報恩坊の怪しい偽作家!

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“愛原リサの日常” 「1月20日の夜」

2023-10-16 20:12:35 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月20日18時20分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 リサが着替えて再びダイニングに行くと、既に夕食の用意がされていた。

 

 リサ「おおっ、ポークステーキ!」
 パール「スーパーで、豚肉の特売をやっていたもので」
 愛原「ていうか、何でブルマまで穿き替えてきたんだ?」

 リサは学校用の緑色のブルマから、プライベート用の紺色のブルマに穿き替えていた。
 といっても通販で購入した学販用であり、コスプレ用ではない。
 もっとも、全国的にブルマが廃止された昨今、現在の用途としてはコスプレ用やアンスコ用くらいしか無いだろうか。
 因みに上に着ている体操服も、学校用ではない。

 リサ「少し汚れてたから。体育があったからね」
 愛原「そういうことか」

 

 リサ「これならいい?」
 愛原「まあ……一応、ちゃんと服着てるからいいや。とにかく、食べよう」
 リサ「いただきまーす」

 リサはすぐに食事にがっついた。

 愛原「明日は学校だよな?」
 リサ「うん。学食でお昼食べてから帰る」
 愛原「また飯の話か」
 リサ「明日のお昼は、ハンバーグ定食だって」
 愛原「じゃあ、明日の夕食はハンバーグ以外だな」
 パール「かしこまりました」
 リサ「今日は出張だったの?」
 愛原「何かここ最近、事故物件の調査依頼ばっかりだ。もっとも、ちゃんと解明できる物ばかりだけどな」
 リサ「ふーん……。ゾンビとかは出ないんだ?」
 愛原「霧生市の事故物件の調査依頼が来たら、そうなるかもな」

 愛原は苦笑した。

 リサ「ゾンビが出るようなら、わたしに任せてよ?」

 リサは左手の爪を鋭く長く伸ばした。

 愛原「平日に動くから、お前は学校だろうが。それに、来週から実力テストなんだから尚更だ」
 リサ「ちぇっ……」
 愛原「その後は学年末テストだろ?大変だなぁ?」
 リサ「ねぇ。因みに学年末テストは2月ね。で、3年生は無い」
 愛原「そりゃ3年生は、もうすぐ卒業だからな」
 リサ「鬼斬りセンパイ、どうしてるの?」
 愛原「東京の病院に転院することができたが、それでも移植手術やリハビリなどが大変らしい。火傷の痕も残るだろうに、かわいそうだ」
 リサ「まさか、火を吹く鬼がいるなんてねぇ……。高校、卒業できるの?」
 愛原「それは何とか大丈夫らしい。ただ、大学生活は絶望的だろうな。留年……つまり、休学は確実だ」
 リサ「入学してすぐ休学とは……」

 本来、鬼斬りとは相容れない仲であるリサだが、さすがに哀れに思えて来た。

 リサ「あのクソ野郎、余計なことしやがって……!」

 リサは既にこの世にいないはずの鬼の男に対して悪態をついた。

 愛原「それはどういう意味だ?」
 リサ「鬼斬りセンパイを倒すのはわたしなのに、あのクソ野郎が横から出てきて鬼斬りセンパイを倒したから」
 高橋「まあ、横取りはダメだよな」
 リサ「そう」
 愛原「鬼の男とその妹は、栗原さん達によってトドメを刺されている。もうこの世には現れんよ」

 鬼の兄妹の首を巡って、栗原家とデイライト(引いてはBSAA)と揉めたらしい。
 栗原家は伝統的に鬼の首を狩ったら、それに対する色々な儀式をするのが習わしなのに対し、デイライトは直ちに調査したいから引き渡すようにと迫った。
 何が何でも鬼の首に対する取扱いは、栗原家に全て任されていると、栗原重蔵は江戸幕府や当時の天皇家の文書を差し出したが、江戸幕府なんて今は存在しないし、天皇に関しても今の憲法では無効だと反論された。
 最後にはデイライトは、令状まで取って栗原家から鬼の兄妹の首を没収して収拾した。
 更には、伝統的に栗原家に対して認められていた日本刀の所持や使用の許可を全て剥奪すると迫る徹底ぶり。
 愛原がその話をすると、リサは……。

 リサ「はは……。わたしも首だけになったら、鬼斬りさん達とデイライトで取り合いになるんだ」

 と、乾いた笑いを浮かべた。

 愛原「オマエが暴走した上に、栗原さん達に倒されたらだよ。そういう惨めな死に方したくなかったら、絶対に暴走するなよ?」
 リサ「う、うん。気をつける。……後で、“鬼ころし”飲ませて?」
 愛原「一応、酒だからな?飲み過ぎるなよ?」

 清酒としての“鬼ころし”であるが、どうしてこの酒だけ、リサの暴走を抑える効果があるのかは分かっていない。
 暗示的なものではないかと言われているが、それだけだと、どうしても説明不十分感が拭えない。
 とはいえ、まだ17歳のリサが本来飲んで良いものではない為、あくまでも暴走防止の為の『薬』として、猪口に一杯だけという条件で許可されている。
 そしてリサ自身も酒に強いわけではないのか、猪口一杯だけですぐに眠くなってしまうのである。
 なので飲むのは、本当に寝る前ということにしていた。
 ……尚、愛原もたまに飲んでいるもよう。

[同日21時00分 天候:晴 愛原家4階リサの部屋]

 風呂から上がった後、リサは自分の部屋に戻った。
 そこで明日の登校の準備をする。
 体育は無いので、体操服を持って行く必要は無い。
 また、ブルマも体育用の緑でなくても良い。
 校則では、あくまでスカートの下、下着の上にオーバーパンツを穿くことになっているだけなので。
 それがスパッツだろうと現在の体操服の下である短パンであろうと、そしてリサが今穿いているブルマであろうと、何でも良いことになっている。
 学校推奨の黒いスパッツがあるのは、ブルマ廃止後、その代替品を用意する必要があったからである。
 推奨であって、指定ではない。
 で、明日の準備が終わるのを待っていたかのようにLINEが着信した。
 スマホを見ると、それはレイチェルからで、リサが穿いている紺色のブルマもなかなか良さげなので、これもネットで注文したとのこと。
 あと、レイチェルが個人的に気に入ったのは……。

 レイチェル「ブルーのブルマもあるようですね。あれも良さそうです」

 とのこと。
 確かに青ブルマも存在するが、リサはそれは持っていなかった。
 リサ自身、学校用の緑と、オーソドックスな紺色があれば十分だと思っていたからである。
 エンジ色については、来年の『魔王様の肖像画』のモデル用の衣装として早々にもらったものだ。

 リサ「そうなんだ?レイチェルは青が好きなの?」
 レイチェル「養成学校に入る前、近所に住んでいたお姉さんが、陸上のアスリートでした。その時、彼女はブルーのレーシングショーツを穿いていたので、よく覚えています。だからです」
 リサ「そういうことか。それならいいんじゃない?買ったら早速穿いてみて、わたし達と愛原先生に見せてよ?愛原先生、喜ぶよ」
 レイチェル「分かりました。それはお約束できます。それではリサの方も、明日の件、お願いしますよ」
 リサ「分かったよ」

 リサは明日レイチェルが休んだ分、ノートを写させて欲しいと頼まれていた。

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