
 アリス:「そう言って隣にいるかもよ?」
 敷島:「隣!?」
 シンディ:「な、何ですか?」
 敷島:「隣にいるのはシンディだよ」
 アリス:「そう都合良くは行かないってことよ」
 シンディ:「黒いロボットが現れても、私がバラバラにして見せますのでご安心を」
 敷島:「エミリーはおっぱいをしこたま揉まれていたけど、お前は大丈夫か?」
 シンディ:「大丈夫です。下着泥棒はされましたが、私の場合はおっぱい一揉みにつき、腕一本です」
 敷島:「怖っ!」
 シンディ:「あ、もちろん、社長はタダでいいですからね」
 敷島:「怖いヤツ、連れて来ちゃったなぁ……」
 アリス:「何を今更言ってんの」

[同日08:34.天候:晴 JR新富士駅]

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく、新富士です。新富士の次は、静岡に止まります〕

 JR東日本新幹線だと車内の自動放送は男声だが、東海道新幹線は女声である。
 それぞれに声優が話しているのだが、アニメの方ではない(ナレーションくらいはやっているかも……)。

〔「新富士でお降りのお客様、ご乗車ありがとうございました。お出口は、左側です。ホーム進入の際、大きく揺れる場合がございます。お立ちのお客様は、お近くの手すりにお掴まりください。……」〕

 敷島:「新幹線だと速いな」
 アリス:「もう富士山が見えるわ」
 敷島:「そりゃそうだ。富士山の麓に町に行くんだからな」

 列車がホームに停車する。

〔「ご乗車ありがとうございました。新富士、新富士です。……」〕

 列車を降りて階段の方に向かって歩いて行くと、すぐに通過列車が轟音を立てて“こだま”を追い抜いて行った。
 通過列車はこれだけにとどまらない。
 “こだま”は通過線のある駅では必ず通過列車待ちをすると言っても過言ではない。
 それだけに停車時間は5分くらい取られているので、いかに“こだま”はのんびりしているかが分かる。
 その為か、JR東海のイメージソング“AMBITIOUS JAPAN!”では歌詞の中に“のぞみ”と“ひかり”は出てきても、“こだま”は出て来ない。

 敷島:「アリス、ちょっとトイレいいか?」
 アリス:「じゃ、アタシも行ってくる」
 敷島:「ああ。シンディはここで待っててくれ」
 シンディ:「かしこまりました」

 シンディはトイレの入口横に控えた。
 尚、このコンコースには大石寺の広告がある。
 作者が見た時は御影堂だったが、今は何になっているのだろうか?

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