[7月2日10:00.天候:晴 埼玉県さいたま市西区 DCJロボット未来科学館・研究室エリア]
修理の終わったシンディが再起動される。
シンディ:「おはようございます……あれ?」
シンディは起き上がって、強化ガラスの窓の向こうを見てみた。
だが、そこには誰もいなかった。
シンディ:「?」
しかし、そこへアリスからの通信が入る。
アリス:「シンディ、おはよう。天才の私が修理したんだから、調子は万全のはずよ」
シンディ:「あ、はい。そうですね」
アリス:「悪いけど、そのまま展示室エリアまで来てくれる?」
シンディ:「かしこまりました」
シンディは首を傾げながらも、オーナーの命令に従う。
無機質かつメタリックな壁や天井が特徴の研究室エリアの廊下。
そこを進むと、いきなり背後から誰かに羽交い絞めにされた。
シンディ:「なっ……!?誰だ!?」
レイチェル:「お久しぶりですわ、お姉様?」
シンディ:「こ、これは……この声と……識別信号は……れ、レイチェル!?……どうして……!?」
レイチェル:「地獄の底から這い上がって来ましたの。よろしく、お姉様」
アリス:「はい、終了」
すると、廊下の途中の自動ドアが開いて、そこからアリスと部下の研究員達がぞろぞろとやってきた。
アリス:「レイチェル、もういいわよ」
レイチェル:「はい」
シンディ:「ま、マスター!?これは一体どういうことですか!?」
アリス:「今のレイチェルのセリフ、あなたも言ったことがあるそうじゃない?」
確かにシンディは後期型として起動後、平賀にそんなことを言った。
それは前期型のメモリーとデータを引き継いでいるからこそのセリフであった。
レイチェル:「私の場合はお姉様の受け売りです。アリス博士に、そのように命令されたもので」
シンディ:「やっぱり、レイチェルなの」
レイチェル:「私はお姉様と違って、以前のヴァージョンのデータを殆ど引き継いでおりません。でも、私も予備ボディから起動されました」
アリス:「あなたのメモリーの欠片と、それまでに確保したKR団の情報から洗い出したデータを基に、じー様の隠れ家を見つけたってわけ。アメリカのルイジアナ州にもあったのね」
シンディ:「ああ、そういえばそこに1年ほどいたかもしれません」
ロイドたるシンディの記憶が曖昧だったのは、前期型のシンディがそれほどまでにウィルスに汚染されていた為、データがメチャクチャになっていたからである。
ウィリアム・フォレスト博士は晩年、ウィルスの開発に傾倒していたからである。
身近にいたシンディを実験台にしたらしい。
アリス:「そこをアメリカのDCSS(※)が探索したら、保管されていたレイチェルの予備機を発見したってわけよ」
※デイライトコーポレーションセキュリティサービス(デイライト興業警備保障)の略称。デイライトグループ直営の警備会社だが、日本と違って警察並みの捜査権を持つ(企業警察)。
その為、日本では営業できず、日本法人においては日本国内の警備会社と契約している。
レイチェル:「私のレプリカが、とんだ御迷惑をお掛けしてごめんなさい。お詫びは何でもします」
シンディ:「……お言葉に甘えたいところだけど、後が怖いからやめとくわ」
研究員A:「主任、今のやり取りは?」
アリス:「どうやらお互い前期型の時に、何かあったようね。レプリカもそうだっだけど、やっぱり本物は違うわね。しっかりシンディの背後も取ってる」
シンディ:「レイチェルはそうやって、敵組織の要人を何人も暗殺して来ましたからねぇ……」
レイチェル:「お姉様の100メートルから先の要人狙撃も、百発百中だったそうじゃないですか」
シンディ:「あんた、ほんとはデータ引き継いでんじゃないの?」
アリス:「うん。あなた達の仲は良好ね。あとは、エミリーの背後を取らせて……と」
研究員B:「その実験なら、既に終了しているはずですが……」
アリス:「タカオの妨害が入ったから、もう1度やり直しよ。シンディも再起動させたし、タカオはシンディに押さえてもらうわ」
シンディ:「お任せください」
[同日10:30.天候:晴 同場所]
科学館に続く道を進む敷島のハイヤー。
音が静かなのはハイブリットだからだろう。
最近は高級車にも、ハイブリットが導入されている。
敷島:「うっ……!」
エミリー:「どうなさいました?」
敷島:「いや、何か背筋が寒くなったような……?」
エミリー:「すいません、冷房を弱めてください」
運転手:「かしこまりました」
敷島:「いや、多分クーラーの効き過ぎとかじゃないと思うぞ」
敷島達を乗せたハイヤーが科学館に到着する。
一般来館者(見学者)用ではなく、通用口の方である。
ここは爆弾テロがあったこともあり、今現在は急ピッチで復旧工事が進められていた。
なので、仮設の出入口から中に入ることになる。
エミリー:「おはようございます。敷島エージェンシーの敷島……」
エミリーが警備室の受付に行くと、後ろからレイチェルが抱きついた。
エミリー:「何をしている……!?」
エミリーが顔を右後ろに振り向かせながら詰問した。
レイチェル:「ごめんなさい……。アリス博士がそうしろと……」
敷島:「何やってんだ、あいつ?……てか、本当にエミリーも後ろを取られるんだな」
エミリー:「そこはレイチェルには勝てません」
アリス:「はい、実験終了」
敷島:「何やってんだ、お前?」
アリス:「もちろん、実験よ」
敷島:「通用口でやるな、通用口で!」
[同日11:00.天候:晴 同場所・応接室]
西山:「こんなこともあろうかと、保険に入っておいて良かったですよ。もっとも、掛け金はバカになりませんがね」
敷島:「でしょうなぁ……」
敷島は西山館長と向かい合って話をしていた。
西山:「それで敷島社長にお願いというのはですね、レイチェルの引き取り先を探して頂けないかな……というものでして」
敷島:「ええっ、私にですか?」
西山:「はい。いえ、もちろん、それはとても厚かましいお願いであることは重々承知しております」
敷島:「アメリカで発見されたわけですから、アメリカのデイライト……は嫌がったんでしたね」
西山:「マルチタイプに限らず、ジャニスとルディで相当懲りたらしく、アメリカではもうアンドロイドの製作そのものをやめようという話が出ているくらいです」
敷島:「もしそうなったら、それを理由に日本法人は独立へ更に一歩進めるわけですな?」
西山:「あ、いえ、ちょっとそれは……」
敷島:「はははは!いや、こりゃどうも失礼しました。実は私に1つ当てがあるんですよ」
西山:「本当ですか?」
敷島:「ええ。後で確認しておきますよ。もしかしたら、今日中にお返事ができるかもしれません」
敷島は大きく頷いた。
修理の終わったシンディが再起動される。
シンディ:「おはようございます……あれ?」
シンディは起き上がって、強化ガラスの窓の向こうを見てみた。
だが、そこには誰もいなかった。
シンディ:「?」
しかし、そこへアリスからの通信が入る。
アリス:「シンディ、おはよう。天才の私が修理したんだから、調子は万全のはずよ」
シンディ:「あ、はい。そうですね」
アリス:「悪いけど、そのまま展示室エリアまで来てくれる?」
シンディ:「かしこまりました」
シンディは首を傾げながらも、オーナーの命令に従う。
無機質かつメタリックな壁や天井が特徴の研究室エリアの廊下。
そこを進むと、いきなり背後から誰かに羽交い絞めにされた。
シンディ:「なっ……!?誰だ!?」
レイチェル:「お久しぶりですわ、お姉様?」
シンディ:「こ、これは……この声と……識別信号は……れ、レイチェル!?……どうして……!?」
レイチェル:「地獄の底から這い上がって来ましたの。よろしく、お姉様」
アリス:「はい、終了」
すると、廊下の途中の自動ドアが開いて、そこからアリスと部下の研究員達がぞろぞろとやってきた。
アリス:「レイチェル、もういいわよ」
レイチェル:「はい」
シンディ:「ま、マスター!?これは一体どういうことですか!?」
アリス:「今のレイチェルのセリフ、あなたも言ったことがあるそうじゃない?」
確かにシンディは後期型として起動後、平賀にそんなことを言った。
それは前期型のメモリーとデータを引き継いでいるからこそのセリフであった。
レイチェル:「私の場合はお姉様の受け売りです。アリス博士に、そのように命令されたもので」
シンディ:「やっぱり、レイチェルなの」
レイチェル:「私はお姉様と違って、以前のヴァージョンのデータを殆ど引き継いでおりません。でも、私も予備ボディから起動されました」
アリス:「あなたのメモリーの欠片と、それまでに確保したKR団の情報から洗い出したデータを基に、じー様の隠れ家を見つけたってわけ。アメリカのルイジアナ州にもあったのね」
シンディ:「ああ、そういえばそこに1年ほどいたかもしれません」
ロイドたるシンディの記憶が曖昧だったのは、前期型のシンディがそれほどまでにウィルスに汚染されていた為、データがメチャクチャになっていたからである。
ウィリアム・フォレスト博士は晩年、ウィルスの開発に傾倒していたからである。
身近にいたシンディを実験台にしたらしい。
アリス:「そこをアメリカのDCSS(※)が探索したら、保管されていたレイチェルの予備機を発見したってわけよ」
※デイライトコーポレーションセキュリティサービス(デイライト興業警備保障)の略称。デイライトグループ直営の警備会社だが、日本と違って警察並みの捜査権を持つ(企業警察)。
その為、日本では営業できず、日本法人においては日本国内の警備会社と契約している。
レイチェル:「私のレプリカが、とんだ御迷惑をお掛けしてごめんなさい。お詫びは何でもします」
シンディ:「……お言葉に甘えたいところだけど、後が怖いからやめとくわ」
研究員A:「主任、今のやり取りは?」
アリス:「どうやらお互い前期型の時に、何かあったようね。レプリカもそうだっだけど、やっぱり本物は違うわね。しっかりシンディの背後も取ってる」
シンディ:「レイチェルはそうやって、敵組織の要人を何人も暗殺して来ましたからねぇ……」
レイチェル:「お姉様の100メートルから先の要人狙撃も、百発百中だったそうじゃないですか」
シンディ:「あんた、ほんとはデータ引き継いでんじゃないの?」
アリス:「うん。あなた達の仲は良好ね。あとは、エミリーの背後を取らせて……と」
研究員B:「その実験なら、既に終了しているはずですが……」
アリス:「タカオの妨害が入ったから、もう1度やり直しよ。シンディも再起動させたし、タカオはシンディに押さえてもらうわ」
シンディ:「お任せください」
[同日10:30.天候:晴 同場所]
科学館に続く道を進む敷島のハイヤー。
音が静かなのはハイブリットだからだろう。
最近は高級車にも、ハイブリットが導入されている。
敷島:「うっ……!」
エミリー:「どうなさいました?」
敷島:「いや、何か背筋が寒くなったような……?」
エミリー:「すいません、冷房を弱めてください」
運転手:「かしこまりました」
敷島:「いや、多分クーラーの効き過ぎとかじゃないと思うぞ」
敷島達を乗せたハイヤーが科学館に到着する。
一般来館者(見学者)用ではなく、通用口の方である。
ここは爆弾テロがあったこともあり、今現在は急ピッチで復旧工事が進められていた。
なので、仮設の出入口から中に入ることになる。
エミリー:「おはようございます。敷島エージェンシーの敷島……」
エミリーが警備室の受付に行くと、後ろからレイチェルが抱きついた。
エミリー:「何をしている……!?」
エミリーが顔を右後ろに振り向かせながら詰問した。
レイチェル:「ごめんなさい……。アリス博士がそうしろと……」
敷島:「何やってんだ、あいつ?……てか、本当にエミリーも後ろを取られるんだな」
エミリー:「そこはレイチェルには勝てません」
アリス:「はい、実験終了」
敷島:「何やってんだ、お前?」
アリス:「もちろん、実験よ」
敷島:「通用口でやるな、通用口で!」
[同日11:00.天候:晴 同場所・応接室]
西山:「こんなこともあろうかと、保険に入っておいて良かったですよ。もっとも、掛け金はバカになりませんがね」
敷島:「でしょうなぁ……」
敷島は西山館長と向かい合って話をしていた。
西山:「それで敷島社長にお願いというのはですね、レイチェルの引き取り先を探して頂けないかな……というものでして」
敷島:「ええっ、私にですか?」
西山:「はい。いえ、もちろん、それはとても厚かましいお願いであることは重々承知しております」
敷島:「アメリカで発見されたわけですから、アメリカのデイライト……は嫌がったんでしたね」
西山:「マルチタイプに限らず、ジャニスとルディで相当懲りたらしく、アメリカではもうアンドロイドの製作そのものをやめようという話が出ているくらいです」
敷島:「もしそうなったら、それを理由に日本法人は独立へ更に一歩進めるわけですな?」
西山:「あ、いえ、ちょっとそれは……」
敷島:「はははは!いや、こりゃどうも失礼しました。実は私に1つ当てがあるんですよ」
西山:「本当ですか?」
敷島:「ええ。後で確認しておきますよ。もしかしたら、今日中にお返事ができるかもしれません」
敷島は大きく頷いた。
このまま行けば間違い無く、彼は龍神ひろし氏と同じ轍を踏むことになる。
それを止められない支部は、とても情けない。
法華講支部は一度その制度を廃止にしたらどうか?
暴走信徒を止められないのであれば、存在する意味が無い。
せっかく日蓮大聖人の仏法は尊いものだというのに、それを貶める者が内部にいて、何ら止める術を持たない。
そんな支部は、存在する意味が無い。
法華講支部が嫌いになって辞めた人間の独り言。