“ボーカロイドマスター”より。 もうそろそろ終わり?
目が覚めた時♪僕は1人♪黒く塗り潰された部屋♪何も見えず♪何も聞こえず♪1人震える闇の中♪……
るりらるりら♪響く歌声は♪キミに届いているのかな♪……
[??? ??? 鏡音レン]
『鏡音レン、起動します』
目が覚めた時、僕は1人……じゃなかった。僕のカメラ(目)には南里博士と、なっちゃん……赤月奈津子博士がボクの顔を覗き込んでいるのが分かった。
「先生、起動値、正常です」
「うむ。……ソフトウェア、メモリー等のバックアップについても異常なし」
「あ、あの……」
ボクは声を出した。
「ふむ。意識レベル、規定値。全ての数値、全て規定通りじゃ」
「レン、これで修理が終わったよ」
なっちゃんがボクに言った。
「しかし、まだデータのバックアップに、少し手間取っているようじゃな」
そう。ボクの頭の中には自分の持ち歌や、ボーカロイド仲間の持ち歌がループしている。
……瞬間、思い出した♪全ての記憶♪自らが重ねた罪の数々♪
いや、思い出したけど、罪の数々じゃなくて……。
「2度も自殺志願の人間を助けるとは、大したもんじゃ」
先日、ボクを激しく叱責したのとは別人のように、南里博士はにこやかな顔をしていた。確かボクは、団地から飛び降り自殺を図った由紀奈を追って……。
「! 由紀奈は!?由紀奈はどうなりましたか!?」
「まあ、落ち着きたまえ。お前がシャットダウンしてから、まずは3日経っておる。タイマーの自動設定は完了したかね?」
「あ……はい」
確かに、3日経っていた。
「その間、色々あったのよ」
なっちゃんも言った。
ボクが混乱しないよう、なっちゃんは順を追って説明してくれた。由紀奈は地面に叩きつけられる直前、ボクに抱えられ、掠り傷で済んだそうだ。頭や胸を強く打ったわけではなく、入院も数日で済む程度のケガとのこと。
「ただいまぁ」
ボクが研究室から事務室に移動すると、ちょうどプロデューサーが戻って来た。
「おっ、レン。修理終わったんだな。いや、お手柄だ」
「ありがとうございます。営業に行かれてたんですか?」
「違う違う。あっ、そうそう。池波さん親子な、顕正会辞めたから」
「えっ?」
「漁夫の利みたいで申し訳ないけど、平賀先生があんな状態だし、放っておけなかったから。俺の所属寺院で御受戒してもらったよ」
「ちょ、ちょっと待ってください!プロデューサーって……」
「今まで黙ってたけど、俺は退転中の元信徒だったんだよ。色々ワケありでね。でもさすがに池波さん達が放っておけなかったから。俺は俺で勧誡したよ」
また漢字変換のできない単語が飛んできたけども、どうやら少しは状況が改善されるのかなと思った。
「でも団地を追い出され……」
「それも無くなった。潔白を証明したから」
「潔白?」
「お前のメモリーを解析して、エミリーが池波さんが嘘を付いていないと言ったんだ。エミリーには嘘発見器が搭載されてるからな」
ボク達にはそんなものは無いけど、さすがスパイ活動もしていたマルチタイプなだけのことはある。
「代わりに団地を出て行ってもらったのは、管理人の方さ」
「ええっ!?」
「顕正会員から見れば、『学会の謀略部隊』にカテゴライズされるのかねぇ。顕正会の評判を貶めるべく、精力的に活動していた池波さんが追い出されるように仕向けてたらしいよ」
「プロデューサー、どうやって証明したんですか?」
しかし、プロデューサーは咳払いをしただけで、答えてくれなかった。
「まあ……ガサ入れ数回入っているという時点で評判も何も無いから放っといたっていいと思うんだけど、余計なことをした時点で運のツキってことだ」
「そうだったんですか」
「因みに由紀奈ちゃんには、リンが付き添ってる。あの子、顕正会活動のせいで友達がいなくて、それで孤独感から自殺衝動に駆られていたらしいな。でもまあ、リンがいるからもう大丈夫だ」
リンなら誰とでも仲良くできるからな、そこはプロデューサーの言う通りだ。
「あの、平賀博士は……?」
その話になると、途端にプロデューサーの顔が曇り始めた。
「こっちは芳しくない。多分もうすぐ平賀先生は、逮捕されるだろう」
「ええーっ!?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
因みに池波とは、私が顕正会時代にお世話になっていた上長達の名字を一文字ずつ合わせたものです。
もうお分かりとは思いますが、あくまでフィクションですので念のため。
目が覚めた時♪僕は1人♪黒く塗り潰された部屋♪何も見えず♪何も聞こえず♪1人震える闇の中♪……
るりらるりら♪響く歌声は♪キミに届いているのかな♪……
[??? ??? 鏡音レン]
『鏡音レン、起動します』
目が覚めた時、僕は1人……じゃなかった。僕のカメラ(目)には南里博士と、なっちゃん……赤月奈津子博士がボクの顔を覗き込んでいるのが分かった。
「先生、起動値、正常です」
「うむ。……ソフトウェア、メモリー等のバックアップについても異常なし」
「あ、あの……」
ボクは声を出した。
「ふむ。意識レベル、規定値。全ての数値、全て規定通りじゃ」
「レン、これで修理が終わったよ」
なっちゃんがボクに言った。
「しかし、まだデータのバックアップに、少し手間取っているようじゃな」
そう。ボクの頭の中には自分の持ち歌や、ボーカロイド仲間の持ち歌がループしている。
……瞬間、思い出した♪全ての記憶♪自らが重ねた罪の数々♪
いや、思い出したけど、罪の数々じゃなくて……。
「2度も自殺志願の人間を助けるとは、大したもんじゃ」
先日、ボクを激しく叱責したのとは別人のように、南里博士はにこやかな顔をしていた。確かボクは、団地から飛び降り自殺を図った由紀奈を追って……。
「! 由紀奈は!?由紀奈はどうなりましたか!?」
「まあ、落ち着きたまえ。お前がシャットダウンしてから、まずは3日経っておる。タイマーの自動設定は完了したかね?」
「あ……はい」
確かに、3日経っていた。
「その間、色々あったのよ」
なっちゃんも言った。
ボクが混乱しないよう、なっちゃんは順を追って説明してくれた。由紀奈は地面に叩きつけられる直前、ボクに抱えられ、掠り傷で済んだそうだ。頭や胸を強く打ったわけではなく、入院も数日で済む程度のケガとのこと。
「ただいまぁ」
ボクが研究室から事務室に移動すると、ちょうどプロデューサーが戻って来た。
「おっ、レン。修理終わったんだな。いや、お手柄だ」
「ありがとうございます。営業に行かれてたんですか?」
「違う違う。あっ、そうそう。池波さん親子な、顕正会辞めたから」
「えっ?」
「漁夫の利みたいで申し訳ないけど、平賀先生があんな状態だし、放っておけなかったから。俺の所属寺院で御受戒してもらったよ」
「ちょ、ちょっと待ってください!プロデューサーって……」
「今まで黙ってたけど、俺は退転中の元信徒だったんだよ。色々ワケありでね。でもさすがに池波さん達が放っておけなかったから。俺は俺で勧誡したよ」
また漢字変換のできない単語が飛んできたけども、どうやら少しは状況が改善されるのかなと思った。
「でも団地を追い出され……」
「それも無くなった。潔白を証明したから」
「潔白?」
「お前のメモリーを解析して、エミリーが池波さんが嘘を付いていないと言ったんだ。エミリーには嘘発見器が搭載されてるからな」
ボク達にはそんなものは無いけど、さすがスパイ活動もしていたマルチタイプなだけのことはある。
「代わりに団地を出て行ってもらったのは、管理人の方さ」
「ええっ!?」
「顕正会員から見れば、『学会の謀略部隊』にカテゴライズされるのかねぇ。顕正会の評判を貶めるべく、精力的に活動していた池波さんが追い出されるように仕向けてたらしいよ」
「プロデューサー、どうやって証明したんですか?」
しかし、プロデューサーは咳払いをしただけで、答えてくれなかった。
「まあ……ガサ入れ数回入っているという時点で評判も何も無いから放っといたっていいと思うんだけど、余計なことをした時点で運のツキってことだ」
「そうだったんですか」
「因みに由紀奈ちゃんには、リンが付き添ってる。あの子、顕正会活動のせいで友達がいなくて、それで孤独感から自殺衝動に駆られていたらしいな。でもまあ、リンがいるからもう大丈夫だ」
リンなら誰とでも仲良くできるからな、そこはプロデューサーの言う通りだ。
「あの、平賀博士は……?」
その話になると、途端にプロデューサーの顔が曇り始めた。
「こっちは芳しくない。多分もうすぐ平賀先生は、逮捕されるだろう」
「ええーっ!?」
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因みに池波とは、私が顕正会時代にお世話になっていた上長達の名字を一文字ずつ合わせたものです。
もうお分かりとは思いますが、あくまでフィクションですので念のため。
今日、御山に行かれた信徒の皆さんで、高速利用の方々、お疲れ様でした。私も2時間遅れで東京駅に着き、宇都宮線は最終電車です。
明日も休暇を取っていて良かったと思うこの頃……。
復旧するまで、しばらくお待ちください。