報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“戦う社長の物語” 「更なる事実」

2018-03-04 13:31:00 | アンドロイドマスターシリーズ
[1月8日17:00.天候:晴 東京都江東区豊洲 敷島エージェンシー]

 敷島:「……事前に収録されたテレビやラジオ番組など以外は、ほぼ全てキャンセル。こりゃ今年初めから緊縮財政かな」
 シンディ:「でも新しい仕事が続々と舞い込んでくる見込みはありますから、さほど気にする必要は無さそうですけどね」
 敷島:「お前も楽天家だな」

 事務所に戻った敷島を待ち受けていたのは、ボーカロイド達の熱烈な出迎えだった。
 シンディが追い払ってくれなかったら、敷島はなかなか社長室に辿り着くことができなかっただろう。

 敷島:「事務所にも何か雪害が出たってわけでもないようだし、そこはまあ、留守を預かってくれたロイド達のおかげかな」
 シンディ:「自分達のホームを全力で死守するという使命を、ほぼ自動的に背負うのはロイドならではでしょう」
 敷島:「それは頼もしい。……さてと、被害状況の確認も終わったし、ボカロ達の様子も確認できたから、そろそろ帰るとするか」
 シンディ:「タクシー呼びますか」
 敷島:「いや、東京駅までならバスで帰るからいいよ」
 シンディ:「ダメですよ。未だに社長の御命を狙ってるテロリストはいるんですから」

 シンディは電話を取って、タクシー会社に電話した。

 シンディ:「……1台お願いします。……はい。……そうですね。地下の車寄せは閉鎖されているので、防災センターの入口前でお願いします」
 敷島:「さすがの新幹線も、あの大雪害では運休だったか……」

 敷島、自分のスマホを見ていた。


 シンディ:「社長、タクシー予約しましたので、行きましょう」
 敷島:「ああ、分かった」

 社長室を出ると、初音ミクが奥からやってきた。
 休業日の事務所の廊下は照明が消えていて薄暗い。
 ボウッと鈍く光る両眼や手足の一部などが、人間ではないことを物語る。

 初音ミク:「社長、もうお帰りなんですか」
 敷島:「ああ、取りあえずな。イベントの仕事、全部潰れてヒマだっただろうが、雪も融けてきたし、明日からまた仕事できるようになるよ」
 ミク:「はい。頑張ります」

 エレベーターを待っていると、警備ロボットとして臨時警備に当たっているマリオとルイージがやってきた。

 マリオ:「社長、ドウカオ気ヲ付ケテ!」
 ルイージ:「事務所ノ警備ハオ任セクダサイ!」
 敷島:「ああ。黒いロボットの侵入に気をつけろ。どうも人間を襲うことは無いようだが、代わりにガイノイドにエロ攻撃するのが目的のエロロボットらしいから」
 マリオ:「ハハッ、オ任セクダサイ!」

 ピンポーン♪

 シンディ:「社長、エレベーターが来ました」
 敷島:「おう」

 スーッとドアが開く。

 黒いロボットA:「ザビ?ザビィ」

 しかしそこには既に黒いロボットが一機乗っていて、何故かエレベーターボーイをやっていた。

 黒いロボットA:「ザビ?☝ザビ?☟」
 シンディ:「何やってんだ、コラぁ!!」

 シンディが黒いロボットを吊るし上げている最中、敷島はホール内の内線電話で防災センターに掛けている。

 敷島:「ちょっと警備員さん!エレベーターに黒いロボットが乗り込んでるじゃないの!一体、どうなってるんだ!?」

 ピンポーン♪(他のエレベーターが到着する)

 黒いロボットB:「ザビ!」

 ピンポーン♪(また別のエレベーターが到着する)

 黒いロボットC:「ザビビ〜」
 敷島:「何だ何だ!いっぱいいるじゃないか!マリオ、ルイージ!排除しろ!」
 マリオ:「ハハッ!」
 ルイージ:「オ任セヲ!」

 マリオとルイージはバージョン5.0の量産機である。
 が、この2機以来、製造記録は無い。
 事実上、この兄弟機を以ってバージョンシリーズの開発・製造は打ち切りとなっている。
 だがそこは最新型機、例え開発・製造が打ち切られたシリーズであっても。
 強さに関しては、エミリーやシンディが直接部下に置きたいと思うほどの強さである。
 黒いロボット1機ずつに関しては、マリオとルイージの圧勝だった。
 もちろん、シンディも楽勝でバラバラにしてしまった。

 敷島:「よし。皆、よくやってくれた。全く。油断も隙も無い連中だ。そういうことだから、マリオとルイージは事務所の警戒強化をよろしく」
 マリオ:「ハハッ!」
 ルイージ:「オ役ニ立テテ何ヨリデス」

 しかしその後、防災センターから駆け付けた警備員達や、その通報より駆け付けた警察の捜査があったりした為、実際の退館時刻は遅くなってしまった。

[同日18:00.天候:晴 東京都江東区→中央区 タクシー車内]

 タクシーに乗った敷島とシンディ。

 敷島:「自分で体を分解してダクトなどの狭い所に潜み、また自分を組み立てて襲って来る……というシステムだったか」
 シンディ:「本当にそんなことができるんですね」

 今回の場合、黒いロボットは何らかの方法でビルに侵入。
 ダクトやエレベーターシャフトの中に体を分解した状態で潜んでおり、敷島やシンディの入館の後でまた体を復元したらしい。

 敷島:「ゲームとかではよくあるけどな」
 シンディ:「そうなんですか?」
 敷島:「あるある。ある程度のダメージを与えると体がバラバラになって倒したかと思ったら、すぐにまた体が自動的に組み立って襲って来るっていうキャラ」

 主にスケルトン(ガイコツ)やロボットなどに多い。

 シンディ:「面倒ですね」
 敷島:「まあな。それより……」

 と、そこへ電話が掛かって来た。
 敷島がスマホを取ると、平賀からであった。

 敷島:「はい、もしもし?」
 平賀:「ああ、敷島さん。平賀です」
 敷島:「どうしました、先生?」
 平賀:「エミリーの方、難しい所はだいたい終わりました。あとはDCJの社員でも大丈夫でしょう。それより、黒いロボットのデータをエミリーが持っていましたよ」
 敷島:「エミリーが?」
 平賀:「仙台で自爆する直前、エミリーは黒いロボットの信号を掴んだそうです」
 敷島:「信号を飛ばしていた所が分かったと。それはどこですか?アメリカ?」
 平賀:「いや、日本です。それも、我々が前に行った場所ですよ」
 敷島:「北海道?」
 平賀:「違います。静岡ですよ。静岡県富士宮市とまでしか分かりませんでしたが、そこで何か思いつきませんか?」
 敷島:「吉塚広美博士の家だ……」
 平賀:「黒いロボットの行動を指示する信号が、そこから飛ばされていた。気になりませんか?」
 敷島:「そりゃ気になりますよ。調査の必要ありですな。何とかしないと、また事務所に侵入されてしまう」
 平賀:「そちらもですか!いや、こっちもさっき侵入してきて大変だったんです」
 敷島:「大丈夫だったんですか!?」
 平賀:「防犯用のレーザービームに見事に引っ掛かってくれたおかげで、再び体をバラバラにした状態で捕獲できましたけどね」
 敷島:「それ、いいんですか!?逆に!」

 DCJの親本社であるDCIアーカンソー州研究所以外の別の研究所では、SFアクション映画さながらのセキュリティシステムが完備されているそうな。

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