[3月8日09時00 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所]
私の名前は愛原学。
都内で探偵事務所を経営している。
今日はこれから、静岡県に出張するところだ。
リサは学校に行き、事務所にはパールが留守番してもらうことにした。
栗原蓮華が足柄サービスエリアで足取りを消した為、その調査依頼を私達が受けたのである。
彼女は高島平のトラックターミナルから、静岡県方面に向かうトラックに便乗し、足柄サービスエリアで降りている。
そこからまた別の車に乗り換えたと思われるが、それが分からない為、私達が現地に行って調査してくることになったのである。
場所が場所だけに鉄道ではなく、車で行くことにした。
幸いこちらには、運転大好き高橋がいるので。
もっとも、車はレンタカー会社からリース契約しているライトバンである。
どうしてライトバンなのかというと、隠密調査をする際に車は重要アイテムであり、どこにいてもおかしくない、目立たない車が条件だからである。
スパイ映画やドラマとかだと、どう見ても怪しい黒塗りの高級車だったり、あるいはゴテゴテに改造したワゴン車が使われていたりするのだが、あれでは対象者に見つけてくださいと言っているようなもの。
実際は、どこにいてもおかしくない地味なライトバンを使う。
大手事務所とかだと、タクシーをチャーターすることもあるそうだ。
愛原「それじゃ、行ってくる」
パール「どうか、お気をつけて」
高橋「それでは出発します」
高橋は車を発進させた。
そして、1階のガレージから車を出す。
車が公道に出ると、パールは内側からガレージのシャッターを閉めてくれた。
高橋「先生、高速使っていいんスよね?」
愛原「当たり前だ。最初のゴール地点は足柄サービスエリアだから、東名高速だな。蓮華を乗せたトラックも、首都高からひたすら東名高速を走ったらしい。俺達も後を追うぞ」
高橋「分かりました」
高橋は、まずは首都高の錦糸町入口に向かうと言った。
そこは首都高速7号線(小松川線)が通っているが、都心方面に向かえば、東名高速と直結している3号線(渋谷線)へ行けるという。
高橋「途中休憩はされますか?」
愛原「まあ、適宜な。ガソリンを入れなきゃだろうし」
高橋「確かに。了解しました」
[同日10時00分 天候:晴 神奈川県海老名市大谷南 海老名サービスエリア]
出発してから1時間くらい走ってから、海老名サービスエリアに到着する。
ここでちょっと一服休憩だ。
高橋「俺、ちょっとタバコ吸って来ますんで」
愛原「ああ。俺はちょっとトイレだ」
高橋「どうぞどうぞ」
海老名サービスエリアは、サービスエリアというだけあって、規模は大きい。
だが、これから行く足柄はもっと大きいのだ。
平日なので駐車場はトラックが多いが、観光バスの姿も散見される。
休日と比べれば少ないのだろうが、それでも建物の中は観光客の姿も見られた。
日本人はお年寄り、それより若いのは外国人ばかりだ。
海老名サービスエリアと言えば、メロンパンが名物。
ちょっとお昼前の軽食として、トイレを済ませた後、メロンパンと紙コップ入りのコーヒーを購入した。
もちろん、高橋の分も買って行ってやる。
外のテラス席でメロンパンを齧っていると、スマホに着信があった。
愛原「おっと!善場主任だ!」
私は電話に出た。
善場「お疲れさまです。善場です」
愛原「善場主任、お疲れさまです!今、海老名サービスエリアで休憩中です」
善場「順調ですか?」
愛原「そうですね。道路も思ったほど混んでいませんし、昼ぐらいには足柄に到着できるかと」
善場「了解しました。昼間ですので、栗原蓮華がいきなり襲って来ることはないと思いますが、どうぞお気をつけください」
愛原「ありがとうございます。……やはり、蓮華は昼間の活動はできませんか?」
善場「そのようです。そしてそれは、伊藤縁も同じだったようです」
愛原「何かあるんですかね?」
善場「原因については調査中です」
愛原「リサは普通に昼間でも活動できますが……」
善場「リサの場合、メインはGウィルスです。Gウィルスがそれまでサブに活用していたTウィルスより、特異菌の方が使えると判断して、今は特異菌を活用しているだけに過ぎません。ですが、蓮華達の場合は違います。彼女らはあくまで、特異菌だけのBOWです。その違いに、何か原因があるのでしょう」
愛原「なるほど。カビは温度の高い所や、乾燥した所、あとは直射日光に弱いとか聞いたことがありますね」
特異菌とは真菌(カビ)の新種を生物兵器化させたものである。
いくら新種とはいえ、元がカビの一種であるわけだから、高温、乾燥、紫外線に弱いというのが私のイメージだ。
実際、アメリカのルイジアナ州で発生したバイオハザード。
時季は初夏の頃だったし、場所も湿地帯であった。
だが、それの素となった菌根のあるルーマニアの山奥にあっては、季節は冬であった。
だから、案外温度は関係無いのかもしれない。
実際、蓮華達は真冬でも活動していたし。
善場「その観点から、調べを進めています。それと……」
愛原「はい?」
善場「あとは重要な情報ですので、周りに聞かれないよう、メールでお伝えします。メールの確認は、車内でお願いします」
愛原「わ、分かりました」
私は電話を切り、メロンパンとコーヒーを平らげると、車に戻った。
そして車に戻ると、スマホには既に主任からメールの着信があり、それを見ると、連絡事項は2つあった。
1つは、やはり蓮華は静岡県内にいる公算が大きい事。
そしてもう1つは、公一伯父さんもまた、静岡県内にいる公算が大きいことであった。
愛原「デイライトは、まだ公一伯父さんの逮捕を諦めていないらしい」
高橋「アネゴとツルんでるっていう情報なんスよね?ねーちゃんのことだから、博士のことはついでで、アネゴをタイーホしたいんじゃ?」
愛原「ハハハ……なるほどな。まあいいや。とにかく、足柄に行こう」
高橋「はい」
私達は再び、東名高速の本線に向かった。
私の名前は愛原学。
都内で探偵事務所を経営している。
今日はこれから、静岡県に出張するところだ。
リサは学校に行き、事務所にはパールが留守番してもらうことにした。
栗原蓮華が足柄サービスエリアで足取りを消した為、その調査依頼を私達が受けたのである。
彼女は高島平のトラックターミナルから、静岡県方面に向かうトラックに便乗し、足柄サービスエリアで降りている。
そこからまた別の車に乗り換えたと思われるが、それが分からない為、私達が現地に行って調査してくることになったのである。
場所が場所だけに鉄道ではなく、車で行くことにした。
幸いこちらには、運転大好き高橋がいるので。
もっとも、車はレンタカー会社からリース契約しているライトバンである。
どうしてライトバンなのかというと、隠密調査をする際に車は重要アイテムであり、どこにいてもおかしくない、目立たない車が条件だからである。
スパイ映画やドラマとかだと、どう見ても怪しい黒塗りの高級車だったり、あるいはゴテゴテに改造したワゴン車が使われていたりするのだが、あれでは対象者に見つけてくださいと言っているようなもの。
実際は、どこにいてもおかしくない地味なライトバンを使う。
大手事務所とかだと、タクシーをチャーターすることもあるそうだ。
愛原「それじゃ、行ってくる」
パール「どうか、お気をつけて」
高橋「それでは出発します」
高橋は車を発進させた。
そして、1階のガレージから車を出す。
車が公道に出ると、パールは内側からガレージのシャッターを閉めてくれた。
高橋「先生、高速使っていいんスよね?」
愛原「当たり前だ。最初のゴール地点は足柄サービスエリアだから、東名高速だな。蓮華を乗せたトラックも、首都高からひたすら東名高速を走ったらしい。俺達も後を追うぞ」
高橋「分かりました」
高橋は、まずは首都高の錦糸町入口に向かうと言った。
そこは首都高速7号線(小松川線)が通っているが、都心方面に向かえば、東名高速と直結している3号線(渋谷線)へ行けるという。
高橋「途中休憩はされますか?」
愛原「まあ、適宜な。ガソリンを入れなきゃだろうし」
高橋「確かに。了解しました」
[同日10時00分 天候:晴 神奈川県海老名市大谷南 海老名サービスエリア]
出発してから1時間くらい走ってから、海老名サービスエリアに到着する。
ここでちょっと一服休憩だ。
高橋「俺、ちょっとタバコ吸って来ますんで」
愛原「ああ。俺はちょっとトイレだ」
高橋「どうぞどうぞ」
海老名サービスエリアは、サービスエリアというだけあって、規模は大きい。
だが、これから行く足柄はもっと大きいのだ。
平日なので駐車場はトラックが多いが、観光バスの姿も散見される。
休日と比べれば少ないのだろうが、それでも建物の中は観光客の姿も見られた。
日本人はお年寄り、それより若いのは外国人ばかりだ。
海老名サービスエリアと言えば、メロンパンが名物。
ちょっとお昼前の軽食として、トイレを済ませた後、メロンパンと紙コップ入りのコーヒーを購入した。
もちろん、高橋の分も買って行ってやる。
外のテラス席でメロンパンを齧っていると、スマホに着信があった。
愛原「おっと!善場主任だ!」
私は電話に出た。
善場「お疲れさまです。善場です」
愛原「善場主任、お疲れさまです!今、海老名サービスエリアで休憩中です」
善場「順調ですか?」
愛原「そうですね。道路も思ったほど混んでいませんし、昼ぐらいには足柄に到着できるかと」
善場「了解しました。昼間ですので、栗原蓮華がいきなり襲って来ることはないと思いますが、どうぞお気をつけください」
愛原「ありがとうございます。……やはり、蓮華は昼間の活動はできませんか?」
善場「そのようです。そしてそれは、伊藤縁も同じだったようです」
愛原「何かあるんですかね?」
善場「原因については調査中です」
愛原「リサは普通に昼間でも活動できますが……」
善場「リサの場合、メインはGウィルスです。Gウィルスがそれまでサブに活用していたTウィルスより、特異菌の方が使えると判断して、今は特異菌を活用しているだけに過ぎません。ですが、蓮華達の場合は違います。彼女らはあくまで、特異菌だけのBOWです。その違いに、何か原因があるのでしょう」
愛原「なるほど。カビは温度の高い所や、乾燥した所、あとは直射日光に弱いとか聞いたことがありますね」
特異菌とは真菌(カビ)の新種を生物兵器化させたものである。
いくら新種とはいえ、元がカビの一種であるわけだから、高温、乾燥、紫外線に弱いというのが私のイメージだ。
実際、アメリカのルイジアナ州で発生したバイオハザード。
時季は初夏の頃だったし、場所も湿地帯であった。
だが、それの素となった菌根のあるルーマニアの山奥にあっては、季節は冬であった。
だから、案外温度は関係無いのかもしれない。
実際、蓮華達は真冬でも活動していたし。
善場「その観点から、調べを進めています。それと……」
愛原「はい?」
善場「あとは重要な情報ですので、周りに聞かれないよう、メールでお伝えします。メールの確認は、車内でお願いします」
愛原「わ、分かりました」
私は電話を切り、メロンパンとコーヒーを平らげると、車に戻った。
そして車に戻ると、スマホには既に主任からメールの着信があり、それを見ると、連絡事項は2つあった。
1つは、やはり蓮華は静岡県内にいる公算が大きい事。
そしてもう1つは、公一伯父さんもまた、静岡県内にいる公算が大きいことであった。
愛原「デイライトは、まだ公一伯父さんの逮捕を諦めていないらしい」
高橋「アネゴとツルんでるっていう情報なんスよね?ねーちゃんのことだから、博士のことはついでで、アネゴをタイーホしたいんじゃ?」
愛原「ハハハ……なるほどな。まあいいや。とにかく、足柄に行こう」
高橋「はい」
私達は再び、東名高速の本線に向かった。
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